ファシリティマネジメント用語集

ファシリティマネジメント用語集
2022.04.18

ファシリティマネジメントに関する用語集です。

目次

か行

環境衛生管理

人々の健康面に悪影響を及ぼさないよう、生活に関する自然環境の改善を図り、管理すること。
厚生労働省により、建築物に関しては「建築物環境衛生管理基準」が定められている。これは、高水準かつ快適な生活を実現するために、「空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ、昆虫等の防除その他環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な措置について定める」と規定された基準である。

出典:厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」

給排水衛生設備

給水・給湯・排水・通気・衛生器具・消火・ガスなどに関する設備の総称。
例としては、給水管・排水管・トイレ・ポンプ・貯水槽などが挙げられる。トイレなど毎日使用する衛生設備はもちろん、消火設備やガス設備など、給排水衛生設備は建物を安全に利用するために欠かせないものといえる。

空気調和設備

空気の温度だけではなく、湿度・空気清浄・気流などをコントロールし、空間内を適切な状態に保つための設備。一般的には、空調設備と呼ばれる。
オフィスビルや商業施設などにおいて、人が快適に過ごせるようにすることが目的の「保健用空調」と、工場などの機械やコンピューターなどを保護する目的の「産業用空調」の2種類に分類される。

建築物設備保全管理

建築物設備の性能や耐久性を維持するために行う、保全管理のこと。地盤・屋上・屋根・壁・床などを調査し、適切な保全を実施することで建築物の寿命維持や、無駄なランニングコストの削減にもつながる。

さ行

昇降機設備

エレベーター・エスカレーターなどの昇降機のこと。
エレベーターには乗用・荷物用・病院患者用などさまざまな用途があり、また構造にも油圧式・ロープ式などがある。エレベーター・エスカレーターいずれも、非常事態に備えて安全装置が設置されている。

消防リニューアル工事

火災に備えて、すべての消防設備が適切に機能するように行う改修・リニューアル工事。具体的には、以下のようなケースで消防リニューアル工事が必要になる。

  • 定期点検で、消防設備の故障や不具合が判明した場合
  • 建物の増改築・用途変更を行った場合
  • 消防設備の型式が失効した場合
  • 管轄の消防署から指導が入った場合 など

消防用設備等点検

消防用設備等や特殊消防用設備等が火災時に機能を発揮することができるよう、消防設備士または消防設備点検資格者は定期点検を実施し、その結果を管轄の消防署長等へ報告することを義務付けている。機器点検と総合点検に分かれており、それぞれ以下の内容を確認しながら実施する。

<機器点検>(消防用設備等の種類に応じて6カ月に1回実施)

  1. 消防用設備等の非常電源、動力消防ポンプが正しく作動するか
  2. 消防用設備等が適切に配置されているか、損傷などがないか
  3. 消防用設備等の機能が容易に把握できるようになっているか

<総合点検>(消防用設備等の種類に応じて1年に1回実施)

  • 消防用設備等を実際に作動させ、総合的に正しく機能するか

た行

大規模修繕

経年劣化による建物の不具合を防ぎ、機能や性能を回復・維持・向上させるための大規模な修繕工事。例えば、外壁・鉄部・屋上・電気設備・防水などに関する工事が挙げられる。
大規模修繕は一般的に12年周期で行うが、それまでに定期的な点検・メンテナンスを実施しておくことで、より効果的な大規模修繕につながる。

耐震基準

建築基準法および建築基準法施行令などで定められる、建築物を建築する際に満たさなければならない、地震への耐性基準のこと。1950年~1981年まで施行されたものは「旧耐震基準」、1981年6月から施行されたものは「新耐震基準」と呼ばれている。

新耐震基準では、以下の基準を満たす必要がある。
「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から震度7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」

建物診断

建物の状況を確認し、経年劣化や資産価値について診断すること。構造上のトラブル・防水性能・耐震性能など躯体に関する部分だけではなく、給排水管など設備に関しても診断を行う。建物の価値や性能を把握することで、収益性の向上にもつなげられる。

中央監視盤

空調設備・給排水設備・照明設備など、建物内のさまざまな設備を統合的に管理し、各機能の自動化や故障の監視・記録などを行う装置。設備の運転/停止や、温度・湿度の計測および管理、火災信号の受発信など、建物全体の管理を担っている。

中長期修繕計画

建物の性能を維持するために、必要となる修繕・更新工事のコストや時期などに関する、中長期的な計画のこと。修繕計画の期間・工事対象となる項目および修繕周期・修繕にかかる費用などが計画に盛り込まれる。

