企業に求められる新型コロナウイルス対策(感染症対策)とは

企業に求められる新型コロナウイルス対策(感染症対策)とは
2022.12.22更新(2020.07.22公開)

2020年に新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が深刻化し、日本においても全国民が前例のない生活に臨むこととなりました。新しい生活様式が定着した現在でも、日々の仕事や生活で引き続き感染予防対策に取り組んでいることでしょう。

そこで今回は、企業に求められる新型コロナウイルス感染症の予防対策の取り組みをご紹介します。当面、ウィズコロナの時代は続くと言われている昨今、企業における感染症対策の検討・実施にもお役立てください。

目次

感染症対策の必要性

感染症対策の必要性

出典:[厚生労働省]新型コロナウイルス感染症について - オープンデータ「新規陽性者数の推移(日別)」

日本における新型コロナウイルス感染症の状況は2022年10月時点で、全国の累計陽性者数は、2000万人を超えています。また下記の期間にかけては全国に緊急事態宣言・まん延防止等重点措置が適用され、一部業種への休業要請や外出自粛徹底が呼びかけられました。

【緊急事態宣言の発令期間】

1回目:2020/4/7~5/25

2回目:2021/1/8~3/21

3回目:2021/4/25~6/20

4回目:2021/7/12~9/30

【まん延防止等重点措置】

1回目:2021/4/5~9/30

2回目:2022/1/9~3/21

緊急事態宣言の発令は2020年に1回、2021年に3回発令されました。2022年2月からワクチン接種が始まったことで、緊急事態宣言やまん延防止重点措置の発令はほぼなくなり、基本的な感染対策(マスク・ソーシャルディスタンスの確保など)を行った上での外出や旅行などが増えてきました。2022年10月現在、旅行支援開始や一部テーマパークでのマスク着用ルール緩和など、徐々に以前のような生活も戻りつつありますが、まだ感染者ゼロとなる状況には至っていません。また有効な治療法の確立にもしばらくの期間を要するとみられ、感染対策も今後一定期間は必要になると考えられます。

国民1人ひとりの感染予防意識が高まったことからも、急激な感染爆発の可能性は徐々に低くなりつつありますが、感染症そのものへの予防・対策が必要な状況は長期化するとみられています。完全な収束までは、引き続き気を抜くことなく現在行っている対策を続行することが重要でしょう。

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

企業がとるべき対策①働き方の工夫

企業がとるべき対策①働き方の工夫

企業活動においても、新型コロナウイルス感染症に対する予防・対策は不可欠となりました。ここでは、社員の働き方について感染症予防のために企業が工夫すべきポイントをご紹介します。

1.テレワーク(リモートワーク)

企業における職種のうち、対面での対応が不要でパソコンなどを用いて1人で進められる業務に就く従業員に、テレワーク(リモートワーク)に従事してもらうことも有効です。テレワークの導入には助成金制度なども設けられているため、活用の上導入を検討すると良いでしょう。

2.時差出勤

職種に応じて時差出勤とすることで、通勤における3密を回避することができます。同時に通勤ラッシュの回避にもなるため、企業単位のみならず社会全体での感染予防にもつながるでしょう。
また、従業員数の多い職場においては時差出勤の実施で人員を調整し、職場内での密集を回避することも可能となります。

3.ソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)

職場内でも従業員や来客などと一定の距離をとる「ソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)」の確保も急務となります。日ごろ業務を行う執務スペースのみならず、エレベーターや会議室など不特定多数の人が接する場所についても、例外なくソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)の確保に努めましょう。

企業がとるべき対策②ウイルスとの接触を減らす

企業がとるべき対策②ウイルスとの接触を減らす

企業内での新型コロナウイルス感染症予防には、勤務形態への配慮のみならず感染症予防の徹底も欠かせません。ここでは、感染症予防のための個々の基本的な取り組みについてご紹介します。

1.手洗い・うがい

すでに多くの方が取り組んでいることかと思われますが、外出から帰社したときや朝の出社のタイミング、そして共用スペースを利用した後は必ず石鹸などで手洗いをしましょう。また、外出帰りにはうがいをすることも忘れずに。
共用スペースとともに、社内で共有している物品を使用した後も石鹸などで手洗いを励行しましょう。

2.アルコール消毒

手洗いが難しい場合、アルコール消毒などウイルス対策に効果のある消毒を徹底しましょう。消毒する際は手のひらだけでなく指先までしっかり消毒液をすり込み、予防効果を高めることが大切です。

