小売店でのおすすめ万引き防止対策を解説

小売店でのおすすめ万引き防止対策を解説
2024.01.24更新(2020.10.16公開)

万引きは、刑法において「窃盗罪」にあたる立派な犯罪です。しかし「見つかったら品物を返して謝れば良い」「代金を支払えば見逃してもらえる」などと軽く考える犯人も多く、万引きによる被害をなかなか減らすことができません。
今回は、小売店における万引きの現状や、万引き・内引きの被害を未然に防ぐためのおすすめの対策についてご紹介します。

目次

万引き被害の実情

万引き被害の実情

万引きは1件あたりの損害額が少なくても、その件数が増えることで店舗の経営に重大な損失を与える可能性があります。大きな損害を受けると、店舗の存続にかかわる事態となるケースも少なくありません。

店舗における万引き被害の現状

警察庁のデータによると、平成25年~令和4年の店舗における万引き被害の状況は以下のようになっています。

万引きの認知・検挙状況の推移
出典:[警察庁]令和4年の刑法犯に関する統計資料
「図表:2-3-3-ウ-1(万引き認知・検挙状況)」
「図表:3-2-2(主な罪種・手口における高齢者検挙人員)」

万引きの認知件数・検挙件数そのものは年々微減していますが、直近の令和4年でも認知件数は8万3,598件、検挙件数は5万8,283件と、いまだ万引き被害が多く発生していることが分かります。小売店などの経営に大きな影響を及ぼす可能性がある万引き被害ですが、なかなか思うように減らせていないという現状がうかがえます。

万引き被害が多い小売店の種類

万引き被害に遭いやすい小売店として、以下のような店舗が挙げられます。

・スーパーマーケット

商品数が多いことや、店舗が広く店員の目を避けられると思われやすいため、頻繁に被害に遭う傾向があります。

・コンビニエンスストア

従業員数が少なく店員の目が届きにくいと思われやすい場所です。

・書店

書籍は換金性が高く転売目的で商品を狙われやすいとされています。

・ドラッグストア

パッケージの小さい低額商品が多く、盗んでも大事にならないと思われやすくなっています。

万引きされやすい店舗の特徴

万引き被害に遭いやすい店舗には、種別だけでなく店舗の維持・管理面において狙われやすい特徴を持っている場合もあります。以下のような店舗の状況にもし心当たりがあれば、できるだけ早期に改善策を検討すべきでしょう。

店内に死角が多い

人目につくことを避けるため、見通しの良くない場所で犯行が行われることがほとんどです。そのため、死角の多い店舗が狙われやすくなります。

従業員の数が少ない

店内スタッフの数が少ないことで、店内への目が届きにくいと判断される可能性があります。

陳列がいつも散らかっている

商品の陳列が整っていないと、店員の目が行き届いていないと思われ、万引きしやすいと判断される可能性があります。こまめに陳列を整えることで、商品の数も把握しやすくなり、変化にも気づきやすくなります。

防犯カメラ設置など具体的な対策を実施していない

万引き犯は、防犯カメラの設置を確認しています。そのため、防犯カメラが設置されているだけでも万引きの発生を抑止することができます。

万引き犯の年齢層

万引き犯の年齢層

東京都の「万引きに関する有識者研究会」による「高齢者による万引きに関する報告書」では、平成22年と平成28年の都内における万引き被疑者の年代を比較すると、少年と成人の比率は微減しているものの、高齢者の比率が約2割から約3割へと増加しています。

高齢者の万引きが増加した背景

高齢者の万引きが増えていることには、さまざまな社会背景が影響しているとされています。先の「高齢者による万引きに関する報告書」では、以下のような要因が挙げられています。

  1. 高齢者の人口が増えていること
  2. 生活が苦しいと感じる高齢者が増加していること
  3. 認知機能の低下によって万引き=犯罪という意識が希薄になること
  4. 家族との関係が希薄化したことなどによる孤独感やストレス

上記のようにさまざまな要因が挙げられていますが、どの要因にもつながることは「日本の高齢化が急速に進んでいる」という現状です。社会の中で高齢者の孤立を招かないよう、さまざまなソーシャルサポートを充実させていくことの大切さも、高齢者の万引き問題からは考えさせられます。

万引き事犯者の再犯率について

万引き事犯者の再犯率についても見ていきましょう。法務省による犯罪白書(平成26年版)には、「前科のない万引き事犯者の再犯状況」という項目が掲載されています。

前科のない万引き事犯者の再犯率を見た場合、男性でも女性でも窃盗再犯を行った割合は27~28%ほどです。性別による再犯率の差は特に見られず、おおよそ4人に1人の割合で再犯していることが分かります。

