ストレスチェックとは?義務化の背景と生産性向上に繋げる活用方法
従業員が働きやすい環境づくりをすることは、企業にとって大きな役割です。近年ではメンタル面のケアも非常に重要視されており、2015年12月よりストレスチェックの義務化が実施されています。
従業員の心の健康は、職場環境の整備だけではなく、従業員のモチベーションや企業の業績にも関わる大切なものです。すべての従業員がいきいきと働けるよう、適切な環境作りに取り組みましょう。
目次
ストレスチェックの必要性
ストレスチェックとは、従業員のメンタル不調を未然に防ぐために行われるものです。各企業において年に一度は健康診断が実施されているかと思われますが、健康診断は体の健康状態をチェックするものです。それに対し、ストレスチェックは心の健康状態をチェックするものと言えます。
2019年度中の過労死は認定されたものだけで86件、過労自殺・自殺未遂は88件に上ります(*1)。 過去数年は横ばいが続いているものの、認定されているだけでも年間でこれだけ多くの人が過労死または過労自殺に陥っており、その問題の深刻さが窺い知れます。
その状況を踏まえ、近年は過労死や過労自殺といったキーワードへの注目度が高まっており、働き方改革の名のもとに多くの企業で職場環境の改善が行われています。
また、過労死や過労自殺を招くような最悪の事態には至らなくとも、メンタル不調を原因とする問題はあらゆる企業において数多く生じています。ストレスが積み重なれば、うつ病や適応障害の発症要因となりますし、症状により会社を休みがちになったり日々の仕事に支障をきたしたりすることもあります。
そのような事態を未然に防ぎ、従業員の心の健康を保っていくためにストレスチェックが行われています。2015年12月からは一定の基準を満たす事業場にストレスチェックの実施が義務付けられており、各企業で適切な対応が求められています。
ストレスチェックの対象となるのは
労働安全衛生法によってストレスチェックの実施が義務付けられているのは、労働者が50名以上の事業場です。対象となる事業場は1年に1回の頻度でストレスチェックを実施し、所轄の労働基準監督署に報告書を提出しなければなりません。
※従業員50人未満の事業場は努力義務となっています。
ストレスチェックを実施し、労働基準監督署に報告書を提出することは労働安全衛生法第100条で義務付けられており、報告を怠ると50万以下の罰金が課せられる可能性があります。ただし、2021年2月現在においてはストレスチェックを実施しなかった場合の罰則は特に規定されていません。また、実施報告の期限も規定されていません。
一方で、義務化から数年が経過した現在においては、ストレスチェックの対象となっているにもかかわらず実施していない事業場は、所轄の労働基準監督署から指導が入るケースも見られるようになっています。
ストレスチェック義務化の対象となるのは労働者数50名以上の事業場ですが、反対に、その基準に満たない事業場でもストレスチェックを実施しているという事例も少なくはありません。あくまでも基準となる単位は事業場ごとですが、基準を満たす事業場とそうでない事業場を持つ場合に、全社一同にストレスチェックを実施するといった企業も見られます。
ストレスチェックの実施状況
厚生労働省の労働安全衛生調査(実態調査)特別集計によると、2018年(平成30年)にストレスチェックの対象となる事業場のうち、労働基準監督署への実施報告書の提出があった事業場は80.3%。規模の大きな事業場ほど、実施率は高いという結果になっています(*2)。
このように多くの企業がストレスチェックに取り組んでいる一方で、2割に迫る事業場では、未だにストレスチェックを実施していないという結果も明らかになっています。先に述べたように指導が入るケースもあり、今後ますます労働環境の改善が求められることが予想されます。実施対象となる事業場では、きちんと対応する必要があるでしょう。
ストレスチェックの結果についてもいくつか見ていきましょう。全衛連の調べによれば、2019年中のストレスチェックの結果、「高ストレス者」(ストレスを強く感じている人)と判定された人の割合は、全体で14.8%。女性に比べて男性がいくぶん高い数値になっています。また、年代別でみると最も高ストレス者の割合が多いのは30代です(いずれも素点換算法)(*3) 。
高ストレス者と判定された労働者には、医師による面談指導を促し、希望する場合は面談を実施するという義務があります。しかし、厚生労働省の2017年のデータでは、 ストレスチェックを受けた労働者のうち、面談を受けた人はわずか0.6%でした。
また、ストレスチェック実施後には、結果を全社や部署単位などで集計・分析する「集団分析」を行い、職場環境の改善に取り組むことが努力義務とされています。しかし、2018年のデータによると実際に集団分析を行っているのは、ストレスチェックを実施した事業場のうち63.7%となっています。
