給排水設備とは?種類や耐用年数・よくあるトラブルについて

給排水設備のメンテナンス
2024.07.30

給排水設備は、日常生活に欠かせない水を衛生的かつスムーズに利用するために欠かせない設備です。給排水設備が故障してしまうと建物や生活環境にさまざまな影響を及ぼします。そのため、リスクの予防やトラブル発生時の対処法、万が一応急処置が必要になった場合の体制を確立しておくことが必要です。

本コラムでは、給排水設備の種類や耐用年数、よくあるトラブルについてご紹介します。

目次

給排水設備とは?

排水管

給排水設備とは、「給水設備」と「排水設備」の総称で、給水管や排水管、貯水槽などが含まれます。

  • 給水設備:上水道から建物内へ生活に必要な飲料用の水を供給するための設備全般
  • 排水設備:生活で使用された水や雨水を敷地外へ排出し、下水道へ送るための設備全般

給水設備と排水設備はそれぞれ上水道・下水道と繋がっており、日常生活で使用する水は上水道管から給水管を通って蛇口へと運ばれていき、使用後は下水道管へ排出されていく仕組みです。給排水設備に何らかの不備が発生すると水が使えなくなったり、汚水の漏出や悪臭の原因となったりするため、定期的な点検とメンテナンスの実施が必要不可欠です。

給排水設備の重要性

上述の通り、給排水設備は生活する上で欠かせない設備であり、故障すると生活に支障をきたす恐れがあります。さらに、不衛生な水は住民や建物利用者の健康にも直結します。

また、2020年4月の民法611条改正により、賃貸物件において故障等で設備が使用できなくなった場合は、賃料の減額対応や賃借人は契約を解除できるとされました。これに伴い、もし賃借人から設備故障の申し出があった場合は賃貸人であるオーナーは賃料減額を行うほか、故障した設備を修繕しないとテナント解約や新規テナントが集まらない可能性があります。
また、管理会社にとってはオーナー・賃借人・現場作業の対応工数が増加することで、人員不足や担当者の業務負荷、従業員満足度の低下などさまざまなリスクが考えられます。
給排水設備を問題なく使用し続けるためには、定期的な点検やメンテナンス、トラブル時の迅速な対応が求められるでしょう。

出典:e-Gov法令検索 民法
国土交通省 民間賃貸住宅に関する相談対応事例集

給排水設備の種類

給排水設備は、給水設備と排水設備に分けられます。建物によって設置される設備は異なりますが、主にどのようなものがあるかご紹介します。

給水設備

水道

給水設備は、生活に必要な水を上水道から建物内へ供給するための設備です。

給水管

給水管は、上水道管から建物内へ水を送り込むための配管です。飲料用のきれいな水を運ぶため、腐食や老朽化がしにくく耐久性のある素材が用いられています。

貯水槽

貯水槽は、上水道から送り込んだ水を一時的に溜めておくためのタンクです。建物の1階か地階に設置される「受水槽」と建物の屋上に設置される「高置水槽または高架水槽」の2種類があります。

給水ポンプ

給水ポンプは配管の圧力だけでは届かない高層階へ水を届けるためのポンプで、「揚水ポンプ」「加圧ポンプ」「増圧ポンプ」の3種類があります。高層マンションや大型ビルなどに設置され、給水ポンプで圧力を加えることで各階の部屋へ水を供給する役割があります。

給湯設備

給湯設備は高温のお湯を供給するための設備で、湯沸し器や循環ポンプ、給湯専用ボイラーなどが挙げられます。「局所方式」と「中央方式」の2つの方式があります。

排水設備

排水設備は、建物内で使用された水(トイレの汚水や雑排水)や雨水を下水道へ送るための設備です。

排水管

排水管は、建物内で使用された水を下水道管まで送るための配管です。トイレの洗浄水のみ送る「汚水排水管」、生活排水を送る「雑排水管」、雨水を送る「雨水排水管」の3種類があり、設置場所によって屋内排水管・屋外排水管に分けられます。

