効率的で安全な試験運営のために

2017.11.14

試験における不正対策の必要性

日本全国において、日々さまざまな試験が行われています。国家試験から各種資格の試験、英語等の能力テスト、会社や学校等の試験まであらゆる試験があり、さまざまな年代の人が公平な条件のもとで試験に臨みます。しかし、時には試験において不正行為を働く者がいることも事実。試験会場では受験者による不正行為に対してしっかりと監視とチェックを行うことが不可欠です。

不正行為には替え玉受験、カンニング、試験問題の持ち出しなどがあり、最近ではスマートフォンなどの情報端末を使用する不正も増加しています。また、試験問題の事前漏えいを防ぐことも、もちろん大切なことです。試験は免許や資格、能力の証明といった重要な情報につながるものですので、公平を期するためにも確実な不正対策をしていかなければなりません。

試験問題漏えいや不正行為の事例

大切な試験ゆえに受験者や関係者が不正をしてしまうケースは以前から絶えることがなく、しばしばニュース等で取り上げられるのを見たことがある人も多いはず。実際に、どのような不正行為や試験問題の漏えいが起きているのかを見ていきましょう。

試験問題漏えいの事例としては、試験問題の作成などに携わった学校関係者等が教え子に試験問題を教えるといった不正開示がひとつ。大学入試において、大学関係者や元教師・印刷所職員などが共謀して問題用紙を盗み、事前に受験生に問題を解かせるといった事件も起きています。また、受験者が試験会場に忍び込んで試験問題を撮影し、ほかの受験者にメールで送るという漏えいや、大学への内部進学の合否判定に使われる民間模試の回答がSNSで出回るというケースも実際に起きており、いつどこで試験問題が流出するかわからない状況となっています。

一方、試験中の不正行為として代表的なものがカンニング。出題される可能性のある情報等をメモした紙(カンニングペーパー)などを会場に持ち込み、筆箱などに忍ばせて試験中に参照します。机や体、消しゴム等の文房具に書き込まれている場合もあるようです。また、他人の回答をのぞき見たり、同じ会場にいる受験者からメモをもらったりといったカンニングや、別人が試験を受ける替え玉受験などが行われることもあります。

また、近年はデジタルデバイスによる不正行為も増加。電卓機能付き腕時計から始まり、最近では携帯電話・スマートフォンを持ち込んで検索したり、掲示板等に投稿して第三者に解答を教えてもらったりと、さまざまな方法が存在します。国内でも例がありますが、海外では通信機能付き小型イヤホンやペン型の機器などを使用して外部の支援者に正答を教えてもらうといった巧妙な手口もあるようです。

試験問題の漏えいを防ぐ対策

試験の公正さを保持するために、問題用紙の漏えい・流出は絶対に避けなければなりません。試験問題の不正開示は人為的なものであるため、当然、問題作成などに当たる人間の人選は慎重に行うべきでしょう。

問題作成時や保管時は、書類や問題の入ったPC・データを無防備にしておくことはもちろん論外。保管場所を施錠したり、入退室管理を行ったりしてセキュリティ性を確保します。PCのデータは、閲覧するためのパスワードやアクセス権限を設定しましょう。同時に、試験問題の取り扱いや持ち出し・自宅への持ち帰りなどについて規則を定めておくことも大切です。

また、PCのウイルス感染などで問題が流出してしまう可能性があるほか、スマートフォンなどで撮影されたものについても、SNSなどで拡散してより大きな問題となるケースも考えられます。情報セキュリティの対策を徹底し、印刷業者選びまで注意を払うことで、試験問題漏えいリスクを減らすことができるでしょう。

そして、最も注意すべきは試験問題の輸送時です。輸送する距離や経路が長かったり複雑であったりするほど、試験問題漏えいの危険性は高まります。搬出・搬入・輸送中はしっかりとしたセキュリティ対策を行い、試験問題用紙の管理を徹底する必要があります。

