フリーアドレスとは?メリット・デメリットと導入成功のポイント

近年の働き方改革推進によって知られることとなった、新しいオフィスの形の1つに「フリーアドレス」があります。固別のデスクをつくらずオフィスの好きな場所で仕事ができる形式です。
この記事では、2020年からの新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、ますます注目を浴びているフリーアドレスという働き方の概要やメリット、導入のポイントをご紹介します。
目次
フリーアドレスとは?
まず、フリーアドレスとはどのような働き方なのか、その概要についてご紹介します。
個別のデスクがない
従来のオフィスでは、各社員に個別のデスクが与えられていました。しかし、フリーアドレスでは、社員それぞれが専用のデスクを持たないスタイルとなっています。毎日固定された1つの席で働くのではなく、都度空いた机などを選んで業務にあたることが可能です。
業務は基本的にノートパソコンで行う
フリーアドレスでの業務は無線IP電話や携帯電話、無線LAN、ノートパソコンなどを使用し、基本的に可動性の高いワークスタイルで働くことになります。そのため気軽に持ち運びができないデスクトップパソコンを支給している企業では、別途ノートパソコンの導入が必要になるでしょう。
荷物は専用スペースに保管可能
フリーアドレスの場合は、デスク周辺に荷物ワゴンや収納スペースがないことが多いです。その代わり、パーソナルロッカーといった専用スペースが個別に割り当てられ、荷物や書類などはそこで保管できます。
フリーアドレスが注目されている背景
フリーアドレスが近年大きく注目され、急激に浸透している背景や、各社がフリーアドレスを導入する目的についてもご紹介します。
日本のフリーアドレスの歴史は、1980年代までさかのぼります。1987年に清水建設技術研究所で、実験的に導入された事例が日本で最初のフリーアドレス導入例とされています。その後、オフィス業務のデジタル化にともないペーパーレス、クラウドなどの技術が取り入れられ、一般的なオフィスにおいてもフリーアドレスが実現可能となりました。
また、2010年代後半からの働き方改革により、テレワークやフレックスタイム制など働き方の多様化もフリーアドレスの普及を後押しすることとなりました。
そして2020年には新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、テレワークの導入がさらに進んだことによって働き方の選択ができるようになったことにより個別デスクではなくフリーアドレスへと変容していきました。このような流れが、現在のフリーアドレス普及を促進していると考えられます。
フリーアドレスを導入するメリット
オフィスにおいてフリーアドレスを導入することで、どのような利点が得られるのでしょうか。ここでは、フリーアドレス導入のおもなメリットをご紹介します。
スペースの有効活用とコストの削減
固定のデスクを用意しないことで、空いている座席を臨時の打ち合わせスペースとして活用したり、休憩スペースとして利用したりとその時オフィスにいない人の分のスペースを有効活用できます。またテレワークやペーパーレス化を同時に導入することでオフィスにいる人数や保管する書類が減り、使用するスペースの縮小に繋がり、賃料や電力コストの削減も実現可能です。
情報漏えいリスクの低減
各自が自分のデスクに格納していた書類などをキャビネットに保管したりデータ化するなど、適切に整理整頓することにより、物理的なインシデントによる情報漏えいリスクを減らせます。個別のデスクがないことで資料や私物をデスクに置きっぱなしにすることもなくなり、専用キャビネットでの保管によって個人の荷物も紛失・盗難を防げます。
社内コミュニケーションの促進
席が固定されないことでコミュニティが広がり、社内コミュニケーションの活性化にもつながります。普段あまり話すことがない部署の社員と隣り合うことで会話が生まれ、部署同士の連携が取りやすくなることが期待できます。
アイデア・創造力の促進
各部署が持つ知識や情報の共有が可能となります。新しいアイデアなども生まれやすくなり、生産性の向上が期待できるでしょう。
フリーアドレス導入のデメリット・失敗例
フリーアドレス導入には多くのメリットがありますが、導入にあたり注意しておくべき点もあるため、それらについても見ていきましょう。

フリーアドレスを活かせない可能性がある
