離れて暮らす親に終活の相談を切り出すコツ

高齢者・介護 2024.01.25更新
離れて暮らす親に終活の相談を切り出すコツ

皆さんは、「終活」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。寂しく思う気持ちがこみ上げてくると同時に、現実として持ち物の整理や財産整理、相続などいろいろと考えてしまうかもしれません。親には長生きしてほしいと願いながら、実際には最期の時に向けた準備も必要となります。

しかし、実際は「終活」に対して親子間で意識の差があるのが現状です。特に離れて暮らしている場合、普段からコミュニケーションを取れていない分、終活についてなかなか切り出しにくいかもしれません。
この記事では、子どもから親に終活の相談をする際のコツをご紹介します。

目次

親と終活について話したことがない人が7割

株式会社エス・エム・エスが2022年に行った「親の終活に関する意識調査」(60歳以上の親を持つ男女対象)によると、月に数回以上親と連絡を取る人が7割超であるものの、親と「終活」について話したことがない人は67.7%という結果でした。繊細なテーマである終活は、やはり子どもからは聞きづらいという実態がうかがえます。

終活準備のメリット

終活は「死」に関することであるため、なかなか親に話を切り出せないという方は多いでしょう。しかし、終活の準備をしないまま将来自分が手続きをする場合、わからないことが多く混乱を招いてしまう可能性があります。

親の意思を尊重できる

終活の準備をすることで、残りの人生に悔いが残ることのないよう、親の意思を尊重することができます。
老後の生活や、葬式の規模・呼んでほしい人、お墓に関する希望などを確認しておくことなどが該当します。
先ほどご紹介した調査では、親と生前に話しておきたいことについて「介護の希望(37.5%)」「葬儀(36.8%)」「延命治療(35.9%)」が上位となっています。

遺品整理の負担を軽減できる

親と一緒に身の回り品の整理をしたり処分の方法を確認しておくことで、遺品整理の負担を軽減できます。

親も高齢になってくると、一人でできることが限られてきます。家にあふれている不要なものの処分・身の回りのもののメンテナンス・諸々の手続きなど、高齢者が一人で行うには大変なこともあるでしょう。終活に向けて親だけでは実行に移しにくいことなどを、子どもが積極的に手伝うことで将来的な負担軽減にもつながります。

親の財産を把握できる

親がどのような資産を持っていて、どれだけ相続が発生するのか、またそれらを家族に対してどのような形で残そうとしているのかなど、資産関連の用途は親本人にしかわからないことです。相続などでのトラブルをできるだけなくすためにも、親の考えていることをある程度把握しておく必要があるでしょう。

子どもから親に終活の相談を切り出すコツは?

では、子どもから親に終活についてスムーズに切り出すには、具体的にどうすれば良いのでしょうか。
いきなり「終活についてどう考えているのか?」と聞くとあらたまった雰囲気になり、お互いに話しにくくなるかもしれません。そのため、まずは終活につながりそうな別の話題から、話し始めてみてはいかがでしょうか。
例えば、以下のような切り出し方があります。

身近な人や芸能人の例を出す

誰もが知っている芸能人や、身近な人が終活をしていると聞けば、親も積極的になってくれるかもしれません。世間一般では、多くの人が終活を行っていると知ってもらうことで、親の気持ちが変わる可能性があります。

株式会社エス・エム・エスの調査では、終活について親と話すきっかけについて「ニュースやメディアで終活のことを見聞きした」「新型コロナウイルスの影響で先々のことを考えた」が上位にあげられています。親に終活の話を切り出す際には、こうした内容を話題にするのも良いでしょう。

親の「終活」についてあなたの親と話そうとしたきっかけは何ですか?

出典:株式会社エス・エム・エス「親の終活に関する意識調査」

自分も終活していると話す

親に対して一方的に終活をすすめるのではなく、まずは自分も終活を始めてみると話を切り出すきっかけにもなります。子どもがすでに終活を始めているとなれば、親としては「自分もやろうかな」という気になってくれるでしょう。

親の終活に家族が準備すること

下記にて、親の終活に家族が準備しておくべきことをご紹介します。

老後の資金計画

定年退職後は、これまでの貯金のほかに年金で生活をしなければなりません。しかし、2023年現在の日本では年金問題が社会的な問題となっており、今後の生活について不安な方が多いものです。そのため、今の生活費や現在の貯金額、受け取れる年金額といった、収支に関する情報をまとめておきましょう。
これらの情報から、貯金で生活できる期間や入院費、葬儀費用などを算出することができます。

身の回りの物の整理

遺族間で課題となるのが、故人が残した遺品の整理です。
遺品は多いほど取捨選択を迫られ、処分にかかる負担も大きくなってしまうものです。
また、故人が残すものは手に取れる現物だけではなく、写真や書類といったデジタルデータなども含まれています。
終活を始める際には、今後必要になるものと使わないものに分けるなど、荷物をまとめる・整理する作業を行いましょう。
しかし、親にその旨を直接話すと気分を害されてしまうおそれがあるため、伝え方には注意が必要です。

