内覧会チェックリスト~新築戸建て編
内覧会で事前に用意しておきたいチェックリスト

新築の戸建住宅が完成すると、購入者に引き渡しをする前に内覧会が行われます。その目的は、建物が打ち合わせ通りにきちんとできているかを確認することにあります。しかし、具体的に何をチェックしたらよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。そこで、本記事では、内覧会で必ずチェックしてほしいポイントや持っていくと便利なアイテムなどについて紹介していきます。
内覧会にはチェックリストを持参して気になるところは積極的に質問しよう
内覧会は単に新築のお披露目のためだけに開催されるわけではありません。購入者にとっては設計図通りに作られているか、欠陥はないかのチェックを行うのがもっとも大切な目的です。そこで、チェック漏れがないように、あらかじめどこをチェックするかを記したチェックリストを用意する必要があります。チェックリストを使わない場合には、チェックする手順をあらかじめ決めておきましょう。たとえば玄関から入って左回りに部屋を進むとか、部屋の内部は床→壁→天井の順にチェックするとかです。これを守ってチェックするようにすると見落としを少なくすることができます。内覧会当日は売主や施工会社の担当者をはじめ、ホームインスペクターなどを依頼していればその人たちを含めたすべての人の時間を使うことになるので、時間のプレッシャーとの戦いとなることと思いますが、人生最大のお買い物ですし、買主が品物(家)をチェックすることは当たり前の権利ですから気にせずマイペースを維持するように心がけましょう。家の大きさにもよりますが、チェックには最低でも1時間、場合によっては2時間以上かけるつもりで臨むことです。これに加えて売主や施工会社からの説明を受ける時間も必要となりますから、心置きなくチェックできるように予定は余裕を持ってとっておいたほうが賢明です。
主なチェックポイントは次の3点です。
- 「建物や設備が契約通り仕上がっているか」
- 「内装に不具合がないか」
- 「室内の寸法はどうなっているか」
まず、建物の仕上がりは図面を確認しながらチェックしていくことになります。また、内装に関しては主にキズや汚れ、剥がれなどの有無を調べていきます。最後の寸法は引越しの際に家具や家電などをどこに置くかを決めるためにも重要です。
内覧会は売主や施工会社から説明を受けながら1~2時間程度で行われるのが普通ですが、うかうかしていると、一方的に話を聞くだけで終わってしまいかねません。そうならないためにも、気になった点はどんどん質問していくことが大切です。そのうえで、必要を感じれば入居前の補修を求めていきます。そのことが、引越し後のより良い生活につながっていくのです。
場所 | 項目 | チェック内容 |
---|---|---|
外回り | 外壁 | ストレスを感じるレベルの汚れや割れ、亀裂などがないか |
屋根 | 見える部分に割れている瓦などがないか、あれば見えない部分のチェックもお願いする | |
外溝 | インターホンや郵便ポストの位置、駐車スペースに車が入るか | |
敷地境界 | 隣地との共有物がないか、ブロック塀が境界の内側でなく線上に乗っている場合は注意 | |
玄関 | ドア | 閉まる速度が早すぎたり遅すぎたりしないか |
開閉に違和感はないか | ||
鍵の動作に違和感はないか | ||
ストレスを感じるレベルのキズや汚れがないか | ||
すきま風などが入ってこないか | ||
収納 | 棚板にガタツキやズレなどはないか、棚受けやビスなどに欠損はないか | |
トビラの開閉に違和感はないか、キズ・汚れはないか、取っ手やビスなどに欠損はないか | ||
床面 | タイルの割れや目地に不均一なところはないか | |
壁・天井 | クロスにストレスを感じるレベルの汚れ、剥がれ、スキマ、接着剤のはみ出しなどがないか | |
廊下 | 床面 | 床材にストレスを感じるレベルの汚れやキズ、スキマがないか |
壁・天井 | クロスにストレスを感じるレベルの汚れ、剥がれ、スキマ、接着剤のはみ出しなどがないか | |
収納 | 棚板にガタツキやズレなどはないか、棚受けやビスなどに欠損はないか | |
トビラの開閉に違和感はないか、キズ・汚れはないか、取っ手やビスなどに欠損はないか | ||
居室 | ドア・引き戸 | 開閉に違和感はないか |
