学校に防犯カメラは必要?普及率は?学校の危機管理(リスクマネジメント)について

学校に防犯カメラは必要?普及率は?学校の危機管理(リスクマネジメント)について
2024.02.22更新(2020.10.28公開)

近年、学校・児童を標的にした社会を震撼させる事件が頻発しています。それに伴い、学校に監視カメラを設置するケースが増えてきていますが、「さまざまな事案が起こる時代なので当然だ」と思う方もいれば、「学校でそこまで警戒する必要があるのか」と感じる方もいるかもしれません。
今回は、学校における危機管理(リスクマネジメント)についてご紹介します。学校の抱えるリスクを想定し、さまざまな側面から対策を講じておきましょう。

目次

学校の防犯カメラ(監視カメラ)の普及率は64.3%

学校は安全であるべき施設ですが、時代の変化とともにさまざまなトラブルが起きる可能性があり、子どもたちや職員に被害が及んでしまう場合があります。そこで、防犯カメラを設置するなどしてリスクに備える対策が求められています。

文部科学省の調査によると防犯カメラを設置している学校は64.3%

敷地内や校舎内への不審者侵入防止のための対策として、防犯カメラを設置している学校*1は64.3%となっています。前回の調査から6.2%上昇しており、防犯カメラを設置する学校が増えていることが分かります。学校は職員の目が行き届かない場所もあり、さらに通学路など学校の敷地外の場所にも注意を払わなければなりません。教職員や児童の親、警備員で見守るにも限界があるため、さまざまなリスクを防げるよう防犯カメラのニーズが高まっているといえるでしょう。

参考 文部科学省 学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査

*1 調査対象は全国の国公私立の小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、幼稚園、幼保連携型認定こども園及び特別支援学校

学校の危機管理(リスクマネジメント)とは

学校の危機管理(リスクマネジメント)とは

学校のリスクマネジメントとは、学校が抱えているさまざまなリスクに対し、事案の発生を未然に防ぐための取り組みを実施することを指します。その他にも、事案の発生前・発生時・発生後について組織的に対応し、起こりうる被害を最小限に抑えていくこともリスクマネジメントの一部と考えて良いでしょう。

厳密に分類すると、事案発生前に発生を未然防止する取り組みが「リスクマネジメント」で、事案の発生時や発生後の対応が「クライシスマネジメント」であるという考え方もできます。

学校のリスクマネジメントは、学校の課題やお悩みに合わせた対応策を講じる必要があります。ALSOKでは、1校1校に最適なセキュリティをオーダーメイドでご提案するトータルソリューションサービスをご提供しています。

学校で起こるリスクと対策

学校で起こるリスクと対策

学校では、さまざまなリスクが発生する可能性があります。これらのリスクを最小限に防ぐには、防犯機器の導入により安全管理対策を強化する「ハード面」での対策と、万一の事態を想定した実践的な取り組みを行う「ソフト面」での対策が必要です。ハード面とソフト面のそれぞれを偏ることなく強化することが、学校全体の安全強化につながります。ここでは学校で起こりうる防犯・防災のリスクと対策に的を絞ってご説明します。

登下校時のリスクと対策

登下校時のリスク

登下校中に発生しうるリスクとして、交通事故や不審者との遭遇、連れ去り・誘拐などが想定できます。
警察庁の「警察白書」による、子供(13歳未満)の被害件数及び罪種別被害状況の推移についての平成25年(2013年)~令和4年(2022年)のデータをご参照ください。

13歳未満の子供の被害件数及び罪種別被害状況
出典:警察庁「令和5年警察白書 - 第2章 生活安全の確保と犯罪捜査活動〔図表2-23 子供(13歳未満)の被害件数及び罪種別被害状況の推移(平成25年~令和4年)〕」

被害の総数は減少傾向ですが、逮捕・監禁、略取誘拐などの「連れ去り」に関する事案が増減を繰り返しています。登下校中に事案がおきることも想定できるため、学校としてもリスク管理の強化は必須と言えるでしょう。
また、内閣府がまとめた「令和4年交通安全白書(全文)」によれば、小学生の交通事故による死者・重傷者数を事故当時の状況別で見ると、小学生全体では歩行中の事故がもっとも多くなっています。

