サテライトオフィスとは?テレワーク時代におけるメリットと注意点

サテライトオフィスとは?テレワーク時代におけるメリットと注意点
2023.09.27更新(2021.03.09公開)

働き方改革が国家単位で提唱され、各企業においてテレワークの導入が盛んになりました。また2020年の新型コロナウイルス感染症流行にともない在宅勤務が一般化するなど、幅広い業種・職種においてテレワーク業務の実施が拡大しています。
この記事では、テレワークがさらに普及すると見られる今後を踏まえ、テレワークの1つであるサテライトオフィスの設置についてご紹介します。さまざまなサテライトオフィスの種類や、設置のメリット・デメリットについても詳しく見ていきましょう。

目次

サテライトオフィスとは

サテライトオフィスについて、従来のオフィスに加えて別室を設けるものであることをなんとなく理解している方も多いと思います。ここでは、サテライトオフィスの詳細な定義や注目を浴びる背景、支店や支所などとの違いについてご紹介します。

サテライトオフィスの定義

「サテライトオフィス」という言葉の意味を調べると、「企業などの事業所のなかで、本社や本拠の所在地とは離れた場所に設けられるオフィス」であることが分かります。
本社以外のオフィスをすべてサテライトオフィスと呼ぶとすれば、各地にある支社や営業所などとはどう異なるのか疑問を感じる方もいるでしょう。その違いについては、下の項目「支社・支店・コワーキングスペースとの違い」でご説明します。

サテライトオフィスが注目されている背景

サテライトオフィスの必要性が広く提唱され始めたのは、国をあげて「働き方改革」に向けた取り組みが開始された時期からと言えます。働き方改革の考え方が一般化するとともにサテライトオフィスの必要性や、働く場所を一箇所に限定しない「ノマドワーク~遊牧民nomad(ノマド) とworkを組み合せた造語~」という就業の形が話題となりました。
また2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的流行にともない、密集・密接・密閉を避ける「新しい生活様式」が求められています。それらによる働き方の変化にマッチした職場の形として、サテライトオフィスが注目されていると言えます。

支社・支店・コワーキングスペースとの違い

本社以外の事業所を、支社や支店と呼ぶことが広く行われてきました。本社とは離れた事業所を支社や支店と呼ぶことは、企業が定義する業務の種類や事業の性質などに基づいた考え方で用いられています。サテライトオフィスとは、業務そのものよりもそこに勤める従業員の就業スタイルに着目した呼び名であると言えます。
支社や支店と呼ばれる事業所は、その場所でしかできない業務だけを行う目的で設けられます。それに対しサテライトオフィスは、出張者が出張先での業務スペースとして一時利用するなど、社内のあらゆる業務を遠隔地で行うことを目的として設けられます。
またコワーキングスペースとは、さまざまな就業先・働き方の人がそれぞれデスクスペースを借りて仕事をする場所です。それに対しサテライトオフィスは特定の企業1社の従業員だけが働く拠点を指すことが一般的です。ただし近年では、数社が共同で使用する共同サテライトオフィスも増えています。

サテライトオフィスの種類

サテライトオフィスにも、その成り立ちによっていくつかの種類があります。

都市型

大都市圏において、本社とそれほど離れていない場所に設けられる形のサテライトオフィスです。業務量が多くなりがちな都市圏で、営業活動の拠点を複数にすることにより効率化を図ることが主な目的です。
また、本社が地方都市にある企業が大都市圏での業務をしやすくするため、本社とは離れた大都市圏にサテライトオフィスを構えるケースもあります。

郊外型

大都市から少し離れた郊外と呼ばれる地域にオフィスを構え、郊外から本社へ通っていた従業員の働き方改革に役立てるケースです。長くなりがちな通勤時間を短縮し、従業員1人ひとりのワークライフバランスを向上させることができます。

地方型

大都市に本社を置く企業が、地域活性化や地方創生などを目的として大都市から離れた地方都市や郡部にサテライトオフィスを設けるケースです。「地域おこし」を目的として地方都市が誘致を進めたり、国の支援によって設置が推進されたりすることもあります。あるいは、本社に何らかのリスクが生じた際を想定し、事業継続計画(BCP)の一環として遠隔地にサテライトオフィスを置く企業もあります。またクリエイティブ系企業などでは、自然豊かな環境で新たな発想や着眼点を得る機会を増やすため、地方にオフィスを置くケースも少なくありません。

テレワークの種類と特徴

サテライトオフィスにはさまざまな種類や形がありますが、サテライトオフィス設置の流れはテレワーク推進の強化と連動していると言えます。さらには、サテライトオフィスで働くこと自体がテレワークの一環であるとも言えます。
ここでは、サテライトオフィス増加の背景にあるテレワーク推進の現在についても見ていきましょう。

