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防災マニュアルの作成方法とは?事業継続のために必要な企業の備え

防災マニュアルの作成方法とは?事業継続のために必要な企業の備え
2021.03.15

災害発生などの非常時において、冷静で的確な判断のもとにすべての方が適切な行動をとれる状況を作ることは何より重要です。災害は予測不能な状況の中で発生することも多く、とっさに適した判断ができるか否かで被害の程度が大きく異なる場合もあり得ます。人命を守って被害を最小限に抑え、事業の継続や早期再開を図るには、防災マニュアルを設けておき万一においても適した行動に出られるよう、意識付けを図ることも大切です。
この記事では、企業における防災マニュアルの必要性や作成方法、防災マニュアルとBCP(事業継続計画)とのかかわりなどについてご紹介します。

防災マニュアルの必要性

災害をはじめとする予期せぬトラブルが発生した際には冷静な判断が難しくなり、すばやい避難や最適な対処を行えず二次災害を招く恐れもあります。そのような事態を回避するためにも、地震、津波、浸水、火災など災害の発生時に、人命と財産を守るための危機対応を記した「防災マニュアル」を事前に導入しておくことは重要です。

以下のグラフは、大企業・中堅企業に対し「災害対応で今後新たに取り組みたいこと」を尋ねた結果得られたおもな回答をまとめたものです。

令和2年版防災白書 災害対応で今後新たに取り組みたいこと(内閣府)グラフ

災害発生に備え、訓練やリスク管理に関する仕組みの整備を行いたいと考えている企業が半数を超えています。また、被災後の事業継続を視野に入れたBCPに関する回答も非常に多く得られています。

防災マニュアルの役割

防災マニュアルは、災害時や平常時においてどのような役割を持っているのでしょうか。先に述べたとおり、万一の事態が発生した際に慌てることなく最適な対処をスムーズに実行可能としておくことが第一の役割です。もう一つは、平常時に予期せぬ災害に備えるべく、万一の災害発生時において各人員の行動指針や役割分担を明確に把握しておくための役割です。
災害マニュアルを災害時において適切に運用するためには、平常時からその内容を各人員が把握し、災害時に自身が何をすべきか頭に入れておくことも必要となります。

防災マニュアルは更新が必要

防災マニュアルは、1度作成したらその内容でずっと運用できるとは限りません。定期的に見直しを行って、更新が必要な個所があれば改訂しながら運用を図ることが必要です。
作成したマニュアルをもとに災害を想定した訓練を実施し、その都度見つかった改善ポイントを洗い出します。それに応じてマニュアルの内容を見直し、必要に応じて改訂を行い、またそれに即して訓練を実施する「PDCAサイクル」で継続的に育成していくことも必ず実践しましょう。

防災マニュアルの作り方

防災マニュアルといっても、他社のマニュアルをそのまま写したような形式的で薄い内容では、何が起こるか分からない災害時に適切な効果が得られない可能性があります。自社の業務内容や業務体制に応じて、緊急時に最適に活用可能な内容を練って作成する必要があるでしょう。
自社で防災マニュアルを作成する際は、以下のポイントを必ず内容に盛り込みましょう。

災害時の組織体制(役割分担)

災害の発生時には、何より迅速に適した対応をとることが求められます。そのため社内で防災対策本部を設立し、その人員体制や各人員の役割などを詳細に決めておきます。それをすべての人員が把握でき、緊急時に何をすべきか即座に判断できる内容にしておかなければなりません。
たとえば、以下のような人員を想定し役割を分担するといった体制構築が有効です。

  • リーダー(現場指揮担当)
  • 総務担当(対策本部の設立・運営、各部の支援)
  • 情報担当(災害関連情報を集め、連絡を行う)
  • 消火担当(火が出た際に延焼防止措置を行う)
  • 救護担当(負傷者の救護を行う)
  • 社員ケア担当(安否確認および物資の配給や困っている社員への支援を行う)

情報収集の内容・手段

災害発生時、どのように現場や社内外の情報を収集すべきか、またその情報を活用する判断基準や方法についても明確に定め、誰がマニュアルを確認してもそれが分かるように記載しておきましょう。
通常、企業における情報収集手段としてテレビ、ラジオ、新聞、電話、FAX、インターネット、Eメールなどが利用されます。これに加え災害発生時は防災行政無線や消防救急無線、災害用伝言サービスなどを活用しましょう。

