環境課題への取り組み

ALSOKは、地球環境問題を人類共通の課題であると認識し、気候変動枠組条約などの世界的合意や目標設定の動きを鑑み、CO2排出量などの具体的な削減目標を掲げ、環境汚染の防止(汚染物質の排出を防止し、削減する)と環境負荷の低減に努めるとともに、気候変動問題および自然環境保護活動に取り組んでいます。

方針

環境方針

 綜合警備保障株式会社は、警備業を中核とした事業を提供するリーディングカンパニーとして、地球環境題が人類共通の課題であるとの認識のもと、経営理念である「ありがとうの心」と「武士の精神」をもって、持続可能な社会の実現を目指すべく、環境方針を制定し、環境マネジメントシステムの継続的改善に取り組みます。

CSR・サステナビリティ調達指針

 ALSOKで使用する警備機器等に関し、資源の有効活用、廃棄物の発生抑制、気候変動対策等を積極的に進めるとともに、取引先と相互に協力して、製造、使用、廃棄の一貫した環境保全活動を推進します。

 地球温暖化などの気候変動や大気汚染、有害化学物質等の環境破壊に対する地球環境保全が国際的に提唱されるなか、ALSOKは責任ある企業として事業を進めていくため、2006年4月に「グリーン調達指針」を策定しました。
2022年4月には、従来のグリーン調達指針を見直すとともに、取引先等のサプライチェーン全体における人権への配慮を盛り込んだ「CSR・サステナビリティ調達指針」を策定しました。今後も、取引先や提携先企業等との協力を通じて、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

環境マネジメントシステムへの取り組みと環境推進体制の確立

 近年、気候変動枠組条約やCOP21での「パリ協定」の採択をはじめとした世界的な合意や目標設定などの動きが活発化しています。ALSOKでは、地球環境問題に対し責任ある企業として事業を推進するため、2006年に「グリーン調達指針」を制定、2022年には「CSR・サステナビリティ調達指針」に改訂を行い、取引先や提携先企業などと相互に協力して、製造、使用、廃棄の一貫した環境保全活動への取り組みを強化してきました。

 環境マネジメントシステムの実効性をより高め持続可能な社会の実現を目指すべく、2016年に「環境方針」を制定し、ISO14001の認証を取得しました。現在、オフィス清掃や管理事業を行うALSOKファシリティーズ(株)や、空調設備・電気設備工事の施工・管理事業を行う日本ファシリオ(株)なども同規格を取得し、環境に配慮した施設管理サービスを提供しています。2023年3月現在、グループ全社(2022年度にALSOKグループ入りした2社を除く)で認証を取得済みです。

 また、全社的な環境対応を推進し、気候変動問題を含む環境問題への取り組みを強化することを目的に、2017年1月に社長(栢木伊久二)を最高責任者とし、総務・広報担当役員(鈴木基久)を委員長とする環境委員会を設置しました。なお、2023年4月に新たに「環境管理規程」を制定し、環境委員会等の開催頻度見直し、環境管理の計画や環境保全対策の立案など環境対応の強化に努めています。このようなALSOKの環境課題への取り組み状況についても、環境委員会を通じて取締役会に適宜報告するなど、環境マネジメントシステムのPDCAサイクルを回し、全社的な環境対応を推進しています。

 さらに、循環型社会の形成に貢献するため、資源の有効活用・廃棄物の発生抑制等を積極的に進めています。廃棄物・有害物質等に関しては、廃棄物等処理許可を受けている廃棄物業者に委託しており、これまで処罰や罰金等の処分を受けたことはありません。

組織体制 役割・任務
環境委員会
  • 環境管理に係る計画の策定および進捗管理
  • 環境保全対策の企画立案および進捗管理
  • その他、委員長が必要と認める事項の審議、承認
環境マネジメント部会
  • 環境管理および環境保全対策に係る情報収集、分析および評価
  • 環境委員会に対する前項の結果報告
  • その他、部会長が必要と認める事項の審議、承認

