ALSOKセキュリティコラム

泥棒の気持ちになって考える 侵入手段・手口別防犯対策


3月から4月にかけては卒業、入学、就職、転勤等々、皆様の人生の節目となる時季です。それらの転機に伴って、一年中で最も引越しの多いシーズンもやって来ます。ご自分の希望にかなった新居を求めて不動産屋さん周りをする際に、「安全・安心」を第一条件と考えられる方も多いはず。

今月はそうした方々の参考となるような「防犯対策」を中心に考えてみましょう。
この際のポイントとして、泥棒の気持ちになって侵入手段や手口を考えてみてはいかがでしょうか。普段は考えもしないことかもしれませんが、「もしも自分が泥棒になったら・・・」と泥棒の視点に立って、考え始めることに致しましょう。

1. 侵入手口

まずは、これまで実際に発生した住宅侵入の手口から対策を見てみましょう。

【(1) 戸締まり忘れ(無締り)】

居住者の不在、外出を確認後、カギをかけ忘れた玄関や勝手口などから侵入する手口です。泥棒からすれば、錠を壊したりする必要がなく、短時間で侵入できる大変簡単な方法といえます。警察庁発表の『平成21年の犯罪情勢』によれば、戸建住宅の侵入手口の中で最も数が多い(24,328件)とされています。ついうっかり、施錠し忘れて外出してしまったために、家の中が大変なことになってしまった・・・といった経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

【(2) ガラス破り】

窓などのガラスを破壊後、クレセントを外して侵入します。主に掃き出し窓から侵入する際に多く使われる手口です。通常、住宅にはいくつも窓ガラスがありますので、泥棒にとってはそれだけ「侵入のチャンスがある」と言えるのかもしれません。

【(3) 錠破り】

ドアとドアの隙間にバールを差し込んだり、ドアノブをレンチプライヤー等でねじったりして、施錠部を強引に破壊する方法です。手荒いやり方を好む泥棒や、道具が必要とされるために、計画的に犯行におよぶ泥棒が使う手口と考えられます。

【(4) 錠開け】

  • ピッキング:ピッキング用具を用いて玄関の錠を解錠する。
  • サムターン回し:玄関ドアの郵便受けなどから針金等を差し込み、サムターンを回して解錠する。
  • カム送り:玄関ドアの錠ケース内部に特殊な道具を差し込み、デッドボルト(かんぬき)を動かして解錠する。マンションなどでは錠の形態が同じであることが多く、同じ手口で何件も侵入することが可能なため、泥棒にとっては効率がよい方法と言えるのかもしれません。
    しかし、最も被害件数が多かった時期と最近の被害件数を比べると、ピッキングについては、平成12年の29,211件をピークに平成21年は149件、サムターン回しについては平成15年の4,366件をピークに平成21年は59件と、近年かなりの減少傾向にあります(警察庁調べ)。この理由としては、ピッキングに耐えうるディンプル式シリンダーやサムターン部分が自由に取り外せる玄関錠などが市販されて一般に普及するようになったこと、また鍵メーカーが製品自体を改良したことなどが奏功していると考えられます。

では、次に建物の形態(戸建住宅、共同住宅)別に対策を考えてみましょう。

2. 戸建住宅

【(1) 物理的強化】

侵入手口からもお判りのように、泥棒は主に開口部といわれる窓、扉からの侵入を図ります。従って、それら開口部をいかにして強化するかが肝要です。特に1階の窓は、最も侵入されやすい箇所といわれています。そこで、「防犯性能の高い建物部品目録」に掲載・公表された「防犯建物部品」に貼付されているCPマーク(“Crime Prevention”の頭文字CとPをシンボル化したもの)の有無が一つの目安になりますので、参考にしましょう。
その他、窓や扉の留意点についてご紹介します。
  • ピッキング:合わせ複層ガラスにする
    近年の新築住宅に多くみられるタイプです。2枚のフロートガラスの間に空気層を設けたものに、さらに片側もしくは両側に合わせガラス(ガラスとガラスの間に中間膜を挟んだもの)を使用した複層ガラスです。断熱性能が期待できる他、中間膜が厚いため貫通に対する耐久性が高いとされており、破壊による侵入を困難にさせる構造になっています。
  • ワンドア・ツーロックにする
    こちらも最近の新築住宅では、扉や掃き出し窓などに2つ以上の錠が設置されることが多くなってきています。たとえ、メインロックが破壊されても、サブロックがあれば、侵入までの時間を稼ぐことができます。もし、ロックが一つしかない場合には、補助錠を別途設置するなどの工夫をしましょう。
  • 扉を強化する
    先ほど、ワンドア・ツーロックのお話をしましたが、それ以外にも、扉の強化策を講じることが大切です。ガードプレート(扉と扉枠の隙間をなくし、こじ開けなどの手口を防ぐ)、ドアスコープ(室内から訪問客を確認する防犯用広角レンズ)、ドアチェーン(扉を全開させないための金具)などを設置することが効果的です。

【(2) 敷地・外周】

環境をうまく利用して不審者を近づけないようにする工夫は数多くあります。主な留意点についてご紹介します。
  • 視認性
    敷地の外部から向けられる人の目を利用するために、塀や柵は透過性の高いものを選びましょう。また、敷地の中に外部から見えない場所(死角)を作らないようにしましょう。
  • 足場
    よじ登って侵入しうる可能性が高い物はすべて取り除きましょう。ハシゴなどはもちろんのこと、隣家との距離が近い場合、塀や雨樋が足場となる恐れがあります。
  • 照明
    屋外に玄関灯、門灯を設置し、夜間点灯させることにより、不審者が接近しにくくなります。また、センサー付きライトを設置し、スポット的に威嚇するのもひとつの方法です。
  • 門扉
    門扉の錠は鍵をかけるよう心掛け、錠を設置する場合には、外から手を伸ばしても届かない位置に取り付けてください。


3. 共同住宅

続いて、共同住宅特有の留意点を見てみましょう。

【(1) 玄関】

玄関は周囲(前面道路)から見える位置にあること、来訪者を確認するための集合玄関機が設置されていることが望ましいでしょう。

【(2) 共用部】

共用廊下、非常階段やエレベーターホールは周囲からの見通しが確保されている、あるいはその代替として防犯カメラが設置されていると、監視性が高まっていいでしょう。

【(3) ベランダ】

腰壁は外部からの見通しが良く、建物外周の足場を使ってベランダに侵入できない構造かを確認しましょう。

4. 最後に

皆さん、「犯罪機会論」という学説があるのをご存知でしょうか。学説というと、堅苦しいイメージで取り組みにくいと考えがちですが、「予防、事前対策に重点を置いた考え方」と読み替えれば、おわかりになって頂けると思います。つまり、日ごろから、「泥棒に犯罪の機会を与えないようする」ことを心に留め、創意工夫を凝らせば、それだけあなたが侵入窃盗の被害に遭う可能性は低くなるということです。新居を探す際はもちろん、現在お住まいのご自宅についても、「泥棒だったらどこを狙うか」といった視点に立って再点検してみてはいかがでしょうか。

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