ネットワーク監視とは?安定したネット環境を構築する方法について

あらゆるビジネスにとって、ネットワークを24時間365日正常に稼働させておくことは欠かせなくなりました。ビジネスに不可欠なネットワークの維持やサポートをし、さらにはウイルスなどの脅威からネットワークを守る目的で取り入れられているのが、ネットワーク監視です。
この記事では、ネットワーク監視の概要や監視対象、具体的な監視項目などをご紹介します。
目次
ネットワーク監視とは?
ネットワーク監視とは、常時稼働が必要なネットワークが何らかの原因でダウンしたり、ネットワーク機器の性能が著しく低下したりしていないかをシステムなどにより監視することです。近年では、ネットワーク監視システムの導入も進み、社内にネットワーク監視に携われる人員がいない場合にも、アウトソーシングでの対応が容易になりました。
企業におけるネットワーク監視サービスの必要性
企業において、なぜネットワーク監視が必要となるのでしょうか。企業のネットワーク監視サービス導入が必要な理由として、主に以下のような点が挙げられます。
- ネットワークのダウンやレスポンスの悪化(反応速度の低下)を防ぐため
- 人的リソースの不足をカバーし、人的コスト・管理コスト削減につなげるため
ネットワークのダウンや不調などで常時正常に稼働できなければ、事業活動が円滑に実行できません。ネットワーク監視が適切に行われていてこそ、24時間365日ネットワークを正常な状態に保てるといえます。
常時監視するには人的リソースやコストが足りないという企業にとっても、ネットワーク監視サービスの導入は効果的です。
企業におけるネットワーク監視の重要性
企業が、ネットワーク監視を実施することの重要性についても見ていきましょう。
- ネットワーク障害の予防や検知を行うことで、障害発生を未然に防ぐ
- ネットワーク障害時に早期復旧等を行い、大規模な障害に発展するのを防ぐ
ネットワーク障害の発生を未然に防ぎ、万一発生したとしても、そこから大規模な障害への進展を防ぐことは、企業運営において大変重要です。近年では、各企業の情報を動画や音声の形で配信するケースも増えています。それらはいつどこからでも閲覧可能にしておく必要があるため、数時間単位のネットワークトラブルでも致命的な損害を招く可能性があります。
企業にとって、利益獲得機会の損失やユーザーの信頼を失うことはなんとしても回避しなければなりません。いまやネットワーク障害の予防は、ビジネスにとって欠かせない取り組みの1つです。
ネットワーク監視の対象
ネットワーク監視システムが監視を行う対象には、以下の表で示したものが挙げられます。
ネットワークの監視対象 | ||
---|---|---|
サーバの性能監視 | OS | ・CPU使用率 ・メモリ使用率 ・ハードディスク使用量 ・ネットワークの利用状況 など |
データベース | ・サーバの応答時間やエラー情報 ・ロック発生状況 ・データベース使用率 ・構成パラメータ情報 ・トランザクション数 など |
|
アプリケーション | ・サーバの応答時間やエラー情報 ・セッション情報 ・応答までの時間 など |
|
サーバのハードウェア動作の監視 | 機器 | ・サーバ温度など動作状況 ・ハードディスク故障の有無など機器動作 ・トラフィック |
ネットワーク上の周辺機器の監視 | 機器の性能 | ・ループなどネットワーク障害の発生 ・ルーターやスイッチなどネットワーク機器の動作環境 ・サービスやプロトコル ・帯域利用率 ・死活監視 ・トラフィック |
ネットワーク監視の主な監視項目
ネットワーク監視システムの主な監視項目についても見ていきましょう。一般的なネットワーク監視システムの監視項目は、以下の5つに分類できます。
死活監視
サーバやその周辺機器が正常に稼働しているかどうかを確認するための監視が「死活監視」です。監視方法には2通りあり、1つ目はサーバからの応答速度を測定して異常の有無を確かめる「Ping」です。2つ目は、Webサーバのポートへアクセスする際に異常の有無を確かめる「ポート監視」です。
経路監視
ネットワークに問題がない場合でも、ネットワークを利用するデータ量が集中してしまうと結果としてレスポンスが遅くなり速度が低下します。
経路監視は「トラフィック監視」とも呼ばれ、ネットワーク回線の混雑状況(トラフィック量)を監視することを指します。サーバやその周辺機器のトラフィック(混雑)が増加すると、ネットワーク混雑による通信速度低下が見られる場合があります。そのため、経路監視を行っていないと、通信速度低下が起きた際、原因究明の調査に時間がかかります。
遅延監視
業務中に、ネットワーク遅延によって処理が重くなっていないか、レスポンスの速度が落ちていないかを監視します。動作遅延の原因にはさまざまなものがあるため、ネットワーク遅延以外の原因を究明するためにも役立つ監視といえるでしょう。動作遅延の検知方法には、アクセス反応時間をグラフによって可視化することや、反応の遅れが一時的か否か確かめることなどが挙げられます。
状態監視
サーバやその周辺機器など、ネットワークに接続されているハードウェア全般の状態を監視します。サーバのCPUやメモリの稼働状況、ハードディスクの使用量など各機器の稼働状況を確かめるとともに、TRAP監視による障害発生の検知も行います。
TRAP監視とは、ネットワーク機器に備わった仕組みの1つで、ネットワーク機器に障害や故障を含む問題が発生した場合に通知されるシグナル(TRAP)を監視することです。ネットワーク監視ツールを用いてTRAPを監視することで、ネットワーク機器に問題が発生しているかどうかを検知できます。
インターネット境界の監視
