オフィスのドアから考えるセキュリティ対策

2017.05.09

オフィスセキュリティや出入管理を考えるとき、まず検討すべきなのがオフィスドアのセキュリティです。ドアのセキュリティを高めるとはどういうことで、どのような方法があるのでしょうか。ドアから考えるセキュリティ対策について解説します。

オフィスドアのセキュリティを高める必要性

オフィスドアのセキュリティを高めることは、オフィスの機密情報を外部に漏らさないためになくてはならないものです。企業における機密情報には経営情報、財務情報、研究開発情報、個人情報、リリース前の商品そのものなどがあります。

近年、企業の情報流出が問題視されるようになり、個人情報保護法やマイナンバー制度が施行されるのに伴って、高度なオフィスセキュリティ体制を構築することが求められるようになりました。万全な機密情報の保守管理体制が構築されていることは、企業価値を向上させることにもつながります。

また、情報だけではなく資産や人を守ること、つまり不審者の侵入対策や異物の持ち込み、破壊活動などを防ぐ対策がなされていることも重要。こうした人、モノ、情報の出入口となるのがオフィスドアです。ドアという外部との接点をピンポイントにガードすることで、さまざまな脅威からオフィスを守ることができます。

一方で、オフィスドアは来訪者(お客様)に対して会社の第一印象を与えるものでもあります。セキュリティ性の高さだけでなく、利用しやすく美しいデザイン性を備えていることが同時に求められます。

オフィスドアの種類

オフィスドアには通常のスチール製ドアのほか、内部が見えるスチール製ガラスドア、アルミ製ガラスドアなどの種類があります。ガラス部分の大きさも大中小とバリエーションがあり、窓形状によって框(かまち)ドア※1、スリット※2、フラッシュ※3などと呼ばれます。また、下部などにガラリ(通気口)がついているドアもあります。

開閉方式としては開き戸、スライドドア、自動ドアなどが一般的です。

      ※1「框ドア」とは、ドアの周囲を
      化粧枠で組加工を施したドア
      ※2「スリットドア」とは、
      ドアに隙間(窓)を設けたドア
      ※3「フラッシュドア」とは、
      凹凸のない平らな表面のドア

オフィスドアの鍵の種類

重要な企業の資産や情報の出入口となるオフィスドアは、確実性の高い施錠方法であることが重要。電気錠、ICカード、暗証番号、生体認証、鍵管理ボックスなど、ドアの施錠や鍵の管理にはいくつかの種類があります。

電気錠(電子錠)

普通の錠前は金属鍵を使用して施錠・解錠するのに対して、電気錠(電子錠)は電気の力で施錠・解錠を行います。金属鍵を持つ必要がなく、さまざまな方式でカギを操作することができて便利です。

一般的に配線を必要とするものと、電池式で独立したものがあります(電池式=電子錠とする場合も)。配線を使用するものは主に錠前・制御部・操作部で構成され、導入コストや工事が必要であるものの、遠隔で施錠・解錠やドアの開閉などを確認できるため、セキュリティシステムに応用されています。電池式のものは独立した構造のため、比較的導入しやすいと言えるでしょう。

ICカード・磁気カード

電気錠のカギの開け閉め方法のひとつ。非接触ICカードをかざしたり、磁気カードを通したりしてカギを操作します。社員証などと一体になったICカードで入退室の記録を取ることができるものもあります。権限の変更などが可能ですが、金属鍵と同じく手元にカードがなければカギを開けることができません。

暗証番号

設定された暗証番号を入力することで電気錠を操作します。金属鍵やカードを持ち歩く必要がなく紛失の心配がない一方で、暗証番号を他人に知られると簡単に侵入されてしまう恐れも。しかし気軽に暗証番号を変更できるため、定期的に暗証番号を変更することで高いセキュリティ性を発揮します。

生体認証

生体認証は、登録した指紋や虹彩、静脈といった人間の身体的特徴を鍵として電気錠を操作する方法。カード等を持ち歩いたり暗証番号を覚えたりする必要がなく、登録されていない人が解錠できる可能性も低いため高いセキュリティ性を実現できます。一方、基本的に導入コストが高く、怪我などで認証できなくなった場合にカギの操作が困難になるという恐れもあります。

鍵管理ボックス等

一般的な金属鍵をボックスで一元管理することが可能。もともと使用していた鍵をまとめて管理するため、すべてのドアに電気錠を取り付けるコストが発生せず、比較的導入しやすい方法です。また、1本の鍵を共有するため余分にコピーキーを作らずに済みます。ボックスを開けるためには暗証番号やICカード認証・指紋認証などが必要となり、普通に鍵を持ち歩くよりもセキュリティ性は向上するものの、あくまでもカギ本体は通常のものであるため、ピッキングなどの可能性は排除できません。

ドアのセキュリティ性を高めるには?