また、窃盗前歴がある事犯者ほど再犯率が高いという結果も出ています。窃盗前歴のない事犯者の再犯率は12%ほどですが、3回以上の前歴がある事犯者の再犯率は40%に迫ります。万引きの前歴が多いほど、再犯率も高くなるといえそうです。

万引き・内引きの主な手口

万引き・内引きの主な手口

小売店の万引き被害は後を絶たない状況ですが、店舗における万引きはどのような手口で犯行が行われるのでしょうか。
ここでは、小売店で発生する万引き・内引きのおもな手口についてご説明いたします。

単独犯による万引きの手口

1人で犯行を行う単独犯による万引きは、おもに以下の方法で行われています。セルフレジの普及やレジ袋の有料化を悪用した手口やデジタル万引きといった手法も出てきています。

  • 店員の目が届きにくい場所で、商品をかばんや袋の中に入れてそのまま持ち出す
  • 商品を試着室やトイレなどに持ち込み、かばんや袋に入れてそのまま持ち出す
  • 未精算の商品を買い物かごやカートに入れ、そのまま隠さず店舗の外へ持ち出す(堂々と持ち出すのは、周囲の人へあたかも清算済みの商品であるように見せるため)
  • 無人販売所でお金を払わずに商品をそのまま持ち去る
  • セルフレジで商品の代金を精算せずそのまま持ち出す
  • 未精算の商品をエコバッグに入れてそのまま持ち出す
  • 未購入の書籍の紙面をスマホで無断撮影し保存する(デジタル万引き)
  • 商品の中身だけを抜いてそのまま持ち出す(中抜き)

複数犯による万引きの手口

窃盗グループなど複数名で行われる万引きのおもな手口は、以下の通りです。

  • 実行犯(実際に商品を盗む人)を数人で囲み、店員の目に触れない状態にして犯行に及ぶ
  • 単独犯と同じ手口で商品を盗み、店舗外に控えている共犯者に商品を受け渡す
  • おとりになる人物が従業員の注意を引く行動をとり、店員がそれに気をとられている隙に商品を持ち出す

内引き(従業員による窃盗)の手口

その店舗に勤める従業員や、出入りする取引先など内部の者による万引き・窃盗を「内引き」と呼びます。その手口には、おもに以下のような方法が挙げられます。

  • レジを開閉する際に、レジ内の金銭を盗む
  • 搬入や棚卸し、顧客へ商品を引き渡す際などに商品を盗み、帳簿の記載時にも隠蔽または改ざんを行う
  • 商品を売ったことにして金を盗む(レジの空打ち)
  • 返品処理をしたことにしてレジから金を盗む
  • 在庫商品を盗む
  • 商品を買い取ったふりをして金を盗む
  • 営業時間中や営業が終わってから店内の商品を盗む

小売店向けの万引き防止対策

小売店の経営を守り安定化を図るためには、万引き対策は欠かせない取り組みです。ここでは、小売店が取り入れやすく効果的な万引き対策についてご紹介します。

防犯ゲートの設置

防犯ゲートの設置

店舗の出入り口に「防犯ゲート」を設置することも、万引き防止対策になります。

・防犯ゲートの効果

専用タグの付いた未会計商品を持ったまま防犯ゲートを通って店内から出ようとすると、センサーが反応し音と光を出すことで警告します。この機能で万引きを実際に発見するだけではなく、設置された防犯ゲートの視覚効果で万引きを未然に防ぐ効果もあります。

・防犯ゲートの種類

防犯ゲートには、電波式・磁器式・音響磁気式・自鳴式のおもに4種があります。また、犯罪抑止効果だけを狙ったダミーの防犯ゲートもあります。

・防犯ゲートの設置ポイント(電源処理)

防犯ゲートの設置時には、確実に動作するように電源処理に配慮しなければなりません。一般的なコンセントで電源をとるだけだと万引き犯にコンセントを抜かれてしまう可能性があります。電源箇所を壁に埋め込む、あるいは鍵を用いなければコンセントを抜くことができないガードプレートを設けるなどの電源対策も必ず行いましょう。

その他にも、死角を作らないために店内レイアウトや商品配置を見直すこと、必ずお客様の顔を見て声かけ対応を徹底することなど、日ごろの業務で行える万引き対策は数多くあります。
また従業員がこまめに巡回することや、万引き抑止のための店内放送などもシンプルな方法ですが効果のある対策方法です。

