Always Essay ゆるゆるな日々 vol.16

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Always Essay ゆるゆるな日々

私と年賀状

鈴木さちこ

世の中では、年賀状離れが進んでいるらしい。それでも私は、幼稚園のころから今現在も毎年欠かさず書いている。メールは味気ないので、やっぱりハガキがいい。年賀状を前に、年の終わりに一年を振り返り、新しい年に期待を込める。大切な行事のひとつで、できるだけ長く続けたいと思っている。

様々なデザインの年賀状が年明けに届く。
近年は、裏も表も印刷の人がだいぶ増えたけれど、手書きで一言二言、メッセージを添える人がほとんどだ。その筆跡に懐かしさがこみ上げ、顔と思い出がぱっと浮かぶ。学生時代の友人からの便りには、子供の写真が使われていることが多い。毎年成長していく過程を見るのが楽しみで、親戚のおばさんみたいな気分になる。仕事でお世話になった人には、会社宛に年賀状を送る。
私が嬉しいのは、返事が会社ではなく自宅の住所から届いたとき。仕事が終了しても、仲良くしていきたいという合図のように感じるからだ。

年賀状を出す相手をざっくり分けると、普段会っている人と会わない人の2種類しかない。『年賀状だけの関係』という言葉をたまに耳にするけど、何だか悲しい気分になる。少なくとも、年賀状を出し合う関係になるきっかけがあったことを忘れないでほしい。でも、特にルールはないので面倒だと思ったら出さなくてもいいし、やめたいときに止めればいい。出したい人同士で、楽しくやり取りすればいいのだ。

私は社交辞令で、無理に「会いたいね」と書かないようにしている。お互い会おうとしないことはわかっているから。でも、近状を知りたい。会わなくても、日本あるいは世界のどこかで元気に生きている。極端な話、それだけわかれば十分だ。会わないから、年賀状を出す意味もあるのではないか、と私は思う。

小学生の頃、「Aくんにもらった年賀状のお年玉くじで、自転車が当たった」とBくんが言った。それを聞いたAくんは怒りだし、取っ組み合いのケンカになっていた。懐かしいな。そんな思い出も含めて、私は年賀状が大好きです。

すずき・さちこ

1975年東京生まれ。旅好きのイラストレーター・ライター。
「きのこ組」「うちのごはん隊」などのキャラクターを手がける。著書に『電車の顔』『日本全国ゆるゆる神社の旅』『住むぞ都!』『路面電車すごろく散歩』ほか。

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