通気管

通気管は、排水がスムーズに流れるよう排水管内の空気圧を調整するための配管です。また、排水管の中を換気する役割も担います。

排水槽

排水槽は、建物の構造などにより排水が自然に下水道へ流れない場合に排水を溜めておくものです。トイレの排水用の「汚水槽」と、生活排水用の「雑排水槽」の2種類があり、建物の地階に設置されています。

排水ポンプ

排水槽に溜めていた排水を下水道に送る役割を担うのが排水ポンプです。こちらも建物の地階に設置されています。

給排水設備の耐用年数

さまざまな設備を管理する上で大切な目安となるのが耐用年数です。では、給排水設備の耐用年数は一体どのくらいなのでしょうか。法定耐用年数と実際の耐用年数に分けて解説します。

法定耐用年数

給排水設備は建物附属設備に分類され、国税庁の減価償却資産の耐用年数表では、給排水設備の法定耐用年数は「15年」とされています。建物の規模により建築基準法では給水設備は毎年、排水設備は2年に1回の点検が義務付けられています。また、建築物における衛生的環境の確保に関する法律では、給排水設備の機能不全により汚水等の漏出等が生じないように、設備を維持管理することが定められています。対象とならない建物においても、定期的な点検やメンテナンスを行うことでトラブルを未然に防ぐことができ、給排水設備の寿命を延ばすことや建物環境を向上させることに繋がります。
ただし、実際の耐用年数はさまざまな条件によって異なります。

実際の耐用年数

給排水設備の実際の耐用年数は「20年~25年」とされていますが、素材や設置条件、使用頻度によって異なります。耐用年数に近付いたり超えたりした設備は、トラブルが発生する可能性が高いため、定期的な点検やメンテナンスがより一層重要です。万が一、異常やトラブルが発生した場合、利用者の生活やビジネスに大きな影響を及ぼすため、迅速な対応が求められます。

給排水設備のよくあるトラブル

排水管のメンテナンス

給排水設備は年数の経過や使用頻度が多くなるほど、トラブルが発生する可能性が高くなります。トラブルの内容によっては利用者の生活やビジネスの継続に直結してしまうため、迅速な対応が必要です。ここからは、給排水設備のよくあるトラブルについてご紹介します。

トイレが詰まる

トイレットペーパーや異物による排水管の詰まり、配管の老朽化などが原因で、トイレが詰まってしまう場合があります。詰まったまま放置していると使用後に流すことができなくなり、不衛生になります。無理に流し続けると排水が逆流して水漏れ事故に繋がる恐れがあります。

異音がする

異音がする場合は、原因として排水管内の異物の詰まりや排水ポンプの不具合などが考えられます。放置していると悪化し、配管が損傷・破裂したり排水がスムーズに流れなくなったりします。

水の濁りがある

水の濁りは、配管の腐食や老朽化によるサビが原因です。供給される水の品質が悪化するため健康被害のリスクが高まります。設備等の損傷に繋がる恐れもあるため、定期的なメンテナンスを実施し、水が濁っている場合は放置せずにすぐに対応しましょう。

水が出ない

給水管が詰まったり給水ポンプに不具合が生じたりすると、水の供給が困難となり、生活に必要な水が建物内に行き届かなくなる恐れがあるため、すぐに点検する必要があります。また、急に水が出にくくなった、水圧が下がったといった場合も早めに対処すると良いでしょう。

漏水している

配管の破損や設備の不具合・故障などが原因で漏水してしまうことがあります。放置すると建物内の劣化に繋がる可能性があり、修繕する範囲が広がってしまうため早急の対応が必要です。

異臭がする

排水管の詰まりや換気不足、設備の不具合などにより、下水のような異臭が発生する場合があります。放置すると建物内に臭いが広がり、衛生環境の悪化に繋がってしまいます。

給排水設備の故障やトラブルはALSOKがサポート

給排水設備は住民や利用者が生活する上で欠かせない設備です。故障やトラブルが発生すると、住民や利用者だけでなく、オーナーや管理会社にとっても大きな損害に繋がる可能性があるため、トラブル発生時には迅速な対応が求められます。

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