定期清掃

日常清掃では落としきれないような汚れを、専門的な道具や薬剤などを用いて取り除く清掃作業のこと。おもな作業内容は、高所のガラス清掃・空調設備のフィルター掃除・床のワックスがけなどである。

電気設備

以下のように、電気を「作る・送る・使う」の3点に関わる設備のこと。

  • 火力発電や水力発電などの発電設備(電気を作る)
  • 電線などの送配電設備(電気を送る)
  • 建物内の照明やコンセントなどの構内電気設備(電気を使う)

発電設備で作られた電気は、送電設備や変電設備、電柱など多くの電気設備を介して各建物へと送られ、使用される。

特定建築物定期調査・検査

建築基準法12条によって義務付けられている、特定建築物に対して行う定期的な調査・検査。病院・ホテル・商業施設などのように、不特定多数が利用する公共性の高い特定建築物において、安全性を維持するために行われる。おもな調査・検査項目は以下のとおり。

<おもな調査・検査要項>

  • 敷地/地盤
  • 建築物の外部
  • 屋上/屋根
  • 建築物の内部
  • 避難施設

特別清掃

日常清掃、定期清掃ではカバーできない部分に対する清掃のこと。おもな作業内容は、エアコンの分解洗浄・ソファのクリーニング・外壁洗浄・石材のシミ抜き・サビの除去など。
年に1~2回の頻度で行われる。

な行

日常清掃

審美的な観点や衛生管理の面から、トイレ・洗面台・廊下・エントランス・灰皿の掃除など、日常的に行う清掃のこと。専門的な道具や強力な薬剤は使用せず、掃除機やモップなど、一般的な道具で行う。

は行

ビル管理

ビルの運営全体に関する管理業務のこと。修繕計画・工事計画の作成など保全に関することや、年間予算案の作成や収益管理、管轄自治体への書類提出などの事務作業など、ビル運営に必要な業務全般を指す。

ビルメンテナンス

ビルに備わっている電力設備・空調設備・給排水設備・防災設備などを、適切に保守・管理すること。ビルメン、ビル設備管理とも呼ばれる。
建築基準法や水道法・ビル衛生管理法・消防法などに則った法定点検や、機械の動作確認・清掃など日常的なメンテナンスを行う。

ファシリティ

ファシリティ(facility)は「設備・施設」を意味する言葉で、建物の運用においては「土地・建物・設備など」を指す。

ファシリティマネジメント

建物・土地・設備などのファシリティを、ヒト・モノ・カネ・情報と同じく重要な資源だと捉え、管理・活用すること。ファシリティマネジメントでは、単に建物の性能・機能を維持するのではなく、数十年先の未来のことも見据え、経営的な視点からファシリティを最大限活用できるよう取り組む。
建物の存在価値・快適性・費用対効果などを高めるアプローチとして、現代においてライフサイクルコストとともに重視される考え方の一つである。

防火対象物定期点検

一定の条件を満たす、特定用途防火対象物(病院・ホテル・商業施設など不特定多数が利用する施設)において義務付けられている火災時に備えた点検のこと。
点検作業は消防設備士や防火管理者など、防火対象物の点検が可能な有資格者が年に1回行い、管轄の消防署に報告書を提出する。

<おもな点検内容>

  • 消火/通報/避難訓練はしているか
  • 適切な消防設備が設置・管理されているか
  • 避難経路に障害物が置かれていないか など

防災管理定期点検

一定の条件を満たす大規模な防火対象物において義務付けられている、地震などの災害時に備えた点検のこと。点検作業は防災管理者などの有資格者が年に1回行い、管轄の消防署に報告書を提出する。

<おもな点検内容>

  • 防災管理業務や避難施設が適切に管理されているか
  • 非常食が用意されているか
  • 備品の転倒・落下などの予防はされているか など

ら行

ライフサイクルコスト

企画・建設・運用・清掃・修繕・解体など、1つの建築物の全工程にかかるトータルのコストのこと。企画や建設にかかる費用はイニシャルコスト、建設されてからかかる運用費用(光熱費・管理費など)はランニングコストと呼ばれる。

ライフサイクルマネジメント

ライフサイクルコストを最適化すること。イニシャルコストやランニングコストを、数十年~100年という長期的な視点で考え、建物の利用者が快適かつ安全に過ごせるように運用・管理を行う。建物の機能や資産価値を維持するだけではなく、存在価値を高めることにもつながる。