オフィス・老人ホーム・高層マンションなどの防災備蓄品の例とポイント

オフィス・老人ホーム・高層マンションなどの防災備蓄品の例とポイント
2021.10.19

昨今、災害へのさらなる対策が提唱されていますが、施設によってはその規模や特性次第で必要な備えも異なることがあります。施設利用者に焦点を当て、防災備蓄品を揃えることが必要です。この記事では、オフィス、老人ホーム、そして高層マンションの3施設を例に、災害への備えとして必要となる備蓄品についてご紹介します。

目次

なぜ災害発生時は備蓄品が必要になる?

災害が起こると避難が必要になるおそれがあり、時には避難が長期化する可能性もあります。また、2011年の東日本大震災以降、「自助」「共助」「公助」の考え方が定着しています。中でも、「自助」=「自分の身は自分で守る」ことですので、書類ロッカーなどの転倒防止や建物の耐震化、水や食料の備蓄は自社で行う必要があります。また、備蓄品は自分たちの地域は自分たちで守る「共助」にも役立ちます。

災害対策の重要性

災害時には電気や水道、ガスなどライフラインが停止するおそれがあります。そのような状況下で人々の安全を確保し、事業を継続または早期復旧するためには事前の準備が欠かせません。

以下は、被災した企業がその後も実施している防災への取り組みや、罹災経験を踏まえ新たに実施した取り組みについて調査を行った結果をグラフ化したものです。

企業が被災後も継続実施する・新規実施した取り組みについての調査グラフ

全体で最も上位となったのが「備蓄品の購入」で、次いで「訓練の開始や見直し」、「避難時の安全確保や避難の方法・手順・経路の明確化」となっています。実際に罹災した際に物資不足を感じ、備蓄の必要性を再認識した企業が多かったことを裏付けているともいえる結果です。

行政も備蓄の必要性を重要視しており、例えば東京都の条例では事業者の取り組みとして、災害に備えて従業員1人あたり3日分の備蓄を義務化しています(現状は努力義務となっており、罰則などはありません)。

各ライフラインの復旧日数の想定

災害で万一ライフラインが停止した際、復旧までの時間や日数の目安も想定しておく必要があります。
上水道・下水道の場合で「30日」、電気は「6日」ガスは「55日」を目安とし、この間は備蓄品で補う必要があると考えて準備しておくようにしましょう。

備えておくべき基本の備蓄品

災害に備えて用意しておきたい備蓄品には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、基本の防災備蓄品についてご紹介します。

備えておくべき基本の備蓄品

水や食料

避難や帰宅困難が長引くことを見越し、食料品や飲料水は必要量を確実に備えておきたいものの1つです。品目としてはペットボトルの水や乾パン、レトルトなど保存期間が長いものを選定しましょう。

衛生用品や医療品

ライフラインが止まった状態で避難する場合には、衛生管理も重要です。タオルやトイレットペーパー、マスク、消毒液、簡易トイレ、生理用品、救急用品・常備薬などの薬・衛生用品は必需品といえます。

その他役立つアイテム

毛布や懐中電灯、ヘルメット、携帯ラジオなどは避難時の安全を確保し、情報を得るために必ず準備しましょう。その他、非常時に発電・給電できるよう発電機や蓄電池も準備しましょう。

オフィスで備えておくべき備蓄品

地震発生時に最初に必要となるものは、落下物から頭を守るためのヘルメットです。各自のデスク側面に掛ける等、目に付く所に常備し、災害時にすぐ手にできるようにしましょう。折りたためるヘルメットは、コンパクトで場所を取らないのでお勧めです。

オフィスで備蓄しておきたい具体的な量などは、こちらの記事でもご紹介しています。

上記のほか、緊急時の人命救助を想定して担架やAED、被災時の事業継続を想定して蓄電池や衛星携帯電話、従業員とその家族の安否確認などでスマートフォンや携帯電話を使用すると想定してポータブル電源や自家発電機も準備すると良いでしょう。

老人ホームで備えておくべき備蓄品

老人ホームでは入所者や利用者の方、職員に加え、見学者や入居者のご家族なども来訪します。備蓄品を用意しておく際も、避難者の想定人数を把握し適正な必要量を準備しなければなりません。

水や食料

備蓄食料の必要量は、入所者と職員、来訪者の人数を想定して以下のように算出しましょう。

  • 1食分の必要エネルギー量=1日の必要栄養量に基づき1食あたり500kcal~600kcal程度
  • 必要な食数=(入所者と利用者の人数+職員の最大勤務者数+来訪者の想定人数)×日数
 

