事務所荒らしの被害を防ぐ!効果的な防犯対策と被害後の対処法を解説

2025.11.28更新(2017.03.30公開)
人のいない事務所やオフィスへ侵入し、金品などを盗む犯罪行為を「事務所荒らし」と呼びます。
事務所やオフィスには、現金や貴重品、重要書類などが保管されていることが多いことから、侵入が発覚しにくい環境だと判断されれば犯行の標的となるおそれがあります。
では、事務所荒らしに狙われないためにはどのような対策が求められるのでしょうか。本記事では、事務所やオフィスの防犯対策と万が一被害に遭った場合の対処法についてご紹介します。
事務所荒らしとは?
事務所荒らしとは、会社等の事務所・オフィスに侵入して金品などを窃盗する犯罪のことです。防犯システムや防犯カメラなどの普及によって被害は減少傾向にあるものの、未だオフィスや事務所は侵入窃盗のターゲットになっているため、油断はできません。
事務所荒らしで狙われる物
事務所荒らしで狙われる物として多いのは、現金や金庫、OA機器などです。金庫や大型のOA機器は重量もあって盗難がされにくいと思われがちですが、台車などを使ってそのまま運び去るケースもあります。
金品は事務所内に置いていないという場合でも、備品や電子機器、個人情報、機密情報などが盗まれるおそれもあります。パソコンなどは狙われる確率も高く、運び出されると現物を失うだけでなく情報も流出してしまう可能性があるため、特に注意が必要です。
事務所荒らしの被害状況
出典:警察庁「令和6年の犯罪」
警察庁発表の「令和6年の犯罪」によると、侵入窃盗の手口としては住宅への「空き巣」が多い傾向にありますが、事務所・オフィスを狙った「事務所荒らし」も5番目に多い手口であり、決して看過できないことが分かります。
事務所荒らしは、主に夜間や休日などの人がいない時間帯に発生しやすくなっています。また、コロナ禍以降、リモートワークの導入により従業員不在の事務所を狙った被害も発生しています。
事務所荒らしの侵入手口
事務所荒らしが侵入する手口で目立つのは、サムターン回しや合鍵、特殊器具を使ってドアを開錠するケースです。サムターン回しとは、ドアにドリルなどで穴を開け、金属の棒等を使用して内側のサムターン(つまみ)を回してロックを外す手口です。
ドリルやホールソー(木材や金属板に穴を開けるために、電動工具に取りつけて使われる円状の刃)を使って錠前が壊されることもあります。ドアを開けられれば、容易に事務所内に侵入されてしまいます。
手荒な侵入手口としては、ドアそのものを取り外す「戸外し」という方法もあります。また、ドアの隙間からバールなどを差し込んでドアの一部を変形させ、強引に開ける「こじ破り」という方法もよく見られます。ビル内の事務所のドアは、一部ガラスが使われていることが多く、このガラスが破られることもあります。「ガラス破り」によって窓から侵入されるケースも発生しています。
また、無締りのドアや窓から侵入されるケースも後を絶ちません。外出時や不在時は必ず施錠するように徹底しましょう。これら以外にも、電子錠を解錠するためのセキュリティカードが盗まれ不正に利用されるケースも考えられます。
事務所荒らし・空き巣の侵入手段についてはこちらも参考にしてください。
狙われやすい事務所の特徴
侵入窃盗の被害に遭いやすい事務所には、共通した特徴があります。
夜間・休日に無人になる
夜間や休日に無人になるビルやオフィスは、事務所荒らしの標的になりやすい傾向があります。発見されるリスクが極めて低くなるため、侵入や金品の物色に時間的余裕をもてると判断されやすく、狙われやすい場所です。
人通りが少ない立地
人通りが少ない場所にある事務所は、犯人の侵入行為が目撃されにくいことから、狙われやすいと考えられます。さらに、「音が外に漏れにくい」「死角が多い」「窓から侵入しやすい」などの侵入する上での好条件が複数揃うと狙われることがあります。
防犯対策が不十分
出入り口に警備員が配置されていない、照明が暗い、防犯・監視カメラの設置台数が不十分であるなど、セキュリティ体制が手薄なビルや事務所も標的になるおそれがあります。犯人は事前に侵入できるか、下見をすることが多いことから、防犯設備や施錠状況、人の出入りの波などさまざまな観点で事務所の状況を確認している可能性があります。
事務所荒らしに遭った場合の対処法
万が一事務所荒らしの被害に遭った場合は、迅速かつ適切な対応が必要です。ここで、事務所荒らしに遭った際の対処法を解説します。
警察へ通報する
事務所荒らしの被害を発見した場合は、速やかに警察に通報する必要があります。その際、事務所内に犯人が潜んでいる可能性もあるため、内部には入らず、安全な場所から連絡を行いましょう。
また、警察が到着するまでは現場の保全が最優先となるため、物品を動かしたり片付けを行ったりしないよう注意が必要です。
被害届を提出する
警察による現場検証が終了した後、被害届の提出手続きを行います。盗難物品のリストや被害金額、侵入経路など、できる限り詳細に記載します。被害届の提出時には受理番号が発行されるため、必ず控えを保管しておきましょう。この受理番号は、保険会社への保険金請求や盗難品の照合において必要となります。
関係各所に連絡する
警察対応と並行して、関係各所への連絡を速やかに行う必要があります。ビルテナントの場合は管理会社やオーナーへの連絡が必要です。
顧客情報や機密データが盗まれた可能性がある場合には、取引先や顧客への報告を早急に実施することが求められます。
事務所荒らしを防ぐ4つの防犯対策
事務所荒らしや空き巣の被害を防ぐためには、防犯対策が重要です。
ドア・窓の鍵や構造を防犯性の高いものにする
