妊娠中に知っておきたい!妊娠・出産でもらえるお金と戻るお金

これから赤ちゃんが生まれる予定の妊婦さんは、予定日に向けてさまざまな準備を進めていると思います。現在働いている方なら、産休や育休のご予定についてすでに職場と相談している方も多いのではないでしょうか。
出産に向けた休暇の調整とともに大切になるのが、妊娠や出産にともなうお金の計画です。
この記事では、妊娠と出産で自治体や健康保険などから受けられるお金の支援についてご紹介します。もらえるお金や戻ってくるお金を押さえておき、安心して予定日を迎えましょう。
働き方によって違う「もらえるお金と戻るお金」
出産を予定されている働く女性は、その働き方によって受けられる支援が大きく3つに分類されます。
- 妊婦さん全員がもらえるお金
- 働いているママが産休中にもらえるお金
- 復職予定のママが育休中にもらえるお金
ここからはそれぞれのお金について詳しくご紹介します。
すべての妊産婦がもらえるお金

妊娠や出産にともなって受ける医療は、病気やけがの治療に含まれないため、健康保険が適用される一般の医療行為とは別とみなされています。そのため、基本的には保険適用外となり全額自己負担で病院を受診しなければなりません。
しかし、妊娠・出産には非常に多くの費用がかかるため、その負担を軽減する目的で費用の補助や一時金の支給があります。
妊産婦さんが、妊娠中から出産にかけてもらえるお金は、大きく分けて2種類あります。
1.妊婦検診費の助成
妊娠中に受ける妊婦検診にかかる費用を補助する制度です。この助成制度は各自治体で設けられており、自治体によって助成回数や助成金額は異なります。
ただし、助成回数は、おおむねどの自治体でも14回分となっているケースが一般的です。
また、現金ではなく「補助券」や「受診票」といった紙の券で支給されるケースがほとんどで、それを受診時の会計の際に窓口に提出して費用の補助を受けます。
もし、助成がなく妊婦検診の支払いを全額実費で支払うとすると、合計で10~15万円ほどかかってしまうといわれています。
しかし、この助成を受けることで自己負担金を合計3~7万円ほどにまで抑えることが可能です。
助成を受ける際のポイント
妊娠がわかって自治体から「母子手帳」を受け取ったら、自治体で実施している手当てなどを確認しましょう。各自治体で独自の支援が行われている場合も多いため、分からないことや質問事項は、自治体へ問い合わせると良いでしょう。
【妊婦検診費の助成についてよくある質問】
Q1.里帰り出産の場合はどうなるの?
A1.里帰り出産などにともない、お住まいの自治体以外の医療機関で妊婦検診を受けるケースも少なくありません。その場合は、お住まいの自治体から支給された補助券が使えないという問題が発生します。その対策として、外部医療機関で支払った妊婦検診の費用をお住まいの自治体がキャッシュバックする制度があります。
この制度は「償還払い」とも呼ばれ、里帰り中の検診にかかった費用を出産後にお住まいの役所の窓口へ提出することで、お金が戻ってきます。
制度の詳細は、お住まいの自治体にご確認ください。
Q2.妊婦検診費助成の受診票は再発行可能?
A2.一度支給した受診票は原則として再発行していないようです。紛失しないよう、十分にお気をつけください。
Q3.妊娠中に別の市区町村へ引っ越しが決まった場合はどうするの?
A3.妊婦検診費の助成は、各自治体独自の制度です。このため他の市区町村へ転居した場合、元の自治体が発行した受診票や補助券は転居先では使用できません。
ただし、元の自治体が発行した補助券の未使用分を転居先の役所に持参し提出することで、転居先で使える券に交換できます。引っ越しが決まっても未使用の券は捨てたりせず、引っ越し先の役所へ必ず持っていきましょう。
2.出産時にもらえる出産育児一時金
普通分娩で出産する場合、入院費に40~60万円ほどかかるといわれています。かなりの高額となりますが、出産育児一時金が支給され、費用のほとんどをまかなうことが可能です。
出産育児一時金は、健康保険に加入しているご本人またはその扶養家族が出産した場合に、支給されます。金額は子ども1人につき42万円で、多胎児(双子以上)を出産された場合はその人数分支給されます。
ただし、産科医療補償制度に未加入の医療機関で出産した場合、または在胎週数22週未満での分娩の場合は、出産育児一時金の支給額は40万4,000円になります。
基本的には出産にかかった費用の一部を肩代わりするものですが、いったん病院へ費用を全額支払わなければならないかといえば、そうではありません。健康保険が病院へ出産育児一時金を直接支払う「直接支払い制度」を採用していれば窓口で全額支払う心配はありません。
ただし、すべての医療機関が対応しているとは限らないため、事前に確かめるようにしましょう。直接支払い制度が採用されていない場合は、退院時にいったん全額負担し、その後に健康保険組合に申請すると後からお金が戻ってきます。
出産育児一時金を受ける際のポイント
分娩費用と入院費用の合計が、出産育児一時金42万円以下におさまるケースも考えられます。そのような場合は、健康保険組合に請求すると差額分が戻ってきます。
ただし請求を行わなければ差額分は還付されませんので、費用の明細で必ず差額を確認して請求を行いましょう。
働くママが産休中にもらえるお金

