鍵ものがたり
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鍵ものがたり Vol.4 江戸時代のオートロック 蔵の鍵鍵ものがたり Vol.4 江戸時代のオートロック 蔵の鍵

2016年07月25日時点の情報です

鍵ものがたり Vol.4 江戸時代のオートロック 蔵の鍵
江戸時代、蔵の中の引き戸に使われていた鍵。仕組みはシンプルでも、奥の深い鍵です。。

ちょっと変わった孫の手のように見える鍵。鍵の先端の形状、コブの有無と形状、長さ。この3つの条件が合わないと錠は開きません。材質は鉄で、取っ手の部分は木です。長さ20~30㎝もある大きな鍵です。

表の錠前を破っても、次は引き戸が待っている

 時代劇では、盗賊が蔵の扉の錠前を破って、すぐさま侵入していく場面がよく見られます。実際には、扉を破っても、入るとすぐ内扉の引き戸がありました。いわば二重扉。もちろん、引き戸にも錠がしっかりかかっていました。
 仕組みは下のイラストのように、戸の内側にしつらえた「落とし」を上げ下げするだけのシンプルなもの。しかし、その鍵は3つの条件がそろわないと開かない仕掛けになっています。鍵を閉めるときは、引き戸をスライドさせるだけです。落としが自然に穴に落ちるオートロック型でした。

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長さ、コブ、先端の形状3つそろって初めて開く

 鍵の条件の1つめは、鍵の長さ。鍵穴から差し込んで落としの溝に届かなくてはいけません。
 2つめはコブの形。鍵穴と落としの間に障害物を置いた、より複雑な錠もありました。障害物を回避するには写真中央のようにコブが必要です。
 3つめは先端の形。落としには、鍵の先端が引っ掛かるように溝が彫られています。溝と鍵の先端の形がかみ合わないと、鍵は回せません。正方形、二股など、形状はさまざまでした。
 以上3つの条件がピタリと合って初めて錠は開きます。
 鍵は持ち歩くには大きすぎ、おそらく母屋に管理されていたのでしょう。金庫と鍵の博物館の杉山泰史さんは「盗賊はまず母屋に押し入って、この鍵を盗んでから蔵に向かったはず」と推測しています。

取材協力
金庫と鍵の博物館館長 杉山泰史[すぎやま・やすし]

■金庫と鍵の博物館
東京都墨田区千歳3-4-1
☎03-3633-9151