置き引きにあったらどうする? 発覚後の流れと防止策

防犯 2020.11.13(2023.02.27更新)

国内での置き引き発生件数は年々減少傾向にあり、令和3年度の置き引き認知件数は、前年より3,000件ほど少ない約9,600件でした。ただ、検挙に至った件数は約3,800件と少なく、全体の約3割に留まっています。[注1]大切な財産を失わないよう、日頃から置き引き対策を実施しておくことが大切です。

今回は、置き引きにあった時の対処方法や、置き引きを防止するための注意点、置き引きに狙われやすい人など、置き引きに関する気になる情報をまとめました。

10年以下の懲役に処される事も…。置き引きの罪

置き引きは、その場に置いてあった他人の持ち物や荷物を持ち去る行為のことです。「置き引き」は一般用語で、法律では「窃盗罪」または「占有離脱物横領罪」に該当します。窃盗罪とは、刑法第235条に定められており、他人の財物を盗む行為のことです。
たとえば、万引きや空き巣、置き引きといった被害者に気づかれずに財物を盗んだ場合、窃盗罪に該当する可能性があります。窃盗罪は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。

一方の占有離脱物横領罪は、刑法第254条に定められており、遺失物や漂流物など所有者の手から離れた物を自分の物とする行為のことです。
占有離脱物横領罪は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金もしくは科料となります。

どちらも他人の物を盗んだことに変わりはありませんが、占有離脱物横領罪は所有者の支配・管理が行き届いていない物に限定されるため、窃盗罪よりも科せられる罪が軽くなっています。

置き引きの手口

置き引きの手口
置き引きの手口

置き引きは所有者が油断したところを狙って行われる犯罪なので、場所やシチュエーションはもちろん、手口もさまざまです。

以下では、過去実際にあった代表的な置き引きの手口をまとめました。

  • 電車で居眠りしている所有者の隙を見計らい、網棚に載せてあるカバンや上着などから荷物を持ち去る
  • 空港などで、出入り口付近に荷物を置いてトイレに入った人の荷物を持ち去る
  • 自転車の前かごに忘れられていた荷物を持ち去る
  • ATMに取り忘れたキャッシュカードや現金を盗む
  • 温泉の脱衣所から衣類や貴重品などを持ち去る

日本は海外に比べると置き引きの発生件数が少ないため、荷物の管理意識が低く、荷物から目を離したり、置いたままその場を離れてしまいがちです。置き引き犯はそうした「うっかりミス」が起こりやすい場所(電車や空港、温泉など)をターゲットに犯行を繰り返す傾向にあります。日頃からしっかり荷物を管理しておくことが大切です。

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かばんが盗まれた!置き引きに気付いたあとの流れ

自分が置き引きに遭ったと気付くと、冷静ではいられず、パニックに陥ってしまいがちです。しかし、盗まれた物によっては対応が遅れると被害が拡大します。まずは冷静になり、これからすべき事をひとつずつこなしていきましょう。

ここでは置き引きに気付いたあとに取るべき行動と、一連の流れをまとめました。

1利用停止の手続き~クレジットカード~

置き引きされた物の中にクレジットカードが入っていた場合は、直ちにカード会社に連絡し、クレジットカード利用停止の手続きを開始しましょう。最初に警察への連絡が先と思いがちですが、警察からもまずはカード類の停止を勧められますので、連絡は利用停止手続きのあとでもかまいません。
クレジットカードの紛失・盗難に関しては、どのカード会社も24時間年中無休で受け付けていますので、置き引きに気付いた時点ですぐ連絡しましょう。紛失・盗難ダイヤルはクレジットカードの裏面や利用規約などに記載されています。できれば万一の場合に備え、クレジットカードごとの盗難ダイヤルをメモし、保管しておくと良いでしょう。オンラインでカードの紛失・盗難による利用停止手続きに対応しているカード会社もありますので、ご自身のカードをもう一度確認しておくのもおすすめです。

その他に、運転免許証や健康保険証、マイナンバーカード、キャッシュカード、パスポートといった個人情報が記されているカードが、置き引きされた荷物の中に入っていた場合も、利用停止や再発行の手続きをする必要があります。

2警察に連絡する

カード類の停止手続きを終えたら、警察に通報し、置き引きに遭った旨を伝えます。警察からは、最寄りの交番や警察署に出向いて、被害届または遺失物届のいずれかを提出するように言われます。遺失届とは、落とし物、忘れ物が届けられた場合、遺失者に連絡できるようにするための届出のことです。警察では拾得物として届けられた物件と遺失届の内容をシステム等により照合し、遺失者を探します。[注2]

