安否確認システムの導入から運用まで

2019.05.23

自然災害に対する危機意識が高まっている近年、企業においても万が一に備えた事業継続計画(BCP)や災害対策が重要視され、各業界で対応が急がれています。

日本ではさまざまな自然災害のリスクが考えられますが、特に地震が発生した場合、初動で重要な働きをするツールとして注目されているのが「安否確認システム」です。今回は、その安否確認システムの必要性や機能、導入・運用において気をつけるべきポイントについて学んでいきましょう。

安否確認システムの必要性

自然災害などの緊急事態発生時、いち早く組織の人員の状況を確認する安否確認システム。企業においては、緊急時に早急な事業復興をするために重要な役割を果たし、BCPの観点からもその必要性が訴えられています。

阪神・淡路大震災以降、度々訪れる災害やITの発展を受けて普及してきた安否確認システムですが、その需要を爆発的に拡大させるきっかけとなったのはやはり東日本大震災です。実際に従業員の安否確認を行う困難を経験し、安否確認システムを導入した企業も少なくありません。

そして、近年話題とされることの多いBCPや企業の社会的責任の側面からも、安否確認システムの導入率は年々増加しており、最近発生した災害時に安否確認システムが役立ったという声も実際に聞かれるようになっています。

ある危機管理の専門メディアに登録している企業17,000社に対して東京都中小企業振興公社が行なった調べに(2017年)よると、安否確認システムを導入している企業は69.3%という結果となりました。従業員数の少ない企業ほど導入率が低く、従業員数300人超では83.2%、1〜50人では37.8%となっています。(*1)

しかし、全国における安否確認システムの導入率はこれよりもずっと低いと考えられており、決してどの企業でも安否確認システムを導入しているとは言い難いのが現状です。災害はいつ起こるかわからないものだからこそ、非常時でも従業員の安否をいち早く確認し、事業を継続するための備えが求められているのです。

安否確認システムでできること

一般的な安否確認システムは、災害が発生した際に従業員へ一斉にメールを配信し、従業員がメール内のURLからシステムへアクセスして安否状況を登録するという仕組みです。大きな地震が起きた場合は自動的に配信が行われるため、混乱のなかでも初動対応を確実に行うことができます。

安否確認システムを利用していない場合、災害時には連絡網などを利用してひとりずつ安否を確認することになるでしょう。災害時には電話がつながらないことも多く、全従業員の状況を確認するにはかなりの時間と労力を必要とします。それに対して、安否確認システムは災害発生直後から一斉に安否確認が行われ、管理者側は従業員の安否状況を一覧できるため、従業員の身の安全、そして企業が置かれた状況を素早く把握することができるのです。

安否確認システムというと、地震の際に自動配信されるものというイメージを持つ方が多いかもしれませんが、管理者が手動で配信できるサービスもあります。手動での配信は、津波や台風・豪雨、土砂などによる自然災害、感染症、人為災害など、さまざまな場面で役立てることが可能です。

一方で、安否確認システムは、あくまでも状況を把握するための手段であることを忘れてはいけません。非常時に素早く従業員の安否を確認できても、その後に適切な対応が行われなければ被害を拡大させてしまったり、事業復興を遅らせてしまったりする可能性があります。それぞれの企業の災害対策・体制に合わせて、有効活用することが重要です。

安否確認システムを選ぶ際のポイント

安否確認システムを提供するサービスは多数ありますが、それぞれ異なる特徴を持っています。上記の通り、最も基本的な機能は地震発生時にメールが自動で一斉配信され、各従業員が安否状況を登録するというもの。さらに、企業の判断で適宜使用できる手動配信の機能も比較的多くのサービスで採用されています。

サービスによっては、これら以外の機能が付いている場合もあります。例えば、情報のやり取りができる掲示板機能やメールの開封確認機能、GPSによる位置情報確認機能などです。また、メール以外の方法として、電話による自動音声やスマートフォンのアプリで安否確認を行うものもあります。