こうした業務は、試験運営スタッフや通常の輸送業者では対応しきれない部分があり、万全を期すのであれば現金や有価証券の警備輸送を行っている警備会社に委託するのが最も安全です。警備輸送では高いレベルの安全性が保障されるだけでなく、時間も厳守されるため、試験問題が指定時間までに会場に届けられるという安心感を得ることもできます。

試験中の不正行為への対策

試験中の不正行為はさまざまな手口があるため、回答時間の前後含め不審な行為がないか、怪しい所持品がないかをチェックする必要があります。携帯電話・スマートフォンはもちろん、最近ではスマートウォッチ、眼鏡型ウェアラブル端末、イヤーモニターなどわかりづらい機器の持ち込みにも要注意。英語のリスニングでICレコーダーが使用されるという例もあります。

こういったデジタル機器については、試験前に机に出してもらい、電源を切ったうえで封筒などに入れてカバンにしまわせるといった対策や、電波をジャミングする装置を設置するといった対策がとられている場合もあるようです。もちろん、古典的な方法のカンニングが行われる可能性もありますので、試験中は会場内を見回りながらしっかりと監視を行います。

海外では、持ち物検査の実施、ドローン等を使用した不審電波のモニタリング、トイレに金属探知機を設置、という事例も存在し、公平を期するためとは言え、過度な対策がトラブルに発展するケースもあるようです。基本的には、しっかりと持ち物や不正行為に関する規則等を定めるとともに、試験中のチェックを徹底して不正行為を防止するようにしましょう。

試験監督をアルバイトに委託することの注意点

受験者に対して意外に大きな影響を持つのが、試験中の監督者の態度。毅然として厳しく、常に目を光らせているという姿勢は、不正行為の防止に効果的です。こうした点からも、監督業務はアルバイトなどに頼るのではなく、試験監督について専門知識を持つ人材を教育・育成して起用するのが確実で効果的と言えるでしょう。

しかしながら、試験監督は派遣会社等のアルバイトが務めていることが多くなっています。実際に国家試験でも、学生や主婦、定年退職者、副業の会社員など、派遣会社のアルバイト等が試験監督を担当する場合もあるようです。

アルバイトであっても基本的に経験者が優先的に採用され、試験によっては事前研修などがあります。業務内容もマニュアルに従えば済むため、大きなトラブルはあまり起きていません。しかし一方では、必要以上に威圧的なアナウンスをする人や、受験者への対応に困惑する人もいます。また、服装や態度がだらしなく、あくび・居眠りやおしゃべりが見受けられることも実際にあるようです。

過去には、国家試験の監督をしていたアルバイトが午後の業務を残して帰ったという例もあります。これは極端でそうそうあることではないものの、人生をかけて臨んでいる人がいる試験会場で不備があっては、公平性を欠く恐れがあるだけでなく、受験者に対して失礼となってしまいます。そのため、試験監督には相応の信用を置ける人員を確保する必要があると言えるでしょう。

試験監督を強化するには

しかし、試験監督を一から育成するのは時間やコスト的にも難しいため、やはり外部の試験監督員を起用することが多くなるはず。そういった場合は、専門知識とノウハウを持ち、訓練を受けた試験監督員であれば、常に一定レベル以上の質を維持しながら監督業務をこなすことができます。

ALSOKでは、独自の認定制度である「試験監督員認定制度」を設け、合格者の中からの選抜者を全国の試験会場に送り出しています。試験監督業務は当然のこと、試験の実施や解答用紙の受理、片付け、実施報告書の提出、そしてALSOKの警備輸送と連携した試験問題・解答用紙の持ち込みから持ち帰りまでをトータルサービスとして提供します。試験監督を行う人員が不足している場合や、より質の高い試験の運用をお求めの場合、さらには、監督者を本部から遠隔地に派遣する際に発生する人件費・宿泊費・交通費等のコストを抑えたい場合にも、ALSOKのサービスを活用することをおすすめします。

試験問題の運送、試験の実施・運営にあたっては、専門的な知識と技術によるリスク管理とセキュリティ対策を講じることがとても重要となります。プロによるサービスの活用も視野に入れて、不正のない試験を遂行してください。