防犯カメラの録画方式や記録媒体・保存期間について

防犯カメラの録画方式や記録媒体・保存期間について
2021.03.23

防犯カメラは、侵入などの犯罪を抑止する効果にとどまらず、記録された映像を基に犯人の追跡・特定にも役立ちます。今回は、防犯カメラのデータを保存する記録媒体や録画映像の保存期間、さらに防犯カメラやレコーダーを選ぶ際のポイントをご紹介します。

防犯カメラの記録媒体にはどのようなものがある?

防犯カメラの記録媒体にはどのようなものがある?

防犯カメラで撮影した映像を記録する記録媒体にはさまざまな種類があり、現在と以前のものでは記録の方式も異なります。
現在ではデジタル式・ネットワーク式の防犯カメラが増え、記録媒体も小型化・大容量化が図られました。録画も動画ファイルの形式で保存されるようになっています。
続いて、現在のデジタル式防犯カメラに用いられる記録媒体の種類についてご紹介します。

防犯カメラ映像の記録媒体

カメラの種類や運用方法、導入する場所によって、適した記録媒体も選択する必要があります。おもな記録媒体とその特徴を以下にご紹介しますので、選定の際のご参考にしてください。

HDD(ハードディスクドライブ)

パソコンに内蔵されている記録媒体や、テレビ録画用に多く用いられている円盤状の記録媒体です。容量あたりの単価が低く、コストパフォーマンスの高さが利点ですが、サイズがやや大型であることと衝撃などで破損しやすい点がデメリットです。このため、防犯カメラ本体に内蔵することは難しく、別途レコーダーを備えるタイプの防犯カメラで採用されています。容量1TBのHDDの場合で、およそ75時間分(1秒毎30コマ、フルHD画質の場合)の映像データを記録することができます。

SDカード

デジタルカメラやポータブルゲーム機でも用いられている、小型のカード状記録媒体です。サイズが非常にコンパクトで薄く、安価なためコストパフォーマンスも高い点が特徴です。一方、静電気などで破損しやすいリスクがあり、年単位といった長期間のデータ保存には向きません。コンパクトなサイズを活かし、多くの防犯カメラやレコーダーで採用されていますが、破損のリスクを考慮し定期的に入れ替えを行うことが必要です。128GBのSDカードの場合、15時間ほど(1秒毎30コマ、フルHD画質の場合)の映像データを記録することができます。

SSD

HDDよりサイズがややコンパクトで、衝撃や振動による破損が少ない記録媒体です。ノートパソコンの内蔵記録媒体としても一般的で、防犯カメラにおいても破損の少なさを活かし屋外用のカメラに内蔵されていることが多くなっています。HDDより容量あたりの価格は割高になりますが、動作音が静かで電力消費が少ない点などがメリットです。HDDと同じになりますが1TBのSSDで約75時間(1秒毎30コマ、フルHD画質の場合)の録画が可能です。

クラウド

クラウドとは記録媒体の名称ではなく、「インターネット上の仮想スペースにデータを保管する仕組みとそのサービス」を指す言葉です。利用するにはサービス契約することが必要となり、他の記録媒体と異なり買い切りではないため割高にはなるでしょう。しかしながら、「レコーダー購入・故障時の修理代等が削減できること」、「証拠映像を隠ぺいするためのレコーダーの破壊や盗難、災害時の紛失の恐れが無いこと」という大きなメリットがあります。もちろん、いつどこにいてもパソコンやスマートフォン、タブレットからカメラの映像を確認できるというメリットもあります(IP対応レコーダーを使用する場合もパソコン等からカメラ映像を確認できます)。サービスによっては上限容量が設定されていますので、台数や画質、必要な録画時間を計算した上で、契約することが大切です。また、インターネットが何らかの理由で接続できなくなった場合、映像が保存されないというデメリットもあるため注意が必要です。

購入時のコスト ランニングコスト(維持費) 録画可能な期間 おもな特徴
HDD 低価格 ほぼなし 1TBで約75時間
(フルHD画質、30fps)
最も普及していて一般的
SDカード 低価格 年1回ほど交換が必要 128GBで約15時間
(フルHD画質、30fps)
定期的に交換が必要
映像データの移動が容易
SSD 多少高め ほぼなし 1TBで約75時間
(フルHD画質、30fps)
振動に強く屋外設置向け
クラウド 安いが継続課金が必要 継続課金のため割高感あり 契約日数分を録画 どこにいても撮影映像の確認や再生が可能
ネット接続に障害が出ると録画が停止する

