マンションなど建物の老朽化を防ぐための建物管理の重要性

マンションなど建物の老朽化を防ぐための建物管理の重要性
2022.03.23

都市部やその近郊には多くのマンションが立ち並び、それらのなかには外観からかなり建築年数が経過していることが分かるものもあります。実際に老朽化が指摘されるマンションも増えており、今後さらに老朽化問題は深刻化するとみられています。
この記事では、マンションなどの建物の老朽化によって起こるリスクや、建物を長持ちさせるためのポイントをご紹介します。

目次

問題視されている建物の老朽化

昭和の高度経済成長期に建築されたものは現在築年数が50年や60年を経過しており、老朽化が目視で分かるものも散見されます。一方で現在も多数のマンションが建築されており、老朽化する建物が年々増加することが予想されます。
マンションは築40年を超えると「高経年マンション※」と呼ばれ、建物の劣化や耐震性不足などの問題が生じやすくなり、老朽化が加速します。
2018年末における高経年マンションの数は約84万戸でしたが、さらに20年後の2038年には約4.5倍の約367万戸となることが予測されています。
この先、マンションを始めとする建物の老朽化や空き家問題は、今以上に深刻化していくことを念頭に置いておく必要があります。

※高経年マンション…築年数による明確な定義は定められておらず、「社会資本整備審議会 住宅宅地分科会マンション政策小委員会(国土交通省)」のとりまとめによると、「建築後相当の期間が経過したマンションをいう」と示されている。

参考:総務省 関東管区行政評価局「マンションの適正な管理の推進等に関する調査」

以下は、2018年から2038年までの高経年マンションストックの増加予測をグラフ化したものです。

2018年から2038年までの高経年マンションストックの増加予測グラフ

出典:国土交通省「マンション政策の現状と課題(資料3)」

建物の老朽化を放置するとどうなるか

マンションなどの建物が老朽化すると、どのような弊害が予測されるのでしょうか。ここでは、建物の老朽化を放置することで起こり得るリスクをご紹介します。

建物の崩壊、破損

建物の手入れをせずに放置しておくと、当然ながら使用されているコンクリートなどの建材も劣化します。たとえば、壁面に経年劣化でひび割れが生じても、修繕を行わなければ雨漏りなどにつながるでしょう。その雨漏りも放っておけば、建物の他の箇所を腐食させるなどさらなる劣化につながります。こうした劣化が進行した結果、建物が崩壊したり各箇所の破損を招いたりしてしまうでしょう。

災害の影響を受けやすい

建築基準法における耐震基準は、その都度見直しが行われています。これまで最も大きく耐震基準が見直されたのは、1981年の建築基準法改正によるものでした。この改正を境に、「旧耐震基準」と「新耐震基準」と呼ばれ方が変わりました。
新耐震基準とは、中規模地震(震度5強程度)でも軽微な損傷で済み、震度6強~7程度の大規模地震でも倒壊や崩壊を回避できるという基準です。
一方で、旧耐震基準では大規模地震に対する基準がなく、中規模地震でも倒壊は回避できるものの損傷の可能性があるとするものになります。

1981年以前に建築されているマンションは震度5弱までの地震にしか耐えられない旧耐震基準で設計されています。

昨今は災害が多発する傾向にあり、震度5強クラスの地震も各地で発生しています。この現状を鑑みると、高経年マンションを含む旧耐震基準の建物は万一のリスクを想定し、速やかに対策を講じることが求められています。

コンクリート片が落下

建物の外壁が劣化するとコンクリート片が剥がれ落ちるおそれが生じます。たとえば、重く硬いコンクリート片などが高所から落下し、その先に人がいる場合、命にかかわる危害が及ぶ可能性があるでしょう。

害虫・害獣の発生

換気や掃除を行わず放置しておくと、カビなどが発生して建物が劣化することで建物に隙間が生じます。ネズミなどの害獣はこうした隙間から侵入して繁殖するおそれがあり、高層マンションであっても同様です。古い建物を放置することは、建物内外に害虫や害獣(ネズミなど)を増やしてしまう可能性があるでしょう。
特にマンションの場合、これらのリスクを放置すると住民や近隣への影響や通行人への被害が危惧されます。

また、老朽化が進んでも手入れをしなければ資産価値がさらに下がることで買い手がつかなくなり、空き家問題へ発展するおそれもあります。

マンションを長持ちさせる手法

マンションを長持ちさせる手法

ある程度の築年数が経過しても、マンションを安心して暮らせる状態に保つにはどのような取り組みが必要なのでしょうか。ここでは、老朽化によるリスクを低減させマンションを長持ちさせる手法をご紹介します。