制度化から数年が経過し、実施率は高くなっているものの、単にストレスチェックを実施しただけで終わりにしてしまっては十分とは言えません。得た結果を踏まえ、高ストレス者にどのようなフォローを実施し、職場環境をどのように改善していくかといった点が今後の課題となっていくでしょう。
ストレスチェックの実施体制
企業内でのストレスチェック実施にあたり、事前に適切な体制の構築を行う必要があります。ここでは、ストレスチェックの実施体制を整えるために必要な担当者と、その担当者に求められる要件についてご紹介します。
ストレスチェックは、ストレスに関わる質問を列記した選択回答制の質問票を従業員に配布し、記入されたものを集計・分析した結果から働く人たちのストレスの状況を調査するための検査です。
ストレスチェックの企画に始まり、調査票の作成やチェック後の集計・分析などが必要となるストレスチェックは、事前段階から実施時、実施後にかけて多くの専門家や従業員が関わる必要があります。
ストレスチェック実施担当者
ストレスチェック実施担当者とは、ストレスチェックの企画を行い、その上で行ったストレスチェックの結果に対して適切な評価を行う人を指します。具体的な役割は、以下の4つとなります。
- ストレスチェック調査票の内容を決める際、専門家としてアドバイスや提案を行う
- ストレスチェックによる高ストレス者の選定において、評価基準や評価の方法を専門家の立場から提案・助言する
- ストレスチェックで得られた結果を集計の上、面接指導を実施する従業員を選定する
また、実施者は必要に応じストレスチェックの結果を本人に通知することや、部署ごとの集団分析を実施しその結果を事業者へ報告することも行います。また、高ストレス者に選定された従業員に、医師による面接指導を受けることを奨める場合もあります。
ストレスチェック実施者となる人は、労働安全衛生法第66条において「医師、保健師、その他の厚生労働省令で定める者」とされています。なお「その他の厚生労働省令で定める者」の内訳は、いずれも厚生労働大臣が定めた研修を修了している看護師、公認心理士、精神保健福祉士です。
ストレスチェック実施事務従業者
実施担当者の補助業務にあたる人員です。具体的な業務は調査票の回収・データ入力などが中心です。この業務に従事するのは、一般的に衛生管理者およびメンタルヘルス担当者、産業保健スタッフや事務職員などとなっています。
【ストレスチェック実施中・およびそれ以外の事務 作業担当者】
ストレスチェックの実施中に補助業務を行う事務担当者に、「人事権を持つ人=労働者の人事に直接の権限を持つ監督的地位にある人(人事部長など)」は選定できません。これは、チェックを受ける労働者がその意思にかかわらず人事上不当な取り扱いを受けることを防止するためです。人事権を持たない人事課の職員や、他部署の職員であれば従事可能なため、留意の上適正な人員の配置を行いましょう。
ただし、ストレスチェック実施時以外の事務作業は、人事権を持つ監督的地位のある人が従事することも可能です。おもな業務内容は、以下の通りとなります。
- ストレスチェック実施計画の策定
- 実施担当者との連絡や日程などの調整
- ストレスチェック実施を外部委託する際の契約事項に関する調整
- ストレスチェック実施計画及び日程に関する労働者への通知
- 調査票の配布業務
- ストレスチェック未受検の労働者への受検の推奨
企業内のストレスチェック制度の担当者
ストレスチェック制度の担当者は、ストレスチェック実施に関する計画の策定や実施の管理などを行います。衛生管理者や事業場内メンタルヘルス推進担当者などが担当するケースが中心ですが、この業務も人事権を持つ人の担当が可能です。
ストレスチェック実施の流れ
ストレスチェックの実施には、多くの業務フローが必要です。特に初年度については、準備から事後の報告までをひと通り行うために2~3ヶ月程度の期間が必要となります。ここでは、ストレスチェック実施までの大まかな流れを確認しておきましょう。
1. 実施準備
ストレスチェックを実施する方法やスケジュールなどの社内ルールを策定し、告知を行います。
2. ストレスチェックの実施
厚生労働省のガイドラインに沿った調査票や外部サービスを利用して、ストレスチェックを実施。紙またはWeb上で調査票の質問に回答してもらいます。
3. 集計・医師による判定
回答をもとに個人のストレス状況を評価するとともに、産業医等によって面談指導が必要な高ストレス者の判定が行われます。
4. 結果通知・面談指導の督促
個人にストレスチェックの結果を通知します。面談指導が必要と判定された高ストレス者に対しては、産業医等の面談を促す義務があります。
5. 面談指導の実施
