お風呂術 vol.4

  • バックナンバー
  • 前号
カラダセキュリティーを高める お風呂術 vol.4

「ヒートショック」回避のためのお風呂術

冬は「あたたかいお風呂」が日々の楽しみですよね。
ですが冬季には多くの入浴事故が起こっています。
安全・安心にお風呂を楽しむのに重要なのが「ヒートショック」対策です。

「ヒートショック」の正体

みなさんは、冬の脱衣室・浴室で「ぶるっと」震えたり、めまいや立ちくらみを経験したりしたことはありませんか?ご家庭の暖かいリビング(25℃)から、冷えた脱衣室・浴室(10℃:温度差マイナス15℃)に移動して裸になり、さらに熱い湯(40℃:温度差プラス30℃)に飛び込むことで血管が収縮して急激に血圧は上昇。入浴中は血管の拡張作用などで今度は血圧が低下、浴槽からざばっと立ち上がると水圧から解放されてさらに血圧が下がってしまいます。
「ヒートショック」の正体は、急激な温度差により、血圧がジェットコースターのように上下変動することで引き起こされる健康障害です。症状はめまいや立ちくらみのような軽いものから、心臓や血管の異常が誘発する脳卒中や心筋梗塞、意識レベル低下による転倒・溺水など深刻なものまで多岐にわたります。
特にお年寄りや高血圧、糖尿病の方は動脈硬化が進んでいる可能性があり、注意が必要です。
「ヒートショック」回避の秘訣、それは「温度のバリアフリー化」です。

温度バリアフリーお風呂術

「温度のバリアフリー化」は近年「ヒートショック」対策として大いに注目されていて、住宅の断熱性・気密性への配慮や、特に冷える脱衣室・浴室やトイレ用の暖房・温風機なども商品化されています。ここでは気軽にできる「温度バリアフリーなお風呂術」を、入浴の手順に沿って見ていきましょう。 まず「脱衣」場面で重要なのは、服を脱ぐ前に脱衣室・浴室を温めることです。脱衣室・浴室間の扉を開け、浴槽のふたを開けておく、シャワーを浴槽に注ぐなどがあげられます。 「脱衣後~入浴」場面では、十分なかけ湯をして身体を湯温にならすとよいでしょう。浴槽には飛び込まず、ゆっくり半身浴~全身浴の手順を踏むと血圧の変化を穏やかにすることに役立ちます。熱い湯が好きな方も最初はぬるめにしておき、追いだきするのがおすすめです。 「お風呂から出る」場面では、ゆっくり脱湯して、立ちくらみリスクを低減させましょう。 さて、準備はできました。「目的に応じた」入浴を楽しみましょう!

ポイント 1脱衣室・浴室を温める 2シャワーか浴槽のお湯でかけ湯 3すぐに熱いお湯に飛び込まない(熱湯好きは追いだきを) 4脱湯時はゆっくり立ち上がる
後藤 康彰(ごとう やすあき)

フロ(風呂)フェッサー、医学博士。一般財団法人日本健康開発財団・主席研究員。
入浴・温泉プログラムの開発や加齢を制御する生活行動としての入浴研究を行う。著書に『女子力UPのための最新入浴法』(虹有社)。

お風呂術 vol.4

  • バックナンバー
  • 前号