鍵ものがたり vol.14

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この1本ですべてが開く

マスターキー

どんなドアの鍵も開けてしまう手品のような不思議な鍵。
どんな仕組みになっているの?
Illustration :Naomi Masuda , Hiroshi Hasegawa

普通の合い鍵(上)のデコボコした谷にくらべ、マスターキー(下)はデコボコが小さく、鍵が細いのが特徴だ。

仕掛けは合い鍵ではなくシリンダーの中にあり

ホテルの部屋の鍵をもたずに外に出て、中に入れない!そんなとき、係の人が持つマスターキーなら、どの部屋でも開けることができます。
この不思議なマスターキーの基本形はピンタンブラー錠(図1、2)。家の玄関にも使われている、もっともポピュラーな錠前です。シリンダーの中には、ドライバーピンとタンブラーピンの2本があり、その切れ目が「シアライン(内筒と外筒の境)」にそろうことで、鍵が回ります。
マスターキーに対応する場合は、これに「マスターピン」が加わり、切れ目も2つに。いかにも合い鍵にワケがありそうに見えますが、秘密はシリンダーの中にあったのです。

ピンタンブラー錠の基本構造(シリンダー内の断面図)

図(1)鍵がかかった状態。内筒と外筒の境「シアライン」を6本のピンが貫通しているため内筒が回らない。
図(2)合い鍵のデコボコによってピンが押し上げられ、タンブラーピンとドライバーピンの切れ目が「シアライン」に6本ともそろう。すると内筒が回り、鍵が開く。

マスターキーがあるピンタンブラー錠の構造(シリンダー内の拡大図)

マスターキーが使える錠前には、タンブラーピンとドライバーピンの間に「マスターピン」が加わる。それぞれの部屋の合い鍵の場合は、タンブラーピンとマスターピンの切れ目(BとC)が「シアライン」にそろって開く。マスターキーの場合は、マスターピンとドライバーピンの切れ目(A)が「シアライン」にそろって開く。「タンブラーピン+マスターピン」がどの部屋でも同じ長さになり、切れ目の位置が同じになるので、1つのマスターキーで開けられる。

取材協力

金庫と鍵の博物館館長 杉山泰史[すぎやま・やすし]

金庫と鍵の博物館

東京都墨田区千歳3-4-1 03-3633-9151

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