高齢者の万引きが多発!身内の対応方法は?

高齢者・介護 2020.08.28

高齢者の犯罪で最も多いのは万引きです。高齢者の万引きが多発する原因としては、年金を頼りに生活していることでの経済的な困窮や独居生活を送るなかでの社会的孤立・認知症による倫理的思考の欠如などが挙げられます。

高齢の親などが万引きをしてしまった際は、店舗へ速やかに謝罪と示談交渉を行わなければなりません。精神障害がある場合は専門機関への相談・治療など、家族が寄り添い、サポートすることが大切です。

今回は、多発する高齢者の万引き問題に関して、その原因や対策、万引きをしてしまったときの身内の対応などについてご紹介いたします。

高齢者万引きが多発する3つの原因

高齢者の犯罪における万引きの割合
高齢者の犯罪における万引きの割合

日本の高齢化社会が進むにつれ、高齢者による犯罪率も増加しています。法務省の調べによると、平成29年における高齢者の刑法犯検挙人員は4万6,264人(65〜69歳1万4,628人、70歳以上3万1,636人)でした。

なかでも検挙人員が最も多い高齢者犯罪は、万引きです。全年齢における万引きの検挙人員が全体の30.8%なのに対し、高齢者は65〜69歳で43.1%、70歳以上では64.6%を占めました。特に70歳以上の女性においては、刑法犯検挙人員1万1,349人のうち、なんと82.5%が万引きによるものです。[注1]

高齢者の万引きが多発する原因としては、次の3つが挙げられます。

1生活困窮・節約といった経済的な問題

少子化による世帯の核家族化、未婚率の上昇といった家族形態の変化によって、高齢者夫婦世帯や高齢単身世帯が急増しています。退職後、年金だけを頼りに生活している高齢者の世帯月収は当然低く、生活に不安を抱えている場合が少なくありません。

実際、高齢者の万引き被疑者のおよそ80%は無職で、犯行動機に「お金を払いたくない33.0%」「生活困窮30.0%」といった、経済的問題を挙げています。[注2]

高齢者の経済的問題による万引き多発の背景には、長寿化によって、日本の平均年齢が80歳を超えたことも関係しています。

老後が長くなるということは、退職金と年金で生活を営む期間が長くなることを指しています。現在の生活水準が満たされているにもかかわらず、「生きているあいだにお金が足りなくなるのでは」という不安にかられ、節約のための万引きを繰り返す高齢者も少なくありません。

2独居生活などによる社会的な孤立

高齢者の万引き被疑者のうち、56.4%が独居世帯であり、誰とも交友関係を持っていないという回答が46.5%でした。[注2]

子供の独立と配偶者との死別、未婚などで独居生活を送る高齢者の中には、周囲のサポートを得られず、社会的に孤立してしまうケースもあります。体が衰えていく中での孤独や不安は、存在意義や生きがいの喪失につながり、自暴自棄や自己破滅的行動=万引きなどの問題行動への引き金になっている可能性があります。

3認知症による前頭葉機能の低下

加齢に伴う心身機能の低下は避けられない問題です。特に75歳以上の後期高齢者は、軽度の認知障害によって前頭葉機能が低下し、倫理的思考や振る舞いができなくなる場合があります。

倫理的思考ができなくなると、「支払いを済ませてから食べる」といった理屈や、商品の購入手順がわからなくなり、結果的に万引きをしてしまうのです。

高齢者が万引きをしたときの身内の対応

高齢者が万引きをしたときの身内の対応
高齢者が万引きをしたときの身内の対応

高齢者の家族が万引きをしてしまったとき、家族がするべき対応は次の2つです。

1被害者への謝罪と示談交渉

万引き被害を受けた店舗側から連絡を受けたら、すぐにでも現場にかけつけましょう。被害者である店舗側に謝罪をし、万引きをした高齢者本人にしっかりと反省を促すことが大切です。家族の対応や本人の態度によっては、店側が警察への通報を留まってくれることもあります。

すでに通報され逮捕済みであった場合は、高齢者本人が書いた謝罪文の写しを提出しましょう。反省の意思があると認められ、不起訴処分になるケースもあります。

謝罪の際、店舗側と穏やかに話し合いができる状態であれば、示談によって事件を穏便に解決することも可能です。

同じ店舗で繰り返し万引きをしていた、万引きに対して厳しい対応を取っている店舗など、家族と店舗間での示談交渉が難しい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

2精神疾患の治療

万引きをした高齢者の犯行動機が、経済的な問題や軽度認知症による倫理的思考の欠如ではない場合は、精神的な問題を抱えている可能性が高いでしょう。

なかでも万引きをする行為が目的である、万引きすることで満足感や安心感を得られるという場合は、「クレプトマニア」という精神障害の疑いがあります。

クレプトマニアは、アルコール依存症のように自分の意思でコントロールできない障害です。家族の説得や刑罰でも改善されることはなく、専門の治療が必要です。まずはクレプトマニア専門の機関や診療所に相談し、専門家の診断を受けましょう。家族はまずクレプトマニアを理解し、治療に向けて寄り添ってあげることが大切です。

高齢者による万引き防止対策

高齢者による万引き増加を防ぐためには、次のような対策が必要です。

1高齢者が社会と関われる居場所やコミュニティを作る

万引きは再犯率の高い犯罪ですが、高齢者による万引きも例外ではありません。平成10年以降、高齢者の万引き再犯率は上昇傾向にあり、平成20年以降においては、万引き検挙人員の50%以上が再犯者です。[注1]

万引きを繰り返す高齢者の半数以上は、社会的孤立・孤独から生きがいを失っています。このような高齢者の万引きを防ぐには、

  • 家族や友人のいない高齢者が社会との関わりを持てる居場所をつくる
  • 独居の高齢者をサポートする地域コミュニティの形成

など、高齢者の社会から孤立させないことが大切です。

2店舗がやるべき万引き防止策

万引き被害者となる店舗側は、

  • 防犯カメラやミラーを設置し、店舗敷地内の死角を排除
  • 万引き防止用機器の導入
  • 「万引き警戒中」などの啓発用ポスターの掲示

といった基本的な万引き対策のほか、挙動不審な高齢者への積極的な声かけによって、「常に見られている」という意識を植え付けることが重要です。

多発する高齢者の万引きを未然に防ぐには徹底した防犯対策が必要

高齢者の万引きが増加している背景には、少子化や核家族化、未婚率の上昇などによる、日本の深刻な高齢化問題が大きく影響しています。

万引きを繰り返す高齢者の半数以上は、社会から孤立している独居世帯者です。しかし、なかには家族と同居し、経済的に余裕があるにも関わらず、万引きを繰り返す高齢者も存在します。

そういったケースは、クレプトマニアなどの精神障害を患っている可能性が高いため、一刻も早く専門機関に相談し、適切な治療を受けられるよう家族がサポートすることが大切です。

また、被害者となる店舗側は、積極的な声かけや防犯用機器の導入などで、高齢者の万引きを未然に防ぎましょう。

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