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水害・浸水対策のポイント・事前準備から避難まで

水害・浸水対策のポイント・事前準備から避難まで
2020.09.11

集中豪雨や台風などによる水害のニュースがたびたび報じられる昨今ですが、過去に類を見ない記録的な災害となるケースも少なくありません。世界的に異常気象が観測される機会も多く、特に多雨地域である日本は全土において水害に対し警戒が必要であることを再認識させられます。

今回は、水害やそれにともなう浸水対策についてご紹介します。水害は、地震等と比べると災害のなかでも数少ない「ある程度事前予測が可能な災害」の1つです。正しく警戒して適切な対処を行い、人命や事業活動を守る取り組みに努めましょう。

水害とはどんな災害?

水害とはどんな災害?

まず、「水害」という災害の基本的な定義についてご紹介します。大雨や台風にともなうものに限らず、さまざまな水に関する被害が挙げられることが分かります。

1.洪水

河川が大雨などによって著しく水量過多となる現象をいいます。原因には大雨や台風などのほか、雪解け水による増水もあります。

2. 外水氾濫(洪水)

河川の氾濫(川の水があふれること)には2種類があり、そのうちの1つです。外水氾濫とは、集中豪雨などで河川が増水し堤防を越えてあふれたり、堤防が決壊して水が堤防外へ流出したりすることを指します。

外水氾濫(洪水)のイメージ

3. 内水氾濫

2種類ある氾濫のうちのもう1つが「内水氾濫」です。市街地や住宅街などに豪雨が降り、多量の雨水を排水しきれない状態になって地面や道路などが水につかってしまう状態を指します。

内水氾濫のイメージ

4. 高潮

低気圧や台風、強風などの影響で海面の水位が上昇し、海へ流れる河川の河口付近で水があふれるなどの被害をもたらす状態を指します。最近では2018年9月の台風21号による高潮で、関西空港の滑走路が冠水し空港が閉鎖される被害が発生しています。

5. 津波

地震・火山活動などによる海底の地形変動の影響で、急に海面の水位が上昇することで陸上に大きな波として押し寄せる現象を指します。波の流速が非常に大きいため、短い時間で多大な被害が出てしまう恐ろしい水害です。2011年の東日本大震災による大津波で、東北・関東の太平洋沿岸部に大きな被害をもたらしたことも記憶に新しいでしょう。

水害・浸水対策の必要性

水害・浸水対策の必要性

水害はどのくらいの頻度で発生し、どのような具体的対策をとる必要があるのでしょうか。ここでは、災害が発生する前段階から取り組みたい水害・浸水対策についてご紹介します。

水害の発生頻度

被害の大小を問わず、日本国内では毎年何らかの水害が発生しています。水害発生に警戒が必要な気候的特徴をもたらす時期としては、6~7月の梅雨期や9~10月の台風上陸期などが挙げられます。1年に1度ではなく、何度かは水害に警戒するタイミングが訪れると考えて良いでしょう。

水害に際し、事業継続の備えも大切

国土交通省の「水害統計」(令和2年3月)において、過去10年間にさかのぼり国内で発生した水害による損害額が公表されています。それによると、今から10年前にあたる平成22年の損害額は「およそ2,070億円」でした。しかし平成30年には西日本豪雨や台風21号、24号による被害が続き「およそ1兆4,050億円」もの被害に及んでいます。平成27年以降は、被害額が年々増加の一途を辿っています。

国土交通省「水害統計」の詳細は、こちらから。
(「表示・ダウンロード」よりPDFをご覧いただけます)

先にも述べた通り、水害は数少ない「事前に予測が可能な災害」の1つとされています。そのため、事業所においても事前の対策を強化しておくことで、被害の最小化と事業再開までの期間短縮が可能でしょう。日常の基本的な備えを実施しつつ、水害が予測される状況で素早い対策を取れる状態にしておくことが重要です。

水害対策① 危険度を知る

私たちが水害の危険度を知るためには、「水害ハザードマップ」で現在地の水害リスクを確認する方法が有効です。市区町村が発表しているハザードマップには、水害(外水・内水)、土砂、津波等があります。

ハザードマップで危険度を調べるには?

