高額療養費制度とは?申請方法や確定申告時の医療費控除との併用について

高齢者・介護 2024.07.25更新(2021.06.10公開)
高額療養費制度とは?申請方法や確定申告時の医療費控除との併用について

さまざまな保険制度のなかでも、日常的に利用する機会の多い健康保険。日本ではすべての国民が公的医療保険への加入を義務付けられており、この制度は「国民皆保険」と呼ばれます。私たちはこの制度があることで、医療機関へ支払う医療費も、総額のうち「3割(または1割)」のみの負担で済んでいます。
しかし、入院や手術をともなうような場合、保険診療においても負担する医療費が高額になってしまうことがあります。

本コラムでは、そのようなときに役立つ健康保険の「高額療養費制度」について、その概要や申請の方法をご紹介します。

目次

高額療養費制度とは?

高額療養費制度とは、月ごとの医療費の支払いが一定の限度額を超えてしまった場合に、超えた分の金額の払い戻しを受けることのできる制度です。医療費の支払いが高額になって家計を圧迫し、困窮を招くことを回避するための救済制度と考えるとわかりやすいでしょう。

医療費のイメージ

高額療養費制度では、月ごとの自己負担限度額が決められており、患者が支払う窓口負担額がその限度額を超えないように払い戻しを行います。自己負担限度額は年齢と所得に応じて細かく決められますが、基本は被保険者の方(ご本人または被扶養者のいる世帯主の方)の年齢が「69歳未満の方」と「70歳以上の方」で大きく分けられています。

高額療養費制度の自己負担限度額については、次の表をご参照ください。

69歳未満の場合

年収の目安 自己負担限度額
通常の場合 多数回該当
年収約1,160万円~
健保:標準報酬月額(※1)83万円以上の方
国保:旧ただし書き所得(※2)901万円超え
252,600円+(医療費-842,000)×1% 140,100円
年収約770万円~約1,160万円
健保:標準報酬月額53万円~79万円
国保:旧ただし書き所得600万円~901万円
167,400円+(医療費-558,000)×1% 93,000円
年収約370万円~約770万円
健保:標準報酬月額28万円~50万円
国保:旧ただし書き所得210万円~600万円
80,100円+(医療費-267,000)×1% 44,400円
~年収約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下
国保:旧ただし書き所得210万円以下
57,600円 44,400円
住民税非課税者 35,400円 24,600円

出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」

(※1)標準報酬月額とは、社会保険料(厚生年金・健康保険)や保険給付の算定基準となる1カ月あたりの給料を50等級に区別した額
(※2)旧ただし書き所得とは、前年の総所得金額と山林所得、株式の配当所得、土地・建物等の譲渡所得金額などの合計から基礎控除額を除いた額

70歳以上の場合

年収の目安 自己負担限度額
個人ごとの外来 世帯ごとの外来・入院 多数回該当
現役並み 年収約1,160万円~
標準報酬月額83万円以上
課税所得690万円以上
- 252,600円+(医療費-842,000)×1% 140,100円
年収約770万円~約1,160万円
標準報酬月額53万円以上
課税所得380万円以上
- 167,400円+(医療費-558,000)×1% 93,000円
年収約370万円~約770万円
標準報酬月額28万円以上
課税所得145万円以上
- 80,100円+(医療費-267,000)×1% 44,400円
一般 年収156万~約370万円
標準報酬月額26万円以下
課税所得145万円未満等
18,000円
(年14万4,000円)
57,600円 44,400円
住民税非課税等 Ⅱ住民税非課税世帯 8,000円 24,600円 -
Ⅰ住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下など)
15,000円 -

出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」

さらに医療費負担を軽減する仕組み

高額療養費制度を利用した場合、月ごとの医療費が高額になっても自己負担額は定められた上限額のみで済みますが、他にも医療費負担を軽減できる仕組みが健康保険には設けられています。

【家族で医療費を合算(世帯合算)】

月内にご家族の中の複数人が病院を受診し、「1人ひとりの負担額は上限を超えないけれど合算すれば上限を上回る」というケースも想定できます。この場合は「世帯合算」という世帯ごとの手続きを行うことで、その合計から自己負担限度額を超過した分が払い戻されます。
ただし、69歳未満のご家族が受診した場合は、自己負担が21,000円以上の場合のみ合算が可能です。

【複数回の支払い合算(多数回該当)】

1年間に3回以上、自己負担限度額以上の医療費がかかり高額療養費制度の対象となった場合は「多数回該当」となり、4回目以降の自己負担限度額が下がります。
ただし、70歳以上の方で所得区分が「住民税非課税」に当てはまる場合は、多数回該当は適用されません。