インターネットと自社ネットワークとの境界線を監視することで、ウイルスや不正侵入などの外部脅威から自社ネットワークを守る役割があります。不正侵入を防ぐという面では、不正なアクセスを遮断する「ファイアウォール」や、ネットワーク上から不正侵入を検知・防御する「IPS/IDS」などがこの監視サービスにあたります。

ネットワーク監視を導入するメリット
企業がネットワーク監視を導入することには、以下のようなメリットがあります。
ネットワーク障害の予防
ビジネスに大きな損害を及ぼす可能性もあるネットワーク障害の発生を未然に防ぎ、常時円滑な企業活動を行うことにつながります。
ネットワーク障害の早期解決が可能
万一ネットワークに障害が発生し、企業活動への影響が予測される場合も、原因をすぐに究明して早期に解決へ導くことができ、損害を最小限に抑えられます。
サイバー攻撃の早期発見
サイバー攻撃とは、情報の売買や金銭の要求、損害を発生させることを目的として企業内のシステムに侵入し、企業活動の妨害や個人情報・機密情報の窃取などを行うことです。サイバー攻撃の手口は近年複雑化しており、いつどのように仕掛けられるか予想できません。ネットワーク監視を行うことで、サイバー攻撃の早期発見ができ、被害の未然防止・拡大防止に役立ちます。
安定したシステム運用が可能
監視項目などの詳細設定がテンプレート化されているため、設定上の人為ミスなどを防止でき、常時安定したシステムの運用・管理を実現できます。
管理者の工数や設備・環境投資を削減できる
ネットワークの状態を担当者が監視することには、大きな負担がともないます。ネットワーク監視サービスを導入することで常時サーバの監視ができ、人件費の削減によって業務効率化も可能です。
また環境整備のための投資も、少なく抑えることができます。
ネットワーク監視を導入するデメリット
企業に多くのメリットをもたらすネットワーク監視サービスですが、デメリットもあるため、導入に際して押さえておく必要があります。
監視ツールの導入費用が発生する
ネットワーク監視サービスを新規導入する場合には、一定のコストがかかります。
しかし、人的リソースに頼って監視することを想定した場合、ネットワーク監視サービスを導入するほうが相対的には低コストに抑えられます。
ネットワーク監視を導入する際のポイント
さまざまなネットワーク監視サービスがあるため、自社に最適なサービスを選定することも大切です。ネットワーク監視サービス導入時に注目したいポイントについても、以下で見ていきましょう。
監視したい対象や範囲が自社に合っているか
どこまでの範囲を監視できるか、サービスの監視対象が自社の求めるものと合致しているかを確かめて選びましょう。ネットワーク機器およびOSの動作を確かめられればよいのか、それともプロセスやアプリケーションまでの監視が必要なのかによって、適したネットワーク監視サービスも異なります。
システムのカスタマイズが可能か
ネットワークサーバの周辺機器が多いと、テンプレートによるカスタマイズの可否が利便性や効率化に大きく影響します。自社が保有するネットワーク機器に対応した設定ができるネットワーク監視サービスを選ぶとよいでしょう。テンプレートでの設定ができることで、運用担当者に高い専門知識がなくても活用しやすくなるメリットもあります。
監視頻度
障害が発生していないときも、一定頻度で監視結果レポートを発行する監視サービスを選定することがおすすめです。とはいえ、監視間隔が短すぎるとネットワークやシステムに負荷がかかる可能性がある上、レポートも膨大な量になります。自社の必要とする頻度で監視レポートを発行するサービスを選んだり、監視間隔が負荷にならないサービスを選んだりするなどの工夫も重要です。
セキュリティ面における信頼性の高いツールを導入する
監視システムのセキュリティに脆弱性があるなど、性能が不十分な場合は、セキュリティ面でのリスクがともなう可能性もあります。脆弱性を放置した場合、サイバー攻撃の入口となる場合もあります。このデメリットを克服するには、セキュリティ面における信頼性の高さが実証された監視ツールを導入することがおすすめです。
なお、監視ツールを導入した際には、ソフトウェアの更新など常に最新の状況を維持する必要があります。
ネットワーク環境の構築や維持は非常に重要
ネットワーク環境にトラブルが発生してしまうと、一時的に事業活動が停止し損失を招いてしまう可能性があります。また障害が起こった事実が明るみに出ることで、ユーザーや取引先の信頼が失われるおそれもあるでしょう。
安定して事業を継続させるためにはネットワーク監視サービスの導入は不可欠ともいえます。未導入の企業様は、万一の障害に備えて導入を検討してはいかがでしょうか。
ALSOKのネットワーク監視サービス(UTM)
ALSOKでは、今回ご紹介したネットワーク監視の主な項目のうち、「インターネット境界の監視」が行えるネットワーク監視サービス(UTM)をご提供しています。
ALSOKのネットワーク監視サービスは、ファイアウォールやアンチウイルス、不正侵入防御などのセキュリティ機能を統合したセキュリティ装置で、緊急時の対応や通信状況のレポートまで一括でアウトソーシングが可能です。障害への備えとともに、ネットワーク管理の手間とコストの削減も実現でき、業務効率化との両立を可能とします。
「インターネット境界の監視」以外の監視も承っております。ネットワーク監視やセキュリティに関するお悩みはALSOKにご相談ください。
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まとめ
ネットワーク監視サービスは、企業におけるネットワークトラブルの予防策となるだけではありません。安定したネットワークの稼働状態を維持しつつ、万一の障害発生時も被害を最小限にとどめることにつなげられます。将来的にも必要と言われているネットワーク監視サービスの導入をこの機会にぜひご検討ください。