管理段階

マンションの状態確認や点検などの適切な管理を怠ってしまうことは、建物の老朽化に直結します。日々の管理や点検、問題点が見つかった際の速やかな補修などをその都度行い、老朽化に発展しないよう努めることが大切です。

また建物の管理という側面では、明確な修繕計画を事前に作っておくことも必要です。建物が古くなる前の段階で長期修繕計画を策定し、老朽化のリスクを想定して実施していかなければなりません。

マンションの場合は、「管理組合」を必ず設け、管理規約に基づいた居住とメンテナンスを行っていくことが重要です。

改修・リフォーム

管理が最適化されているマンションは、建て替えなくてもリフォームやリノベーションでより長く快適に暮らすことができます。
住居を解体する必要がないリフォームであれば、建て替えよりも短期間で改修を行うことが可能です。ただし、リフォームには相応の費用がかかるため、管理組合による修繕費の適切な徴収・管理も必要です。
建て替えを避けるためには、日々の適切な管理が何より重要になるでしょう。

老朽化した建物の最終手段

マンションを安心して暮らせる状態に保つ取り組みはマンションを長持ちさせることができますが、多くの年数を重ねるとどうしても老朽化は進んでしまうものです。
ここからは老朽化が進み、住人が居住し続けることが難しい状況になった場合の最終手段をご紹介します。

・建て替え

マンションを建て替える場合、現代の生活に即した各種設備を付け加え、新しく建て直すこととなります。解体や地盤調査など建設に多額の費用がかかる上に、住人は長期間別の住まいで暮らさなければならず、多くの弊害が生じます。

・敷地売却

同敷地内にマンションを建て替えず敷地を売却するという手法も、場合によってはありえます。仮に売却によってまとまった利益が入れば、建物を移転の上建て直せる可能性もあるでしょう。ただし売却にも多くの出費がともないますし、売却できない可能性もあります。

建物の老朽化を防ぐためには管理が重要

建物を改修したり、建て替えたりするには多くの費用がかかります。それを回避するには、やはり建物の老朽化を防ぐことが大事です。しかし建物は新築の瞬間から劣化が始まるともいえますから、老朽化を防ぎ寿命を延ばすには日々の適正な管理が必須となるでしょう。

多くのマンションで管理組合を設け、長く住むためにさまざまな取り組みを行っていると思います。それに加え、さらに建物の老朽化対策やその提案などを的確に行ってくれる管理会社に管理を任せることも一案です。
マンション管理にともなう労務コストの削減にもつながるため、この機会に管理会社へ管理を依頼することも検討してはいかがでしょうか。

管理会社を選ぶ際のポイント

マンションの管理会社選定の際は、以下のポイントを押さえると良いでしょう。

・対応スピード

マンション管理に対する要望があれば、管理会社は都度すぐに対応してくれることが理想的です。できれば、24時間365日即時対応が可能な管理会社が良いでしょう。

・管理体制

建物管理を熟知し、多数のノウハウと実績を持った管理会社を選ぶことはもちろんですが、管理体制が充実していることも重要です。

老朽化を防ぐための建物管理はALSOKにお任せください

老朽化を防ぐためにマンションを適正に管理するには、管理会社の選定も重要と分かりました。
ALSOKの建物管理関連のセキュリティサービスはさまざまあり、ここではALSOKの建物管理サービスの特徴やメリットをご紹介します。

ファシリティマネジメント+ビル管理・清掃業務

ファシリティマネジメントサービスとビル管理・清掃業務の併用により設備の遠隔監視だけではなく、各種設備点検や清掃、管理人業務も行っています。建物管理関連の連絡窓口を一本化することでスムーズな対応ができるため、管理の手間も軽減できます。
建物の安全安心のための、適正なビル管理や清掃もALSOKにおまかせください。

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建物の管理に欠かせないもののひとつが、外壁の状態を詳細に確認するための外壁調査です。
ALSOKでは、この外壁調査にドローンを活用することで、作業員が高所に登らなくても正確な調査ができ、時間の短縮と人件費の削減を実現。もちろん、高所作業にともなう作業員の負傷リスクも低減しています。

まとめ

どれだけ頑丈に建てられた建物でも、経年劣化によって老朽化します。それを可能な限り遅らせ、長く住める建物とするには管理の最適化が大切です。
マンションなどの建物管理に関するお悩みをお持ちであれば、ぜひ豊富な実績を持つALSOKまでご相談ください。