移動店舗車とは?社会的ニーズの高い移動式ATMの活用方法

移動店舗車とは?社会的ニーズの高い移動式ATMの活用方法
2021.09.29

車内に預金サービス機能を設けた車両を街頭などに停車し営業するこれらの車両は「移動店舗車」と呼ばれ、地域ニーズへの対応や災害時の緊急対応などに用いられています。
この記事では、おもにATM機能などを備えた移動店舗車についてご説明し、背景や活用のポイントについてもご紹介します。

目次

注目されつつある「移動店舗車」

移動店舗車とは

移動店舗車はバン・トラック(小型)などに、ATMや簡易的な金融窓口機能を設けた車両です。

移動店舗車とは

移動店舗車のおもな目的は、公共交通が不便な地域や過疎地、最寄りの支店からも距離がある地域のための取り組みの一環です。
金融機関が移動店舗車を導入するケースは、古くは1970年代頃からあったとされています。当時は最寄りに支店のない地域や、団地など利用者の多い場所でスポット的に稼働する用途が中心で、都市機能の充実とともにその数はいったん減少しました。
しかし現在では、当時とは異なる需要の高まりによって、再導入する金融機関が増加しています。次の項目では、近年移動店舗車が再度注目を浴びる背景についてご説明します。

移動店舗車の導入が増えている背景

移動店舗車が再び多く導入されるようになったことには、以下のような昨今の社会的背景があります。

災害時に必要となるのは「現金」

2010年以降、全国で災害による大規模避難の機会が多くなったことが、移動店舗車の有用性が再認識されるきっかけとなりました。
2011年に発生した東日本大震災では、その被害による大規模避難が開始された直後より、セブン銀行が移動式ATMを活用したことが大きく報じられました。

災害時には停電をともなうことも多く、あらゆるキャッシュレス決済が機能しなくなる事態も想定されます。そのような現場では、現金での金銭授受に頼るしかなくなるでしょう。それだけにキャッシュレス化が進む中でも、未だ現金は決済手段の主流として欠かせない存在といえます。

災害は発生の予測がむずかしく、被災時に手持ちの現金がなくクレジットカードなどの電子決済も使えないという状況に陥る可能性は十分にあり得ます。
このような背景から、各金融機関が地震や台風・噴火などの災害避難時の備えとして移動式ATMへのニーズを再認識し、近年移動店舗車の導入を増やしているのです。

営業空白地の補完や利便性向上

全国規模で進む超高齢化や、それにともなう人口減少による経営戦略の見直しなどにより、金融機関の店舗数は年々減少しています。このような営業空白地を補完し、地方住民の利便性を向上させるだけでなく、東日本大震災や西日本豪雨による被災の経験を活かし、災害時の緊急支援、BCP対応強化を目的に全国で移動店舗車の導入が進んでいます。現在、約80台※当社調べの移動店舗車が全国で活躍しています。

以下は、全国の移動店舗車の導入状況を表にまとめたものです。

全国の移動店舗車導入事例

※各行のプレスリリースより抜粋

その他、2018年には大規模な音楽ライブイベントの開催に際して移動店舗車によるATMの設置が行われ話題となるなど、さまざまな用途や需要に応じた活用が始まっています。

移動店舗車はどのように活用できるか?

移動店舗車のニーズは、地域的な事情や昨今の社会情勢を背景に、今後も高まることが予測されています。ここでは移動店舗車の具体的な活用方法や、導入を図るメリットについてご紹介します。

営業戦略

ライフスタイルの変化によって金融取引も日々進化する一方で、多くの銀行が店舗数を徐々に減らしていくか小規模化する方向性を明示しています。今後、店舗数が減ることで顧客が金融機関を訪れる機会が減っても、これまでと変わらず顧客との接点を維持し、人員の最適な配置策として移動店舗車がより役立つと考えられるでしょう。

営業戦略面での具体的なメリットは、以下のようなケースが挙げられます。

  • 最寄り店舗との距離が遠いエリアにお住まいの方でも気軽に利用できる
  • 移動手段が限られる高齢者に対するサポートとなる
  • 災害などの有事において、より多くの現金を被災者に届ける手段として、また被災した企業が支払いや資金調達ができるよう業務継続をサポートする など

上記のように移動店舗車を取り入れることで、顧客の解約防止とともに、新たな販路開拓のチャンスにもなり得るでしょう。

コスト削減

営業空白地が生じてしまうため不採算店舗を存続せざるを得ない場合にも移動店舗車が有用です。店舗を統廃合する代わりに、定期的に旧店舗エリアへの移動店舗車巡回を行うことで、その地域の販路を補完することができます。地域に金融サービスを継続して提供できるとともに店舗の統廃合によるコスト削減にも繋がります。

地方創生

近くに金融機関がないなどで生活利便性が損なわれることにより、地域そのものの衰退を招く可能性もあります。生活利便性を維持し、住みやすい地域社会を形成・維持するためにも、移動店舗車の導入は有用でしょう。
災害支援や高齢者の方へのサポートはもちろん、数少ない店舗に人が集中して長時間待たせてしまうことを回避するためにも、移動店舗車を役立てることができます。

BCP対策の一環

各金融機関のBCP(事業継続計画)対策の一環でも移動店舗車は役立てられます。万一災害などで店舗が営業できなくなっても、その場で移動店舗車を代替店舗として活用することで、スピーディに事業継続を図れます。

近い将来、移動店舗車の時代がやってくる?

現在でも、全国の金融機関で導入が進んでいる移動店舗車。今後も自然災害などの影響で、いつ非常事態が起こるか分からない状況です。
特に災害時の大規模停電を想定した場合、手元に現金があることは非常に重要です。近年では移動店舗車に搭載できる機能も進化しつづけており、移動店舗車があることで事業の拡大が見込める可能性も考えられます。

ALSOKの移動店舗車ならセキュリティも万全

金融機関が移動店舗車を運用するにあたって、不安を感じることといえば多額の金銭を輸送することにともなう警備上のリスクではないでしょうか。

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新たに移動店舗車を導入する際には、ALSOKが提供する移動店舗車のご活用やセキュリティサービスとの組み合わせで安全で安心できる運用をご検討ください。

まとめ

都市機能の変化で一時は旧式の営業手段と呼ばれた移動店舗車ですが、近年の自然災害の増加などにより、再度大きく注目されています。今後は地方創世や高齢化対策などでの有用性も想定できることから、新規導入・再導入を考えている金融機関も多いことでしょう。
しかし移動店舗車の運用には、相応のセキュリティ対策も必要となります。導入に際し、警備や管理面におけるセキュリティでお悩みであれば、ぜひALSOKまでお気軽にお問い合わせください。