緊急連絡網

勤務時間外に災害が発生した場合、設立した防災対策本部に従業員の安否確認情報や本部からの指示を伝えるための連絡手段とその経路をマニュアルに明記しておきます。

初期対応・避難について

災害が発生した際真っ先にとるべき行動は、すべての従業員の安全な避難です。災害が起きたと分かったとき各人員が最初にどのような行動をとるべきか、またどのような場所へ避難を試みるべきかが分かっていなければなりません。マニュアルには、さまざまな災害を想定した上で決めた避難場所を記載し、それらを誰が見ても分かるようにしておきましょう。たとえば、以下のような対応方法を記しておくと良いでしょう。

  • 必要な場合の消防・警察への連絡
  • 重要な書類やデータの保護
  • 負傷者の応急処置や火が出た際の初期消火と延焼防止
  • 事業所内に危険が予測される場合の緊急避難(津波・土砂災害・毒物の漏出・火災など)

防災マニュアル作成のポイント

前の項目では、防災マニュアルを作成する際に盛り込むべき内容についてご説明しましたが、ここでは防災マニュアルを作成時に押さえたいポイントをご紹介します。

5W2Hで考える

防災マニュアル作成時に取り入れたい考え方としては、多くの方がご存じかと思われる「5W2H」の手法を取り入れると良いでしょう。具体的には実施の目的(WHY)、具体的な実施事項(WHAT)、実施順序(WHEN)、実施する人(WHO)、実施場所(WHERE)、実施の手引き(HOWTO)、実施すべき数量・分量(HOWMUCH)=5つのWと2つのHです。

簡潔に伝える

長い文章をできるだけ用いず、図や表、写真や動画を活用することで「じっくり読ませないこと」を意識した表現を心がけましょう。一瞬で判断を迫られる場面も想定し、「一目見れば理解・把握が可能な内容」にすることが大切です。
また、人間が1度に把握できる情報の数の限界は7つといわれていることを踏まえ、項目を大別する際には7つまでにまとめるとより分かりやすくできます。

3部構成で品質向上

マニュアルは煩雑な項目を設けてしまうと、とっさの行動が必要な局面で役立たなくなる可能性があります。以下の3部に分け、簡潔ながらポイントを押さえた構成とすると見やすいマニュアルとすることができます。

1.チェックリスト

何を用意できていて、どこを点検・確認できているか各人がチェックできる表を設けましょう。

2.様式に沿った報告事項

比較的長い文章を用いることが必要となる報告事項には、決まった様式を設けてあらゆる内容をその様式に沿って記載しましょう。できるだけ、視覚的に単純な形式をベースにすると、誰でも楽な視線移動で見進めることができます。

3.用語集を設けて知識を共有する

防災に関する用語の中には、日常的にあまり用いない単語や言い回しも頻出します。それらがすぐに理解できないと、判断や行動に迷ってしまう可能性もあるでしょう。マニュアル内にはピンポイント用語集を設け、事前に目を通しておくことでマニュアルに記載された用語を理解できる状態にしておきます。

内容を定期的に見直す

作成した防災マニュアルに基づき、災害が起こっていないときにも定期的な教育や訓練を実施しましょう。その結果や成果に基づき、過不足や要修正事項が見つかればマニュアルの見直しを図ることも必要です。
また、社内における組織変動などの変化にも即時対応しなければなりません。万一実際に災害が発生しマニュアルが活用された際にも、その後のフィードバックを反映し内容を充実させていくことが求められます。

BCPと防災マニュアルの違い

防災マニュアルと聞き、BCP(事業継続計画)について連想した方も多いでしょう。BCPと防災マニュアルは密接に結びついていることが求められますが、両者には違いがあります。

BCPと防災の違い

防災マニュアルは、災害発生時における具体的な対策を詳細に盛り込んだ手引書にあたります。いっぽうBCPは災害を含めたすべての事業停止リスクに備え、どのような事態においても円滑に事業継続を図るための対策を記したものです。
BCPと防災マニュアルには重複する内容も数多く見られるため、混同されがちです。しかし防災マニュアルは各人員の人命保護や被害の抑制を主目的としていることに対し、BCPは事業継続という目的に重点が置かれています。事業の継続を視野に入れる場合は、防災マニュアルだけでは不十分となることもあり得ます。
防災マニュアルで人命を守って被害拡大を防ぐことはBCPの基礎となり、BCPでは事業停止を可能な限り回避するというように、双方が重要な役割を持っていると考えましょう。

