電子契約とは?サービス活用事例や導入メリットを解説

電子契約とは?サービス活用事例や導入メリットを解説
2021.10.08

契約書といえば、紙の書類に印鑑を捺したものを思い浮かべる方が多いと思います。しかし近年はビジネスにおける「ペーパーレス化」が進み、契約書も電子データによる電子契約の形で取り交わされる機会が増えています。
この記事では、電子契約の概要や紙の契約書との違い、電子契約を導入するメリットや注意すべき点などをご紹介します。

※本コラムは2021年10月現在の情報を基に作成しております。

目次

電子契約とは

電子契約とは、紙の契約書に代わり、電子データに電子署名や電子サイン、電子印鑑によって締結する契約のことをいいます。

電子契約とは

紙の契約書と電子契約書の違い

電子契約は、紙の契約書とどのような違いがあるのでしょうか。契約書の項目別に、それぞれの違いの有無についてご紹介します。

・契約形式

契約書は契約内容を書面の形で証拠として残すものですが、この観点は紙契約と電子契約で大きな違いはありません。違いは形として残すのが紙の書類であるか、紙にも出力が可能な電子データ(おもにPDF形式)の形であるかの1点のみです。

・署名

紙の契約書では、契約者の署名と捺印によって契約に対する合意を証明しています。それに対し電子契約では、契約書データへの電子署名や電子サイン、電子印鑑によって合意を証明します。

・日時の証明

契約日時が正しいことを証明するために、紙の契約書では日付の記入を行っています。これに対し電子契約では、法的に認証されたタイムスタンプを取得することで日時の証明を行います。タイムスタンプとは、ある時刻にそのデータが存在していたこと、その時刻以降データが改ざんされていないことを証明する技術です。

・送付手段

紙の契約書の送付は、手渡しまたは郵送であることに対し、電子契約ではインターネット経由での送受信によって送付を行います。

・保管方法

紙の契約書は、キャビネットや棚などに保管することが必要です。それに対し電子契約書はサーバーなどのコンピュータ内にデータとして保管します。電子契約書の保管義務期間は紙の契約書と同様です。

・印紙

紙の契約書には印紙の貼付が必要ですが、印紙税法の解釈、国税庁の印紙税に関する見解、印紙税に関する国会答弁により、2021年10月現在、電子契約書は印紙不要とされています。

紙の契約書 電子契約書
形式 紙の書面 電子データ
署名・捺印 署名または記名、印鑑 電子印鑑、電子サイン
または電子署名
日時の照明 日時の記入 タイムスタンプ
やり取りによる確認 持参または郵送 インターネット経由での送付
保管方法 書棚やキャビネット サーバー内
印紙税 課税対象(印紙必要) 非課税(印紙不要)

契約書を電子化するメリットは多数

電子契約書には紙の契約書と比較し多くのメリットが存在します。

印紙税のコスト削減

従来の紙の契約書は課税対象で、印紙税を納入し印紙を貼付することが必要でした。電子契約は課税対象にならないため印紙税にかかる費用も不要となり、その分のコストを削減できます。

業務の効率化・省スペース化

紙の契約書は、数が多くなるほど保管場所も必要となります。また、検索や運搬も書類の数が多くなると大変です。それに対し電子契約書であれば、必要な時に簡単に検索や内容確認が可能となり、保管場所の地代・賃料が削減できることも大きなメリットです。

契約締結までの時間短縮

紙の契約書の場合、契約まで郵送や押印作業に一定の時間を要し、場合によっては来店する必要があるなど時間がかかります。電子契約書に替えることで手間や顧客の来店頻度なども減り、時間の短縮や負担を軽減することが可能です。

労務の削減

紙の契約書では書類の準備が必要で、作成した契約書を郵送するためにも投函や集荷依頼などの煩雑な事務作業がともないます。電子化により、契約のやり取りに関するそれらの事務作業も削減できます。現在の時勢を鑑みると「いつ・どこでも対応可能」である点が特に有効で、多様な働き方に対応できるため、テレワークを実施・拡大するタイミングで導入を図る企業も増えています。

ガバナンス強化

紙の契約書のセキュリティ管理は一元管理が大変です。電子契約書に切り替えることで、データのバックアップやアクセス権限を設けるなどのセキュリティ強化が簡単になり、より強固な管理体制を構築することが可能です。紙の契約書で懸念されがちな、情報漏えいや紛失などのリスクを抑制することにもつながります。

