勤怠管理とは?勤怠管理の必要性とシステム導入のメリット

勤怠管理とは?勤怠管理の必要性とシステム導入のメリット
2022.02.04

企業が従業員を雇用して事業を行う以上、必要となる労務管理の1つが勤怠管理です。近年は超過勤務による過労死や、低賃金で過重労働を強いるブラック企業などが問題視され、企業の勤怠管理のあり方を見直す流れが一般化しています。また、テレワークの普及によりテレワーク時の勤務状況を遠隔で適切に管理をすることが求められています。
この記事では勤怠管理の目的や必要性をご説明し、これからの働き方へ対応するために勤怠管理システムを導入するメリットをご紹介します。

目次

勤怠管理とは

長時間労働によって健康を損なう労働者の存在が社会問題となるなど、昨今では従来の働き方を見直すことが提唱されています。いま一度、「勤怠管理」という言葉の持つ意味を再認識しておきましょう。ここでは勤怠管理の役割や目的も合わせてご説明します。

勤怠管理の役割

勤怠管理とは「勤務する従業員の労働時間を正確に把握し、適正な観点と手段をもって管理すること」を指しています。企業で行う具体的な勤怠管理の方法は、各従業員の勤怠情報を正しく記録・管理することと考えて良いでしょう。

勤怠管理の目的は?

従業員を雇用するすべての企業が、適正な勤怠管理を行わなければなりません。正しい勤怠管理の目的は「従業員を守るため」であるといえます。
労働基準法で定められている法定労働時間は「1日あたり8時間・週あたり40時間」です。これを上回る労働は「時間外労働」とみなされますが、その上限は「月あたり45時間・年あたり360時間」です。企業には、各従業員の労働時間管理(=勤怠管理)の実施が義務付けられています。

なお、上記の時間外労働の上限は、2019年の改正労働基準法によって新たに設けられたものです。しかし現在でも、法規を無視した過重労働や残業代の不払いなどが深刻な社会問題となっており、正しい勤怠管理の重要性が指摘されています。

勤怠管理の必要性

勤怠管理は単に法令遵守のためだけに実施されるのではなく、従業員を雇用するにあたりあらゆる面で必要なものです。ここでは法令以外の側面における、勤怠管理の必要性について見ていきましょう。

労働時間の管理

労働時間を正しく把握することで、各従業員に支給すべき給与の金額が決まります。そのために出退勤時刻や労働時間、残業時間に関する把握が必要となるのです。

働き方改革(新しい働き方)への対応

国策として進められている「働き方改革」は、過重労働の横行や過労死問題などが深刻化する状況を鑑みて推進されているものです。長時間労働を解消し、働き方改革を実現するための取り組みの1つが、企業による適正な勤怠管理です。

勤怠管理は従業員を守るための重要な役割

勤怠管理は、企業が従業員の労働状況を正しく把握し心身の健康を保つよう努めることでもあります。企業にとって勤怠管理は、従業員の命を守ることにもつながるといえるでしょう。
勤怠管理が適正に実施されると離職率の低下や、従業員の職場に対する満足度の向上、従業員のモチベーションや健康維持にも直結します。従業員の働きやすさを実現する勤怠管理が実施されることで、企業の体力向上にもつながります。

従来の勤怠管理方法における問題点

従来実施されてきた勤怠管理の手段といえば、タイムカードの打刻や出勤簿の記入、勤怠データへの手入力などでした。これらの勤怠管理方法には、働き方改革の観点からいくつかの課題が見受けられます。

勤怠記録忘れの問題

まず、タイムカード押し忘れへの懸念があります。また、勤怠記録後の急な残業発生などで、確実に出退勤記録ができないといった問題点も考えられます。さらに、ツールの導入やルールの整備などテレワーク用の準備が行えないままテレワークを実施した場合、メール・チャットでの出退勤報告やExcelなどによる手動管理になり、集計の手間が大きくなるという課題も想定できるでしょう。

不正打刻や打刻間違えの問題

従業員による記録ミスの発生や、故意による不正打刻などがあっても勤怠の集計で間違いに気づくことができません。このため完全に従業員の自己申告となり、正確な勤怠管理が難しくなるという問題も考えられます。

一元管理が難しくなる問題

時差出勤やテレワークなど、働き方が多様化することで勤怠管理を行う側が対応しきれなくなる可能性が指摘されています。集計担当者の業務負担増大や、アルバイト・パート従業員の労働時間の把握が難しいなどの問題も考えられるでしょう。
また、工場など交代勤務の職場や、職種の多い職場では勤怠管理が困難になりがちです。

勤怠管理システムのメリットと種類

多くの従業員が多様な働き方を実現する今後の社会を見据え、勤怠の一元管理を可能とする「勤怠管理ツール(勤怠管理システム)」の有用性が注目されています。
以下は、日本国内での勤怠管理ツールの利用状況をグラフにしたものです。

