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ALSOKセキュリティレポート

防犯対策2.古代より繰り広げられるドロボウVS防犯対策のせめぎ合い。 今回はドロボウ今昔物語。

(2004年4月 掲載)

ギリシャ神話の時代、おなじみ、あの神様がド、ドロボウ?!

 「嘘つきはドロボウのはじまり」といいます。ちょっとくらいならバレないだろうと思って嘘をついていると、罪悪感がマヒしてしまい、やがて泥棒のような犯罪でも平気でするようになってしまう、という意味ですね。   では、本当に「ドロボウがはじまった」のはいつごろでしょうか。ギリシャ神話に登場するオリンポス12神の一人「ヘルメス」は、商業の神であるとともに泥棒の神であったとされています。彼は生まれてまもなくゆりかごから逃げ出し、同じく12神の一人であるアポロンの牛を何十頭も盗んでしまったそうです。神話ですから事実ではありませんが、少なくとも紀元前からドロボウという概念があったようです。

4000年前のカギは、現代にも通じる優れモノ

 ドロボウが太古の昔より活躍(!)していたことを明らかにする証拠は、カギの発明でしょう。古代のカギには「権力と支配の象徴」という側面もありましたが、物理的に犯罪者の侵入を防ぐことで、財産やときには生命をも守ることを目的に発明されました。

  一般に世界最古のカギといわれているのは、カルナック大神殿の錠前です。エジプトのナイル川沿いで発見されたこの遺跡から、回廊の柱に刻まれたレリーフの中に錠前の絵が描かれているのが見つかったのです。神殿が建立されたのは紀元前20世紀ごろですから、いまから4000年も昔のことです。しかもこの錠前は、現代のシリンダー錠と原理的にはかわらないほどの優れたものだといいます。   4000年も昔にすでにそのような精巧なカギが存在していたというのですから驚きです。いえ、むしろ驚くべきは、そんな昔にすでにドロボウがいたということかもしれません。

五右衛門と鼠小僧、庶民の味方ってぇのはウソ?

 日本の歴史にも多くのドロボウが名を連ねています。有名なのはなんといっても「石川五右衛門」と「鼠小僧次郎吉」の両名でしょう。   「絶景かな」のセリフや五右衛門風呂などでおなじみの石川五右衛門。正確な経歴は不明ですが、安土桃山時代に実在した盗賊集団の頭目です。のちに人形浄瑠璃や歌舞伎で演じられるようになると「義賊」として描かれることも多くなりますが、実際の姿は藪の中。

 一方の鼠小僧も実在の人物。寛政7年(1795)年の生まれです。もともと鳶職人だったのですが、酒と博打におぼれて盗みに手を染めていきます。こちらも講談や芝居の中では、盗んだお金を貧民に施した「義賊」として語られていますが・・・。   記録によれば、捕まるまでの10年間に盗んだお金は合計3,000両。現代のお金に換算すると7,000万円〜8,000万円くらいの大金になります。これだけの大金を貧民に施すどころか、なんと、すべて博打と遊興につぎ込んでしまったそうです。   石川五右衛門は京都三条河原で生きたまま釜ゆでの刑に処せられます。鼠小僧は市中引き回しの上、打ち首獄門の刑。それにしても、見せしめのためとはいえずいぶんと重い刑罰ですよね。現代の刑法でしたら、窃盗罪は「十年以下の懲役」となっています。

ドロボウの“お手本”、鼠小僧の手口

  鼠小僧の手口を見てみましょう。『甲子夜話(かっしやわ)』などの書物によれば、鼠小僧は塀を乗り越えるほかに、通用門から何食わぬ顔をして入り込むこともあったようです。現代のドロボウと同じですね。   忍び込むと、屋敷の奥の方の部屋ばかりを狙います。こうした部屋は家来が近づくことが少ないため、仕事がしやすく、また見つかっても逃げやすかったそうです。   鼠小僧は大名屋敷ばかりを狙いましたが、これはお金がたくさんあったからだけではありません。当時の大名屋敷は、商人の家に比べると不用心で侵入しやすかったのです。入りやすい所を選んで入るとは、ますます現代のドロボウの“お手本”のようです。

 そのうえ大名屋敷の場合は、犯罪が発覚しにくいという事実があったのです。なぜかというと、当時の大名たちは仮に盗みに入られてもほとんど届け出なかったのです。たしかに、大名がドロボウに入られるなど、不名誉なことこの上ないですからね。   時が流れて、現在。ドロボウの分類や手口は大きく変わりました。住宅を狙ったドロボウ(侵入盗)の分類は図表1のようになっています。圧倒的に空き巣ねらいが多いのは、家に誰もいない時間が多いという現代の家庭の状況を反映しているのでしょう。鼠小僧の時代には、忍び込みや居空きが多かったのではないでしょうか。

 侵入の手口にしても、図表2のように多様化・高度化しています。鼠小僧の時代には考えられないほどの高性能なカギが誕生する一方で、ピッキングやカム送りなどの新しい盗みの“技術”が誕生しているのです。   でも、考えてみると昔も今も「入りやすい所に入る」という基本は変わっていません。しかも、講談や芝居に描かれた五右衛門や鼠小僧のような都合のよい“義賊”はいないのです。ドロボウは敵と見なして、徹底的な防犯対策をとり続けるしかありません。

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