フリーアドレスを導入しても、結局個々の社員が着く座席がいつも同じ場所になり、固定化されていた頃と同様になってしまう可能性があります。その状況を招いてしまうとフリーアドレスのメリットを最大限に活かすことは難しくなり、導入した意味があまりなくなるでしょう。
部署・グループ内の連携がしづらい
席が固定されていないと、特定の社員の居場所を探すときに手間がかかります。上司もメンバーを管理しにくくなると、作業の進捗状況の把握が難しくなる可能性があります。他部署とのコミュニティが広がったとしても、部署内のコミュニケーションが薄くなってしまうことは避けなければなりません。
メール・チャットツールの積極活用や、週で曜日を決めて部署ごとに集まって作業するなど、部署やチーム内の連携を意識した体制作りが重要です。
集中しづらい
業務に無関係な会話が耳に入りやすいことや、毎日の環境変化がストレスになってしまう人もいることが予測されます。集中して作業を行いたい人たちにとっては、フリーアドレスが生産性低下につながってしまう可能性もあるでしょう。
必要に応じて集中して作業できる空間や、専用の打ち合わせスペースを設けることも検討しましょう。
フリーアドレス導入を成功させるポイント
フリーアドレス導入の際は、そのメリットと注意点を意識する必要があります。ここでは、フリーアドレス導入時のポイントをご紹介します。
導入目的を明確にする
フリーアドレス導入の目的やメリットを明確にし、社内で必要性の高い部署について導入を判断するなど、適材適所を意識して導入の計画を立てましょう。
勤怠管理の見直し
フリーアドレスは各社員の状況把握が難しく、出退勤の確認が取りにくいというデメリットがあります。このため、オフィス入退室を管理するシステムを導入したり、勤怠管理の方法を見直したりする必要が出てくるでしょう。
部署ごとの環境の整備
フリーアドレスの導入が向いている部署があれば、適していない部署もあります。たとえば、専門的な業務においては隣席のメンバー同士で連携する必要があり、上司と部下、先輩と後輩が相互にフォローすることが頻繁な場合は座席を固定化した方が良い場合もあります。またコールセンターのような在席率が高く、自席のみで業務が完結してしまう業種に関しても同様でしょう。
導入に適している職場においても、業務に集中できる空間や打ち合わせ用のスペースを両方設けておくなど、適宜環境を整備しておくことは重要です。
セキュリティ管理の強化
部署内にたくさんの人がいる場合、フリーアドレスによって顔ぶれが毎日変わるため、外部の人がいても気付かれない可能性があります。防犯カメラやセキュリティシステムの導入なども検討し、物理的なセキュリティインシデントを想定した対策を行いましょう。
ALSOKのサービスで働きやすいオフィス環境の整備をサポート
上述の通り、フリーアドレスにはメリット・デメリットが存在し、適した環境に導入することで効果を発揮します。また、導入する場合、フリーアドレスによって顔ぶれが毎日変わるため、入室制限を設けていないオープンスペースなどでは内部と外部の人の見分けがつかなくなる場合なども想定し、防犯カメラやセキュリティシステムの導入も必要です。
ALSOKでは、フリーアドレスにも適した各種セキュリティサービスを多数ご提供しています。
・ALSOKの監視カメラ・防犯カメラ
不審な人物の入室があった場合の証拠映像として入退室映像を録画しておくことはBCPの基本です。ALSOKの監視カメラ・防犯カメラは多彩なカメラを揃えており、さまざまな環境に対応できます。
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・ALSOKの出入管理・入退室管理システム
外部の人の入室制限をかけるだけでなく、勤怠管理システムとの連携も可能です。顔認証による出入管理で、非接触による入退室を可能にするだけでなく、なりすましの防止も実現できます。
・ALSOKのPCマネジメントサービス
離れた場所からでも、社内パソコンの操作ログや外部デバイスの制御が可能です。
また、ALSOKの情報警備監視センターが24時間365日監視を行うため、システム管理者の手間を削減できます。
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まとめ
フリーアドレスは単に個別デスクをなくせばよいというものではなく、その目的を明確にし、メリットを意識しながら導入の計画を立てることが重要です。働き方を見直すときには、従業員の勤怠や情報セキュリティに関する手法の見直しも行わなければなりません。フリーアドレスの導入に際し、快適に働ける環境作りや管理体制の刷新にお悩みであれば、ALSOKまでお気軽にお問い合わせください。