高ストレス者のうち、面談指導を希望した労働者については産業医等の面談を実施。その結果、就業上の措置が必要と判断されれば、適切に対応しなければなりません。
6. 労働基準監督署への報告・集団分析
ストレスチェックと面談指導の実施状況について、決められた様式で所轄の労働基準監督署に報告書を提出します。また、努力義務ではあるものの、ストレスチェックの結果から集団分析を行い、必要に応じて職場環境の改善を行います。
ストレスチェック実施の注意点
ストレスチェックを適正に実施し、その結果を労働者のメンタルヘルス対策に活かすためには、実施において気を付けるべき点もあります。ストレスチェック実施時には、以下の点に特に注意しましょう。
プライバシーの保護
ストレスチェックを行う際には、受検者の個人情報の取り扱いがともないます。それらを個人情報保護法に基づき適正に取り扱わなければなりません。このため、ストレスチェックの実施担当者には守秘義務が課せられ、人事権を持つ人がストレスチェックの実施を担当することはできなくなっています。なおストレスチェックの結果が開示可能となるケースは、受検者自身がそれに同意した場合のみです。
ストレスチェックの実施により預かった個人情報は不当に開示されたり、漏洩する事案が発生したりしないよう、厳重な管理を徹底することが必要です。
不利益取り扱いの防止
ストレスチェックを実施することの目的は、労働者の精神衛生を守って心の健康維持を図ることです。ストレスチェック未受検の労働者に対して人事面で不利益な措置を講じたり、面談の結果如何で人事サイドが不当な解雇や異動、退職勧告などを行ったりすることは禁止されています。
ストレスチェック実施において生じる問題
制度化から数年が経過した現在、特に大きな問題が発生したという報告は聞かれていないものの、ストレスチェックの実施に関して何かしらの悩みを抱える企業は少なくないようです。
受検者が少ない
全従業員がストレスチェックに応じてくれるとは限らず、受検率が上がらなくて悩んでいるという企業は意外に多いようです。 より多くの従業員に受検してもらえば正確な結果が出せますが、あくまでもストレスチェックは強制すべきものではなく、受検者が少ないからといって咎められるわけでもありません。ストレスチェックは受検率を上げるためには、実施期間の途中で、社員や部署の受検状況に応じて受検を促進することが重要です。また、社員が気軽に・リラックスして受検できればもっと受検しやすい環境が整います。会社だけでなく、自宅や外出先でも受検できるなど工夫する事で、受検に参加しやすくなります。職場環境を正しく把握するには重要なことですので、多忙な中でもなるべく受検してもらえるように呼びかけを行いましょう。
個人情報や結果の扱いについて
ストレスチェックの回答や結果は、重要な個人情報にあたります。人によっては、回答内容が査定や人事に影響するのでは、と不安になることもあるようです。
ストレスチェックの実施は基本的に人事・総務の領域になりますが、取りまとめをする実施事務従事者(担当者)は直接の人事権を持つ人以外で選出する必要があります。さらに、重要な個人情報を扱ううえでも、事前に社内規定において担当者を明確にしておくことが大切です。
手間がかかる
上記で説明した通り、ストレスチェック実施には多くの業務が必要となり、担当者にかかる負担は決して少なくありません。その点については周囲で配慮・カバーする必要があるでしょう。
さらに、ストレスチェックは毎年実施するものですので、できるだけシステム化していくことが求められます。厚生労働省のガイドラインをもとに自力で実施することも可能ですが、規模によっては外部のサービスを利用することで、一連の業務を大幅に効率化できるでしょう。
結果の活用方法がわからない
義務化されていることもあり、ストレスチェックを実施してはいるものの、その結果を上手く活用できていないという場合も多いのではないでしょうか。
ストレスチェックの最終的な目標は、高ストレス者への適切なフォローや、職場環境の改善によって従業員のメンタル不調を未然に防ぐことです。自力での対応が難しかったり、何かと相談したいことがあったりする場合は、専門サービスの導入をおすすめします。
高ストレス者の選定方法
ストレスチェックを実施した結果、自覚症状が高い人や、自覚症状が一定程度あると同時に、ストレス要因の度合や周囲のサポート状況が極めて良くない人が見つかったとします。その場合、該当する人はストレスチェック制度に基づいて「高ストレス者」と判定されます。
ストレスチェックの3領域
ストレスチェックの受検に使用することが望ましいとされる「職業性ストレス簡易調査票」には、全57の項目が設けられています。調査票はそれら各項目の内容に応じて、A、B、Cの3つの領域に区別されています。3つの領域に関しては、次の項目でもくわしく説明します。