テレワークの導入状況

以下は、総務省の「令和4年通信利用動向調査 ポイント」をもとに、2022年8月末時点の企業におけるテレワークの導入状況と導入形態の割合を示したものです。

令和4年のテレワーク導入状況(企業)、テレワーク導入形態(企業)※複数回答ありのグラフ
出典:総務省「令和4年通信利用動向調査ポイント」

(注)「モバイルワーク」は、営業活動などで外出中に作業する場合のこと。移動中の交通機関やカフェでメールや日報作成などの業務を行う形態も含む。
(注)「ワーケーション」は、テレワークなどを活用し、普段の職場や自宅とは異なる場所で仕事をしつつ、自分の時間も過ごすこと。令和4年調査において選択肢を新設。

テレワークを実際に導入している企業の割合は51.7%、うち最も多いテレワークの形態は「在宅勤務」で91.3%です。なおサテライトオフィスでの勤務は12.9%でした。
新型コロナウイルス感染症が流行してから、徐々にテレワークを導入する企業が多くなり、令和4年8月末時点ではおよそ半分以上の企業が導入していることがわかりました。また、テレワークの主流は在宅勤務ではありますが、モバイルワークやサテライトオフィス勤務などを導入している企業も見られ、多様な働き方が普及していると考えられるでしょう。

テレワークの一種「在宅勤務」とサテライトオフィスの違い

昨今のテレワーク推進の流れのなかで、最も普及しているテレワークの形態は「在宅勤務」です。在宅勤務とは、オフィスに通勤せず自宅に設けたインターネット環境を活用し、自宅に居ながらにして業務や業務連絡を行う働き方を指します。
サテライトオフィスで働く場合、本拠とは離れた場所であっても決められた場所へ出社しての就業が求められます。一方在宅勤務においては、出社そのものを行わずに仕事をします。その点が、在宅勤務とサテライトオフィス勤務の最も大きな違いでしょう。

テレワークの一種「モバイルワーク」とサテライトオフィスの関係

モバイルワークとは、ある日はコワーキングスペースで仕事し、その翌日は外出先や出張先で働く、またその翌日は自宅で業務…など、日々の就業場所を限定しない働き方を指します。
在宅勤務やサテライトオフィスでは、就業場所が自宅もしくはオフィスの一箇所に限定されますが、モバイルワークは就業場所が限定されないという違いがあります。

サテライトオフィスのメリット

ここからは、話題をサテライトオフィスに戻します。サテライトオフィスを設けることには、企業や業務活動に対しどのようなメリットがあるのでしょうか。

通勤時間の削減

サテライトオフィスを設けることで出社する従業員の通勤距離と通勤時間を短縮できます。従業員の負担が低減されることにより、生産性の向上とともにワークライフバランスの向上も期待できます。

人材の確保

通勤時間の短縮によって、育児や介護を理由とした離職を防ぐことができます。また求人する際も、サテライトオフィスの所在地近郊在住の求職者へ積極的な訴求が可能です。

BCP対策

万一本社において災害やシステム障害などが発生し業務停止を余儀なくされた場合も、サテライトオフィスを代替拠点として業務の継続や早期復旧を行えます。

経費の削減

都心や大都市圏で同じ面積のオフィスを確保するよりも、拠点の取得や維持にかかる費用を抑えられるため経費削減につながります。

サテライトオフィスのデメリットと対策

大きなメリットが得られるサテライトオフィスの設置ですが、設けるにあたっては以下のデメリットも考えられます。このため、設置を検討する際は以下の課題に対する対処の検討が必要です。

社内コミュニケーションの不足

単一拠点での業務と比較し、従業員間に物理的な距離が発生することで社内コミュニケーションが阻害される可能性があります。この弊害を克服するには、WEB会議などに必要なコミュニケーションツールや、従業員同士の意思疎通に関するルールを準備しておきましょう。

情報セキュリティに関する問題

拠点が遠隔地になることで監視が行き届かず、内部不正を招くリスクが考えられます。また、ネットワークセキュリティが脆弱になりサイバー攻撃などに遭う可能性も想定しておかなければなりません。
リモートアクセスなどにおける情報へのアクセス方法や、遠隔地のアクセスポイントに対しエンドポイントセキュリティを設けるなど、積極的なセキュリティ対策を実施しましょう。
また、サテライトオフィス内に監視カメラを設けるなどし、内部不正を防ぐための対策を行いましょう。