BCPと防災マニュアルの違い

BCPとは

BCPは、災害だけでなくさまざまなトラブルが起きた際の、事業を継続していく為の計画で、事業を継続するために必要なインフラ等が停止した場合の復旧方法や代替手段を定めた事業体制の早期復旧を図るための計画=事業継続計画を指します。各事業所でBCPを策定することを義務付ける法律や条例は、現状のところありません。しかし、企業の信頼を保つために率先してBCPの策定を行い、事業継続を図るための対策をすることはすべての企業にとって必要な取り組みといえます。

リスク情報を把握する重要性

BCPにおいて想定されているリスクの種類は、災害にとどまらず多岐にわたります。地震や津波、台風被害や噴火などの自然災害のほか、コンピューターやネットワーク関連のシステム障害、事故や火災などもリスクに該当します。
多くのリスクによる被害を抑えるため、可能な限り多数のリスクに対応可能な情報を収集しようとすればするほど、人的・労力的コストがかかってしまいます。また、リスクの数が増えれば必要なリスク情報の取り漏らしが発生する可能性も考えられるでしょう。リスク情報は情勢変化に応じて増加する場合もあり、つねに社会状況の変動に目を配り、新たなリスク情報を見逃さず盛り込んでいくことも求められます。

防災マニュアルと避難訓練計画書

防災マニュアル作成やBCPをすでに策定しているという企業は、数多くあると思います。またそれらの企業においては、防災マニュアルやBCPの内容に即した避難訓練を定期的に実施していることと思われます。
その避難訓練の計画書も作成しておくことで、訓練の成果を把握しやすくなりますし、それに基づく防災マニュアルやBCPのブラッシュアップにも役立ちます。しっかりとした防災マニュアルやBCPを設けているのであれば、それらを避難訓練計画書の作成にも役立てると良いでしょう。

避難訓練は基本的に、防災マニュアルの内容に沿って進められるものです。しかし定期的に避難訓練を実施するのであれば、訓練自体のシナリオがあることでより円滑に実施が可能となります。また訓練がスムーズに行えれば、万一の事態においてもそこから得た経験や知識が功を奏するはずです。
避難訓練計画書を作成する際には、訓練実施に際しての目標を明記しましょう。その達成度によって、訓練の成果を的確に把握可能になります。また計画書は、必ず防災マニュアルやBCPの内容に沿って作成することが必要です。

企業における避難訓練計画については、以下の記事もご参照ください。

ALSOKの安否確認サービス・BCPソリューション

ALSOKでは、災害時の企業における人命保護や事業継続に備えたさまざまなサービスを提供しています。
これからBCPを策定する企業のために、BCPの立案から策定、そして企業内での定着に至るまで一貫してサポートを行う「BCPソリューション」では、災害にとどまらず犯罪や情報管理などあらゆるリスクを想定して事業継続を支援。ただ優れたBCPの策定をサポートすることだけではなく、全従業員に意識付けを図るところまでお手伝いします。

また、ALSOKでは災害などの緊急時に、すべての従業員の状況をただちに把握するための「安否確認サービス」もご提供しています。
災害が発生するとALSOK安否確認サーバーからすぐ安否確認メールが自動送信され、確実に各従業員とコンタクトをとることが可能です。
また、一斉送信される自動送信メールに加え、管理者が任意で特定の関係者に緊急連絡を取れる仕組みも備えています。近年増加しているテレワーク従事者の状況確認や、何らかの業務トラブルが発生した際にも確実な情報伝達を可能にしています。

まとめ

防災装備や食料などの備蓄と、クラウド上への事業データバックアップを同時に行うなど、人命保護と事業継続を並行している企業も多いでしょう。それと同様に、企業が災害に備えた対策を整備する際は、防災マニュアルの作成とともに、それをベースとしたBCPの策定や避難訓練計画書の作成なども並行することが重要です。
BCPの策定や運用を支援するサービスや、災害時に備えた安否確認サービスなどを適宜取り入れ、万一の際も被害の抑止と事業継続の両者に取り組める防災体制の構築を図っておきましょう。