オフィスセキュリティとは?想定されるリスクと対策の進め方を解説
本記事では、オフィスセキュリティの定義から想定されるリスクの種類、対策の進め方について解説します。
オフィスセキュリティは、企業の「人・物・情報」を守るための対策全般を指します。ハイブリッドワークの定着や業務委託の増加で、オフィスには出入りする人や時間帯が以前より多様になりました。「鍵の管理だけで足りるのか」「何から見直せばよいのか」と悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。
【この記事で分かること】
- オフィスセキュリティが指す範囲
- オフィスで想定されるリスクの種類
- 対策をどの順番で検討していけばよいか
目次
オフィスセキュリティとは?
オフィスセキュリティとは、オフィスで扱う人・物・情報を、盗難や不正侵入、情報漏えいなどの脅威から守る対策の総称です。対象は自社所有物件に限らず、テナントとして入居するオフィスや数人規模の小さな事務所も含まれます。
守る対象は「人」「物」「情報」
オフィスセキュリティで守る対象は、大きく「人」「物」「情報」の3つに分けられます。
| 分類 | 具体例 |
|---|---|
| 人 | 従業員と来訪者の身体および精神的な安全安心 |
| 物 | 現金、PC、什器、鍵、書類 など |
| 情報 | 顧客情報、機密情報(技術情報・営業情報)など |
オフィスセキュリティが重視される背景
オフィスセキュリティが重視される背景には、働き方の変化で人の出入りが複雑になったことや、物理・情報の両面で情報漏えいへの対策が求められていることがあります。
働き方の多様化で人の出入りが複雑になった
ハイブリッドワークやフリーアドレス、時差出社が広がり、「誰がいつオフィスにいるか」を把握しにくくなりました。また人手不足の影響などにより、従来は自社で運用していた清掃や設備保守、受付、IT運用などの業務を外部委託することで、委託先スタッフなどがオフィスに出入りする機会も増えます。
情報漏えいへの対策が求められている
「情報セキュリティ10大脅威 2026」では、組織向けの脅威としてランサム攻撃、サプライチェーンや委託先を狙った攻撃が上位に挙げられています。また、書類の放置や端末の紛失など、オフィス内の管理不備や人的要因でも情報漏えいは起こります。物理・情報の両面でのリスク管理が求められています。
参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「情報セキュリティ10大脅威 2026」
オフィスで想定される主なリスク
オフィスで想定されるリスクは、次の3つが挙げられます。
- 外部からの侵入・盗難
- 内部不正
- 火災・地震などの災害、従業員の急病
外部からの侵入・盗難
夜間や休日など、無人のオフィスを狙った侵入窃盗には注意が必要です。警察庁によると、2025年の侵入窃盗の認知件数は47,233件に上り、一般事務所が全体の8.3%を占めています。手口としては「事務所荒し」や「金庫破り」があり、住宅だけでなく、オフィスも侵入窃盗の対象になっていることが分かります。
侵入は、無人の時間帯に発生するとは限りません。営業時間中でも、受付が無人になっている隙に立ち入ったり、従業員の後について入室したり(共連れ)して、執務エリアに入り込む手口があります。来訪者や業者を装うケースもあるため、営業時間中の出入りにも注意しましょう。
内部不正
従業員や退職者などによる不正にも注意が必要です。退職者のICカードや鍵の回収漏れ、権限のないエリアへの立ち入り、重要情報の無断の持ち出しなどが代表例です。また、従業員による不適切な動画撮影やSNS投稿が、情報漏えいや企業の信用低下につながるおそれもあります。対策は従業員を疑うためではなく、従業員を守る仕組みとして考えることが大切です。
火災・地震などの災害、従業員の急病
火災や地震による資産の損壊や事業停止、従業員の急病への備えも、広い意味でのオフィスセキュリティに含まれます。災害時に従業員の安否を確認する手段や、急病人が出たときの対応手順もあわせて確認しておくことが重要です。
対策の基本となる「ゾーニング」の考え方
ゾーニングとは、オフィス全体を一律に守るのではなく、エリアごとに必要なセキュリティレベルを分けて考える方法です。区分の仕方は企業や建物によって異なり、決まった基準があるわけではありません。