気候変動への対応

環境目標の設定

 地球温暖化や森林の減少・海洋汚染による生物多様性の喪失など、人類は環境保全上極めて深刻な状況に直面しています。

 ALSOKにおいても、地球温暖化対策の取り組みをより一層強化するために、短期、中期、長期目標を設定しています。

短期目標

 ALSOKグループでは、年度ごとにCO2排出量に関する目標を設定し、削減に取り組んでいます。

 2023年度は「ALSOKグループ全体におけるCO2排出総量の前年比4.8%削減」および「ALSOKグループ全体におけるCO2排出量(売上高原単位)の前年比8.52%削減」を目標としています。

前年度における目標と実績
2022年度目標 実績※1
ALSOKグループ全体におけるCO2排出量の売上高原単位を前年度比5.7%削減 CO2排出量の売上高原単位 0.170t-CO2/百万円(前年比▲2.26%)
→目標未達成
ただし、CO2総排出量は83,116t-CO2(前年比▲2.38%)
  1. ※12022年度目標の設定時期を考慮し、当該年度におけるグループ会社買収の影響を除外しています。

中・長期目標

 これまで、中期目標「2031年3月期のCO2排出量を26%削減(2013年度比)」および長期目標「2050年までに80%削減」を掲げてきましたが、政府目標との整合性を図るべくこれらの見直しを行い、2023年に新たな目標を設定しました。

中期目標※2 長期目標
①2030年度までにALSOKグループ全体でCO2排出総量を2013年度比46%削減
②2025年度までにCO2排出量(売上高原単位)を2013年度比57.2%削減
2050年度までにALSOKグループ全体のスコープ1+2でカーボンニュートラル達成

 短期目標および中・長期目標の達成に向けて、社内で制定している車両買替基準に基づく環境対応車両(EV、HV)へ買い替えや、自社施設のLED化、導入後10年を経過した空調設備のリニューアル、OA機器の買い替え等を推進してまいります。

  1. ※2ALSOKグループの中期目標の再設定にあたり、2022年7月のグループ会社買収によって生じた構造的変化を加味し、基準年度排出量の再計算を行いました。

使用エネルギーの削減に向けた取り組み

 ALSOKは、全国に数多くの事業所・施設と業務用車両を保有していることから、電力使用量および車両運行に関する燃料使用量※1の削減に全社を挙げて取り組んでいます。2022年3月期も、社員それぞれに定着した節電意識に加え、機械警備業務における車両待機方式の見直し、低燃費車や電動バイクなどの積極的導入、さらには営業員の折衝先訪問ルートの効率化や技術員の夜間配置人数の削減による車両走行距離の短縮に取り組みました。また、ALSOKは、気候変動に関連する法規制である省エネ法を支持し、年1回、行政へエネルギー使用量を報告しています。また、省エネルギー目標の達成状況もモニタリングしており、令和3年度定期報告書分では、経済産業省(資源エネルギー庁)「事業者クラス分け評価制度※2」において、「省エネが優良な事業者」である「Sクラス」に3年連続で評価されました。

  1. ※1ALSOKでは、サービス提供に用いる車両運行に必要な車両燃料を「原材料」と認識し、大気汚染防止や資源保護の観点から、無駄な使用が無いよう努めています。
  2. ※2省エネ法の定期報告を提出する全ての事業者をS・A・B・Cの4段階へクラス分けし、クラスに応じたメリハリのある対応を実施するもの。

燃料使用量の推移(車両・グループ)

電力使用量の推移(千kWh・グループ)

介護会社のM&Aにより電気使用量増加

車両燃料の削減

 CO2排出量削減目標の達成に向けて、照明や空調設備のリニューアルを推進しているほか、節電やエコドライブなどの取り組みも行っています。

 ガードマンが車両で現場に駆け付けるという業務の特性上、車両の使用機会が多いため、環境に配慮した電気自動車やハイブリッド車への積極的な買い替えを行い、CO2排出量の削減に努めています。

 また、2022年より都市圏などの密集エリアにおけるガードマンの駆けつけに使用する三輪バイクを、「電動三輪バイク」へ置き換える取り組みを開始しました。さらに、燃費性能などを分析し、東京都以外の都市への導入も検討していきます。2022年度は東京都内に約40台導入し、5年後には約200台まで拡大させる予定です。

