介護保険とは?【後編】要支援/要介護認定の基準や介護保険サービスについて

介護保険とは?【後編】要支援/要介護認定の基準や介護保険サービスについて

高齢者・介護 2021.12.23
介護保険とは?【後編】要支援/要介護認定の基準や介護保険サービスについて

国民が40歳になると必ず加入する介護保険。前編の記事では、介護保険制度の概要や、利用手続きの流れについてご説明しました。後編では、介護保険申請によって判定が行われる要支援/要介護認定の流れや、介護保険で利用可能な介護サービスについてご紹介します。

目次

要介護認定とは?

自治体によって審査・判定される要支援/要介護認定。認定の基準が段階的に設けられており、必要な介護の程度によって認定基準も異なります。ここでは、要介護認定を受ける一連の流れをご説明します。

要介護認定の流れ

前編でもご紹介しましたが、介護サービスを受けるには、要支援/要介護の認定の申請が必要です。

まずお住まいの自治体(市区町村)の窓口で申請を行い、自治体担当者の訪問聞き取り調査を受けます。それと並行し、自治体が被保険者の主治医に「主治医意見書」の作成を依頼します。もし主治医がいない場合は、医療機関を新規受診し主治医を決定の上、意見書作成を依頼してください。
その2つの調査結果をもとに、コンピュータによる一次判定、介護認定審査会の専門家による二次判定が実施され、最終的な要支援/要介護認定が決まります。

症状の重さ=介護認定の重さではない

介護保険における要介護認定で注意が必要なのは、「病気の程度が重症だから要介護度も重くなる」という判定がされるとは限らないことです。
たとえば被保険者が病気でほぼ寝たきりであったとしても、日常生活で必要な介護や介助が短時間で済む場合、要介護認定が重くならないこともあり得ます。また身体症状はなくても、認知症が進行していて介護に時間がかかる場合は、要介護度が重くなることがあります。

利用できるおもな介護保険サービス

利用できるおもな介護保険サービス

介護の現場では「介助」と「介護」が明確に使い分けられています。
食事、排便、寝起きなど具体的な手助けのことを「介助」といい、疾病や障害などにより日常生活に支障がある場合、炊事・掃除・買い物といった介助を含む身の回りの世話を「介護」といいます。そのため、介護の中に介助も含まれています。
ここでは、介護保険で利用できるおもな介助・介護サービスについてご紹介します。

居宅サービス

「要支援/要介護者」が自宅に住みながら介助・介護サービスを受けるもので、主に以下の3つがあります。

1.訪問サービス

ホームヘルパーが要支援/要介護者の自宅を定期訪問し、掃除や買い物など家事の支援や食事・排せつ・入浴などの介助、健康・衛生管理指導などの看護、リハビリを行うサービスです。

2.通所サービス(デイサービス)

要支援/要介護者がサービス施設に通い、介護や支援を受けながら日中の時間帯を過ごすサービスです。施設では食事や排せつ・入浴の介助のほか健康・衛生管理の指導、リハビリなどを行います。

3.短期入所サービス(ショートステイ)

要支援/要介護者が一定の期間を設けて施設へ入所し、食事や排せつ・入浴などの介助、健康・衛生管理などの看護、リハビリなどを行います。

施設サービス

「要介護者」が施設に長期入所し、介護サービスを受けるものです。施設サービスも、主に以下の5つがあります。

1.介護老人福祉施設

要介護者が「特別養護老人ホーム」(特養)に長期入所し、介護・看護やリハビリ、レクリエーションなどの提供を受けるものです。特別養護老人ホームは、要介護認定3以上の方が対象の施設となります。

2.介護老人保健施設

医療処置を必要とする要介護者が「介護老人保健施設」(老健)に一定期間入所し、医療処置を受けながら介護の提供を受けるものです。介護老人保健施設は、要介護認定1以上の方が対象の施設となります。長期入所ではなく、あくまでリハビリを目的とした介護施設です。

3.介護医療院

介護医療院は2018年4月から新しく追加された介護保険施設です。
長期的な医療が必要な要介護者が介護医療院に入所し、医療面でのケアと介護の一体的な提供を受けるものです。介護医療院は、要介護認定1以上の方が対象の施設となります。長期的な医療と介護が必要な要介護者を対象とした生活の場としての施設の機能を充実させています。

4.特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)

利用者が可能な限り自立した日常生活を送ることができるよう、指定を受けた有料老人ホームや軽費老人ホームなどが、食事や入浴などの日常生活上の支援や、機能訓練などを提供する介護施設です。

5.介護療養型医療施設

長期にわたって療養が必要な方の入所を受け入れ、入所者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、機能訓練や必要な医療、介護などを提供します。介護療養型医療施設は、要介護認定1以上の方が対象の施設となります。