高額療養費制度の申請方法

高額療養費制度の申請方法

「高額な医療費がかかったら、民間の医療保険や生命保険で何とかしよう」と考えている方も少なくないでしょう。しかし、前述の通り、国民すべてが加入している健康保険には高額療養費制度があるため、活用によって実費負担を抑える方法も選択できます。
ここでは、高額療養費制度の申請方法や期限などについてご紹介します。

事後に申請する方法

事後に申請する場合、医療機関の窓口で、医療費の自己負担分全額の支払いを済ませます。支払った金額が高額療養費制度の自己負担限度額を超えていた場合、加入している健康保険(協会けんぽ、組合健康保険など、国民健康保険の場合はお住まいの自治体の役所)に問い合わせ、支給申請を行いましょう。後日、健康保険から、自己負担限度額の超過分の払い戻しを受けられます。

事前に申請する方法

高額療養費制度は、事前に申請することも可能です。事前申請は、医療機関に医療費を支払う前に健康保険へ申請を行い、先に「限度額適用認定証」を受けておく方法です。
ただし、マイナンバーカードを利用できる医療機関では、情報提供に同意することで限度額適用認定証や事後申請の手続きが不要となります。保険証で受診しても、マイナンバーカードを利用できる医療機関であれば口頭で情報提供に同意することで、手続きが不要となります。

高額療養費制度の注意点

高額療養費制度を利用する際、いくつか注意点があります。

高額療養費制度の対象となる範囲を調べる

入院などで高額療養費制度の申請を行う場合、かかった費用のうち高額療養費の対象とならないものもあるため、その点には注意しましょう。入院にかかる費用の内訳のなかで、高額療養費制度に該当せず全額自己負担が必要となるものは以下となっています。

【全額自己負担となる費用】

  • 差額ベッド代
  • 先進医療(高度な技術による治療や療養のうち、公的医療保険の対象外となっているもの)を受けた場合の技術料
  • 入院中の食事代
  • タオルや衣類などを病院で調達してもらった際の費用
  • 正常分娩をした際の出産にかかる費用 など

上記の費用のうち、出産に関しては健康保険の「出産育児一時金」を受けることができますが、それ以外の費用は健康保険ではカバーできません。差額ベッド代(※)や技術料などが高額となる可能性があれば、それらが補償されるタイプの民間医療保険を併用することも1つの手です。また入院などで働けず給与所得が減ってしまった分についても、民間の保険であればカバーできることがあります。
「高額療養費制度があるから民間の保険は不要」ともいえないため、公的・民間を問わずさまざまな保険を比較検討しながら活用しましょう。

※差額ベッド代:1~4名の病室に入院した場合に、公的医療保険の適用対象外として追加される入院費です。少人数病室は1人あたりの部屋面積が広く、療養環境が充実するとの理由で発生する料金で、正式名称は「差額室料」となります。

事後申請は、一時的に全額立て替えが必要となる

事後に申請する場合、被保険者の方が自己負担分を一時的に全額立て替えなければなりません。医療費が非常に高額になる見通しの場合や、入院が長期にわたることが予測される場合は、一時的とはいえ立て替えの負担が重くなります。その場合は、事前申請も選択肢に含めて、慎重に検討しましょう。

マイナンバーカードを利用できる医療機関での受診または取得した限度額適用認定証があれば、自己負担分全額を立て替える必要がなくなり、高額療養費制度の自己負担限度額のみの支払いで済みます。

高額療養費制度は確定申告の対象?

高額療養費制度の申請を行うと、負担するはずのお金が手元に戻ってきます。このお金が収入に該当するのであれば、「確定申告をする必要があるのではないか」と気になる方もいらっしゃるかもしれません。
高額療養費制度はあくまで「本来支払うべきお金が保険で補償されるもの」なので収入には該当せず、返戻金は確定申告の対象とはなりません。

高額療養費制度と医療費控除の併用方法

高額療養費制度のほかに、医療費が高額になった場合に控除を受けられる制度として「医療費控除」があります。医療費控除は毎年確定申告を行って控除を受ける仕組みとなっていますが、この2つを併用することも可能です。

医療費控除とは

医療費控除とは、1年間にかかった医療費が一定額を超えた場合に受けられる所得控除制度のことをいいます。
医療費控除は、納税者が自分または生計を一にする配偶者、その他の親族のために支払った医療費が対象です。また、その1年間(1月1日から12月末まで)までの間に支払った医療費でなければ控除は受けられません。
なお、未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。

医療費控除の金額は、次の式で算出した金額(最高200万まで)となります。

「(実際に支払った医療費の合計-保険金などで補てんされる金額)-10万円」

※保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引くため、引ききれない金額が生じた場合、他の医療費からは差し引かれません。
※その年の総所得金額等が200万円未満の場合は、総所得金額等の5%の金額となります。