新宿区洪水ハザードマップ

国土地理院による「ハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)」にアクセスします。地域(住所)ごとにハザードマップを確認したい場合は画面右半分の「わがまちハザードマップ」で、地図や市町村から見たい地域を選びましょう。市町村が公開しているハザードマップが種別にリンク表示されるため、そこから見たいハザードマップを選択してください。
画面左半分では、地図から現在地のハザードマップを災害情報とともに確認できる「重ねるハザードマップ」を見ることができます。場所を入力するか「地図を見る」から現在地を表示することで、地図に重ねて災害情報などを表示することができます。

水害対策② 事前の対策を行う

水害対策② 事前の対策を行う

水害が予測される状況となる前の段階で、必ず以下の事項を確認・周知しておきましょう。

  • 「避難場所」と「避難経路」を確かめておく
  • 土のうや水のう、止水板を準備するなど、物理的な浸水の備えを整えておく
  • 防災グッズや非常持ち出し品を用意し、すぐ持ち出せる場所に保管する
  • 事業にかかわるデータの消失を防止するため、バックアップを取る など

また昨今においては、新型コロナウイルス感染症対策をともなった水害対策も必要です。特に避難所では窓を開放できなかったり、人の密集が避けられなかったりする状況も想定されます。収容人数そのものを減らして避難所の分散を図る対応を採られると予測されるため、事業所内での自主避難なども検討しておきましょう。

災害発生時の水害対策

災害発生時の水害対策

いざ災害が予測される状況になった場合、どのように順序だてて対策を実施していけば良いのでしょうか。ここでは、災害発生が予測される場合の対策についてご紹介します。

準備はいつから?

先にも述べましたが、対策の準備は「水害発生が想定される前に済ませておく」ことが基本です。前の項目でご紹介した事前の備えに加え、「周辺の浸水しやすい地域」や「近くにある避難所」などを確認しておきましょう。

行動するタイミングは?

警戒レベル1(早期注意情報)

翌日までの期間で、大雨に関する災害が予想されている段階を指します。一両日中には水害が起こることを想定し、今後の気象情報などに注意し心構えをしておきましょう。

警戒レベル2(大雨注意報、洪水注意報、高潮注意報)

被害につながる可能性がある注意報が出ており、避難行動についての事前確認を要する段階を指します。先に確認しておいた避難所や避難経路を再確認し、いざという局面に備えておきましょう。

警戒レベル3(大雨警報(土砂災害)、洪水警報、氾濫警戒情報、避難準備・高齢者等避難開始情報)

警報が発令され、自治体が住人の避難準備や高齢者などの避難開始を知らせる目安となる段階です。自治体などの避難準備情報や高齢者等避難開始情報が発令されることに備え、現在の川の水位やハザードマップの情報を確認します。その上で、事業所内に高齢者等がいる場合は早期避難させる判断をしましょう。

警戒レベル4(土砂災害警戒情報、氾濫危険情報、高潮特別警報、高潮警報、避難勧告、避難指示)

災害が差し迫っており、避難が必要であると判断される段階です。避難勧告は「避難を推奨する状況」で発令され、避難指示は「直ちに避難が必要な状況」を知らせるものです。避難勧告が出た時点ですでに避難が開始されていることが望ましいため、自治体の避難勧告発令に留意しましょう。ただし避難勧告の有無にかかわらず、川の水位やハザードマップでの危険度などを基に自主的な避難の判断が必要となる場合もあります。

警戒レベル5(災害発生情報)

すでに何らかの災害が発生した状況ですから、この時点ですべての人が安全な状況に置かれていることが大前提です。この時点で災害現場となる可能性のある場所にいる人は、命を守ることを最優先とする行動を確実にとりましょう。

なお2020年8月現在、内閣府が自治体の発令する避難に関する情報のうち「避難勧告」を廃止し、「避難指示」に一本化することを検討しています。一本化されると、従来「避難勧告」を発令していたタイミングで「避難指示」が出されることとなります。