現在働いている妊婦さんが出産にともない産休を取得し、その後も働き続けたい場合には、出産手当金の支給を受けることが可能です。
ただし、支給を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。
【出産手当金の給付条件】
- 勤務先の健康保険(健康保険組合・協会けんぽなど)に加入している
- 妊娠4カ月以降の出産である
- 出産のために休業している
出産手当金の支給金額は一律ではなく、働くママの収入によって異なります。
また正社員として働いている方に限らず、非正規雇用の方でも勤務先の健康保険に加入している方は支給の対象となります。
育休中にもらえるお金

育児休業給付金とは、働くママが出産後育児休業(育休)に入った場合、休業期間に無収入にならないよう国が支給するお金です。この給付金はママだけではなく、パパが育休を取得した場合にも受給の対象となります。
育児休業給付金の支給額は、以下の計算で求めることができます。
「(育休開始時の日額賃金×支給日数)×67%=月額の育児休業給付金(~育休180日目)」
上記の計算式は、育休180日目(半年)までの場合に限られますので注意が必要です。出産しても退職せず同じ勤務先で仕事を続けるママは、最大で2年間の育児休業を取得できます。
181日目以降の支給額は、以下の計算式で算出しましょう。
「(育休開始時の日額賃金×支給日数)×50%=月額の育児休業給付金(育休181日目~)」
パパももらえる育児休業給付金
ママだけではなくパパも育児休業を取得できるため、ママとパパが交代で育休を取得し協力しながら育児に取り組むことも可能です。例えば、ママの勤務日数の都合で出産から育休取得開始までの日が空く場合、産休後にママがいったん復職し、ママの育休開始日まではパパが育休を取るなど柔軟に対応できます。
また、パパが育休を取る場合も、育児休業給付金を受けることができます。
妊娠・出産時にもらえるお金一覧表

※出産予定が退職後42日以内である、退職日までに1年以上勤務している、退職日に勤務事実がない場合に支給される
その他適用される医療費控除
妊娠や出産にかかる費用は、ママや赤ちゃんたちの状況によって変わります。これは、帝王切開などの手術をともなう出産を行ったり、妊娠の影響で体調不良となれば、保険診療扱いとなり、治療を受けることとなるためです。
このように、妊娠・出産のときに高額な治療費がかかった場合は、一般の保険診療と同様に「医療費控除」や「高額療養費制度」の対象となります。所得申告や還付申請により、かかった費用の還付を受けられますので、妊娠・出産で保険診療の費用が高くなった場合は、これらの制度を活用しましょう。
ライフイベントに合わせてALSOKを活用しよう
妊娠・出産・育児と続くご家族のライフイベントでは、家を空ける機会も多くなりがちです。また、妊婦さんや育児中のパパ・ママにとっては、通常の家事も大きな負担になるでしょう。
ALSOKでは、留守中のご自宅の防犯・火災対策を強化できるホームセキュリティ、家事の負担を低減するハウスサポート、離れた所からお子さまを見守ることもできるアルボeyeなど、さまざまなサービスをご提供しています。
おわりに
妊娠・出産・育児にはお金がかかる上に、仕事も休まなければならないとなると、その間の生活が心配になるのも無理はありません。そこで、負担軽減を目的としたさまざまな制度を、国や自治体が用意しています。安心して赤ちゃんを迎えられるよう、これらの制度を活用しましょう。