介護・福祉施設の防犯対策!防犯カメラ・監視カメラと出入管理で不審者の侵入を検知

介護・福祉施設の防犯対策
2019.03.29

平成28年7月に起きた神奈川県相模原市の障害者支援施設襲撃事件を受けて、厚生労働省は事件の再発防止を目的に「社会福祉施設等における防犯に係る安全の確保について」という通知を発出しました。
現在、多くの介護・福祉施設では厚生労働省の通知にもとづき、防犯設備の導入や安全確保への取り組みが進んでいます。しかし、慢性的な人手不足による職員への負担は大きく、防犯対策への課題はまだ残されているのが現状です。

介護・福祉施設における防犯の考え方

厚労省の通知において、防犯に係る点検項目は「日常の対応」と「不審者情報を得た場合その他緊急時の対応」の大きく2つに分類されています。

日常の対応

不審者の侵入を防ぐことを目的に、来訪者の管理、立ち入り可能な場所の制限、夜間の出入管理、防犯講習や防犯訓練の実施、地域や関係機関との連携、防犯設備の設置などに係る点検項目が記載されています。
日常の対応としては、不審者の侵入を防ぐ対策を講じると同時に、職員の教育や緊急時に向けた体制づくりも必要であることがわかります。

不審者情報を得た場合その他緊急時の対応

不審者が侵入した場合の連絡・通報体制、職員の協力体制、入所者の避難誘導、侵入者への対応、再侵入の防止などに係る点検項目が記載されています。

不審者は金銭や貴重品の盗難が目的とは限りません。入所者や職員へ危害を加える危険性もあります。緊急事態が発生した際、入所者と職員の安全確保を図るためには、迅速な警戒体制の構築や慎重な行動が求められます。

介護・福祉施設で必要な防犯設備と設置場所

介護・福祉施設で必要な防犯設備と設置場所

防犯の基本的な考え方は、犯罪が発生する機会を減らすことです。施設へ来訪される方の出入管理や防犯カメラ・監視カメラの設置など、防犯設備を整えて不審者の侵入を防ぎましょう。

防犯カメラ・監視カメラシステム

施設は24時間365日常に人がいる状態です。夜間も職員が入所者のお世話で動き回っていることを考えると、施設内部に人感センサーを設置することは難しいでしょう。
そのような場合、施設外周部の防犯を強化します。施設の出入口と敷地外周に防犯カメラ・監視カメラを設置し、さらに敷地外周に赤外線センサーを取り付けることで、外部からの侵入検知が可能です。

防犯カメラ・監視カメラは犯罪を未然に防ぐ抑止効果があるほか、録画された映像はトラブル発生時の検証材料になります。防犯カメラ・監視カメラの画像解析により不審者を自動検知し、管理者へ通報する機能があるとさらに安心です。

ALSOKでは男女500人に対し、2015年と2018年に防犯カメラに関する意識調査を行いました。
2018年に行った調査では、第1回目の調査を実施した「3年前と比べて防犯カメラが増えたと思いますか」という質問に対し、78.8%が「増えたと思う」と回答しています。

また、「あなたは、防犯カメラをもっと設置したほうが良いと思いますか」という質問には、62.6%の人が「もっと防犯カメラを設置したほうが良い」と回答し、2015年の調査と比較して、3.4%増加していました。

防犯カメラに関する意識調査
ALSOK「第2回 防犯カメラに関する意識調査」より

このアンケートは介護・福祉施設の防犯カメラ・監視カメラに限定したものではありませんが、日常生活の中で防犯カメラ・監視カメラの増加を感じている人が多いだけでなく、もっと防犯カメラ・監視カメラを設置した方が良いと感じる人は6割以上いることがわかります。

防犯カメラ・監視カメラ

ALSOKの防犯カメラ・監視カメラシステムは、カメラシステムのベストを追求!ローカルカメラ、ネットワークカメラの設置から延長保証サービスまで、ALSOKだからできるトータルサポート。

出入管理・入退室管理システム

入所者の親族や友人の訪問など、介護・福祉施設では常に人が出入りしています。誰でも自由に出入り可能にしている施設の場合、見知らぬ人が施設内にいても不審に思われない可能性があります。
また、安全面・衛生面から、施設内には関係者以外出入り禁止にしたい場所もあるでしょう(スタッフステーション、厨房、倉庫など)。
不審者の侵入を防ぐには、物理的に出入管理を行うシステムの導入が欠かせません。

出入管理・入退室管理システム

出入口に、電気錠を操作できるICカードリーダー等を設置し、出入管理を行います。また、社内LANに接続することで、カードの操作履歴や侵入警報などを簡単に見ることができます。

非常通報システム

緊急事態が発生した際、迅速な通報は被害の拡大防止に有効です。施設内に非常ボタンを設置するだけでなく職員に携帯式押しボタンを支給し、いざという時に手元で操作できるようにしておきましょう。

非常ボタンが押されると、施設内でサイレンが鳴って非常事態を通知したり、非常ボタンが押された場所をパネルに表示させたりすることも可能です。ガードマンが出動するサービスを利用していれば、昼夜を問わずガードマンや警察・消防が駆けつけてくれます。

非常通報システム

最新型のオンラインセキュリティシステムは、画像センサーと高速インターネット回線を組み合わせ、異常発生時の状況をリアルタイムに把握し、より迅速な対応が可能です。

“さすまた”などの護身用具

不審者の侵入など緊急時に備えて、さすまたなどの護身用具も常備しておきましょう。ガードマンや警察官が現場に到着するまで、不審者の動きを封じるのに役立ちます。

介護・福祉施設の防犯対策における課題

介護・福祉施設の防犯対策における課題

防犯に関して、実践面で課題を抱えている施設は少なくありません。実際に、さすまた訓練の講習、不審者侵入時の防犯訓練、避難訓練など、実践的な防犯対策の指導を受けたいという要望が増えています。

また、厚生労働省では、地域に開かれた社会福祉施設等になることを目標に、防犯設備の整備による安全確保への取り組みを推進しています。
しかし、これまでご説明してきたように、防犯は外部からの出入りを管理する目的があります。「開かれた施設」と「安全確保のための防犯対策」をいかに両立させるのか、今後も検討を重ねる必要があるでしょう。

まとめ

防犯対策は、防犯設備などのハード面と、人員体制や防犯マニュアル作成などのソフト面から成り立っています。ハード面の整備はもとより、ソフト面の強化はさらに重要です。
緊急事態が発生した際の連絡体制や、入所者を安全な場所へ避難させる手順なども決めておくことも必要になります。

施設への来訪を必要以上に制限せずに防犯することは可能です。むしろ、防犯体制をしっかり整えることは、誰もが安心して来訪できる施設づくりにつながるといえるでしょう。