上記における日数は、最小限でも3日分以上が必要です。すでに3日分を備蓄している施設では、5日分を目標に追加準備をすると良いでしょう。

備蓄品は水、非常時備蓄用のフリーズドライ加工食品、缶詰、レトルト食品、アルファ米などが適しています。非常時の使い勝手、賞味期限、コスト、ゴミの処理方法などを考慮し、施設に合う品目を選定しましょう。これらの食品は消費期限が近づき次第、平時であっても消費して入れ替える必要があります。
日常の食事での使いやすさなども、入居者・利用者に合わせて考えておくことがおすすめです。被災時に実際に食べることを想定し、箸やスプーンなど食具も必要数備蓄しましょう。

医薬品

施設内で行う通常の診療に必要な処方薬を、食品と同様3~5日分程度は備蓄しましょう。

衛生用品や日用生活品、その他役立つアイテム

避難時に必要となる衛生用品や日用品、被災時にあると役立つものなども忘れず備蓄しましょう。タオルやトイレットペーパー、マスク、簡易トイレ、介護用オムツ、職員向けの生理用品などが代表的な日用品です。これらの品目は来訪者も避難者になることを想定し、社員と施設利用者の人数より多めに備蓄しておかなければなりません。

施設の継続への備え

利用者の生命を守るため、施設の稼働を止めないよう、事業継続に必要なものも揃えておきましょう。蓄電池や自家発電機、発電機の燃料やガス、衛星携帯電話をはじめ、介護や医療に必要な機器を維持するための備蓄も必要です。

老人ホームの備蓄品ポイント

災害時の食の備えにも、施設の特性上高齢者が多い点を考慮し、普段から食べ慣れている食品や柔らかいものを選択する、普段使用している特殊な食品(とろみ剤など)があれば一緒に備えることが大切です。保管する際は、緊急時にスムーズに対応できるよう厨房や施設内、敷地内など複数の保管場所を確保し、各所に品目を組み合わせて保管しましょう。また、施設に残留した職員が食事の提供を行うため、誰もが保管場所を把握しておき、一目瞭然の献立表を作成しておくことが必要です。加えて、二次災害や感染症の蔓延が万一起こった際の事業継続対策も、必ず考慮しましょう。

高層マンションで備えておくべき備蓄品

高層マンションでは、被災して万一電気が止まると、エレベーターが使えなくなるという特有の災害リスクを考慮する必要があります。この点を踏まえ、復旧までの期間を見越して余裕を持った対応が必要になります。
もちろん住人が個別で備蓄を行うことは大切ですが、マンション全体のことを考慮した管理組合としての対応が必要となります。

水・食料

電気が止まった時のことを想定し、電気復旧までの目安となる6日間前後の備蓄が必要です。多くのマンションでは給水に電動ポンプを使用しており、たとえ水道が復旧しても電気が使えなければ水は使用できません。

医薬品/衛生用品/衛生用品/その他役立つアイテム

水や食料と同様に、エレベーターが使用できないリスクを想定し、最小限とされる3日分よりも多めの備蓄を行いましょう。出来れば、電気が復旧する目安の6日分は備蓄することをお勧めします。

高層マンションの備蓄品ポイント

備蓄品は、一か所に集めて保管しないように注意しましょう。被災時は階段でしか移動できない可能性が高く、遠くの階層まで物資を運びきれないおそれがあります。各階層へ満遍なく物資が行き渡るよう、数か所に分散して備蓄してください。また、災害時に管理員が不在もしくは管理会社が現地に来ない場合を想定し、住民の方々にも保管場所や備蓄品の品目・数量等の情報を共有しておきましょう。保管場所の鍵も該当階層の住民の方に持ってもらうことで、いざという時にスムーズに備蓄品を使用できるようになります。住民同士で共助できるようにしておきましょう。

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災害対策品を購入できるだけでなく、管理サービスも併せて一任できるため、手間や維持コストを抑えながら安心感の高い備えを実現します。

まとめ

災害時を想定した備蓄品に関する情報は各所で提示されていますが、各企業・施設で必要な備えはその特性に合わせて準備する必要があります。オフィスや施設に合った品目や分量を揃え、適した保管・管理を行わなければなりません。
ALSOKの災害対策用品は、ご要望に合わせたセットのご用意をはじめ、数量・期限の管理や入れ替えなどもトータルで対応します。防災対策の強化をご検討中の企業・施設様は、ぜひお気軽にご相談ください。

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