ストレスを感じるレベルのキズや汚れがないか | ||
ビスが入っていない箇所がないか | ||
窓 | 窓枠にストレスを感じるレベルのキズや汚れがないか | |
ビスが入っていない箇所がないか | ||
ガラスに割れているところやカケているところはないか | ||
開閉に違和感はないか | ||
すきま風などが入ってこないか | ||
網戸にほつれや穴がないか | ||
床面 | 床材にストレスを感じるレベルの汚れやキズ、スキマがないか | |
壁・天井 | クロスにストレスを感じるレベルの汚れ、剥がれ、スキマ、接着剤のはみ出しなどがないか | |
収納 | 棚板にガタツキやズレなどはないか、棚受けやビスなどに欠損はないか | |
トビラの開閉に違和感はないか、キズ・汚れはないか、取っ手やビスなどに欠損はないか | ||
図面との照合 | トビラの向き、照明、コンセント・スイッチの位置など | |
キッチン | 給排水 | 水、お湯が出るか(水道・電気・ガスが通っている場合) |
排水に異常はないか | ||
吐水量は適正か | ||
配水管、給水管に水漏れがないか | ||
シャワー水栓などの動作は適正か | ||
キッチンカウンター | 壁との継ぎ目にすきまやコーキングのはみ出しなどがないか | |
収納 | 棚板にガタツキやズレなどはないか、棚受けやビスなどに欠損はないか | |
トビラの開閉に違和感はないか、キズ・汚れはないか、取っ手やビスなどに欠損はないか | ||
床面 | 床材にストレスを感じるレベルの汚れやキズ、スキマがないか | |
壁・天井 | クロスにストレスを感じるレベルの汚れ、剥がれ、スキマ、接着剤のはみ出しなどがないか | |
壁にタイルや化粧板などを使っている場合は目地や接合部にすきまはないか | ||
洗面所 | ドア・引き戸 | 開閉に違和感はないか |
ストレスを感じるレベルのキズや汚れがないか | ||
洗面台 | 水、お湯が出るか(水道・電気・ガスが通っている場合) | |
排水に異常はないか、洗面に水を貯めたときにあふれたり漏れたりしないか | ||
吐水量は適正か | ||
配水管、給水管に水漏れがないか | ||
シャワー水栓などの動作は適正か | ||
棚板にガタツキやズレなどはないか、棚受けやビスなどに欠損はないか | ||
トビラの開閉に違和感はないか、キズ・汚れはないか、取っ手やビスなどに欠損はないか | ||
照明はつくか、鏡に汚れや割れカケがないか | ||
壁との継ぎ目にすきまやコーキングのはみ出しなどがないか | ||
収納 | 棚板にガタツキやズレなどはないか、棚受けやビスなどに欠損はないか | |
トビラの開閉に違和感はないか、キズ・汚れはないか、取っ手やビスなどに欠損はないか | ||
タオル掛け等 | 金具にキズ・汚れはないか、曲がりはないか、ガタツキはないか | |
床面 | 床材にストレスを感じるレベルの汚れやキズ、スキマがないか | |
壁・天井 | クロスにストレスを感じるレベルの汚れ、剥がれ、スキマ、接着剤のはみ出しなどがないか | |
壁にタイルや化粧板などを使っている場合は目地や接合部にすきまはないか | ||
浴室 | ドア・引き戸 | 開閉に違和感はないか |
ストレスを感じるレベルのキズや汚れがないか | ||
タオル掛け・棚 | 金具にキズ・汚れはないか、曲がりはないか、ガタツキはないか | |
シャワー・カラン | 水、お湯が出るか(水道・電気・ガスが通っている場合) | |
吐水量は適正か | ||
シャワー水栓などの動作は適正か | ||
ストレスを感じるレベルのキズや汚れがないか | ||
排水溝 | 排水に異常はないか、ゴミ・汚れ・詰まりがないか | |
水密処理 | 床面と壁のすきまがないか | |
天井と壁のすきまがないか | ||
換気扇・浴室乾燥機 | 期待通りに機能するか | |
トイレ | ドア・引き戸 | 開閉に違和感はないか |
ストレスを感じるレベルのキズや汚れがないか | ||
便器 | 取り付けに曲がりはないか | |
ストレスを感じるレベルのキズや汚れがないか | ||
きちんと流れるか、シャワートイレは機能するか | ||
給水管 | 曲がり・ガタツキはないか | |
換気扇 | きちんと機能するか(遅れて切れるなどはあとで再度確認) | |
タオル掛け等 | 金具にキズ・汚れはないか、曲がりはないか、ガタツキはないか | |
