子どもの安全を守るには危険回避能力を高める必要がある
子どもを狙った犯罪や事故は、保護者の目が行き届かないときにこそ発生する恐れがあります。
いざというときに子どもの安全を守るためには、子ども自身の「危険回避能力」を高めることが大切です。この記事では、子どもの安全を守る危険回避能力とは何か、危険回避能力を高めるためのポイントについて、わかりやすく解説します。
危険回避能力とは?
危険回避能力とは、「危険予測に基づき、迅速かつ的確に意思決定し、より安全な行動を選択する能力」のことです。[注1]
つまり、危ない場所・状況かどうかをすばやく判断し、危険を回避するための行動(=危険回避行動)をとるスキルを意味します。
子どもの安全を守るには危険回避能力が重要


出典:令和3年警察白書
子どもの安全を守るには、危険回避能力が欠かせません。すこしでも身の危険を感じたら、すぐに避難したり、周囲に助けを求めたりすることが大切です。
子どもを狙う犯罪は減っている?暴行・強制性交等は増加
13歳未満の子どもを狙った犯罪は全体として減少傾向にあります。警察庁の「令和3年版 警察白書」によると、令和2年度(2020年)の児童を対象とした刑法犯の認知件数は8,788件で、平成23年度(2011年)の3分の1以下に減少しました。[注3]
しかし、罪種によっては認知件数が増加したものもあります。子どもの犯罪被害のうち、暴行は1,029件、強制性交等は176件で、暴行は平成23年から令和2年までの10年間で2番目に多く、強制性交等は最多の数字です。
また、13歳未満の児童を狙った略取誘拐は114件発生しており、略取誘拐の被害件数全体の33.8%に達しています。[注3]子どもをターゲットにした犯罪は全体として減少傾向にあるとはいえ、危険回避能力の重要性はますます高まっています。
[注3]警察庁:令和3年版 警察白書
危険回避能力があれば犯罪被害に遭うリスクを減らせる
子どもを狙う犯罪手口はどんどん巧妙化しています。警察庁の調べによると、子ども・女性を狙った犯罪者の34.6%が人の有無(人通り)を気にかけ、15.4%が被害者の様子に隙がないか確認しています。[注4]
子どもを犯罪から守るためには、犯罪が起きやすい場所・状況について教えるとともに、すこしでも身の危険を感じたら、すばやく危険回避行動をとれるよう訓練する必要があります。
いつも保護者が子どものそばにいられるとは限りません。子ども自身が危険回避能力を身につけることで、犯罪者から大切な命を守ることにつながります。
重要な4つの危険回避行動について解説
子どもにとって特に重要な危険回避行動は次の4つです。
1避難確認:いまいる場所の非常口や避難ルートを確認する
「避難確認」とは、商業施設などの非常口や避難ルートを確認し、火災や地震、犯罪が発生した際に迅速な避難行動がとれるように備える危険回避行動です。
しかし、日本のこどもは海外と比べて「避難確認」の意識が低い傾向にあります。
国立青少年教育振興機構が実施した日本、米国、中国、韓国の高校生を対象に避難確認にする調査を実施したところ、「映画館や旅館などの施設では、非常口を確認するようにする」という危険回避行動を「いつもする」と答えた割合は、米国、中国、韓国の高校生が約22%であったのに対して、日本の高校生はわずか8.5%にとどまります。[注2]
また、消火器・消火栓の場所の確認を「いつもする」と答えた高校生の割合は米国が7.0%、中国が12.6%、韓国が9.8%であったのに対して、日本の高校生の割合は2.5%にすぎません。[注2] この調査は火災が発生した場合の避難確認の意識調査ですが、この意識調査からわかるとおり、日本の子どもは、火災や地震といった災害があった際の避難行動への意識が低い傾向にあるといえるでしょう。
このような緊急事態における意識を改善するためには、子どものうちからご家庭で防災の重要性を教えるのが効果的です。
2災害の予防:災害発生につながるような行動をしない
自分の行動がもたらす結果を予測し、災害発生につながる危険な行動を避けることが重要です。
たとえば、「感電を避けるため、濡れた手でコンセントを触らない」といった行為や、「火事を避けるため、鍋やフライパンで油を加熱する際はその場を離れない」といった行為が挙げられます。危険回避能力を高めることで、漏電・感電や住宅火災といった災害から身を守れます。
3交通安全の徹底:交通機関を安全安心に利用する
交通安全ルールを守って交通機関を利用することが大事です。日本の学生は交通安全への意識が高いことが調査でわかっています。