3.マスクの着用

人と対面する際や他の人がいる場所で業務を行う際には、会話などによる飛沫感染を防止するためできるだけマスクを着用しましょう。

4.タッチレス化

従業員の勤怠管理にタイムカードを導入している企業は、操作の際に手が触れずに済むようタッチレス化の導入を図ることも有効です。また、トイレや洗面所の水道にも非接触での操作が可能なものや、自動洗浄などの導入を検討することがおすすめです。店舗の場合は、ICなどでの非接触決済が可能なキャッシュレスサービスの導入も一案でしょう。

5.入退室管理(顔認証)

オフィスへの入退室に電気錠やオートロックなどの入退室管理システムを導入している、あるいは検討している企業の場合、認証方法として「顔認証」を用いた管理システムを取り入れることも有効策です。

6.非接触での検温

従業員の体温測定を行う際にも、接触不要で瞬時に測定できる非接触型の体温計を選定すると短時間で効率的に検温が可能です。

7.オフィスの消毒

定期的に社内の各フロアを消毒するなど、感染を防ぐための施設単位での対策も大切です。また、不特定多数の従業員や顧客が常時触れることが想定される備品や設備はこまめに消毒液で拭くなど、物品単位の消毒も欠かさず行いましょう。

企業がとるべき対策③従業員に感染の疑いがある場合

企業がとるべき対策③従業員に感染の疑いがある場合

1.コロナ感染を疑う基準値

新型コロナウイルス感染症の主要な症状は風邪・インフルエンザと似ており、特に発熱から感染疑いとなるケースが主になっています。現在、厚生労働省より公表されている「感染を疑う症状」については以下の通りです。

  • 息苦しさや呼吸困難、強い倦怠感、高熱などのいずれか
  • 高齢者の方、基礎疾患をお持ちの方、透析や免疫治療、がん治療を受けている方で発熱や咳など風邪の症状がある
  • それ以外の方でも、発熱や咳などが続く場合。4日以上続けば必ず相談を

厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(一般の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html

2.従業員が該当の症状を訴えた場合

決して無理をさせず、まずは大事をとって会社を休んでもらうようにしましょう。それが仮に新型コロナウイルス感染症の症状ではなかったとしても、従業員自身の健康を守ることや企業全体の安全管理において必要な行動です。

正しい知識の獲得

正しい知識の獲得

災害や感染症に対して有効な知識を得ることはとても重要です。しかし、現在はインターネットの発達などで膨大な情報が正誤を問わず出回っています。それだけに、新型コロナウイルス感染症についても誤った情報に惑わされず、正しい知識を正しく選定して得ることが重要です。

まず、新型コロナウイルス感染症に関する正しい情報を知りたい場合、厚生労働省が随時更新しているホームページを確認しましょう。
また、厚生労働省のホームページに掲載されている「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」も、疑問解決への有効策となり得るでしょう。新型コロナウイルス感染症に関し、企業活動で起こり得るあらゆるケースへの対応方法が網羅されています。
その他、内閣府からの新型コロナウイルス感染症に関するリリースや、外務省の渡航注意情報についてもこまめに目を通し、最新の情報を把握しておくと良いでしょう。

これまで自然災害などに対して用いられてきた「正しく恐れる」という言葉は、新型コロナウイルス感染症に関する情報を得る際にも重要なキーワードとなることが分かります。

厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html

感染症対策はいつまで行うべきか

感染症対策はいつまで行うべきか

多くの方が現在知りたいと考えていることの1つに、「コロナは近いうちに沈静化するのか」という疑問が挙げられるのではないでしょうか。
現在、定期的なワクチン接種の推奨や治療薬の承認が活発に行われている状況です。2022年10月時点では、厚生労働省の承認を受けている新型コロナウイルス治療薬には「抗炎症薬」「抗ウイルス薬」「中和抗体薬」があり、このうち重症化を防ぐ目的で「軽症」の方に投与されるのは「抗ウイルス薬」と「中和抗体薬」となっています。確実な治療・予防策の確立までは一定の時間がかかるとみられるため、感染者が減っている状況でも安心はできないという認識を持っておいたほうが良いでしょう。

また、新型コロナウイルス感染症以外にも、インフルエンザや季節性の風邪など身近な感染症のリスクも同時に存在します。それだけに新型コロナウイルス感染症に限らず、この先も企業として継続的な感染症対策が必要です。
感染症が存在する限りは、企業における感染症対策にも終わりはないという認識を持っておきましょう。

出典:東京都福祉保健局 新型コロナウイルス治療薬等について
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/shien/chuwakotai.html

まとめ

今回は新型コロナウイルス感染症に対し、企業に求められる感染予防や対策についてご紹介しました。当面の間、新型コロナ感染予防は生活の一部となり、感染防止への取り組みが日常的になっていくと考えられています。
企業でも引き続き油断をせず、「感染予防は当たり前」という認識で正しく対応・対処を行っていくことが必要でしょう。