ALSOK セキュリティコラム

ライフスタイルから考える安全な暮らし

3月11日に発生した東日本大震災から約2ヶ月が経ちました。被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。今もまだ大きな余震が続いており、不安を抱えられている方も多いかと思いますが、被災地の1日も早い復興を心よりお祈りしております。

今年は震災の影響もあり、ゴールデンウィークはご自宅でゆっくりと過ごされた方も多いのではないでしょうか。普段お忙しい方も、そうでない方も、たまには意識して身体を休める時間を作ることが大切です。私も、自分で気づかないうちについつい無理をしてしまい、体の不調を進行させてしまうことがあります。そうしたとき、限られた時間の中で効率よくリフレッシュすることの重要さに気づかされます。皆さんも、ご自分のライフスタイルを守りながら、「心と身体の休息」を日々の生活の中に上手に取り入れていきましょう。

さて今回は、住まいを取り巻く環境から防犯について考え、現代社会の多様なライフスタイルに応じて安全に暮らすコツをご紹介します。是非、参考にしてみてくださいね。

1. 住まいを取り巻く環境を知る

半年ほど前、私の友人から、戸建て住宅を購入し夫婦で引っ越したという話を聞いたため、先日その友人と会った際、新居の住み心地を聞いてみました。彼女は冴えない顔で私にこう言いました。「引っ越して半年も経つけれど、うちの周りの雰囲気にまだ慣れないの。あの辺りは治安が良いから大丈夫だとは思うのだけれど、何だか少し落ち着かなくて。」よく聞いてみると、彼女は夫と共働きで、朝早く夜遅い生活を繰り返しているため、いまだにご近所の顔ぶれも把握できておらず、また休日の外出は車で買い物に行く程度。せっかく新居で新たな生活リズムを築こうとしているのに、このままでは悩みは解決できそうもありません。私は、「この地域は安全らしい」という理由で選んだところまではよかったものの、実際に自分の目で住んでいる地域の状況を確かめられていないことが、彼女の不安に繋がっているのではと考えました。

私の友人のように、引っ越し先の周辺の環境がきちんと把握できていないために、不安を感じている方も多いようですね。では、どうしたら不安が解消されるのでしょうか。

【(1) ご近所付き合いで防犯対策?】

最近は、ご近所付き合いを避ける人が多く、人間関係が希薄になってきているといわれています。しかし、実はご近所付き合いは、防犯対策には欠かせない要素の一つなのです。住民同士の挨拶ができている地域の犯罪発生率は、とても低いといわれています。ご近所付き合いが円滑な地域では、その人が街の住人かどうかすぐに判別できます。よって、話しかけられたり、顔を覚えられたりすることを嫌う犯罪者にとっては、足を踏み入れにくい環境になるわけです。

【(2) 休みの日は散歩を】

私の友人のように「仕事で朝早く外出し、夜遅く帰宅する生活をしているので、なかなかご近所付き合いが難しい」と感じている方もいるでしょう。そのような方には、休日の明るい時間帯を利用して、定期的に近所を散歩することをおすすめします。休みの日は、家族で出かけたり、子どもと公園で遊んでいたりと、意外と普段会えないご近所の方に会うことができるものです。その家の家族構成が見えてきたり、顔と顔を合わせて挨拶したりすることで、「この人は、この近所に住んでいるんだな」という認識をお互いに持つことができ、いざというときに助け合うことができるかもしれません。また、時間帯を変えて散歩することで、その地域の様子が違って見えることもあるはずです。普段慌ただしく通勤通学で利用している経路も、よく見てみると細い路地や公園など、暗がりでは気をつけたほうがよいポイントが探せるかもしれません。是非天気の良い日に、散歩ついでに自分の足で地域の安全性を確かめてみましょう。

【(3) 地域の身近な情報を収集する】

各市町村のホームページや広報紙には、その地域で起こった犯罪の状況やハザードマップなどが公開されていることがありますので、一度確認してみましょう。個人で防犯対策を行うことも大事ですが、やはり個人では限界があるため、地域全体の防犯意識を高めることが一番効果的です。どの市町村も、「きれいな街づくり」「犯罪のない街づくり」「安全な街づくり」を目指しているはずです。そして、そうした取り組みや姿勢を地域の人に知ってもらい、少しでも快適な生活を送ってもらうために情報を公開していますので、それを活用しない手はありません。日々の忙しさの中でもそうした情報源から情報を取り入れ、地域に密着した生活を送ることが大切です。もし不安なことや分からないことがあれば、近くの交番や役所などに相談してみるのも良いかもしれません。また、自治会が組織されているところでは、回覧板などに重要なお知らせが掲載されていることがありますし、古くからその地域に住んでいる方たちに話を聞いてみるのも良いですね。

2. 犯罪はいつ起こっているのか

犯罪はどの時間帯に多く起きているのでしょうか。警視庁から発表されている、平成21年度の東京都内における「侵入強盗、侵入窃盗認知件数(時間別)」を見てみると、夕方から明け方にかけて多く発生していることが分かります。ご自分のライフサイクルと照らし合わせてみてください。多くの犯罪が発生している時間帯、自分はどこで何をしているでしょうか。その時間はぐっすり寝ているという方、仕事で留守にしているという方など、様々だと思います。もちろん、時間帯にかかわらず常に警戒する必要はありますが、こうした情報を頭に入れつつ生活するだけでも、いざというときの対応が変わってきます。なお、こうした情報は、各市町村の警察署や役所などで提供していることが多いですので、是非一度、自分の住んでいる地域の状況を調べてみてください。

いかがでしたか。環境が変わることで、自分のライフスタイルにも変化が生じます。より快適な生活を送るため、忙しい毎日の中のちょっとした時間に、自分の身の回りのことや住んでいる地域のことに、もう少し興味を持って活動してみるのも良いかもしれません。