国立青少年教育振興機構の調べによると、道路を横断するときにいつも信号を守る学生の割合は74.4%、夜間であれば自転車運転中に、いつもライトを点灯するという学生の割合は83.4%です。車に乗ったときにいつもシートベルトを着用する学生の割合は58.0%となっています。[注2]
交通事故に巻き込まれないことはもちろん、自分が交通事故の加害者とならないためにも、交通安全ルールを守る必要があります。
4防犯対策:危ない場所・状況を予測し、常に防犯意識を持つ
犯罪被害に遭わないためには、日頃から高い防犯意識を持つ必要があります。
国立青少年教育振興機構の調べでは、「インターホンが鳴ったり、玄関のドアをノックされたら、相手を確認してからドアを開ける」という危険回避行動を「いつもする」学生の割合は65.3%、一方「しない」学生の割合は15.3%でした。
また、夜遅い時間に一人で外出しないよう、普段から気をつけている学生の割合は38.5%でした。[注2] 子どもを狙う犯罪に巻き込まれないためには、危ない場所・状況かどうかを予測し、瞬時に身を守る危険回避能力が欠かせません。
子どもの危険回避能力を向上させる2つの方法


子どもの危険回避能力を高めるには、どんな方法があるのでしょうか。学校や地域の安全教室のほか、ご家庭で防犯シミュレーションをすることが大切です。
親子で話し合ったり、学校や地域の安全教室に参加する
子どもの防犯意識を高めるには、普段から親子で話し合うことが大切です。普段の通学や突然起こる自然災害など、危険が迫ったときにどう対応した方がよいのか、話題に出すようにしましょう。
また、2001年の池田小学校事件をきっかけとして、全国的に子どもの安全対策への意識が広がりました。子どもの危険回避能力を高めるため、学校・警察・地方自治体などが防犯教室を実施しています。
たとえば、東京都では子どもが危険に遭遇した際に安全な場所へ避難できるよう、「子ども110番の家への駆込み体験訓練」を実施しています。警察は幼稚園・保育園・小学校などに指導員を派遣し、演劇・紙芝居・ロールプレイングなどを用いた防犯教室を実施しています。
また、ALSOKでは小学生を対象に、登下校やお留守番などのシーンに合わせた防犯出前授業「あんしん教室」を行っています。
「地域安全マップ」を使い、家庭で防犯シミュレーションをする
ご家庭でできる取り組みでも、子どもの危険回避能力を改善できます。子どもの防犯意識を高めるには、言葉だけで教えるのではなく、写真やフィールドワークを通じた防犯シミュレーションが効果的です。そこで役に立つのが、「地域安全マップ」です。地域安全マップは、子どもが自ら通学路等を点検して「犯罪が起こりやすい場所」を地図に表す作業を通じて子供たちが犯罪から身を守る力(危険回避能力)を育む取り組みです。
地域安全マップづくりは、おもに小学校で導入されています。東京都の地域安全マップ作製指導方法のマニュアルでは、教室や講義室等で犯罪が起こりやすい危険な場所の判断基準を事前学習し、それぞれルートに合わせて班を構成します。その後、学校を出てフィールドワーク(現地調査)に出かけます。学校に戻ったらマップを作成し、事後学習として班ごとに発表会でそれぞれのマップを共有します。
地域安全マップには、実際の風景写真を使い、犯罪が起きやすい場所が記載されています。地域安全マップを見せながら、「周りから見えない場所は危ないよ」「人気のない場所に近づいてはいけないよ」と教えることで、子どもの防犯意識を効果的に高めることができます。
危険回避能力の向上とともにホームセキュリティの導入でさらなる安全安心を
子どもの安全を守るためには、子ども自身の「危険回避能力」を高める必要があります。「危ない場所や犯罪が起きやすい場所には近づかない」「不審者が近づいたらすぐに避難行動をとる」といった危険回避行動をとることで、事故や犯罪に巻き込まれるリスクを減らせます。また、火事、地震、津波といった災害が発生した際に危険となる場所からの回避行動を身に着けておくことも必要です。
子どもの防犯・防災教育に加えて、ご家庭の安全を守るための防犯・防災対策も大切です。ALSOKのホームセキュリティなら、留守番中の子どもを見守り、センサーによる異常通報があった際、または非常ボタンが押された際は24時間365日ガードマンが駆けつけます。ご家族の安全安心のために、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
子どもの安全安心を守るためのサービス
ALSOKの「子供の留守番の防犯・みまもり」