床面 | 床材にストレスを感じるレベルの汚れやキズ、スキマがないか | |
壁・天井 | クロスにストレスを感じるレベルの汚れ、剥がれ、スキマ、接着剤のはみ出しなどがないか | |
壁にタイルや化粧板などを使っている場合は目地や接合部にすきまはないか | ||
ベランダ | 手すり | 固定不良の箇所がないか、ストレスを感じるレベルの汚れ・キズがないか |
物干し | 稼働に違和感はないか | |
固定不良の箇所がないか、ストレスを感じるレベルの汚れ・キズがないか | ||
床面 | シートの浮きや防水塗装の不具合がないか | |
排水溝は機能するか、塗装などが付着していないか | ||
天井 | ストレスを感じるレベルのキズや汚れ、ヒビなどがないか |
家をチェックする際にあると便利なアイテム
内覧会には手ぶらでいってはダメというわけではありませんが、しっかりとチェックするためには最低限のアイテムは用意しておきたいところです。
まず、内覧会に欠かせないのがメジャーと水平器です。メジャーは家や設備の測定に用います。図面通りに仕上がっているかを確認するのはもちろんですが、詳しいサイズを測っておけば、引越しの際の家具や大型家電などの配置決めがスムーズに行えます。一方、水平器は床などがきちんと水平になっているかをチェックするのに用います。もし、水平器がないのであれば、スマートフォンの水平器アプリでも代用可能ですし、ビー玉やゴルフボールを床に置いてみるのもひとつの手です。
また、内覧会の段階では照明のつかない場所も多いため、懐中電灯は持っておいたほうがよいでしょう。とくに床下や天井裏にキズや汚れがないかをチェックする際には必須のアイテムともいえます。さらに、マスキングテープや付箋紙、ペンなども場合によっては必要になってきます。なぜなら、キズや汚れなどの気になる箇所を見つけた際に、忘れないようにメモを書いて貼っておけるからです。それに加えて、記録用にデジタルカメラなどを用意しておくと完璧です。その他、あったほうが便利なものとしては、「通電確認用のドライヤー」「キズか汚れかを判別するためのティッシュペーパー」「死角になっている箇所をチェックするための手鏡」などがあげられます。
自分のチェックに自信のない人は専門家への依頼を検討してみよう
内覧会でチェックすべき点は意外と多いので、「自分一人でこれだけのポイントをチェックしきれるだろうか」と不安に感じる人もいるはずです。そういう場合は、住宅診断の専門家であるホームインスペクター(住宅診断士)などに同行してもらうという手もあります。数万円程度の料金は必要ですが、専門家なら十分な機材を揃えたうえで、依頼者に確認を取りながら効率良くチェックを行ってくれます。それに、もし、売主や施工会社の説明に誤りやごまかしがあったとしても、しっかりと判断してくれるので安心です。
新築建築の際にはホームセキュリティの導入がおすすめ
内覧会が問題なく終了し、無事に新築の家が手に入ったとしても心配なのは火災や泥棒です。とくに一戸建ての家はマンションと比べるとどうしても防犯面が甘くなりがちです。
そこで、おすすめしたいのが、ホームセキュリティの導入です。ホームセキュリティを設置していれば、不審者が侵入しようとしてもセンサーで感知してガードマンがかけつけてくれますし、火災が起きても煙の発生や温度の変化を検知していち早く異常を知らせてくれます。
また新築時はホームセキュリティ導入の絶好のチャンスともいわれています。設計段階から図面にシステムを組み込んでおけば、建設時に配線を壁の中に隠すことができ、作り付けのようにきれいに仕上げることができるからです。
また内覧会まで話が進んでしまっていても遅くはありません。最近のセンサーはワイヤレスのものも選択できるので、最小限の配線で設置することも可能です。
新築住宅を購入する予定がある方はぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
よりよい住まいを手に入れるために!内覧会は万全の態勢で臨もう
内覧会で不具合が見つかれば、売主や施工会社の責任のもとに修繕を行い、再度内覧会を行うという形になります。ところが、購入してから不具合が見つかった場合は、修繕の依頼をしても必ずしも無償でそれに応えてくれるとはかぎりません。下手をすると、責任を巡ってトラブルに発展する可能性もあるのです。そうした事態を避けるためにも、内覧会では隅々まで目を配れるように、万全の態勢で臨むようにしましょう。