ただし、ここで注意すべき点が、安否確認システムは当然ながら非常時に使用するものであるということです。災害に巻き込まれた場合、人はどうしてもパニックに陥ってしまうことが多くなります。平常時は便利に思えた機能も、いざという状況下では十分に使いこなせなかったり、対応を遅らせる要因となったりする可能性があることも忘れるべきではありません。管理者側でも、機能や連絡手段が多いということは、日頃の管理や非常時に処理すべき情報が増えるということにもつながります。

また、目に見える機能だけでなく、システムのスペック等についても、災害時におけるシステムの確実性の点で確認しておくことが大切です。安否確認システムを導入する際は、こういった点をしっかりと考慮に入れたうえでサービスを選択することを意識しましょう。

安否確認システムの導入と運用における注意点

近年では、日常的なコミュニケーションをチャットやSNSで行うことが多くなっているため、仕事以外ではメールをあまり使用しない従業員も多いはず。これは、以前よりもメールアドレスを頻繁に変更したり、迷惑メール対策をすることが少ないということにもつながります。つまり、確実に安否確認システムからのメールが届くアドレスを準備し、受信環境が整っていれば、いざというときにも正常にメールを受け取れる可能性が高いということです。

そのため安否確認システムを導入した際は、まず従業員がきちんとメールアドレスを登録するように促す必要があります。さらに確実性を上げるためには、アドレスを複数登録させるとよいでしょう。なかにはきちんと登録しない従業員もいるかもしれませんが、安否確認システムは企業側の状況把握に役立つとともに、従業員を守るうえでも大切なものです。社内での運用体制をしっかりと確立するように心がけてください。また、新入社員や人事異動、退職についても適切なフォローを行うようにしましょう。

そして、最も重要なのが定期的な訓練です。基本的には、最低でも年に2回は安否確認システムを使用する訓練を行うようにします。事前の告知で、メールアドレスや端末を変更した場合は登録状況を確認するように呼びかけ、その後に安否確認メールを配信して最終的なチェックを行うという方法も有効です。

サービスによりますが、安否確認システムを日常的な連絡ツールとして使用できる場合もあります。実際に、会議の出欠確認や社内アンケートなどであえて安否確認システムを活用している企業もあり、普段から使い慣らしておくことで安否確認システムの確実性を上げることができます。万が一の場面でシステムをしっかり機能させるためにも、導入して満足せず、運用まで意識的に行うようにしましょう。

ALSOK安否確認サービス

ALSOKでは、地震情報とALSOK安否確認システムの連動によって、災害時や緊急時に迅速かつ確実に従業員の安否状況を把握できる安否確認システムをご提供しています。あらゆるシーンにおけるリスクマネジメントの一環として、ぜひ「ALSOK安否確認サービス」をご利用ください。

ALSOK安否確認サービスは、あらかじめ設定した基準以上の地震が発生した際、安否確認メールを自動配信する仕組みとなっています。また、管理者側の判断で「緊急連絡メール」を手動配信することもでき、さまざまな災害時の安否確認や被害防止対策、日常的な連絡ツールとして活用可能です。加えてALSOK安否確認サービスには、台風情報や津波情報、気象警報・注意報などをお知らせする「情報配信サービス」が含まれることも魅力のひとつです。

ALSOK安否確認サービスはこれらの三本柱から成り、非常時にも迷わずに使えるシンプルな設計となっています。一方で、実際の災害発生時の使用にも耐えうるように、強固なシステムを構築していることも安心のポイント。あらゆる組織の災害対策に、柔軟に対応することができます。

また、ALSOKでは「BCPソリューションサービス」の提供も行なっており、安否確認システムのみならず、企業のあらゆるリスク対策をワンストップでご提案できることも大きな強みです。安否確認システム導入、BCP策定の際はぜひALSOKにご相談ください。

ALSOK安否確認サービス

安否確認システムは、災害時に従業員の安否を確認し、早急に事業復興するための大きな力となります。いつ起こるかわからない災害に備えて、確実に安否確認ができる体制を整えておきましょう。

(*1)出典:東京都中小企業振興公社「防災対策に関する意識調査結果報告書」(平成29年3月)