AEDの選び方とは?5つの比較ポイントと注意点

AED
2023.10.27

AED(自動体外式除細動器)は、急な心疾患によって起こる心房細動と呼ばれる突然の不整脈に電気ショックを与え、心臓の動きを正常に戻すための機器です。駅や空港などの公共施設を中心に多くの場所で設置されています。AEDは誰もが使える仕様になっていて、医療従事者でなくても処置が可能です。万が一に備えて、事業所や施設にAEDの設置を検討している企業や自治体も多いのではないでしょうか。

この記事では、AEDの選び方と選ぶ際にチェックしておきたい5つのポイントや注意点をご紹介します。

目次

AED検討前に自社の導入ニーズを明確にしよう

AEDはさまざまなタイプがあります。例えば、電極パッドが一体型になっているタイプや、2枚に分かれているタイプ、電源ボタンを押すと電源が入るタイプ、ふたを開けたら電源が入るタイプなどがあり、特徴がそれぞれ異なります。そのほかに、外国語のアナウンス機能が搭載されたAEDもあります。
多様な種類があることから、自社の施設の特徴や使用頻度に合わせて、AEDを選ぶ必要があります。

AEDを選ぶ際に重要な5つのポイント

ハートを持つ手

使用シーンや目的に合わせてAEDを選ぶ際は、屋内・屋外などの使用環境と、主な仕様シチュエーションを明確にしておきましょう。例えば、子どもを対象とした施設や子どもが頻繁に訪れる施設の場合は、小児用のパッドがついているAEDを選ぶなど、使用が想定される対象者に合わせてAEDを選ぶ必要があります。

使いやすさ

AEDは誰もが使える仕様になっていますが、実際には初めてAEDを使うという方が多いでしょう。どのような場面でも適切に対応できるよう、AEDは使いやすさがとても重要です。AEDを選ぶ際は使用シーンに合わせて、操作が簡単で音声ガイドが搭載されているAEDを選ぶと良いでしょう。また、女性や学生が操作する可能性があることから、誰もが運びやすい重さであることも重要です。

耐用年数や保証期間の長さ

AEDには耐用年数が定められています。耐用年数とは、AEDが正常に使用できる年数を指します。メーカーや機種によって異なりますが、だいたい7~8年となっています。
また、AEDの機器には5~8年ほどの保証が設けられています。こちらもメーカーによって保証期間が異なります。

理由は後述しますが、AEDの耐用年数を過ぎた場合には必ず更新が必要です。添付文書や取扱説明書に記載されており、各メーカーのホームページでも確認することができます。導入後は必ず確認しておきましょう。

コスト面(初期費用・メンテナンス維持費)

AEDは、電池や電極パッドといった消耗品の交換を定期的に行う必要があります。交換を怠ると必要なときに安全にAEDを使用できなくなるため、定期的なメンテナンスや管理が必要です。
消耗品は、AEDを導入する際に交換分がセットになったものもあります。都度購入することもできますが、手間や管理が煩雑になる場合もあるため、交換分の電池や電極パッドがセットになっているものを選ぶと便利です。

契約形態(リース・レンタル・購入)

AEDの契約形態は、リース・レンタル・購入の3つの方法があります。
購入の場合は、まとまった初期費用がかかりますが、ランニングコストは発生しません。定期交換品を含む契約をすることも可能です。
一方、リースやレンタルは初期費用を抑えることができますが、毎月のランニングコストがかかります。そのほか定期交換品が料金に含まれていることが多く、総額は購入よりも割高になる傾向があります。また、中途解約した場合に解約金が発生することがあります。

それぞれメリットやデメリットがあるため、把握した上で自社にあった契約方法を選ぶと良いでしょう。

管理・サポート体制

コスト面でご紹介した通り、AEDは電池や電極パッドの交換を行い、適切に管理する必要があります。「交換時期を迎えたらお知らせしてくれる」「消耗品の使用期限が近づくと定期交換品を届けてくれる」などサポート体制が整っているかどうかもAEDを導入する際に見ておきたいポイントです。