登下校時の対策

ハード面

  • 防犯ブザーを児童・生徒に携行させる
  • 通学路に防犯カメラ・監視カメラを設置する

ソフト面

  • 通学路の見回りや登下校時の見守りを強化する
  • 学校単位で緊急マニュアルを作成、緊急対応の体制を作り、定期的に訓練する
  • 児童・生徒や教職員の防犯意識を高めるため、防犯教室や防犯訓練などを定期的に実施する
  • 事故や事件が発生してしまった場合、学校側と各家庭(PTAなど)で情報共有・対策を検討し、再び同じ事故や事件に巻き込まれないよう取り組む など

学習活動(授業や課外活動・部活など)時のリスクと対策

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学習活動(授業や課外活動・クラブ活動など)時のリスク

児童・生徒が学習活動中のおもなリスクは、「外的要因」によるものと「内的要因」によるものに分けられます。特に「外的要因」によるリスクでは、防犯カメラ設置などのセキュリティ強化が不審者対策として非常に有効です。

  • 不審者の侵入によるリスク
  • 熱中症や感染症によるリスク

不審者は、校門や生徒の登下校口だけではなく体育館の出入り口や駐車場側の裏門などからも侵入する可能性があります。体育の授業中や、クラブ活動中における校庭への侵入も考えておくことが必要です。あらゆるリスクを想定し、対応策を講じておく必要があるといえるでしょう。

学習活動(授業や課外活動・クラブ活動など)時の対策

不審者の侵入や急な体調不良など緊急事態のリスク対策

ハード面

  • 出入口や廊下など学校の施設内に防犯カメラを設置する
  • 児童・生徒・職員が取り出せる場所に自動体外除細動器(AED)を設置し、定期的に訓練する
  • 非常通報ボタンによって関係機関に通報できる非常通報システムを整備する
  • 機械警備を導入し、警備会社による緊急時の駆けつけ体制を整備する
  • 感染症予防対策として、学校内の各施設への空気清浄機やオゾン除菌・脱臭器、非接触体温計などを設置する
  • 感染症の発生に備えて陰圧テントなど必要な資機材を準備する

ソフト面

  • 学校単位で安全対策マニュアルや応急救護などの緊急マニュアルを作成、緊急対応の体制を作り、定期的に訓練する
  • 万一事故が起きてしまった場合は、原因究明と実際の対応を検証し、同じような事故が起きないよう対策する
  • 避難訓練時に消防署員に立ち会ってもらう、避難経路や避難マニュアルに改善点がないか指導してもらうなど、所轄の消防署に相談する など

災害に関するリスクと対策

災害に関するリスク

災害に関するリスクには突発的に起こる自然災害があげられるでしょう。特に地震の予測は難しく、大きな地震の発生前には小規模な地震が頻発するといわれていますが、それでもいつどれぐらいの規模の地震がくるのかを予測するのは非常に困難です。
また毎年、夏から秋にかけて多く発生する台風も脅威でしょう。台風は気象庁の進路予想などから、影響範囲や規模を予測することができますが、予測ができれば被害が小さくなるというわけではないのでこちらも万全な対策が必要です。
加えて注意が必要なのが火災です。学校には給食の調理中や理科の実験、家庭科の調理実習など、火事に繋がりやすい危険が多くあります。

自然災害や火災が発生した際は、何より生命を守ることが最優先なので、学校全体で事前の準備や情報の共有をしっかりとしておきましょう。

災害に関する対策

ハード面

  • 機械警備を導入し、緊急時や火災発生時の警備会社による駆けつけ体制を整備する
  • 火災発生時に消防機関へ自動通報できる火災通報装置を設置
  • 児童・生徒や教職員が帰宅困難者になり、地域の避難場所として開設する場合に備えて防災備蓄品を揃える
  • 地域の避難所として開設中に、施設内で感染症が発生した場合に備えて陰圧テントなど必要な資機材を準備する

