ALSOKセキュリティコラム

高齢者を日常の危険から守る 〜高齢者の身の回りに潜む危険とその対策〜


木枯らしが吹く季節になりました。皆さん、風邪などひいていませんか?この季節は空気が乾燥し風邪が蔓延しやすいので、手洗い・うがいを欠かさず、寒さに負けぬ体作りを心がけましょう。

これからどんどん気温が下がり真冬に突入していく訳ですが、寒い季節になると外に出かけることが億劫になり、家で過ごすことが多くなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ところで、「家の中にいれば交通事故などに遭うこともないし安全」と思っている方はいませんか?実は、家の中にも危険がいっぱい。転倒事故や詐欺被害など、さまざまな危険が潜んでいます。
今回は、その中でも高齢者がターゲットになりがちな危険な罠について紹介しますので、是非参考にしてください。


“振り込め詐欺”に備える

高齢者がターゲットになりそうな犯罪と聞くと、まず「振り込め詐欺」を思いつく方は多いのではないでしょうか。子や孫を思う高齢者の心理に付け込んだ卑劣な犯罪の被害に遭わないために、最近の傾向や対策を知っておきましょう。

【(1) 「オレオレ詐欺」は古くない。むしろ新しい?】

一時期、日本全土で猛威を振るった「振り込め詐欺」。振り込め詐欺には、現在「オレオレ詐欺」「架空請求詐欺」「融資保証金詐欺」「還付金詐欺」の4タイプがあり、最近では被害額が大幅な減少傾向にあるといわれています。
しかし実際は、「オレオレ詐欺」だけは、ここ最近再び増加する傾向にあります。しかも、手口にどんどんと変化が加わり、巧妙化しているというから驚きです。周りから聞いていた手口と違う方法で狙われると、つい油断して被害に遭ってしまう・・・。この堂々巡りはいつまで続いていくのでしょうか。

【(2) ターゲット無差別型から絞り型へ】

初期の「オレオレ詐欺」は、登場するのは本人役のみで、ターゲットを絞らず無作為に「俺だけど」などと電話をかけ、お年寄りなどが久々にかかってきた息子や孫からの電話と勘違いすることで、被害に遭うケースがほとんどでした。
しかし、手口はだんだんと巧妙化。本人役のみならず複数の役柄(警察官役、弁護士役など)が登場する劇場型へと発展しました。その代表的な手口がメディアで取り上げられたため、一旦は減少したかのように見えた「オレオレ詐欺」ですが、1回で稼げる金額が大きいだけに、騙す側も次々と新しい手を考え出して犯罪を繰り返しています。最近では、ターゲットの絞り込みやその対象の身辺調査をしっかりと行った上で行動に移すなど、今まで以上の用意周到さが伺えます。
いつ私が、そしてあなたがターゲットになるか分かりません。常に慎重さと疑う目を持つようにしましょう。

【(3) 「オレオレ詐欺」から身を守るには】

万が一、「オレオレ詐欺」に直面したら、まず大事なのは『パニックにならないこと』です。少しでも“怪しいな”と思ったら、落ち着いて以下の方法で対応するようにしましょう。
◎相手の名前を聞く
 「どなたですか?」と、相手の名前を聞き出してみましょう。自分から身内の名前を言ったりせずに、わざと架
 空の名前を出してみるのも手です。
◎本人にしか分からないことを尋ねてみる
 事前に名前などの家族情報を調べた上で連絡をしてきているかもしれません。少しでも怪しいと感じたら、前回
 会ったときの話など、本人にしか分からないことを尋ねてみましょう。
◎電話を切った後に、本人や勤務先などに連絡を取って確認する
 電話を切った後は慌てずに、必ず本人に確認の連絡をしてみましょう。たとえ事前に電話番号が変わったと告げ
 られていても、まずは前の電話番号にかけてみましょう。
ご自身が注意するのはもちろんのこと、親御さんなどご高齢の方にも、こうしたときは自分で判断せずに周りの人に相談するよう、日頃から話しておきましょう。また、周りに迷っている方がいた場合は、上記内容をアドバイスして犯行を未然に防ぐようにしましょう。


“悪質商法”に備える

「振り込め詐欺」と同様に、高齢者がターゲットとなっている「悪質商法」。こちらも、手口や対策について紹介します。

【(1)巧妙化する手口。たとえばこんな商法が・・・】

「悪質商法」も「振り込め詐欺」と同様に、年々手口が巧妙化し、被害が拡大しています。誘いの手口のパターンを知ることで、いざ親などの高齢者や自分がターゲットとなってしまったときの対策を考えておきましょう。
◎かたり商法
 公的機関の身分をかたり、商品を売りつける商法。
 【例】浄水器、消火器、ふとん など
◎点検・実験商法
 点検と称して訪問し、「水質が悪い」「シロアリがいる」などと騙して商品を売りつける商法。
 【例】浄水器、床下換気扇 など
◎危険商法
 「瓦がゆるんでいるからこのままでは危険」などと告げ、相手に不安感を与えて商品を売りつける商法。
 【例】屋根工事 など押し売り
◎催眠商法
 安売りなどの名目で人を集め、閉めきった会場で限られた数の日用雑貨をただ同然の
 値段で売り、一種の催眠状態になった時に、高額な商品をあたかも安いように装って
 売りつける商法。
 【例】ふとん、健康食品、電気治療器 など
◎送りつけ商法
 注文していない商品を勝手に送りつけ、その人が断らなければ購入したものとみなし、
 代金を一方的に請求する方法。
 【例】雑誌、単行本 など

【(2)もしものときはクーリングオフ制度を!】

訪問販売など特定の取引で不本意な契約をしてしまった場合でも、契約からさほど日にちが経っていなければ、「クーリングオフ制度」による契約解除が可能です。クーリングオフをする際は、一定の適用期間内に書面で通知する必要があるため、諦めずにできるだけ早く対応しましょう。また、方法がよくわからないという場合は、最寄の消費生活センターなどに相談するといいでしょう。
◎おもなクーリングオフの適用期間(一例)
 ・訪問販売・電話勧誘販売・訪問販売によるクレジット契約 →8日間
 ・海外商品先物取引 →14日間
 ・マルチ商法 →20日間

【(3)「悪質商法」から身を守るには】

突然の訪問・電話による勧誘があった場合は、一呼吸おいて冷静になってから対応するようにしましょう。訪問販売は、一度中に入られると断りにくくなるため、極力、訪問販売員を家の中に入れないようにしましょう。対応はインターホン越しに行い、玄関のドアを開ける場合も、チェーンをかけた状態で隙間から話すようにしましょう。
また、契約する前には、家族や知人などへ相談することをお勧めします。契約を急かすような『本日に限り○△%割引!』などの甘言に惑わされることのないよう、契約前に周りの人に助言を仰いだ方が賢明です。あいまいな返事をすることで押し切られてしまう可能性もあるので、はっきりと「必要ありません」と断るようにしましょう。

いかがでしたか。強引な勧誘などは断る自信がない、自分や家族がいつ振り込め詐欺や悪質商法のターゲットになるか分からなくて恐い、などと思われる方もいらっしゃると思います。しかし、普段から対策を心がけていれば、いざというときもしっかりとした対応が取れるはずです。ご家族にご高齢の方がいらっしゃれば、あらかじめその危険や家族間のルールを話し合うなど、“備えあれば憂いなし”の精神で気をつけていきましょう。


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