日本国内での勤怠管理ツールの利用状況グラフ

勤怠管理システムを導入している企業は「積極的に使っている」「あまり使っていない」「まったく使っていない」の3回答を合わせておよそ37%と、全体の半数以下です。また未導入と回答した企業が約42%と、導入済みの企業よりも多くなっています。
こちらは総務省「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」による、2018年のデータです。現在は当時より働き方改革の推進も進んでおりますが、いまだ未導入の企業も散見されます。システムの導入・活用は今後も企業にとって急務といえるでしょう。

勤怠管理システムのメリット

勤怠管理システムのメリット

ここでは、勤怠管理システムの主なメリットについてご紹介します。

【1.正確な打刻時間を管理できる】

勤怠管理システムを導入することにより、社内外を問わずどこにいても出退勤の記録が適正なタイミングで可能となります。またモバイルGPSや指紋認証などの認証システムを導入することで、不正打刻も防止できます。

【2.情報を一括管理できる】

各従業員の労働時間や出勤日、有給休暇取得日数および残日数などを、データで一括管理できます。このため多様な働き方への柔軟な対応が可能で、シフト勤務の管理や休暇申請も1つのシステム内で行えます。

【3.事務作業の負担やコストを省くことができる】

システムでの一元管理によって社内での集計作業も効率化でき、労務負担を減らせることで人件費の削減にもつながります。

【4.勤怠管理システム導入費用の助成制度がある】

勤怠管理システムの導入には相応のコストがかかりますが、働き方改革の推進にともなう助成制度が設けられています。代表的な制度が、厚生労働省による「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」です。この制度で支援対象となる取り組みの中に「労務管理用ソフトウェアの導入・更新」と「労務管理用機器の導入・更新」があり、これらがシステム導入費用に該当します。

厚生労働省による「働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース)」はこちら
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000120692.html

テレワークに適した勤怠管理システム

テレワークにおいては、勤怠管理者は遠隔で従業員の勤怠管理・監督をしなくてはなりません。ここからは、テレワークに適した勤務管理システムについてご紹介します。

【勤務時間の記録ができる】

まず、従業員の勤務時間・打刻管理を正確に行える機能が必要不可欠です。企業によってテレワーク導入時のルールは異なりますが、フレックス勤務や短時間勤務への対応や業務中の中抜けなどについても考慮する必要があります。

【従業員の作業状況が記録できる】

作業の様子を目視で確認できないため、テレワーク中の作業状況を記録できる機能も必要です。勤怠管理システムには、作業中のPCをスクリーンショットで撮影するなどテレワークで働く従業員の作業状況がわかる機能があるものもあります。
営業職など1日に複数の場所に立ち寄る場合は、GPS機能を使って立ち寄った場所を把握できるツールなどを使用し確認することも可能です。

【給与システムと連携している】

作業状況が把握できても記録が給与システムと連携していなければ再度計算するなど余計なコストがかかってしまうため、自社の給与システムと連携可能なものを選択すると良いでしょう。

勤怠管理システムの種類

勤怠管理システムには、タイムカード、ICカード型、スマホ・PC(アプリ)とおもに3つの種類があります。

  • タイムカード
  • ICカード型
  • スマホ・PC(アプリ)

【タイムカード】

専用の打刻機にタイムカードを挿入すると、所定の場所に正確な時間が分単位・秒単位で記録されます。高度成長期の頃から全国的に普及し、平成初期頃までこのタイプが主流でした。

【ICカード型】

専用の端末へICカードをかざして打刻する仕組みの勤怠管理システムです。記録も管理も簡単なため、現在も多数の企業が導入しています。
また、最近ではICカードの代わりに手のひらや指紋、指静脈を使用した静脈認証、顔や瞳を使用した顔認証や虹彩認証などシステムが体の一部の特長を読み取って本人確認できる勤怠管理も増えています。生体認証は非接触で使用するものも多いため、感染症対策にもつながります。

【スマホ・PC(アプリ)】

従業員が持つスマホ・会社支給のPC(アプリ)を使用した勤怠管理システムです。出退勤時に画面上にあるボタンをクリック・タッチするだけで打刻ができ、また、勤務場所を問わないため、サテライトオフィス勤務やテレワークなど多様な働き方にも対応できます。

ALSOKの一元管理システムで従業員を守りましょう

ALSOKで提供している出入管理・入退室管理システムは、施設に出入りした人の管理だけでなく、機械警備システムと組み合わせることで従業員の勤怠管理をすることもできます。事務所のほか、レンタルオフィスでも導入可能であり、部外者の侵入防止や内部不正の防止といったセキュリティ管理にも役立つシステムです。

まとめ

働き方改革の推進や、昨今のコロナ禍による働き方の多様化を踏まえ、勤怠管理の見直しを図ろうと考えている企業様も多いかと思います。新しい生活様式が確立される中、適正な勤怠管理のために専用のシステムを導入することは1つの策といえるでしょう。勤怠管理システムをご検討中であれば、ぜひALSOKまでお気軽にご相談ください。