防犯カメラの録画方式

防犯カメラの録画方式

記録媒体にもさまざまな種類がありますが、同様に録画の方式も多種多様です。動画ファイルのデータ量は大きくなりがちですが、現在の防犯カメラは録画データに適度な圧縮を加えることで、多くの情報を記録媒体へ保存可能としています。
ここでは防犯カメラの録画方式の、さまざまな種類をご紹介します。

データの圧縮形式による録画方式の種類

Motion JPEG

M-JPEG方式とも呼ばれ、JPEG形式の静止画を繋いでいく形で動画とする録画方式です。次にご紹介するMPEG形式と比較すると圧縮効率は落ちますが、編集が容易な点がおもなメリットです。

MPEG-4

MPEG方式は、動画のフレーム(コマ)の差分を保存する(動く部分のみを保存する)圧縮方式を指します。圧縮率によって複数の規格があり、MPEG-1はVTR並みの画質でしたが現在主流であるMPEG-4ではハイビジョン映像以上の画質と圧縮率を両立しています。

H.264

動画ファイルの国際規格で、さまざまな機器との汎用性も高い録画方式です。フレーム間圧縮という方法で圧縮を行っており、他の規格と比較するとファイルそのもののサイズは小さくできます。他の高画質な規格よりは画質が劣る場合もありますが、ファイルサイズを抑えながら比較的高めの画質を実現できるメリットがあります。

H.265

2013年に国際規格となった動画の圧縮方式の規格で、H.264と比較して2倍の高い圧縮率を実現しています。つまりH.264と同等の画質で、データのサイズは半分に抑えられることになります。各種動画配信サービスなども、再生動画にこの規格を採用しています。

ミラーリング録画とは

記録媒体は消耗品であり、長期間の使用には向かない場合があります。たとえば、HDDに保存したデータはHDDが破損すればすべて消えてしまいます。このような不慮のデータ消失を避けるために採られる録画方式が「ミラーリング録画」です。
ミラーリング録画では、2個のHDDに同じ映像を同時保存する「ミラーリングシステム」によって、もし1台のHDDが破損してしまってももう1つにデータを残すことができます。100%とは言い切れずとも、高確率で確実な画像を保存することが可能な方法です。

HD(ハイビジョン)以上の高画質録画が可能なアナログ防犯カメラとは?

HD(ハイビジョン)と呼ばれる高画質映像を超える画質の防犯カメラやレコーダーも増えており、精細な映像で現場を記録することで不審者の詳細な特定や追跡を可能としています。

【高画質防犯カメラの種類】

<AHD、TVI、CVI>

「AHD、TVI、CVI」は、高画質を実現しながら周辺装置への伝送をアナログ信号で行うことが出来る技術方式(規格)のことです。それぞれ名称が違うのは、開発会社がそれぞれ違うことによります。AHDは「Analog High Definition」、TVIは「Transport Video Interface」、CVIは「High Definition Composite Video Interface」とそれぞれを略した呼び名です。今まで使用していたアナログ防犯カメラをデジタル方式・ネットワーク方式の防犯カメラへ入れ替える場合には、適応する配線が異なるので、配線引き換え工事が必要です。しかしながら、「AHD、TVI、CVI」方式のカメラに入れ替える場合には、従来のアナログカメラで使用していた配線(同軸ケーブル)を流用できるため配線工事が不要となります。録画するためにはそれぞれのカメラ方式に合うレコーダーが必要です。

防犯カメラの録画時間と保存期間

防犯カメラの録画時間と保存期間

防犯カメラで撮影された映像は、24時間365日記録を続けなければなりません。どの記録媒体にも容量の上限があるため、どのくらいの期間録画を続けられて何日間保存しておけるのかを認識しておく必要があります。

記録媒体の容量

レコーダーに録画できる時間は、HDDなど搭載される記録媒体の容量によって変化します。カメラの台数や画質、録画時間、フレームレート等の録画設定によって大幅に変わってくるため、容量が気になる場合は設定の見直しなども行いましょう。

フレームレート

映像データは、静止画をフレーム(コマ)で撮影して繋げる「パラパラ漫画」のような手法で撮影・録画されています。このため、1秒間に撮影するフレームの枚数=フレームレートもデータのサイズに影響します。
たとえば「1秒間に15枚撮影」による映像と「1秒間に30枚撮影」による映像データを比較すると、動画再生の滑らかさや保存期間に違いが出てきます。30枚撮影のほうが動画の品質は向上しますが、データサイズは大きくなるため保存期間も短くなります。
撮影や録画の目的に応じて、画質とデータサイズのどちらを優先するか判断しなければなりません。