オフィスドアのセキュリティ性を高くするにはどのような方法があるのでしょう。まず考えられるのは、防犯性能の高いドアに交換することです。それから、ドアの材質・構造を防犯仕様のものにする、ガラスも防犯ガラスにする、ガードプレートなどの防犯対策グッズを取り付けることによって、ドアのこじ破り、ガラスの破壊などを防ぐことができます。

ドアやドア枠の強度を高める

一般的に事務所荒らしなどは、侵入に時間がかかるほど犯行を諦めると言われます。5分以上かかると大半の犯人は侵入を諦めるため、なるべく侵入されにくいドアにする必要があります。セキュリティ性を高めようと錠前・鍵の性能ばかりを気にしがちになる場合もありますが、そもそもドアやドア枠の強度が非常に重要。破壊したり穴を開けたりされにくいような材質のものを選びましょう。丁番を3ヶ所につけたり、軸心が抜けない丁番にしたりするのも効果的です。

ドアだけでなく、周辺の防犯環境を強化する

ドア周辺の状態にも要注意。ドアの隙間から閂(かんぬき)が見える状態では、バール等をねじ込まれてこじ破りされる可能性があります。ドアやドア周りのガラス、ドアの郵便受けなど弱い部分を狙ってサムターン回しなどで侵入されるケースもありますので、ドアのセキュティ性を強化するには、さまざまな目線から見て侵入されにくいドアにする必要があるのです。

監視・管理体制を強化する

ドアや鍵そのものを強化するとともに、監視・管理体制とを組み合わせることで、より強固なセキュリティを構築できるでしょう。すぐに実現できる方法のうち、オフィスの出入口に警備員(ガードマン)を配置するのはシンプルかつ有効な手段です。警備員は人が務めるため、安心感があるとともに、状況に応じた柔軟な対応も可能。さらに常に監視の目がある状態にすることができるため、犯罪の抑止力にもなるでしょう。

防犯・監視カメラを設置する

警備員の配置とプラスして、あるいは代わるものとして防犯・監視カメラを設置するのも高い防犯効果が期待できます。警備員がいない夜間の時間帯なども24時間体制で監視することができ、こちらも同じく犯罪を抑止する効果が得られます。万が一、事務所荒らしなどの被害や部外者の出入りによるトラブルなどが発生した場合も、映像が問題解決に貢献するでしょう。ただし、映像を撮影するということは、プライバシーや肖像権などにも関わってきますので、設置場所や映像データの扱いには注意が必要です。

入退室管理システムで効率的に高いセキュリティ性を

このようにオフィスドア周辺のセキュリティを強化する方法はいくつかありますが、近年注目されているのが入退室管理システム。電気錠やセキュリティゲートと連動して高いセキュリティ性を実現するとともに、拡張性のある出入管理が可能になります。

入退室管理システムにはICカード、暗証番号、生体認証、鍵管理などの種類があります。これらは一つのドアだけでなく、オフィスにある複数の部屋のドアをトータルに管理するシステムとして導入することもできます。

その場合は、例えば、あるドアはICカードをカードリーダーにかざすことで通過でき、あるドアは暗証番号を押すことで、あるドアは指紋認証で開くようにも設定できます。最も強固なセキュリティを必要とする部屋は、複数の組み合わせでロックを解除するようセッティングするのもいいでしょう。ドアごとの用途やセキュリティレベルに合わせて活用すれば、よりきめ細かなセキュリティ体制を構築できます

また、入退室管理では誰がいつ、そのドアを通過したかを記録できます。入退室管理と防犯カメラと連動させて映像や画像を記録すれば、入退室者チェック、在室管理、侵入者対策などにも役立ちます。

入退室管理システムについて詳しく知りたい方は、入退室管理システム[GTACS®ゲートコントロールシステム]を参考にしてみましょう。

ドアや窓を守ることは即ちオフィスを守ること、といえます。オフィスのセキュリティ対策は、まずドアのセキュリティ性能を向上させることから考えてみてください。