保安警備業務(万引きGメン)への依頼

店舗、建物に常駐して警備をおこなう施設警備の業務の一つに、保安警備業務という業務があります。俗に「万引きGメン」とも呼ばれる業務です。大型店やショッピングモールに入店するテナント店舗の場合は、警備員の存在も万引き対策となります。万引きが発生した際に犯人へ声を掛けて警察に引き渡すなどの業務のほか、制服を着た警備員がこまめに店内を巡回することによる万引きの抑止効果にもつながります。

万引き防犯対策のポスターやPOPを設置

万引き防犯対策のポスターやPOPの設置も、万引き抑制に繋がります。他にも、警察の立ち寄りや防犯カメラの設置状況をポスターで知らせる方法も有効です。

防犯カメラの導入

さまざまな側面で万引き防止に効果を発揮するのが、防犯カメラの設置です。防犯カメラの効果は、単に不審人物を映像に収めて犯罪発生後の犯人特定に役立つだけではありません。カメラがあるというだけで犯罪抑止効果に繋がるほか、従業員の不正行為を監視でき、店内で起こったことの記録が残せるなどのメリットもあります。

設置場所別のおすすめの防犯カメラの種類

ここでは、小売店の設置場所に合わせたおすすめの防犯カメラの種類をご紹介します。

出入り口や駐車場などの屋外

外に設置する防犯カメラは、雨水やホコリがかかることを想定して防水・防塵機能を備えた屋外専用のカメラがおすすめです。

店内レジ周りなどの死角になりやすい場所

万引きが行われやすい死角や、強盗や金銭詐取などの他の犯罪リスクもあるレジ周りには、高画質のカメラがおすすめです。いかにも防犯カメラという形状を選べば、防犯カメラの設置を気づかせることで犯行の抑止が期待できます。また高精度なカメラを備え付けておくと、お釣りの渡し間違いの確認などにも活用できます。

バックヤード

従業員の内引き防止には、バックヤードへのカメラ設置が有効になります。従業員に威圧感を与えないようにドーム型の形状がおすすめです。

本部などの離れた場所からの確認

店舗責任者が本部などの離れた場所から店舗の様子を確認したい場合には、ネットワークカメラの設置が有効です。

小売店向けのALSOKの防犯サービス

万引き被害の実情

店舗警備でも豊富な実績を持っているALSOKでは、小売店向けの防犯サービスも充実しています。

ALSOKの防犯カメラ・監視カメラ

ALSOKでは、さまざまなタイプの高画質防犯カメラをご用意しています。導入済みのアナログ方式カメラシステムの同軸ケーブルが再利用できるアナログHDカメラや、インターネットLANを通じて遠隔地からリアルタイム映像の確認とカメラの操作ができるネットワークカメラまで、画質や操作性、導入費用、設置場所、運用管理などお客様のご要望に合わせてお選びいただけます。
撮影した映像データはクラウドサービスで保管できるオプションも選べるため、レコーダー無しで確実に映像を記録することも可能です。

工事費込みのパッケージプランもご用意しているため、お得に導入したい方にも最適です。

突発的なトラブルなどで短期間だけネットワークカメラを設置したい場合は、面倒な設定・配線工事は不要、価格もお手頃なALSOKの屋外対応無線式IPカメラ「HOME ALSOK Connect Eye」がおすすめです。大がかりな工事が不要なことから、すぐに取り付けられるのがメリット。「依頼駆けつけオプション」もあり、緊急時に依頼があればガードマンが駆けつけます。

※駆けつけは、別途出動費が発生します。

ALSOKの常駐警備

警備員を店舗へ配置する、本格的な常駐警備サービスもお選びいただけます。巡回警備だけではなく、店内案内やイベント時の来店者の誘導も可能です。東京スカイツリーなどおなじみのスポットで培われた実績あるALSOKの警備サービスです。

まとめ

今回は、店舗で発生する万引き被害の実情と必要な対策、そして万引き対策に有効な警備サービスについてご紹介しました。
小売業を営むのであれば、「たかが万引き」と思ってしまうことは禁物です。少額の被害であっても、件数が増えればその損害規模も大きくなります。
特に開業直後など経営が安定する前段階で大きな被害に遭うと、経営に大きな打撃をもたらす可能性も低くはありません。可能であれば開業時から万引き対策をしっかり講じ、思わぬ被害に遭うリスクを抑えておきましょう。

小売店向けセキュリティ対策は、以下でもご説明しています。ぜひご覧ください。