この3領域それぞれの点数を足していき、合計点数が算出できたらその点数を、高ストレス者選定の数値基準に照合します。なお、点数を算出する際には領域によって「点数が高いほどストレスが高い」と評価される項目もあれば「点数が低いほどストレスが高い」と評価される項目もあります。実際に計算をする際には、この点に注意が必要です。
高ストレス者の選定について
紙もしくはWebによるストレスチェックの実施後、回収した質問票をもとにストレスの程度を評価します。その評価方法や基準は実施者の提案及び助言によって設定することができます。その後衛生委員会で内容に関する調査審議を行い、最終的には事業者が決定することとなります。
高ストレス者を選出する基準も事業者が設定しますが、基本的には「ストレスに関する自覚症状の高い人または自覚症状が一定程度あり、ストレスの原因や周囲のサポート状況が著しく悪い人」、「心身のストレス反応の評価点数が高いかつ、仕事のストレス要因及び周囲のサポートの評価点数の合計が著しく高い人」などが該当します。
高ストレス者の算出方法
事業者で定めたストレスチェックの評価基準や評価方法に基づき、高ストレス者を選定するためには、質問票の回答より導き出される点数を計算し、具体的な評価点数を算出しなければなりません。
ストレスチェックの3領域とは
受検に使用することが望ましいとされる「職業性ストレス簡易調査票」は、各項目の内容に応じて以下の3つの領域に区別されています。
A:仕事のストレス要因
仕事の分量や内容などがストレスを招く要因となっていないかを調査する項目です。
B:心身のストレス要因
ストレスを受けたことによって、心身にストレスによる反応があらわれていないかを調査する項目です。
C:周囲のサポート
ストレスを感じるできごとに見舞われたとき、上司や同僚、家族や友人など周りの人たちがどの程度頼りにでき、心の支えとなってくれるかを調査する項目です。
高ストレス者の具体的な算出方法
高ストレス者を選定する際に必要な調査票の回答による点数ですが、以下の3通りの算出方法があります。
【回答の合計点数を用いた方法】
合計点を用いた方法でA、B、Cの3つの領域の点数を合計して評価する方法です。この方法を用いる場合に注意したいことは、先に述べた通り「回答による点数が低い場合にストレスが高いと判断される項目」も設けられている点です。
たとえば「自分に合った仕事を任されていると思えている」という設問があったとします。この問題で「そうだ」の回答を選択すれば「1点」が課されるとします。一方、「今任されている仕事の量は自分には多すぎると感じる」という設問があり、こちらに「そうだ」と回答すれば「4点」が課されるとします。この場合は「点数が高いほどストレス度合が高いと判断される」ケースです。
この逆で、「点数が低ければストレスが高いと判断される項目」の場合は、点数を逆転させてそれを足していくという逆算が必要となります。
【合計点数を用いた方法による判定基準の例】
57項目の職業性ストレス簡易調査票を用いた場合の判定基準の例をご紹介します。こちらを参考に、自社の判定基準を設けるようにすると良いでしょう。
(例)
①Aの「仕事のストレス要因」、Cの「周囲のサポート」の項目の合計が76点を超えており、Bの「心身のストレス要因」の点数が63点を超えていれば高ストレス者として選定
②Bの「心身のストレス要因」の点数が単独で77点を超えていれば、他の項目の点数にかかわらず高ストレス者として選定
【モデル図】
【素点換算表を用いた方法】
尺度ごとに算出した点数を5段階評価に換算する「素点換算表」に基づく算出方法もあります。こちらは表に基づいてすべての尺度における評価点を算出し、その後A、B、Cの領域ごとにそれを合計します。その結果を、高ストレス者を選定する数値基準に照合することで高ストレス者の選定を行います。
素点換算表を用いた判定基準を活用すると個人プロフィールとの関連性も明解になり、判定自体の精度も高くなるとされています。このため国では現在、素点換算表を用いた方法が推奨されている状況です。
【補足的面談の実施】
上記でご説明した2つの方法のうちいずれかだけで高ストレス者を選定せず、実施者からの指名や指示のもとにカウンセラーらが補足的に面談を行っているケースもあります。その場合は面談結果を評価基準に加えて、点数による判断と併せ最終的に高ストレス者の選定を行っています。
高ストレス者への対応
受検者が高ストレス者として選定された場合、まず本人へストレスチェックの結果を通知します。通知の方法ですが、ストレスチェックの実施者から直接本人へ通知する形となります。あくまで実施者と本人の間での連絡となり、事業者が間に入ることはなく、その結果が別途事業者に通知されることもありません。事業者が結果を知るには、本人からの同意が必要となります。
