遠距離介護の始め方と成功のポイント

大学入学や就職のために上京して、そのまま結婚、共働きで子どもができて、もう何十年も東京暮らし、という方も多いと思います。でも40歳を超えてきたあたりから心配になってくるのは遠距離の田舎で暮らす両親のこと。顔を合わせるのは盆暮れ正月で、あとはたまに電話で会話するくらい。今年の正月に家族で里帰りしたときに、両親が急に年老いて見えてびっくりした。そろそろ何かあったときにどうするかを真剣に考えなくては、と思い始めた人も意外と多いのではないでしょうか。
子どもの学校や仕事もあるので、たとえ両親のどちらかが倒れたとしても自分が田舎に帰って介護するのは現実的ではない、でも遠距離で介護が必要になったらどうすればいい?と心を悩ませている方のために、ここでは「遠距離介護の始め方と成功のポイント」をご紹介します。
遠距離などの別居でも介護をしている人は12.2%もいる!
グラフは厚生労働省の国民生活基盤調査によるものですが、この調査によると主な介護者は同居の配偶者や子または子の配偶者で約6割を占めていますが、別居の家族等に介護をされている人も12.2%と10人に1人以上はいることがわかります。
これは近年核家族化の進展の影響によるものといえますが、介護者の方に同居できないという理由ばかりでなく、「一緒に暮らそう」と介護者である子ども家族との同居を勧めても、要介護者の方が長年住み慣れた場所を離れたくないという理由で、別居のまま介護を行なっているケースも相当数あるようです。
いま、親と離れて暮らしていて親の介護が心配という方も相当数いらっしゃると思いますが、この数字をみると必ずしも介護に同居が必要というわけではなさそうです。


出典:厚生労働省「平成30年 グラフで見る世帯の状況」
遠距離介護に備えて、親が元気なうちにやっておくべきこと
将来、遠距離介護をはじめることになるとして、いま用意しておくべきことがいくつかあります。親の老いを感じ不安が多くなってきたら、まずはコミュニケーションの回数を増やして、健康状態をこまめに確認するとともに、親が元気なうちに以下のことを確認しておくようにしましょう。ここでのポイントは要件や質問だけの会話にならないよう、自然な会話の流れのなかから探るように情報を得ていくこと。親は子どもには心配事を隠す傾向があるものですから、無理に聞き出そうとするとかたくなになってしまうことも考えられます。
- ■家計の状況や財産の把握
聞きにくい話ではありますが、介護費用は原則として親のお金をあてるべきですから、年金額や預貯金がどれくらいあるかは把握しておくようにしましょう。いざ介護となった時のプランが建てやすくなります。 - ■親の人間関係の把握
遠隔で介護をしなければならないわけですから、実際には多くの人の手を借りなければやっていけません。付き合いのある親戚や友人、ご近所さんとの関係、趣味や娯楽の集まりへの参加状況などを把握しておきましょう。とくに緊急時に駆けつけをお願いできる関係の人を数人見つけておくことが大切です。 - ■親の生活パターンの把握
食事や家事、外出状況などの生活パターンと最近困っていることや不便に感じていることを把握しておきます。また、日々楽しみにしていることがあればそれも把握しておきましょう。 - ■親の介護の希望の把握
親が元気なうちに確認しておきたいのが、「いざ介護になったときに自分はどうされたいか」です。「どうしても在宅介護がいい」とか、「身内に迷惑かけたくないから介護施設に入る気でいるし、お金も用意してある」という人もいます。介護が必要となる主な原因は、男性は「脳血管疾患」、女性は「認知症」です。くも膜下出血などは突然襲ってきますし、認知症も突然進行することもあります。そうなってから希望を聞くのは困難ですから、できるだけ元気なうちに介護の希望を聞いておくようにしましょう。 - ■介護サービスの情報の収集
介護の相談は地元の地域包括支援センターにします。ここでは介護が必要となる前から相談を受けてもらえますので、一度相談していざという時にどんな手続きが必要かなどを把握しておきましょう。親が元気なうちに一緒に訪問してみるのも相互理解が深まるという意味でメリットがあります。
いざ遠距離介護が必要となったときには
遠距離介護が必要な状況になったらまずは地域包括支援センターに連絡して、介護保険(介護認定)の申請をすることから始めます。要介護認定を受けると介護保険サービスなどをコーディネートしてくれるケアマネージャーという人が付いてくれるようになります。ケアマネージャーは介護者側が選ぶことができますから、できるだけ遠距離介護の経験と理解がある人を選ぶようにしましょう。
ケアマネージャーはそれぞれの家の事情にあったケアプランを立ててくれます。もちろん介護者がケアプランの修正を申し出ることも可能です。ケアマネージャーとよく相談して一緒に納得のいくケアプランを立ててもらうようにしましょう。そういう意味でもケアマネージャー選びはたいへん重要です。
介護サービスには介護保険を利用するサービスと介護保険適用外のサービスがあります。介護保険適用外のサービスには基本的に費用がかかります。できることなら介護保険を利用するサービスだけでケアプランを組みたいものですが、とくに遠距離介護の場合は手が行き届かない場合も多いと想定されますので、割り切って介護保険適用外のサービスを利用するようにした方が賢明ともいえます。
遠距離介護に便利なALSOKが提供するサービス
ALSOKではホームセキュリティ以外にも、遠距離介護のサポートとなるサービスを提供しています。代表的なものを以下にご紹介いたします。
- ■ALSOKハウスサポート
定期的なお掃除から、突然のトラブルまで、ALSOK選りすぐりのプロ集団がさまざまな場面で遠距離で暮らす両親の暮らしをサポートします。とくに家事代行サポートは高齢者の見守りを行いつつ、買い物から洗濯、お片付けまで家事全般をお手伝いできますので、要介護認定を受けていなくても、最近家事をこなすのが大変になってきたという方にも便利にお使いいただけるサービスです。
- ■Home ALSOKアルボeye
アルボeyeはネットワークカメラを設置して、遠距離の場所でも映像をスマホでいつでも確認できるサービスです。カメラ越しに会話したり、センサーでお部屋の温度をチェックしたりすることもできます。異常が発生した時にはガードマンが駆けつけますので、遠距離介護でそばにいられないという時にも安心です。
- ■ALSOKみまもりサポート
ホームセキュリティの仕組みを利用して、急な体調変化などの際には簡単操作で緊急通報することができ、ALSOKが駆けつけます。また、相談ボタンを押すだけで、24時間いつでもALSOKヘルスケアセンターつながり、常駐する看護師に相談することもできます。シンプルなコントローラーでらくらく操作。オプションでガス漏れや火災を自動で検知して通報する機能や、生活動線にセンサーを取り付け、一定時間ドアなどが開閉されない場合に異常と判断してガードマンが駆けつける機能などを付加することもできます。遠距離で暮らしていても安心です。
遠距離介護を成功させるポイントとは
介護は遠距離でなくても予想通りにいかないことが多いものです。何でもひとりで抱え込んだりしないで、積極的に人に頼るようにしましょう。そのためにケアマネージャーをはじめとする、介護に協力してくれる人たちと密にコミュニケーションをとって信頼関係を築いておくことが非常に大切です。
介護を人任せすることに罪悪感を感じる必要はありません。大切なのはその時の状況にあわせて要介護者にとってベストな方法をとれるようにしておくということなのです。