防犯カメラを複数設置する際の注意点

1つのレコーダーに複数のカメラを接続して撮影・録画を行う場合は、録画可能時間が少なくなるため注意が必要です。レコーダーに同容量のHDDが内蔵されていても、カメラの台数が異なっていれば録画可能時間にも違いが出てきます。

動体検知機能付き防犯カメラについて

動体検知機能の付いた防犯カメラの場合、動くものを検知したときのみ録画を実行する「モーション録画」を行えます。モーション録画付きの防犯カメラを検討する場合は、採用する録画機器や保存媒体をどう選定するかの判断基準が難しいので、防犯設備士などの専門家がいる会社に相談して機器などを決めることがおすすめです。
また、モーション録画は人が訪れる機会の少ない倉庫など、被写体の動きが限定的になる場所で有効な録画方法です。人や車の動きを検知したときだけセンサーが作動して録画が実行されるため、そのような環境下では便利になります。ただし、日ごろから人や物の動きが頻繁に確認される場所の場合、録画可能時間が短くなることもあり得ます。

画質を落とさず録画期間を延ばすには

これまでと同じ画質で録画期間を長くしたい場合、手っ取り早い方法としてはHDDの増設がおすすめです。たとえば食品工場で撮影する安全管理証拠映像は、一定期間以上の長さが必要になります。また、建築現場では工期のすべてを切れ目なく記録する必要が出てくることがあります。そのような場合には、この方法が有効です。
半年、年単位など長期間にわたって映像を保存したい場合は、HDDを増設すれば増えた保存容量の分だけ保存期間を延ばすことができます。

防犯カメラの録画装置

防犯カメラの録画装置

一般的な防犯カメラシステムでは、カメラとは別体のHDDレコーダーを使用しています。近年はワイヤレスで映像を記録できるHDDレコーダーも普及しており、カメラとレコーダーを接続する配線が不要のものが増えています。

DVR(デジタルビデオレコーダー)

DVRは、アナログ式防犯カメラと同軸ケーブルで接続して撮影した映像を録画する方式のHDDレコーダーです。アナログカメラの映像を一旦デジタルに変換して録画を行うため、画質などが若干劣る場合があります。

NVR(ネットワークレコーダー)

ネットワークカメラ(IPカメラ)で撮影した映像をLANケーブルまたは無線LANで伝送して録画を行うHDDレコーダーです。離れた複数の拠点に設置した防犯カメラの映像をネットワーク経由で確認することも可能となり、カメラやレコーダーを新たな追加も容易に行えます。

レコーダーの機能や使用方法

防犯カメラ用のレコーダーには、映像の録画以外にもさまざまな機能を備えた機器があります。

スマホ遠隔監視機能

レコーダーがスマートフォンと連動し、どこにいてもスマートフォンから防犯カメラの映像を確認することができる機能です。

バックアップ機能

万一標準の記録媒体に保存した映像データが消失した際、データを完全に失わないよう予備のデータを別の場所へ保存しておく機能です。USBメモリによるバックアップ機能を備えたレコーダーが知られていますが、バックアップが取れるのは一部分の限られた尺の映像データに限られます。

画面分割・自動切り換え

複数のカメラを繋いでいるレコーダーで、1台のモニター画面を分割して各カメラの映像を表示できる機能です。また、1台ごとの映像を切り替え表示できるスイッチャーを備えたレコーダーもあります。

モーション検知機能(動体検知器)

映像に変化(動き)があるとセンサーで検知し、動きのあったタイミングだけを撮影・録画する機能です。

その他の録画機能

録画する時間を指定できる「録画タイマー機能」や、見たい日時の映像を検索して表示できる「日付検索機能」、不審な侵入を検知するとメールで通知するメール通報機能など、さまざまな機能を備えたレコーダーが選べます。

防犯カメラ・録画レコーダーの選び方

防犯カメラ・録画レコーダーの選び方

防犯カメラ・録画レコーダーの選ぶ際には、さまざまなポイントに注目し用途や環境に適したものを選定する必要があります。
また、選ぶ防犯カメラの種類によって適合するレコーダーの機種も異なるため、選びたいレコーダーがカメラに適合するか確かめることも必要です。普段の使用頻度やカメラの設置台数など、要件に見合うレコーダーを選定するためのポイントについて、以下にご紹介します。