避難に備えた「タイムライン」を作成しておく

災害は「発生する前の対策が基本」と言って良いでしょう。そのために「タイムライン」を設定の上、それに基づく避難準備を事前に検討しておくことがおすすめです。
「タイムライン」とは、一人ひとりが災害に備え時系列ごとにどう避難に向けた行動をとるか決めておくものです。タイムラインシート(防災行動計画)などを作成し、災害が起こる前からいざというときの行動に対して意識付けをしておきましょう。

避難する際の注意点

避難する際の注意点

水害による避難には、注意すべきポイントも数多くあります。ここでは水害で安全に避難するための注意点について、ご紹介します。

河川の氾濫

大雨で見通しが悪いなか、暗くなってからの避難は危険度を高めます。できるだけ明るく見通しの良い時間帯のうちに、早めの避難を心がけましょう。
また、気になるからと言って川や側溝などの様子を見に行ってはいけません。自治体や省庁などでライブカメラを設置しているため、それらの情報を参考にしましょう。

土砂災害など二次被害

水害においては、土砂崩れなどによる二次災害の可能性も高くなります。近隣や周辺の地形を確認し、これらの被害が想定されるようであれば気象情報や雨量などを確認しましょう。危険度の高い地域では自治体が土砂災害警戒情報を発令しますので、それに基づいて避難などの行動をとるようにしてください。また建物の内部でも、土砂の流入を想定して2階以上や崖から離れた場所に滞在するなどの対策をとりましょう。

また先にも少し触れていますが、新型コロナウイルス感染症予防の観点から今後は避難所などの収容人数を減らす方策も採られると考えられます。在社・在宅で十分な備えができており、場所としても危険度が高くないようであれば「在社・在宅避難」の選択肢も想定しておきましょう。

早期の事業再開のポイント

早期の事業再開のポイント

企業としては、水害で事業がいったんストップしてもすぐに再開を図れる状況を整えておくことも重要です。

BCP対策の策定

大企業におけるBCP策定状況
中堅企業におけるBCP策定状況

内閣府の調査によると、この13年間で、「策定済み(緑)」の割合が大企業では3倍以上、中堅企業中では2倍以上増加しています。いずれも、東日本大震災発生の翌年度である平成23年度に「策定済み」「策定中(青)」「策定予定中(紫)」を合わせた比率が大きく増加している点が特徴です。
国内企業全体の災害に対する意識は大幅に向上したと言えますが、まだまだ意識強化に取り組む余地は残されています。

いざ事業が止まってしまっても、順を追って再開に向けた取り組みへすぐ着手できるよう、事前にBCP対策を整えておくべきでしょう。

安否確認の仕組みや物品の準備

また、企業単位で従業員の安否確認などを迅速に行える仕組みを整えておき、万一の事態においても状況把握を可能にしておきましょう。

事業に必要な備品や蓄電池など、災害下での業務で必要となる備えも整えておくと良いでしょう。近隣や周辺に氾濫の危険がある河川がある場合は、水位計を確認することも得策です。

ALSOKの水防法対策

ALSOKでは、最新の法令に基づいた「水防法対策ソリューション」をご提供しています。浸水防止計画の計画書作成支援から訓練実施に至るまで、改正水防法によって義務化された事業所の危機管理対策や、安全確保のための対応をトータルでサポートします。

まとめ

今回は水害について解説しながら、事業所における水害対策や災害発生前からの準備行動などについてご紹介しました。
災害の発生は予測不可能なものと思いがちですが、水害に関しては現在気象情報の精度向上などにともない、他の災害と比べ比較的詳細な予測が可能な災害となりました。
ただし近年においては短時間での大量の降雨が観測される機会が増えるなど、水害発生に際しより迅速な対応も必要となってきています。従業員の命を守ることを最優先とし、災害後の早期事業再開に関する取り組みなども考慮した積極的な備えを実現することが急務となるでしょう。