出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」

セルフメディケーション税制

医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」という制度があります。
セルフメディケーション税制とは、薬局やドラッグストアで購入できるOTC医薬品の購入費用が高額になった場合、一定の条件を満たすことで医療費控除の特例として所得控除が受けられる制度のことです。
セルフメディケーション税制を受ける場合は、医療費控除は受けることができないため、注意が必要です。

高額療養費制度と医療費控除を併用するには

高額療養費制度と医療費控除を併用する形で医療費控除の申告を行う場合、高額療養費申請で払い戻された金額(支給額)を「保険金などで補てんされる金額」として差し引いて医療費控除を計算する必要があります。そのため、医療費控除を申告する際は以下の手順で行わなければなりません。

  1. 高額療養費制度の申請を行う
  2. 払い戻しの金額が決まる
  3. 払い戻された金額を「保険金などで補てんされる金額」として差し引いて医療費控除を申告する

高額療養費の払い戻しの確定は、診療月から3カ月を過ぎる場合が一般的です。
前年の12月に高額療養費を申請した場合は、払戻金の確定が確定申告期限までに間に合わないことも考えられます。その際、見込みの金額を医療費から差し引いて申告することは可能ですが、金額が違っていた場合には「更正の請求」もしくは「修正申告」をする必要があります。
もし、12月に支払った医療費に対して支払われる保険金の額が、翌年の確定申告時に確定していなければ、保険金などの受取金額を見積もって、支払った医療費からその見積金額を控除する方法もあります。
その後、保険金などの確定金額が見積金額と異なっていた場合には、該当する年次の医療費控除額をさかのぼって訂正することになります。

「更生の請求」…税金を支払いすぎていたり、還付金を少なく申請したり、申告ミスによって損をした場合に行う手続き。

「修正申告」…納税額が少なかったり、還付金を多くもらっていたり、申告ミスによって得をした場合に行う手続き。

介護サービスには医療費控除対象のものもある

介護サービスのなかには、医療費控除の対象となるものもあります。具体的には、介護および介護予防サービスのなかで看護や医学的管理の下における「療養上の世話」にかかった費用が、医療費控除の対象となります。
ご自身やご家族が介護および介護予防サービスを受けている場合、医療費控除を受けられるものも含まれているかもしれません。ケアマネジャーに相談するなどし、医療費控除の対象となるものを洗い出してみましょう。

高額療養費制度は、入院や手術といった療養にかかる費用負担を軽減するための制度であり、介護サービス全般は高額療養費制度の対象とはなりません。居宅サービスや介護予防サービスは、介護保険制度のもとに介護サービス事業者から受けることとなっているためです。なお、療養上の世話にあたるサービスを受けてかかった金額は、医療費控除の対象となります。

ALSOKは健康相談などご高齢の方をサポートするサービスも充実

入退院をしているご家族がいれば、高額療養費制度を受けることで、費用の負担が軽減します。高額療養費制度が申請しているかどうか、一度チェックしてみましょう。
また、体調が優れないご高齢の両親と離れて暮らしている場合、日々の暮らしになにかあったらと不安になる方も多いのではないでしょうか。
そんなときは見守りサービスの導入がおすすめです。

みまもりサポート画像

ALSOKの見守りサービス「みまもりサポート」は、ボタン1つで緊急通報とともにご家族へも通知。もしもの時の「駆けつけ」からちょっとした体調の不調に関する「相談」まで可能です。ALSOKが24時間365日見守り、毎日の安全安心を支えます。

また、ご自宅で身体介護を受けている方、病院で十分にリハビリが受けられない方などを対象に、身体機能や精神機能の維持・向上を目的として国家資格を持つ施術者が医療マッサージを行うサービスも提供しています。

家族が入院し、家の掃除や住宅の害虫駆除にお困りの場合は、ハウスサポートにご相談ください。

おわりに

私たちが加入している健康保険にも、医療に関する出費を抑えるための制度が設けられています。現在民間保険の保険料負担が重いと感じているのであれば、公的医療保険と併用する考え方に見直すことで、適正な保険料負担を検討できるかもしれません。高額療養費制度や医療費控除について詳しく知り、今後のライフプランに役立ててみてはいかがでしょうか。

この記事に関連する商品

HOME ALSOK Connect
お買い上げプラン
月額費用4,070円(税込)
  • スマホで簡単に警備操作
  • 24時間365日の徹底警備。緊急時にはガードマンが現場に急行
  • お手頃価格で家計も警備も安心
HOME ALSOK アルボeye
カメラ稼働式
月額費用2,750円(税込)
  • 自宅内に設置したカメラの映像をスマホでいつでも確認!
  • もしもの際はメールで異常を通知+ガードマンが駆けつけ
  • ご高齢者様の見守りなどの利用にも