設置環境別の注意すべき点

厚生労働省が出している「AEDの適正配置に関するガイドライン」には、AEDを設置する際に考慮すべき点が記載されています。新たにAEDを設置する場合は、以下の条件を満たすことが前提となります。
すでにAEDを設置されている場合は以下の内容が十分に考慮されているか確認し、必要に応じて見直しましょう。

  1. 心停止から5分以内に電気ショックが可能な配置
    現場から片道1分以内の密度で配置
    高層ビルなどではエレベーターや階段などの近くへの配置
    広い工場などでは、AED配置場所への通報によってAED管理者が現場に直行する体制、
    自転車やバイク等の移動手段を活用した時間短縮を考慮
  2. 分かりやすい場所(入口付近、普段から目に入る場所、多くの人が通る場所、目立つ看板)
  3. 誰もがアクセスできる(鍵をかけない、あるいはガードマン等、常に使用できる人がいる)
  4. 心停止のリスクがある場所(運動場や体育館等)の近くへの配置
  5. AED配置場所の周知(施設案内図へのAED配置図の表示、エレベーター内パネルにAED配置フロアの明示等)
  6. 壊れにくく管理しやすい環境への配置

出典:厚生労働省「AEDの適正配置に関するガイドライン」

AEDの設置を検討する場合、設置や使用に適した環境条件であるかどうかも設置する前に確かめておく必要があります。
次に、AEDの設置環境別に注意すべき点をご紹介します。

企業の事業所

多くの社員を抱える企業の事業所はAED設置を考慮すべき施設の1つです。AEDの適正配置に関するガイドラインでは、例として50歳以上の社員が250人以上働く場所にはAEDを設置することが望ましいとされています。また事業所に設置する場合、屋内のみで使用するか、屋外も含むかによってAEDの種類や設置方法が変わります。
屋内に設置する場合は、入り口や通路、共用スペースといったすぐに見つけやすい場所に配置しましょう。
屋外に設置する場合、AEDは天候や外部環境の影響をうけるため、AED本体または収納ケースが防水・防塵性能が高いものかどうか確認しましょう。さらに屋外では季節による温度変化も考慮する必要があります。一部のAED収納ケースには冷暖房機能がついており、適切に温度管理をすることができます。

企業の事業所は医療機関と異なり、子供にAEDを使用する機会は少ないと考えられます。しかし、事業所内や事業所が入居するビルに子供が訪れる施設がある、もしくは近隣に子供が多く訪れる場所がある場合、小児用パッドも含めて考慮すべきでしょう。

介護老人福祉施設

介護老人福祉施設では疾患を持つ方もいることから、一般の施設よりもAEDの使用頻度が高くなることが考えられます。施設内の各所から迅速にアクセス可能な場所に設置することが重要です。また、複数階の建物の場合は各階にも配置を検討すると良いでしょう。一般的に介護老人福祉施設では小児用パッドの需要は少ないと考えられますが、外部からの訪問者に入居者の孫などが含まれることも想定して備えておくと安心です。

観光施設やレジャー施設

観光施設やレジャー施設ではさまざまな年代の人が訪れるため、場合によっては子どもにAEDを使用する可能性があります。そのため、設置するAEDは小児モードや小児用パッドが搭載されているものを選びましょう。1日の利用客が5,000人以上の大規模な商業施設(常時、成人が250人以上いる規模を目安とする)は、可能な限り短時間でAEDを持ってくることができるよう、複数台設置することが推奨されています。
AEDは天候や外部環境の影響を受けるため、屋外施設やアクティビティ施設では、AED本体または収納ケースが防水・防塵性能が高いものとなっているか確認しましょう。

スポーツ関連施設

健康な人でも運動中に何らかの理由により突如心停止を起こす可能性があります。すぐにAEDによる処置が施せるようスポーツ関連施設でもAEDの設置が求められます。
スポーツ関連施設に設置する場合は、施設関係者だけでなく利用者や来訪者などもすぐにAEDを使用することができるよう玄関や共用部の設置が望ましいとされています。合わせて、AEDの設置場所が容易に把握できるようなステッカーや案内看板等で明示しておくと良いでしょう。またスポーツ関連施設では、屋外での使用も想定されます。屋外でも利用できる防塵・防水耐性に優れたもの、すぐに持ち運べるように軽量のAEDであると安心です。