セキュリティレベルを4段階で分ける例
ここでは、一例としてセキュリティレベルを4段階に分類します。
| レベル | エリア | 出入りできる人 |
|---|---|---|
| レベル1 | エントランス・受付 | 来訪者を含む全員 |
| レベル2 | 会議室・応接室 | 従業員、案内された来訪者 |
| レベル3 | 執務室 | 従業員、許可された委託先のスタッフ |
| レベル4 | サーバールーム・書庫・金庫室 | 権限を与えられた限られた従業員 |
ゾーニングの要点は、単にエリアを分けることではなく、間仕切りや扉、施錠、掲示などで境界を明確にすることです。誰が見ても入室の可否を判断でき、管理者も正規の入室者を見分けられる状態にしましょう。曖昧な領域をなくすことが、管理しやすい環境づくりに役立ちます。
オフィスセキュリティの具体的な対策
セキュリティ対策は、物理、情報・IT、人・ルールの3つの側面から考えることが重要です。どれか一つを強化しても、ほかの面に抜けがあると十分に機能しません。3つをバランスよく整えることで、実効性のある対策につながります。
物理面の対策
物理面の対策は、費用をかけずにできるルールや管理方法を先に整え、そのうえでセキュリティ設備を導入することで、効果を発揮します。
- ゾーニング:エリアごとの境界と、入室できる人を決める
- 鍵・什器の管理、クリアデスク:鍵の本数や貸与先を管理し、書類やPCをデスクの上に出したままにしない
- 機械警備・防犯カメラ・入退室管理システム:人の目や手作業では管理しきれない部分を、セキュリティ設備で補う
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情報・IT面の対策
警察庁によると、2025年に報告された企業・団体等のランサムウェア被害は226件と、高い水準が続いています。情報・IT面は、以下の3段階で考えると整理しやすくなります。
守る対象を決める
顧客情報や技術情報、契約書などの情報資産を洗い出し、重要度で区分します。重要度に応じて、保管場所や社外への持ち出しルールなども決めておきましょう。
日常的に維持する
- OSやソフトウェアを常に最新の状態に更新する
- ウイルス対策ソフトを導入する
- UTM(統合脅威管理)やWAF(Webアプリケーションファイアウォール)などの境界対策を行う
- アクセス権限を最小限にし、多要素認証を導入する
- 定期的にバックアップする
起きたときに備える
インシデント発生時の連絡体制と報告先を、あらかじめ決めておきます。組織によっては、監視を担うSOC(セキュリティ監視センター)や対応を担うCSIRT(インシデント対応チーム)を設ける方法もあります。自社で体制を持つのが難しい場合は、外部の監視サービスや公的な相談窓口を利用するのも有効です。
出典:警察庁「令和7年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」
参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版」
人・ルール面の対策
設備やシステムを生かすうえで、日々の運用を支えるルールと教育も欠かせません。
- 社内規程とマニュアルの整備(入退室、鍵とICカードの貸与・返却、来訪者対応)
- 定期的な研修と入社・異動時等の教育・周知
- 退職時のカード回収と権限の見直し
教育の対象は正社員だけでなく、パート・アルバイト、派遣社員、業務委託先の担当者も含めましょう。ITリテラシーを高める施策として、IPAが実施する国家試験「ITパスポート試験」や「情報セキュリティマネジメント試験」の受験を奨励する方法もあります。
参考:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)ITパスポート試験
参考:情報セキュリティマネジメント試験
オフィスセキュリティを強化する進め方の5ステップ
オフィスセキュリティは、現状の把握から定期的な見直しまで、次の5ステップで進めると整理しやすくなります。
- 現状の把握:守るもの(人命、現金、書類、PCなどの物品、情報)、出入りする人(正社員、派遣社員、パート・アルバイト、出入りする業者)、環境(出入り口、鍵の本数、カメラの有無、重要情報の保管場所)の順に洗い出す