電動バイク ジャイロキャノピーe

 また、ALSOK本社やグループ会社のALSOK福島では、水素で走る燃料電池車も導入しています。

 ALSOK福島においては、復興加速に向けた福島県の活動に賛同し、風評払拭および風化防止につなげるためのスローガンステッカーを業務車両に貼ることで、復興の後押しだけでなく、脱炭素社会の実現も呼び掛けています。

シェアサイクルの導入

 静岡支社では、環境面から社会課題に取り組みSDGs達成に貢献することを目指して、2021年に静岡市のシェアサイクル事業「PULCLE(パルクル)」のステーション設置を開始しました。PULCLEとは、静岡市内の複数のサイクルポートに設置された、いつでも、どこのポートでも貸出・返却できる電動アシスト自転車です。PULCLEは、主に市内における近距離での営業活動に活用されており、営業員・総務員からも「ステーションへの乗り捨てが可能なため、駅周辺での行動範囲が広がり非常に便利」と好評です。さらに自転車の活用とエコドライブなどの努力により、営業車の台数削減や1台当たりの燃料使用量削減が促進され、環境負荷軽減への貢献度を向上させることができています。

静岡支社に設置されたPULCLEステーション

太陽光発電の導入

 ALSOK群馬では、①電力購入量削減によるコストカット、②CO₂排出量の削減、③停電時に電力を確保できる環境整備(BCP対策)を目的として、2020年10月に本社屋上に太陽光発電設備を導入しました。その結果、導入後1年間の電力購入量は、前年同期より19.2%削減され、コストとCO₂排出量を大幅に抑制することができました。

ALSOK群馬本社屋上の太陽光パネル

生物多様性の保護

 野生鳥獣による農作物被害は、令和元年度に約158億円となっており、人里への被害だけでなく、森林に生息する生物多様性も脅かされています。

 ALSOKは認定鳥獣捕獲等事業者として、自治体向けに侵入防止柵やICT機器を販売するだけでなく、ALSOK千葉では、食肉加工場を開業し、地域の日本料理店と連携してジビエ肉の販売を展開しています。

「認定鳥獣捕獲等事業者」の認定を受けた会社数
ALSOKグループ8
(ALSOK神奈川・千葉・宮城・福島・秋田・群馬・山形・福岡)
グループ会社の取り組み

有害鳥獣対策への貢献

ALSOK千葉株式会社

 千葉県内では、有害鳥獣によって毎年約4億円に上る農作物への被害が出ています。このような状況を踏まえ、県内各自治体との連携体制を整えたうえで、令和2年7月に「ジビエ工房茂原」を開設しました。

 「ジビエ工房茂原」は、捕獲従事者から捕獲した個体(イノシシなど)を譲り受け、食肉へ加工する施設です。国際的な衛生管理手法であるHACCPに基づく衛生管理とE型肝炎検査を含めた品質管理を徹底した最新施設で、剥皮、解体、食肉加工、検査、真空パック化、冷凍保管、商品発送までをワンストップで行い、最高品質のジビエをお届けしています。

食肉加工施設「ジビエ工房茂原」

被災地での植樹と維持管理活動

 ALSOKでは、創立50周年記念事業の一環として、2015年4月12日に千葉県山武市蓮沼において、植樹活動を行いました。東日本大震災で被災した海岸線の環境保全と防災林の再生を目的に、特定非営利活動法人「森のライフスタイル研究所」と協働して技術指導等を受けながら、100人を超える社員で千葉県指定の抵抗性クロマツ約2,000本を植えました。

 防災林の植樹後は、苗の生育のために少なくとも5年間は継続した維持管理活動(植樹した苗木周りの下草刈り)が必要となります。そのため、2015年から2018年まで、社員による下草刈りを毎年行ってまいりました。毎回、60人を超える社員とその家族が参加して、大人の背丈ほどまで伸びた雑草の刈り取りを行ってきましたが、クロマツの樹が十分な高さまで成長した2018年、下草刈り活動を終了しました。

 「鎮守の森プロジェクト」では、火災延焼防止、津波の威力低減、漂流物の漂流低減といった高い防災効果を得るために広葉樹(ブナなど)の植樹を行っています。この活動は、防災・減災へ貢献するALSOKの事業と親和性が高いと考え、2022年は、植樹に必要な苗木となる種子の採取活動に参加しました。