カメラの接続台数

レコーダー1台に、防犯カメラを何台まで接続する予定があるかを考えてレコーダーの選定を行いましょう。レコーダーに接続可能なカメラの台数は、4台まで・8台まで・16台までなど上限があるため、追加する可能性も踏まえて選ぶと良いでしょう。

設置場所

屋内に設置するのか、屋外に設置するのかによって適したレコーダーも異なります。もし屋外にレコーダーも設置しなければならない場合には、ホコリや水分・振動などに強いタイプのレコーダーを選定する必要があるでしょう。

容量・録画時間

記録媒体の容量や録画可能時間を確認し、用途に合うレコーダーを選びましょう。業種などによっては定められた尺の映像の録画が必要となることがあるため、それらを事前に踏まえて機種選定の要件としておくと良いでしょう。

接続方法

カメラの設置場所や用途などで、レコーダーとの接続方法が限定される場合があります。たとえば、狭い場所でレコーダーまで設置することが難しい場合は無線接続が可能なタイプを選ぶ必要が出てきます。また、遠隔地にある複数拠点の映像を確認したい場合はネットワーク接続が可能なレコーダーが必要になります。

保証制度

防犯カメラやレコーダーは、1度設置すると数年は入れ替えずに使い続けるケースが多くなります。万一不調やトラブルが生じた際に、適切に対応してくれる保証が付いているものを選びましょう。

画素数や画質

画素数や画質
画素数や画質

記録した映像のクオリティも、防犯カメラ・レコーダーを選定する際の重要なポイントです。防犯カメラの画素数と画質は、現在では200万画素程度が一般的な画質となっており、400万画素で高画質、800万画素で4K対応画質とされています。
画素数が高いほど画質も向上すると思いがちですが、そうとは限らない点には注意が必要です。画素数が高くなれば撮影した映像の解像度は上がりますが、イメージセンサーが取り込める光の量は少なくなることがあります。映像の表現力という点においては、必ずしも画素数に依存するものではないともいえるため、実際の撮影画像を確認してカメラを選ぶことがおすすめです。

レコーダーの価格相場

レコーダーの価格相場

レコーダーを設置する際にかかる費用は、必要な台数や設置場所によって変わります。レコーダーそのものの購入価格も、数万円から数百万に上るものもあり相場の範囲も幅広くなっています。そのため、専門の会社へ必要な機能や設置場所の特徴などを相談の上、見積もりを取って検討することがおすすめです。
レコーダー単体を購入する場合、1台あたり20,000円ほどのものから100,000円程度のものなど、性能などに応じて価格相場も変わります。複数台を設置するのであれば、その台数分の金額が必要です。
レコーダーを設けず、クラウドサービスを利用して録画する場合、その費用は月額3,000円~5,000円ほどが相場です。ただしカメラ1台あたりの料金となるため、台数を増やせばその分の費用が必要となります。

まずは気軽に利用してみたいという方や、維持管理などのサポートまでまとめて専門の会社へ一任したい方は、防犯カメラのレンタルを利用することも1つの手です。
次の項目では、ALSOKが提供する防犯カメラ関連サービスをご紹介します。レンタルに関するサービスもございますので、ぜひご参考にしてください。

ALSOKの防犯カメラに関するサービス

ALSOKでは、防犯カメラに関するさまざまなサービスをご提供しています。オフィスビルや工場、倉庫などから学校に至るまで、あらゆる企業・法人の防犯対策に向けた多種多様な防犯カメラ・監視カメラを取り揃えております。
さらにローカルカメラやネットワークカメラの設置だけでなく、延長保証などの付加サービスも充実しています。警備会社として長くノウハウを培ってきたALSOKだからこそできる、トータルサポートを実現いたしました。是非お気軽にご相談ください。

まとめ

防犯カメラを、おもに犯罪抑止の目的で取り入れたいという方も少なくないでしょう。しかし万一不審者が侵入してしまったとき、十分に機能しないカメラではその後の追跡や犯人特定に支障をきたしてしまいます。
途切れることなく映像を記録でき、何らかの事案があった際も鮮明な録画映像を手元に残せるカメラを設置しておきましょう。 まさかの事態が発生しても、スムーズで適切な対処が可能となります。最新の録画性能を備えた防犯カメラ・レコーダーを、用途や目的に合わせて選定してみてはいかがでしょうか。