防犯対策

入退室管理などを適切に行わないと、防犯対策がずさんになる可能性があります。警備システムによる入退室管理など、人員の出入りに関する防犯対策を強化しましょう。
また、拠点が増える分、侵入盗などの被害に遭うリスクが増えることにも対処が必要です。機械警備を導入するなどの手段により、不審者の侵入など物理的なリスクにも対応することが重要です。

労務管理

拠点が増えるとともに、拠点間の距離が遠くなることで本拠での労務管理が煩雑になる可能性もあります。複数の拠点における労務管理の仕組みを事前に整備し、いざ多数の拠点を抱えてから慌てないための準備を必ず行っておきましょう。

サテライトオフィス導入までの流れ

サテライトオフィス導入までの流れ

昨今の働き方改革推進やコロナ禍を踏まえ、サテライトオフィスの新規設置を検討している企業も増えていると思います。ここでは、サテライトオフィスを新規導入するにあたってのおもな流れについてご紹介します。

導入の目的を決定する

まず、なぜ新規にサテライトオフィスを設置したいのか、その導入の目的を決めましょう。目的や解決したい課題が明確であれば、それに適した立地や規模のサテライトオフィスを選定しやすくなります。

規模や場所の決定

設置の目的に合わせ、設けるオフィスの規模や所在地を決定します。これと同時に、拠点運営にあたって導入するセキュリティなどに関する要件も取りまとめておきましょう。

サテライトオフィスとする物件を契約する

求める要件に合った物件を見つけ、賃貸契約や取得を実施します。

備品の調達や環境整備

業務に必要な備品を調達し、ネットワークやセキュリティなどの業務環境を整備します。

運用ルールの策定

サテライトオフィスの運営にあたって、運用ルールを決定します。特に業務管理の面やセキュリティ面に関するルールにはサテライトオフィスの特性に則ったルールが必要になります。

運用開始と見直し・改善

サテライトオフィスの準備が整ったら、運用を開始します。運用するなかでの課題や改善点が見つかり次第見直しをするなどの取り組みを繰り返し、働きやすいオフィスづくりを継続的に行っていきましょう。

ALSOKの企業向けセキュリティサービス

ALSOKでは、新規サテライトオフィスの設置時にも最適な企業向けセキュリティサービスをご提供しています。小規模オフィスでも運用が可能なさまざまなサービスをご用意しておりますので、ご参考にしてください。

現代に求められる企業向けセキュリティ「ALSOK-G7」

ALSOK-G7は、高画質画像で離れた場所の様子をしっかり確認できる「ライブ画像確認」を備えた、多拠点での運用に最適なセキュリティサービスです。ライブ画像確認では業務時間外の様子も確認できるため、超過勤務などを監視したり台風などの災害時に被害の有無を確認したりすることも可能です。
また、入退館時の外の様子を確認できる機能や、録画した監視カメラの映像をクラウド上に保管するサービスなども備えています。

防犯カメラ・監視カメラ

防犯カメラや監視カメラを設置する際には、利用するセキュリティサービスにマッチした高性能なカメラを選びましょう。ALSOKでは、事業所のセキュリティ管理に最適な防犯カメラ・監視カメラを多数揃えています。

出入管理システム

多彩なセキュリティ機能を備えた出入管理システムもご提供しています。ご要望や施設規模に合わせて選べる3種類のシステムを揃えていますので、サテライトオフィスの規模に応じた最適なシステムを低コストで導入可能。もっともベーシックなプランでも、在室者の遠隔確認や時間帯に応じたタイムスケジュールの設定など詳細な管理ができます。

情報セキュリティ

社員が何らかの理由でサテライトオフィスではなく在宅勤務する場合のセキュリティ面をご心配されている企業向けの商品もご提供しています。社員の自宅パソコンなどから会社のパソコンに接続し、会社と同じ環境で安全安心なテレワークを推進することができます。

まとめ

働き方改革推進やコロナ禍に際しての新しい生活様式の推奨にともない、私たちの働き方は大きく変化しつつあります。企業活動においても社会のニーズに対応すべく、テレワークの一環という形でさらにサテライトオフィスの設置が進められていくでしょう。
サテライトオフィスの設置には数々のメリットがありますが、一拠点で事業を行わないことにともなうデメリットも生じます。それらを事前に把握して対策を行い、安心して運用できる状態を整えておきましょう。
セキュリティ管理をどのようにするかは悩みどころですが、サテライトオフィスのような小規模拠点に最適なセキュリティサービスも選ぶことができます。各オフィスに適したセキュリティ対策を講じ、働きやすさと効率化を両立した運用にぜひお役立てください。