- リスクの評価:発生確率と、起きたときの影響度から優先度を決める
- ゾーニングと対策の設定:エリアごとのレベルと、必要な対策を決める
- 導入と周知:設備を導入し、ルールを全員に周知する
- 定期的な見直し:組織やレイアウトの変更、事案の発生に合わせて見直す
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検討するときの注意点
- ルールを厳しくしすぎると業務が滞り、運用が守られなくなるおそれがある
- 賃貸オフィスは、工事に管理会社やオーナーの承諾が必要な場合がある
- 拠点が複数ある場合は基準を揃える
- 優先度の高いエリアから段階的に進める
上記を踏まえ、業務とのバランスをみながら、続けられる仕組みにすることが大切です。
オフィスセキュリティをサポートするALSOKのサービス
設備の導入や専門的な知見が必要な場面では、専門の事業者のサービスを活用するのも有効です。ALSOKでは、オフィスの状況に合わせたさまざまなセキュリティサービスを提供しています。
物理的対策
機械警備
オフィスに設置したセンサーが侵入や火災などの異常を検知すると、ALSOKのガードセンターへ通報。24時間365日体制で施設を監視し、異常発生時にはALSOKが駆けつけます。
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防犯カメラ・監視カメラサービス
ALSOKでは、オフィス内外を24時間監視できる防犯カメラ・監視カメラサービスを提供しています。不審者の侵入や放火の抑止が期待できるほか、異常発生時の事実確認や複数拠点の状況の一元管理にも役立ちます。
ALSOKの関連商品
出入管理・入退室管理システム
ALSOKの出入管理システムは、オフィスの入退室を一元管理し、効果的なゾーニングを実現できます。1ゲートから設置でき、重要エリアへのアクセス制限や入退室の履歴の記録に対応しています。生体認証機能にも対応し、なりすましやICカードの不正利用といったリスク低減に役立ちます。
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情報セキュリティ
ALSOKは、物理的な対策だけでなく、サイバー空間でもお客様に最適なセキュリティサービスを提供します。幅広いサービスの取り扱いに加え、セキュリティの専門家による無料相談も行っています。
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災害対策(BCPソリューションサービス)
ALSOK BCPソリューションサービスでは、計画・マニュアル策定から訓練、防災用品や安否確認サービスの提供まで、BCPの策定と運用を一貫して支援しています。
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まとめ
オフィスセキュリティは、オフィスで扱う「人、物、情報」を、侵入や盗難、内部不正、情報漏えい、災害などから守る取り組みです。ゾーニングで境界を明確にし、物理、情報・IT、人・ルールの3面を揃えて進めることが基本です。まずは守るもの、人、環境の洗い出しから始め、優先度の高いエリアから段階的に見直していきましょう。
オフィスセキュリティに関するよくある質問
Q:オフィスセキュリティは何から始めればよいですか。
A:まずは、守るもの(現金、書類、PCなど)、出入りする人(正社員、派遣社員、パート・アルバイト、業務委託先など出入りする業者)、環境(出入り口や鍵の本数、重要情報の保管場所)の順に洗い出します。そのうえで、エリア分け、鍵と什器の管理、クリアデスクの徹底など、基本の対策を進めましょう。悩んだら、ALSOKのような専門の事業者に相談する方法もあります。
Q:小規模なオフィスでも対策は必要ですか。
A:必要です。規模にかかわらず、現金や顧客情報を扱う以上、盗難や情報漏えいのリスクは生じます。施錠の徹底や書類の保管方法の見直しなど、費用をかけずに始められる対策もあります。
Q:賃貸オフィスでも防犯カメラや入退室管理システムは設置できますか。
A:物件や設備の状況によります。工事を伴う場合は管理会社やオーナーの承諾が必要になることがあるため、事前に確認しましょう。判断がつかない場合は、ALSOKなど専門の事業者に相談してください。