ドアや窓には二重ロック、補助錠を備えるのが基本です。ドアの鍵も防犯性の高いタイプに交換しましょう。ピンが1列に並んでいるピンシリンダー錠などはピッキングされやすいため、ピンが複数方向から刺さっている構造のディンプルキーなどがおすすめです。
また、犯人はガラスを破って開錠する手口が多いため、ガラスを防犯ガラスに変更したり、ガラス破りを防止する防犯フィルムを貼ったりすると効果的です。さらに二重窓にすることで、容易に侵入できなくなります。ドアも、壊れにくい頑丈な素材・構造のものへの交換を検討すると良いでしょう。
防犯カメラ(監視カメラ)を設置する
防犯性と抑止力を高められるだけでなく、万が一異常があった際の映像を記録に残すことができます。以下に列挙する場所に防犯カメラ(監視カメラ)を設置することが有効です。
- 受付、事務所の出入り口
- 機密書類やデータなどの保管庫、サーバールーム
- 金庫を設置してある部屋
- 侵入経路となり得るビルのエントランスや通用口
- 人目につかない駐車場、そのほか人通りや照明が少ない薄暗い場所
防犯カメラの映像を録画・確認するには以下の方法があります。
現地に設置したレコーダーに録画する
なお、ネットワークに接続できるレコーダーを設置することで、現地だけでなく離れた場所からでも録画映像を確認することができます。
カメラ本体のSDカード等に録画する
カメラの中には、カメラ本体に内蔵されたSDカード等に映像を録画できるものがあります。レコーダーを設置する必要がなく、また離れた場所からでも映像を確認することができますが、レコーダーに比べて録画可能時間が短いというデメリットがあります。
クラウドサービスに録画映像を保存する
レコーダーやSDカード等の録画機器を使用せず、クラウドサービスに録画映像を保存する方法です。離れた場所からでもパソコンやスマートフォンなどでいつでも現地の映像や録画映像を確認することができ、証拠隠滅のために保存された映像を不正に消去されてしまうことを防ぐこともできます。
また、防犯カメラシステムでは機械警備と連動させることで、機械警備の各種センサーが反応したら自動録画することができます。機械警備を活用して強固な防犯システムを確立することも検討しましょう。
金庫を防犯性の高いものにする
金庫は防盗金庫がもっとも盗難防止性能が高いといえますが、耐火金庫の場合には、複数の鍵があるものや丈夫な丁番のものがおすすめです。床にボルトで固定したり、車止めをつけたりして簡単には持ち出されないようにすると同時に、金庫に振動検知センサー・ショックセンサーなどを設置して、異常時に警報音を発して威嚇したり管理者や警備会社へ通報されるようにしておくと安心です。
機械警備システムを導入する
事務所内に設置した各種防犯センサーの異常や監視カメラの映像を遠隔監視し、異常が発生した場合に警備員や専門のスタッフが駆けつける機械警備システムも、事務所荒らし対策として非常に効果を発揮します。警備員が現地の状況を確認し、必要な場合には関係機関に通報・連携します。
機械警備システムは事務所だけでなく、店舗のセキュリティ強化にも有効です。
一方、鍵や警備システムを操作するセキュリティカードの紛失、盗難、退職者による持ち帰りなどに対しては、紛失や盗難が判明した時点で該当する鍵、カードを無効にするなどの対策マニュアルを整備しておきましょう。従業員が退職したら、念のため暗証番号を変更するなどのルールを決めておくことも必要です。
事務所の防犯対策もALSOKがサポート
ALSOKでは、事務所の防犯体制を強化するための各種サービスを提供しています。
防犯カメラ・監視カメラサービス
ALSOKの防犯カメラ・監視カメラサービスは、設置からメンテナンス運用まで、トータルでサポートします。カメラは環境や用途に応じた多様なタイプをご用意しており、昼夜を問わず鮮明な映像を記録できます。事務所の構造に合わせ、適切な設置場所をご提案いたします。
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機械警備
機械警備は、センサーが不審な動きを検知すると自動で警備会社へ通報されるシステムです。異常が発生した際は、警備員が迅速に現場へ駆けつけるため、被害拡大を防止できます。
ALSOKの機械警備サービスでは、24時間365日体制で監視しているため、いざというときは訓練を受けた専門スタッフが速やかに対応します。常時監視により、事務所の安全を守ります。
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まとめ
ここまで事務所荒らしの実態や対策などについて解説してきました。事務所荒らしは、事務所・オフィスに金品を保管していなくても、電子機器やOA機器、金属類などが盗まれるおそれがあります。
また、事務所荒らしの被害に遭ってしまうと盗難による損害が生まれるだけでなく、社会的信用の低下や、情報漏洩などの賠償によって大きなダメージを受けてしまうことがあります。
現代において情報は企業の大きな財産のひとつであり、顧客データなどは売上に直結する重要な情報です。さらに、企業の社会的責任が増大し、個人情報の扱いなどにも厳重な注意が必要となった今、事務所内のデータやパソコン等が盗まれると大きな問題に発展する可能性があります。
情報を含め事務所のセキュリティ対策を万全にしておくことは、企業の貴重な財産を守るという意味だけでなく、顧客信頼度や企業イメージの向上にもつながることでしょう。また、セキュリティがしっかりしていることは従業員の安心材料となるとともに、防犯意識を高めることにもつながるはずです。ぜひ、事務所荒らしを寄せ付けない事務所作りの参考にしてください。