一般的な犯罪の場合は、被害届を出し、現場検証を経て捜査が行われます。被害届を提出することにより、警察に事件が起きたことが伝わり、捜査のきっかけとなりますが、被害届は捜査を開始することを義務付けるような法的効果はありません。
そのため、置き引きのように現場に証拠が残りにくく、かつ被害者が気付かないうちに行われる犯行は、現場検証をしても手がかりをつかめる可能性は高くはありません。被害届と遺失物届では管轄も異なりますので、まずは遺失物届を出し、盗まれた物が戻ってくるのを待った方が良い場合もあります。

なお、所有物が戻ってきて、盗難だったことがはっきりわかった場合、後日あらためて盗難届を出すことも可能です。どちらを選ぶべきかはケースバイケースですので、警察と相談して判断しましょう。

[注2]警察庁遺失届情報サイト

置き引きに狙われやすい人の特徴

置き引き犯は所有者に気取られずに犯行を行えるよう、ターゲットを物色しています。具体的にどんな人が置き引きされやすいのか、主な特徴を2つご紹介します。

1何かに夢中になっている人

人は何かひとつのことに夢中になっていると、周囲に対する注意力が散漫になります。たとえば、スマホやパソコンの操作をしていたり、携帯電話で通話していたり、同行者とおしゃべりしたりしている人は、手近にあった荷物がいつの間にかなくなっていてもすぐに気付きません。また、電車や新幹線での居眠りも置き引きの被害に遭う大きな要因になります。

犯行に気付いた時には、すでに置き引き犯はその場から遠く離れていますので、いつ・どんな人に置き引きされたのか認知できず、泣き寝入りになってしまう可能性が高くなります。

2重い荷物、かさばる荷物を持っている人

通常、バッグやカバンは手に下げていたり、肩に掛けたりして肌身離さず持ち歩くものです。しかし、重量がある荷物やかさばる荷物を常に持っているのは難しく、電車の網棚や足元に置きがちです。置き引き犯は、ターゲットが荷物から手を離す瞬間を狙っているので、たとえ短時間でも目や手を離すと置き引きされるおそれがあります。

置き引きを防止するための対策

置き引きの防止策
置き引きの防止策

置き引きに遭うリスクを低減するために、日頃からできる対策を3つご紹介します。

1荷物から目や手を離さない

置き引き犯にターゲットにされた場合、荷物から一瞬、目や手を離しただけでも盗難の被害に遭います。

特に空港や駅、高速バスといった不特定多数の人が行き交う場所や、カラオケ店、ネットカフェ、図書館といった、荷物を置いて席を立ちやすい場所では、見えるところに荷物を置いたり、必ず持って移動したりするなど、所有品から目や手を離さないよう注意しましょう。

2持ち歩けない荷物はロッカーに預ける

足元に置いてしまいがちな荷物は、ロッカーに預けた方が安心です。足元や机の下、電車の棚などは死角になりやすいため、荷物を置いたまま忘れてしまったり、気づかないうちに持ち去られたりしてしまうこともあります。
また、荷物が多いと把握しきれず、置き引きに気づくのに時間がかかることもあるでしょう。利用料金はかかりますが、持ち歩く荷物が少なくなれば、それだけ置き引き犯に狙われるリスクも低減します。

3荷物に防犯グッズをつける

最近では、置き引きやスリの対策に役立つ防犯グッズが販売されています。代表的な例としては、親機と子機がセットになっていて、両者が一定以上離れると警告アラームやブザーが鳴るアイテムがあります。

子機をバッグに入れ、別途親機を身につけていれば、置き引きに遭った時にすぐ被害に気づけますし、アラームやブザーに驚いた犯人が荷物を投げ出して逃走する可能性もあります。また、荷物を柱や手すりなど物理的に移動できないものに括りつけてロックできる「ワイヤーロック」も置き引き対策に有効です。

紛失・盗難の際に端末を追跡できるアプリを活用、財布や鍵などの小さい貴重品はチェーンでバックに固定しておく、日常的に口の閉められるバックを使用する、など小さな工夫を普段の生活に取り入れることも被害を防ぐ有効な手段です。

置き引きの手口を知り、適切な対策を行おう

置き引きは日本でも多発している犯罪で、身近なところで被害に遭うおそれがあります。特に不特定多数の人が行き交う場所や、たくさんの荷物を抱えて移動するような場所は置き引き犯に狙われやすいので、荷物から目や手を離さない、手に余る持ち物はロッカーに預けるなど、適切な対策を心がけましょう。

また、置き引きだけでなく日常的に防犯対策を心がけることで、防犯意識を高めることが大切です。ALSOKの通販ショップではさまざまな防犯グッズを手軽に購入することが可能です。まずは自分でできる防犯対策から始めてみませんか?

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