高ストレス者への通知内容
高ストレス者として選定された人には、個人のストレスチェック結果が必ず通知されます。その内容は、以下の通りとなります。
- 個人ストレスプロフィール
- ストレスの程度
- 面接指導の対象者か否かの判定
上記のほか、任意でセルフケアアドバイスが行われることもあります。ならびに、結果の通知を受けた本人が任意で事業者へ面接指導を申し出ることが可能となります。
ストレスチェック結果の通知のポイント
ストレスチェックの結果を高ストレス者として選定された人に通知する際に、通知する実施者が注意すべきポイントは以下の3点です。
【必ず個別に通知すること】
ストレスチェック実施者には守秘義務があり、個人のチェック結果は個人情報にあたるため他者に知られることのないよう、個別で通知することが必要です。
【面接指導に関する注意点】
本人に対する面接指導の要否について、他の誰かに類推されないよう配慮することが必要です。
【事業者への通知について】
実施者から事業者へ、労働者個人のストレスチェック結果を通知することは禁止されています。通知が認められているのは、通知を受けた労働者個別の同意があった場合に限られます。
ストレスチェックのデータ活用方法
受検者個人のストレスチェック結果はあくまで個人情報のため、どんなに有用なデータとなるとしても開示して活用することはできません。しかし、個別の結果を明らかにしない「集団分析」という形であれば、とても有用なデータとしてさまざまな場所で活用することが可能になります。
ストレスチェックで得たデータで集団分析を実施し、それぞれの職場における傾向を把握しておくことはぜひ行っておくと良いでしょう。
ストレスチェック結果の活用例
1.ラインケア研修、セルフケア研修への活用
分析結果を、職場でラインケア研修やセルフケア研修を実施する際の資料とすることができます。ラインケア研修とは、職場でマネジメント職を務める人が業務におけるメンタルヘルスに関する問題を予防し、何かあった際の対応策を身につける研修です。管理職がメンタルヘルスに関する問題が大きくなる前に早期発見し、当事者が体調不良などに至らないようケアを行ってリスクを最小限に抑える手段を学びます。
セルフケア研修は、個々の労働者が早期のうちに自身のストレスに気づき、適切に対処するための知識や手法を身につける全従業員向けの研修です。
2.ハラスメント対策への活用
パワハラやセクハラなどの各種ハラスメントは、ストレスによる休職や離職の大きな原因とされています。しかし同時に実態の把握が難しいことも問題となっているため、ストレスチェックにハラスメントに関する項目を盛り込むことが実態把握に有用とされています。
3.生産性向上の指標として活用
ストレスチェックの集団分析結果は、職場ごとの従業員の意欲を可視化した資料としても活用できます。各部門の集団分析結果が得られれば、部門ごとの状況を把握することも可能になります。
組織をエンゲージメントが高い状態(職場と従業員の結びつきが強いこと)に改革する必要性を事業の現場や経営者へ提案する際、得られたデータが根拠ともなり得ます。
ALSOKが提供する「ストレスチェックサービス」
ALSOKでは、ストレスチェック義務化に対応する「ストレスチェックサービス」をご提供しています。ストレスチェック実施をトータルでサポートし、実施事務の負担軽減、問題の解決にご協力いたします。また、ストレスチェック導入済みの企業に対しても、紙書類での運用からシステムへの切り替えやそれにともなう集団分析の本格導入等をサポートいたします。
ALSOKが提供するサービスでは、ストレスチェックの実施はもちろんのこと、実施にともなう事前準備や報告書の作成までサポートします。書面テンプレートも充実しており、専用ガイドに沿って業務を進めていけば、初めてのストレスチェック実施でもスムーズに進めることができるでしょう。また、相談センターも完備しており、運用面から診断にまつわる専門分野まで直接ご相談いただけます。
一連のサービスには、ストレスチェック実施後の専門医によるストレス判定や面談医師紹介も含まれます。産業医のみで高ストレス者の見極め・面談指導に対応しきれない場合でも、確実に事後のフォローを行えます。
さらに、集団分析までカバーできるのはALSOKがご提供する「ストレスチェックサービス」の大きな強みです。ストレスチェックの結果を早急に活用するには、煩雑な処理を要する紙書類の運用からシステムへ適宜切り替えていくことも重要です。集団分析結果のスピーディな算出や活用で、働きやすい職場環境をいち早く実現したいとお悩みの運用担当者の方も、ぜひお気軽にご相談ください。御社の現状に合わせた、最適なストレスチェックシステムの導入をご提案します。
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