バイトテロとは?起こる原因や事例、企業が取るべき対策を解説

スマートフォンを操作するアルバイト従業員
2025.09.30

近年、アルバイト従業員の不適切な行為がSNSで拡散され、企業のブランドイメージや売上に甚大な被害をもたらす「バイトテロ」が深刻な問題となっています。
この記事では、バイトテロの定義から起こる原因、企業が行うべき対策まで解説します。

目次

バイトテロとは?

バイトテロとは、アルバイト従業員が職場での不適切な行為の様子をスマートフォンなどで撮影し、SNSに投稿して炎上することを指します。不適切な行為とは、衛生的に問題のある行為、業務とは無関係な悪ふざけ、備品を故意に破損する行為などです。

バイトテロが社会問題として注目された背景には、デジタル技術の発展により誰もが簡単に情報発信できるようになった一方で、リスクに対する認識の低さや理解が追いついていない現状があります。バイトテロは単なる個人の悪ふざけとして片付けられる問題ではなく、企業の評判やブランドイメージを著しく損なう行為として、近年特に問題視されるようになりました。

バイトテロが起こる原因

SNSを見る若者

バイトテロの主な原因としては、スマートフォンやSNSの普及、ネットリテラシーの低さ、スタッフの管理不足や、職場への不満・ストレスなどが挙げられます。

スマートフォンやSNSの普及

近年、テクノロジーの進化によりスマートフォンやSNSの普及率が飛躍的に高まりました。誰もが簡単に動画や写真を撮影し、すぐにSNSで共有できる環境が整っています。職場での悪ふざけも、仲間内で盛り上がる目的で気軽に撮影・投稿してしまう傾向がみられます。
また、若い世代はSNSを日常的に利用しているため投稿のハードルが低く、投稿に対する反応を得たいという承認欲求がはたらきやすいこと、一時的な投稿機能などにより「すぐに消えるから問題ない」と誤った認識が広がっていることも、不適切な投稿を促す一因だと考えられます。

ネットリテラシーの低さ

SNSが急速に普及しているのに対し、ネットリテラシーが欠如した若い世代が多いことも原因の一つです。一度インターネット上に投稿した内容は、完全な削除が困難なうえ急速に拡散する可能性があり、「デジタルタトゥー」になりえることを十分に理解していない人も多くいます。
軽い気持ちで行った行為が、企業の信用失墜や株価下落、自身への損害賠償請求や刑事罰といった重大な事態につながる可能性を認識できていないのです。

スタッフ管理体制の問題

SNS利用のリスクや職場でのモラルについて、十分な教育が行われていないことも問題の一つです。従業員教育や指導を怠ることで、問題行動を誘発する環境を生むおそれがあります。また、現場での監督体制が不十分で、アルバイト従業員の不適切な行為を早期発見する仕組みが整っていないことも、バイトテロを招く原因といえます。

職場への不満やストレス

低賃金や長時間労働、ハラスメント、理不尽な扱いなど、ストレスを抱えたアルバイト従業員がバイトテロを起こすケースもあります。職場に対する不満やうっ積した感情が、SNSでの炎上行為として表面化するケースもあるのです。職場でのコミュニケーション不足や、アルバイト従業員が安心して働ける労働環境が整備されていないことも、不満を募らせる原因となりえます。

バイトテロが企業に与える影響

バイトテロは、企業に甚大な経済的被害をもたらします。場合によっては短期的な影響にとどまらず、企業の存続そのものに関わるリスクとなりえるでしょう。

クレームなどへの対応コスト増大

不衛生な行為や不適切な言動が拡散・炎上すると、企業に対して電話やメール、SNSなどを通じて多数の批判やクレーム、問い合わせなどが殺到することが予想されます。謝罪や状況説明に膨大な時間と労力を費やし、通常業務を著しく圧迫します。

企業の信頼やブランドイメージの低下

不衛生な行為や不適切な言動が拡散されると、「この企業の商品・サービスは本当に安全なのか」「従業員教育は徹底されているのか」といった不信感が募ります。多くの消費者が企業に疑念を抱けば、これまでに築き上げてきた信頼やブランドイメージを一気に失う可能性があります。一度失墜した信頼・イメージの回復は容易ではなく、長期にわたって多大な労力を要します。

集客や採用数の減少

不衛生な行為や不適切な言動が拡散され、マイナスイメージが定着すると、来客数が減少するなど、直接的な経済損失が発生します。さらに、「従業員が大切にされていない」「管理体制が整っていない」といったマイナスイメージが広がることで、求職者からも敬遠されるようになります。
結果として、アルバイト従業員や正社員従業員の採用が困難になり、既存従業員のモチベーション低下や離職率上昇も懸念され、組織全体の生産性に長期的な悪影響を及ぼします。

バイトテロの事例

近年、実際に発生したバイトテロの事例をいくつかご紹介します。

【事例①】鼻の穴に入れた指をピザ生地にこすり付ける

2024年2月、大手ピザチェーン店で、アルバイト従業員が自身の指を鼻の穴に入れた後、ピザ生地にこすり付けているとみられる動画をSNSに投稿し、拡散されました。企業は公式に謝罪し、店舗内の生地をすべて廃棄のうえ、該当店舗の翌月までの営業停止処置を取っています。