電子契約サービスの導入事例

さまざまな業界で電子契約の導入が図られており、メリットの多さから普及が進んでいます。ここでは、さまざまな業界における電子契約導入による活用事例をご紹介します。

物流業界の例

物流業界での売買契約には伝達の速さが求められますが、紙の契約書は手渡しや郵送の形でしかやり取りができず、スピード面での課題がありました。契約書を電子化することにより、販売における各業者間との契約もインターネット経由でのやり取りによってスピード化を図れました。
取引における業務が効率化でき、契約がスムーズになったことに加え、契約数にともなって増える印紙代も電子契約では不要となります。印紙代や作業工数削減によりコストを大幅に節約できたことで、販売利益の向上にもつながりました。

教育業界の例

教育業界で多く作成される契約書といえば、学校や塾などの教師や講師といった職員の雇用契約書です。講師には長期・短期などさまざまな雇用形態があり、雇用契約を締結する人数も多いため契約書の数が膨大になり保管場所の確保が大変です。さらにこの企業では全国の拠点で雇用契約書を締結するため本社での取りまとめに苦労していました。雇用契約書をデータ化したことによって一括管理が楽になり、保管場所に関する悩みが解消されました。

金融機関の例

金融機関で運用されている契約書で中心となるものが融資契約の際に必要になる「金銭消費貸借契約証書」や「信用組合取引約定書」です。契約書の電子化によって直接面会しなくても契約書を取り交わせるためお客様や金融機関双方の移動時間が削減できるとともに、すぐに情報を反映できることにより大きなメリットを得られました。
また、紙の契約書では量が多くなるにつれて保管場所が分散せざるを得ませんでしたが、電子化することにより一括してサーバー内に保管できるため、管理場所の確保が不要になり、保管方法やアクセス権などのセキュリティ設定の手間も軽減されています。

電子契約導入時の注意点

さまざまな面で利点を備える電子契約書ですが、電子契約を導入できないケースもあり、注意点もいくつかあります。

電子契約を利用できない契約がある

電子契約の利用が認められていない契約もあるため、その点には特に注意が必要です。電子契約を利用できないおもな契約の種類は以下になります。

  • 定期借地契約
  • 宅地建物売買等媒介契約
  • マンション管理業務委託契約
  • 任意後見契約 など

電子契約は双方の了承が必要

電子契約は、契約を締結する企業同士が電子契約について了承していなければ行えません。電子契約を導入していない企業も現状では数多くあると考えられますので、それらの企業との契約を電子化する際は、取引先にも電子契約を導入してもらわなければならない場合もあります。

利用目的に合ったサービスを選ぶ

電子契約の契約締結には、電子データとしてハンコを押す「電子印鑑」と、「電子サイン」または「電子署名」の3種類があります。契約形式や、従来運用してきた紙の契約書の保管方法などを鑑み、自社の目的に適したサービス内容を備えた電子契約サービスを選定する必要があります。また相手方が特別なシステムを導入する必要がないサービスのほうが相手方の同意を得られやすいのではないでしょうか。

ALSOKの電子化サービスで業務を効率化!

ALSOKでは、本誌でご紹介した電子契約サービスのお取次ぎや、既存の紙書類を安全・安心・確実に電子化するワンストップサービス「ALSOKペーパーレスソリューション」をご提供しております。主な電子化サービスは次のとおりです。

  • 電子化サービス(紙文書を電子化、タイムスタンプ機能付き)
  • 電子化した紙文書の保管または廃棄
  • 電子化したデータの保管・管理 など

紙の電子化・保管・廃棄のデジタル化により、業務効率化・生産性向上が見込める上、漏えい・紛失・盗難のリスクを軽減できます。また、ペーパーレスのメリットは煩雑な事務作業を減らし、業務を効率化することにとどまりません。紙を減らすことは地球環境への貢献にもつながるため、企業の環境保護への取り組みの一環にもなります。
業務効率化とエコを両立できる、ALSOKのペーパーレスソリューションをぜひご検討ください。詳しくはお近くの事業所までお問い合わせください。

まとめ

「取引先が電子契約を導入したので、合わせて導入したい」「テレワーク従業員が増え、やり取りの簡素化を実現したい」など、電子契約を導入する動機は、企業によってさまざまでしょう。ALSOKでは契約そのもののスピード化や効率化に加え、環境保護活動の一環にもなる電子契約の導入をサポートしています。昨今の情勢においても必要不可欠となりつつある契約書の電子化。導入を検討している、興味のある企業担当者様はぜひお気軽にご相談ください。