ソフト面

  • 既存の災害時マニュアルがあれば見直し、現代の災害に合わせてアップデートする
  • 情報収集の方法、緊急連絡体制を整備し、安否確認などが迅速に行える体制を構築する
  • 児童・生徒への防災教育・防災訓練の徹底
  • 実際に災害に見舞われてしまった場合は、復旧後に被害状況や実際の対応を正確に把握し、改善点がないか検証する など

いずれの場合においても、ハード面・ソフト面それぞれで対策が必要です。マニュアルや規定がすでに整備されているものであっても、災害や犯罪などへのリスクについては時代背景の移り変わりで状況が変化していることもあります。都度見直しを行い、社会背景に適した内容に継続的アップデートしましょう。

安全性を高める防犯システム

安全性を高める防犯システム

学校で起こるリスク対策の中でも、ハード面での対策は実効性の高いものです。ここでは学校全体の安全性を高める防犯システムについてご紹介します。

防犯カメラ・監視カメラ

学校内外に防犯カメラ・監視カメラを設置することで、登下校中の犯罪防止や不審者侵入防止、事故が起きた際の証拠を記録するなど広範囲での活用ができます。また、施設内の設備に損害を与えられてしまうリスクに対しても効果的です。

防犯カメラ・監視カメラの種類

防犯カメラ・監視カメラにはさまざまな種類がありますが、形状で分類するとおもに以下の2種が挙げられます。

ドーム型カメラ

小型で目立たないタイプで、防犯カメラを設置していることを意識させたくない場合に有効です。

ボックス型カメラ

ドームカメラに比べて大きくて四角く、存在感があるタイプです。防犯カメラの設置をアピールして犯罪の抑止を図りたい場合に有効です。

設置した防犯カメラ・監視カメラの画像を録画する場合は次の方法があります。

録画用のレコーダーに映像を保存する

カメラ本体に加え、映像を録画するレコーダーを別途設置する必要があります。そのためレコーダーを設置するスペースが必要ですが、ハードディスクの容量によっては長期間録画できる点や、レコーダーを操作するだけで録画映像を確認できる点がメリットとしてあげられます。

クラウドサービスに録画映像を保存する

インターネットと常時接続し、クラウドサービスに録画データを保存する方法です。録画機器を別途用意する必要がないほか、離れた場所からでもパソコンやスマートフォンなどでいつでも録画映像を確認できるメリットもあります。

防犯カメラ・監視カメラの設置場所

学校に防犯カメラ・監視カメラを設置する場合、設置しておきたい箇所としてはどのような場所があるのでしょうか。学校におけるおもな防犯カメラ・監視カメラの設置場所をご紹介します。

校門

学校の校門は、代表的な防犯カメラ・監視カメラの設置場所です。不審者の出入りを抑止して映像を記録するほか、万が一事案が発生した場合には録画映像を証拠として活用できます。正門のほか、全ての出入口及び塀など乗り越えられる場所への設置もおすすめです。

職員室の出入り口や室内

職員室は、学校の中でもっとも多くの個人情報や機密情報を取り扱っている場所です。不審な人物が出入りしていないか、常時警戒する必要があります。出入り口で人の行き来を監視するほか、室内に設置することで内部関係者による不正の抑止効果が期待できます。もし個人情報の持ち出しが発生した際には、発生した時間帯から録画映像を遡って、持ち出したと思われる人物の特定に役立ちます。

グラウンド、駐車場などの外構

駐車場やグラウンドは校内でも開放されている空間であるため、部外者の勝手な立ち入り、駐車場内での事故、車両や学校設備へのいたずら行為のリスクがあります。防犯カメラを設置することでこれらのリスクを抑止する効果が期待でき、緊急事態が発生した場合には録画映像を証拠として活用することができます。グラウンドや駐車場へ設置したカメラの映像は職員室のモニターで確認できるようにしておくと、常に様子を確認できます。

通学路への設置

学校内ではありませんが、通学路も児童・生徒が何らかの事案に巻き込まれる可能性が高い場所です。地域と連携して、学校付近の通学路で特に人通りの少ない場所などにカメラを設置することで、監視し事案発生の抑止、万が一の事案発生時の証拠として活用できるほか、登下校中の児童・生徒が通行ルールなどを守っているかを確認することもできます。