【事例②】ホイップクリームを口に直接流し込む

2024年2月、食べ放題チェーン店のアルバイト従業員が、ほかのアルバイト従業員から羽交い締めにされ、業務用ホイップクリームを口の中に直接流し込まれる様子を撮影した動画がSNSで拡散されました。なお、使用されたホイップクリームは廃棄予定のもので、来店客に提供はされていないとのことですが、企業側は事実関係を確認し、公式に謝罪、当事者の処分を検討するとともに、再発防止策を講じる必要に迫られました。

【事例③】洗ったモップをホットスナックケースで乾燥させる

2024年10月、大手コンビニチェーン店で働く外国人店員が、洗ったばかりのモップをホットスナックのケースに入れて乾燥させているとみられる画像がSNSに投稿されました。画像は瞬く間に拡散され、この店舗の衛生管理体制に大きな疑問が投げかけられました。企業は当該店舗の一時的な営業停止を決定するとともに、一部店舗ではホットスナックケースを一時的に撤去する事態にもなりました。

企業が取るべきバイトテロ対策

アルバイト従業員の教育

バイトテロの被害を防ぐためには、企業は従業員への教育と管理体制の強化を徹底することが不可欠です。ここからは、企業が取り組むべき具体的なバイトテロ対策を解説します。

SNSリスク研修の実施

企業は定期的にSNSリスク研修を実施し、不適切なSNS利用がもたらすリスクと影響について従業員に教育する必要があります。具体的には、炎上のメカニズムや投稿が拡散される速さ、そして投稿した本人が負う法的責任などについて、具体的な事例を交えながら詳しく説明します。新しい事例や変化するSNS環境に対応するため、内容は常にアップデートすることが重要です。

SNSやスマートフォンの使用ルールの策定

従業員のSNS利用に関する明確なルールを策定し、全従業員に周知徹底することも不可欠です。職場での写真・動画撮影および投稿禁止、企業情報の投稿制限など具体的で理解しやすい内容にしましょう。また、休憩時間や指定場所以外でのスマートフォンの使用や持ち込みを制限することも、不適切な投稿や行為を防ぐために有効です。

現場での管理・指導体制の強化

現場での定期的な巡回や、従業員との密なコミュニケーションによって、問題行動の早期発見と是正を図ることが重要です。特にアルバイト従業員が多い時間帯や、社員の目が届きにくいバックヤードなどでの管理体制を強化することで、不適切な行為を未然に防ぐことにつながります。

採用基準の見直し

バイトテロのリスクを未然に防ぐため、採用段階での対策も有効です。面接時に応募者のSNS利用状況や価値観を確認し、過去のSNS投稿の内容なども調査することで、企業の価値観と合致するかを判断し、リスクの高い人材を事前に見極めることができます。
また、応募者の人柄や性格をじっくりと見極めるために、短期間での大量採用を避け、一人ひとりの適性を慎重に判断するプロセスを構築するのも有効な対策でしょう。

監視システムの導入

適切な場所に防犯カメラを設置することで、従業員の不適切な行為を抑制するとともに、問題が発生した際の早期発見とスムーズな事実確認が可能になります。また、顧客の目が届きにくいバックヤードや厨房などへの防犯カメラの設置は、衛生意識やモラル向上にもつながります。
一方で、プライバシーに配慮した設置場所の選定や、録画データの適切な管理が必要となります。

バイトテロ対策に役立つALSOKのサービス

ALSOKでは、バイトテロ対策にも役立つ商品を多数取り扱っており、管理体制の強化をサポートいたします。

防犯カメラ・監視カメラサービス

ALSOKの防犯カメラ・監視カメラサービスは、店舗や施設の状況に合わせて多種多様なラインナップから最適なプランをご提案します。高画質な映像で、離れた場所からでも録画映像を確認できるため、万が一問題が発生した場合でも、迅速な事実確認や証拠収集に役立ちます。オプションサービスで、ALSOKのデータセンターで録画映像を保管するクラウドサービスも利用可能です。

最先端の機械警備・オンラインセキュリティ「ALSOK-G7」

ALSOKの機械警備・オンラインセキュリティ「ALSOK-G7」は、店舗や事務所内に設置した画像センサーやカメラの画像をリアルタイムでスマートフォンやパソコンから確認でき、通話機能を使用して遠隔操作で指示を出すことも可能です。また、各種センサーが侵入や火災などの異常を感知すると、ALSOKが現場に駆けつけ適切に一時対処します。また、状況に応じて各関係機関と連携し、被害の拡大防止に貢献します。

まとめ

バイトテロは、企業に経済的・社会的なダメージを与える深刻な問題であり、その原因は行為に至ったアルバイト従業員だけでなく、企業の管理体制や職場環境に起因する可能性もあります。企業がバイトテロを防ぐためには、SNS利用に関する明確なガイドラインの策定やSNSリスク研修、現場での管理体制強化といった多角的な対策を講じることが不可欠です。バイトテロを防止するため、防犯カメラなどのテクノロジーも活用しながら、従業員一人ひとりのモラルを高める取り組みを進めましょう。