ホテル・空港

ホテルや空港では、さまざまな年代の人が訪れるとともに、滞在時間も長い傾向にあるため、AEDの設置が望まれます。場合によっては子どもにAEDを使用する可能性があるため、設置するAEDは小児モードや小児用パッドが搭載されているものを選びましょう。
また外国人がAEDを使用する可能性も考えられるため、英語など多言語に対応しているものだと安心です。ホテルや空港の規模にもよりますが、複数回の建物の場合は各階にも配置を検討すると良いでしょう。

このようにAEDは設置環境別に注意すべき点がいくつかあります。
夜間や休日は建物自体が閉館するため、AEDを設置している場所に入れないということも考えられます。設置施設の営業時間や利用者の特性などを考慮し、適切な設置場所を検討しましょう。

出典:厚生労働省 AEDの適正配置に関するガイドライン

AEDの導入に関するよくある質問

AEDマーク

AEDの導入に関するよくある質問をご紹介します。

Q:AEDを購入した際の勘定科目は?

一般的な中小企業の場合は、取得価額30万円未満の減価償却資産につき年換算で合計300万円までは、取得価額全額を費用計上することができます。リースの場合は、資産に計上して減価償却を行う必要があります。
ただし、リースにかかる総額が300万円以下などいくつか条件を満たすことで、そのまま経費とすることも可能です。会計基準などによって異なるため、経理担当者や販売代理店などに確認しておくことをおすすめします。

Q:AEDの購入に補助金は使用できますか?

AEDの購入には、AEDの普及を目的として自治体が補助金・助成金を設けている場合があり、補助金・助成金の使用が可能です。詳しくは各自治体にお問い合わせください。

Q:保証期間と耐用期間の違いは何ですか?

保証期間は、修理や交換などをメーカーが無償で行ってくれる期間を指します。保証期間が超過しているAEDをそのまま使用し続けたとしても、何かAEDに不具合が発生しない限り困ることはありません。ただし、保証期間が過ぎているAEDが故障した場合は使用者側負担の修理となります。
一方で、耐用期間とはAEDを安全に使用できる期間のことを指します。AEDは「高度管理医療機器」および「特定保守管理医療機器」と定義されていて、耐用期間の過ぎた装置は製造時の信頼性と安全性を維持できなくなる可能性があります。そのため、耐用期間を超過したAEDは速やかに更新する必要があります。

導入から運用までをサポートするALSOKのAEDサービス

公共施設や人が多く集まる場所でも設置が普及してきたAEDは、企業の事業所や介護老人福祉施設などの一般施設にも設置が必要です。ALSOKでは豊富なラインナップを取り揃え、AEDの販売・レンタルサービスから講習までトータルサポートいたします。

ALSOKのAEDサービスの特長

警備会社のノウハウを活かした独自の管理システムで、管理体制を構築。AEDの消耗品の交換時期をお客様にお知らせし、定期交換品をお届けいたします。導入後も24時間365日の体制でサポートいたします。
AEDは設置しても使い方が分からないと意味がありません。そのため、AEDの設置だけではなくAEDを使用した救命方法を身に着けておく必要があります。ALSOKでは、実技時間に重点をおいたトレーニング「救急トレーニングサービス(BLS)」も実施しています。地域や職場、学校での講習も行い、受講者の修練度に合わせたきめ細やかな指導をご提供いたします。

まとめ

AEDは、もしものときに役立つ救命のための医療機器です。もし隣にいる人や知り合いが急に倒れ意識がないときに、適切に救命措置が施せるよう事業所や施設などに設置しておくと安心です。AEDを設置する場合は、使いやすさや耐用年数・保証期間、サポート体制などをチェックして選ぶようにしましょう。
また、AEDの設置には補助金・助成金の対象になる可能性もあります。AEDの設置を検討している場合、管理体制までサポート可能なALSOKにぜひご相談ください。