防犯カメラ・監視カメラ設置の注意点

防犯カメラ・監視カメラを設置するときは、カメラを設置する位置や向きを考慮して死角を作らないように設置することが大切です。通学路や学校の校門などの屋外に設置する場合は、カメラの存在が分かるように設置すると犯罪抑止効果をより高められます。カメラの映像に近隣の住宅や建物が映り込むと、地域住民とのトラブルに発展する可能性があるため、撮影範囲や角度を調節しながら設置するようにしましょう。

防犯システム

防犯システムを学校に導入することで、警備に多くの人員を割かなくてもセキュリティを強化することが可能になります。学校に導入できる防犯システムには、以下のようなシステムがあります。

出入管理(入退室管理)

特定の施設や部屋への人の出入りを管理します。出入管理を厳格化することで外部からの不審者の侵入と学校内部における不正行為へのリスク対策を同時に行えます。

機械警備

各種センサーによって夜間無人時の対象施設への出入りを監視します。また、自動火災報知器との連動や各種設備の異常監視も行えます。

非常通報システム

非常用押しボタンを施設内に設置し、緊急事態が起こった際にボタンを押すと警備会社へ通報されます。通報により、ガードマンが現場に急行し適切に対処します。

防犯教室・防犯訓練

防犯の専門家から指導を受け、防犯に関する知識や具体的対策を実践的に学べる場です。
防犯教室や防犯訓練には、教職員のみを対象としたもの・児童と教職員が同時に学べるもの児童のみを対象としたものなどさまざまな種類があります。

防犯に対する考え方を学び防犯意識を自覚する

防犯に対する考え方や防犯意識の特徴も、時代背景と共に変化し続けています。犯罪の機会をいかになくすかを、専門家の助言によって現代の観点で学ぶことができます。

護身用具の使い方指導

「さすまた」などの護身具を備えている学校も数多くあるかと思いますが、それらを実際の現場で活用するには日頃から訓練し、使い方を習得しておくことが大切です。緊急を要する場でいかに護身具を活用して不審者などに対処するかを、実践的に学ぶことができます。

護身術体験

護身具などがその場にあれば良いのですが、身一つで緊急事態への対処が必要となる可能性もあります。その際に護身術を身につけておくことで、相手の動きを見ながら回避することができます。定期的な訓練で基本を身につけ、日頃の練習で対処できるよう備えておきましょう。

ALSOKの学校防犯サービス

ALSOKでは、警備会社ならではの学校向け防犯サービスを取り扱っています。

全国で、児童・生徒向けの「あんしん教室」を展開しています。警備のプロであるALSOK社員が学校に出向き、講師として防犯出前授業を実施します。
登下校時の安全確保から自宅での留守番時の注意点などを学べるほか、高学年向けにはインターネットにおける安全を守るポイントや救急救命に関する指導を受けることもできます。

これまでのさまざまな警備業務で培ったALSOKのノウハウで、学校における防犯・防災をトータルでご提案します。
出入管理や防犯カメラなど「ハード面」のセキュリティと、防犯教育や対策アドバイスなど「ソフト面」の両面から学校でのリスク対策に特化し、一校一校に合わせてオーダーメイドで提案するソリューションです。

警備や防犯対策に長年取り組んできたノウハウが詰まった安心の防犯カメラサービスを提供しています。カメラの設置から長期の延長保証までのトータルサポートやガードマン(警備員)との連携、最新技術を取り入れた画像解析など、警備会社ならではの安心感のある様々なサービスをご用意しています。

まとめ

今回は、学校におけるセキュリティリスクの種類や特徴についてご説明しながら、それらのリスクに合わせた対策やおすすめのサービスについてご紹介しました。
学校でのセキュリティ対策には機器やシステム設備の導入のみならず、防犯・防災に関する教育やマニュアル作成などすべきことが数多くあります。ALSOKでは忙しい学校関係者の皆さまに代わり、防犯・防災対策の構築をお手伝いしております。ご不明なことがあればぜひALSOKにご相談ください。