相続対策・遺言書

終活準備のひとつとしてエンディングノートが挙げられますが、エンディングノートには法的効力がなく、あくまで自分の意思を記載するものです。
そのため、法的効力を持たせたい場合には司法書士や弁護士に相続対策や遺言書の作成を相談しましょう。
「残りは好きにしてくれ」と言う方もいるかもしれませんが、遺族は遺産に関わる業務に追われてしまうため、相続対策や遺言書の作成は重要な作業です。
親がどのような財産を所有しているのか、誰に相続してほしいのかを明記しておくことで、遺産相続がスムーズになります。

介護や入院に備える

高齢化によって心身の機能が徐々に低下するため、介護や入院が必要になることもあるでしょう。
そのため、親が入所する可能性がある介護施設や病院については、事前に確認しておくことをおすすめします。
介護施設についてはサービスが明確に分かれていることが多いため、入って後悔したという方は少なくありません。余生を心地よく過ごしてもらうために、充分に調べておきましょう。

「終活」に対する親と子の考え方の違い

株式会社鎌倉新書が行った「自身の終活に関する意識調査」(2017年)、「親の終活に関する意識調査」(2018年)によると、老後や人生の終わりを考えたときに、「子どもに迷惑を掛けたくない」と思っている親の割合は9割以上となりました。反対に「親から相談されても迷惑と感じない」とする子どもの割合は約9割と大きな隔たりがあります。

「老後や人生の終わりを考えたとき」終活に関する親と子の双方の思い

また、取り組みたい終活について、親では「持ち物の整理」「思い出作り」「旅行」といった項目が上位なのに対して、子どもは「介護」や「お葬式」、「終末医療」が上位となっているのも興味深いところです。
親の心理としては「介護」や「お葬式」、「終末医療」など、子どもの負担になるようなものはできるだけ自分で解決したいという希望があるのかもしれません。しかし子どもとしては、将来自分に降りかかるであろう、経済的・身体的・精神的負担がどれくらいなのかを見積もっておきたいでしょう。

この親子間のギャップを埋めるには、エンディングノートを活用することをおすすめします。

【親子別】取り組みたい終活ランキング

※複数回答

【親(自身の終活)】
人生の終わりを考えたとき、行っておきたい終活
順位 【子(親の終活)】
親と一緒に取り組みたい終活
持ち物の整理 69.0% null1位 介護 75.9%
思い出作り 42.7% null2位 お葬式 72.4%
旅行 39.9% null3位 終末医療 72.3%
財産の整理 31.0% 4位 持ち物の整理 72.9%
エンディングノートの記入 21.2% 5位 財産の整理 71.9%
2017年「自身の終活に関する意識調査」 2018年「親の終活に関する意識調査」

エンディングノートを使ってスムーズに終活を進めよう

エンディングノートは、終活に際して気軽に取り組めるものとして、近年よく使われています。エンディングノートについて、詳しく見ていきましょう。

エンディングノートとは

エンディングノートとは、自分の人生の終わりに向けて自由に書き記すノートのことです。
遺言書のようなイメージを持たれる人も多いかもしれませんが、エンディングノートには法的効力はありません。
遺言書は法的効力がありますが、書くことができる範囲が「死後」のことのみと限定されています。一方、エンディングノートは法的には力がありませんが、その分死後のことだけではなく、生きている現在においての希望なども自由に書けます。

エンディングノートとは、いわば人生を振り返り、今何を考えているのか、今後どのようにしたいのかなど、「家族に思いを伝える」ノートなのです。

何を書けばよいのか

具体的に書く項目としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 資産状況、相続について
  • 携帯・パソコンのデータやパスワードについて
  • 親族・友人などの連絡先
  • かかりつけ医・服薬中の薬・介護について
  • 葬儀・お墓についての意向
  • 継続中の取引や契約について
  • 家族へのメッセージ など

自由に内容を書けるとはいえ、やはり家族に残すものや、家族にやってもらいたいこと、相続や葬儀などについては最低限書いておいたほうがよいでしょう。親しい友人・知人に何かを渡したい、気持ちを伝えたいなど、家族以外に対してのメッセージも書いてもよいでしょう。

なお、資産だけではなく借金も相続の対象になるため、親に借金がある場合は正直に書いてもらうようにしましょう。ネガティブな事柄であっても、伝えておくべきことは正確に書いておくと、後々のトラブルが少なくなります。

エンディングノートの注意点

エンディングノートには、資産や相続、パスワードなど個人情報が多く含まれる場合があります。そのため、人目に触れにくい場所に保管しておくのが望ましいでしょう。ただし、必要なときに見つけられないと困るので、親子間でのみ保管場所を共有しておいてください。
また、書きたい内容はしばらく経つと変わることもあるので、定期的に見直して更新することも大切です。

離れていても気持ちは伝えられる

終活はデリケートな話題のため、普段離れて暮らしている場合、なかなか相談をするのも難しいかもしれません。親としては、子どもに迷惑を掛けたくないという気持ちもあるのでしょう。

しかし、普段なかなか会えない距離で暮らしていると、心配事は絶えないもの。いつも高齢の両親を気にしていて、見守り寄り添っている気持ちを伝えたい、そんなときはALSOKの「みまもりサポート」というサービスがあります。
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