このほかにも、さまざまな介護保険サービスがあります。

介護サービスの種類 介護サービスの内容
居宅サービス 自宅利用 訪問介護 訪問介護員(ホームヘルパー)による
自宅介護サービス
訪問看護 訪問看護師による自宅看護サービス
福祉用具貸与 車いすやベッドなどの福祉用具のレンタル
日帰り利用 通所介護 デイサービス。
介助支援やリハビリなどを提供する日帰りサービス
通所
リハビリテーション
デイケア。
施設や病院で心身の維持回復のための
リハビリテーションを提供するサービス
宿泊利用 短期入所

生活介護
ショートステイ。
短期間の宿泊で介護やリハビリを提供するサービス
小規模多機能型

居宅介護
通所に宿泊・訪問を組み合わせながら
生活支援やリハビリを提供するサービス
定期巡回・
随時対応型
訪問介護看護
定期巡回や通報に応じた訪問などで、
必要なときに必要な介護や看護を提供するもの
施設サービス 特定施設入居者
生活介護
有料老人ホームや軽費老人ホームなどの
特定施設で生活支援や介助を提供するサービス
介護老人保健施設
(特別養護老人ホーム)
自宅での介護が困難な方に
生活支援や介護を一体提供するサービス
介護老人保健施設 リハビリを主とした
医療と介護を提供するサービス
介護医療院 医療・介護が必要な方向けの
長期療養・生活のための施設

介護保険サービスの支給限度基準額

介護保険サービスの支給限度基準額

介護保険サービスの内、居宅サービスを利用する場合は、介護保険より1カ月に支給される限度基準額が決められています。これを「区分支給限度基準額」と呼びます。なお、居住系サービス・施設系サービスについて限度額は決められていません。

以下に居宅サービスの区分支給限度基準額をまとめました。

認定 区分支給限度基準額
要支援1 約50,320円
要支援2 約105,310円
要介護1 約167,650円
要介護2 約197,050円
要介護3 約270,480円
要介護4 約309,380円
要介護5 約362,170円

※2021年9月現在。区分支給限度基準額は「単位」で定められており、1単位あたりの金額は利用するサービスの種類や事業所の所在地によって異なります。上記表では、1単位あたり10円で計算しています。

それぞれの区分支給限度基準額以内のサービス利用分については、利用額の1割~3割が自己負担額となります。
たとえば要支援1の方が、1か月間の利用料50,000円(区分支給限度基準額50,320円以内)で居宅サービスを利用した場合、その月の自己負担額は1割となり5,000円です。
ただし区分支給限度基準額を超過したサービス利用料に関しては自己負担となります。要支援1の方が1か月間に60,000円サービス利用された場合は、区分支給限度基準額50,320円を超えた9,680円が自己負担額5,032円に加算されます。

所得区分に応じた支援

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)

介護保険サービスを利用する際、居住費や食費は基本的に自己負担となります。介護保険施設に入所する方で、所得区分に応じて居住費・食費といった自己負担額の補助として、認定によって決まる「負担限度額」を超過した分が保険支給されます。(負担限度額は所得金額や施設の種類、部屋タイプで異なります)。
この特定入所者介護サービス費は、負担限度額認定を受けることで利用できます。該当する方は、自治体への申請が必要です。
なお、介護付有料老人ホーム等に入所する場合、負担限度額は適用されません。

高額介護サービス費

月々の自己負担額(福祉用具の購入費、食費、居住費等一部を除く)の合計が、所得で区分された上限額を超えた場合に、超過分が介護保険より支給されます。
受給には自治体への申請が必要なため、該当する方はまず問い合わせてみるとよいでしょう。

改正が繰り返される介護保険制度

介護保険制度は、ニーズに合わせおよそ3年に1度のペースで改正が行われています。たとえば、以前は介護サービス利用料の自己負担が「一律1割」でしたが、現在では「原則1割、高所得者は2~3割」へと変わっています。
介護に関することは、各家庭でさまざまな問題や困りごとがあるかと思います。介護にあたる方や介護を視野に入れている方で、不安があって相談したい場合、最初の窓口となるのが自治体などで設置されている「地域包括支援センター」です。介護や介護保険について不安や疑問がある場合、まずお近くの地域包括支援センターへ相談するとよいでしょう。

ALSOKの介護

ALSOKでは、長期入所できる施設から通所施設、居宅介護支援までさまざまな介護サービスを多数ご提供しています。警備会社のALSOKならではの万全のセキュリティのもと、安全・安心の介護サービスを展開していますので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

介護保険はわが国が設ける国民皆保険制度(すべての国民が医療保険に加入できる制度)として非常に優れたものですが、改正の機会も多いため最新情報を確かめながら利用を考える必要があります。身内の方の介護を控えている方や、介護の当事者となる可能性を感じている方は、ご自身やご家族が介護保険をどのような形で受給できるかを把握しておきましょう。
ALSOKでも、さまざまな介護サービスを取り扱っています。介護サービスに関するご相談があれば、ぜひALSOKまでお問い合わせください。

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