 このような植樹や維持管理活動は、環境保全だけでなく地域の「安全・安心」に貢献できるALSOKらしい社会貢献活動です。

宮城県仙台市での採種活動
植樹に必要な苗木となる種を拾う活動に参加

循環型社会の実現に向けて

開発・調達過程における環境配慮

CSR・サステナビリティ調達

 取引先を含めたサプライチェーン全体で地球環境保全や人権・労働、汚職・腐敗などのさまざまな課題解決に取り組むため、2022年、「CSR・サステナビリティ調達指針」を新たに制定しました。

 取引先と協力し資源の有効活用、廃棄物の発生抑制など、地球環境保全を積極的に進めるとともに、人権に関する国際規範を踏まえ、サプライチェーン全体の人権を尊重した取り組みを進めています。

調達先に配布している当社の指針と調査表

環境配慮設計

 警備機器などの委託開発においても、環境保全に貢献していくことを目的として、社内ガイドラインとして「環境配慮設計に関わるガイドライン」を策定しました。本ガイドラインに基づき、取引先と協力して、製品を設計・開発する際の環境配慮設計の検討、納入製品の有害化学物質の使用制限、長寿命化、梱包材の再資源化などに取り組み、より一層、環境保全に貢献していきます。

ALSOKが提供する警備機器

廃棄物の削減

環境配慮設計

 当社では、環境配慮の観点から一部機器を除いたすべての警報機器のリユースを行うことにより、廃棄物および製造に係る資源使用量の削減に取り組んでいます。
また、2022年8月にリユース業務の業容拡大のため、現在神奈川県にあるリペアセンターの増床を行ったほか、大阪地区へリペアセンターを新設いたしました。

実際にリユースされた機器品目数
1,475品目
リユースによるコストセーブ額
1,405百万円

ペーパーレスの推進

 従来紙を用いて行っていた業務の見直しを行い、電子申請システムや社内で開発したチャットアプリの活用により、会議資料や勤務記録、各種報告様式を電子化した結果、年間約306万枚(A4換算)の紙使用量を削減できました。

 また、お客様の機密文書を集荷し紙に再生するサービスもニーズが高まっています。

削減効果
200万円コスト削減
CO2換算で
279t−CO2

循環型社会の構築

 これまで事業所ごとに個別契約していた携帯電話について、BYOD(Bring Your Own Device)制度を導入したことにより、社員に貸与する携帯電話を年間を542台削減することができました。

 そのほか、海岸や街頭の清掃活動も全国の事業所で行っており、地域の環境保全に協力しています。

ALSOK神奈川で実施している海岸清掃活動

水リスクへの取り組み

 ALSOKグループは工場等の製造設備を有していないものの、M&Aにより介護事業に進出したことから、水資源の重要性を認識し、水の使用量の削減に努めており、グループで節水に取り組んでいます。事業所においては、蛇口をこまめに閉めるなど日常的な節水を心がけ、車両の洗車においてもバケツ等を利用し、無駄な水を使用しないようにするなどの取り組みを行っています。また、清掃事業を含む施設管理事業でも、水をなるべく使用しない環境に配慮した洗剤を使用するなど、水資源に配慮した事業活動を行っています。

 グループ全体の水使用量のおよそ6割を占めている介護事業では、首都圏に多くの活動拠点があるため、水害や取水制限などが発生した場合、事業活動に影響を与える可能性はありますが、近隣のALSOK事業所と連携した水害対策を含む訓練の実施や既存のインフラを利用した備蓄品(保存水等)の輸送、ネットワークを活用した代替拠点の確保といった体制づくりに努めています。また、世界資源研究所(WRI)の水リスク評価ツール「Aqueduct」、国土交通省や各自治体が提供しているハザードマップおよび渇水リスク情報などの活用により、水ストレス地域や水リスクの高い業務を特定し、水害を含む災害に関する対策マニュアルの整備などにより、そのような地域・業務の操業に関して受ける影響を最小限にとどめるよう努めています。なお、グループ全体としては、2019年から5か年で(2024年3月期までに)水使用量3.0%削減を目指しており(2022年3月期は、前年比4.7%削減)、水質や水量に関する規制違反はこれまでありません(0件)。

水使用量(総取水量)の推移(千m3・グループ全体)