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小売店(雑貨・コンビニなど)開業の流れと必要な準備とは【開業の基礎知識】

小売店(雑貨・コンビニなど)開業の流れと必要な準備とは【開業の基礎知識】
2020.09.03

雑貨店やコンビニなどの「小売店」は、若者から高齢者まで幅広い層の来店が期待でき、取り扱う品目によっては社会情勢に売上や収益を左右されにくいという特徴を持っています。独立して店舗開業をめざす方のなかには、小売店の開業を検討中という方も多いのではないでしょうか。

今回は、小売店の開業を検討している方のために、事業計画を作るところから実際にお店を開くまでの流れをご紹介します。どう計画を立て、何を準備した上で開店に向けどのように行動すべきなのかを知り、堅実な経営に向けた意識を準備段階から作っていきましょう。

事業計画の作成(計画の立て方・収支計画など)

事業計画の作成(計画の立て方・収支計画など)

事業計画は、どのような事業を始める場合でも初めに必ず行っておく必要があります。事業計画の目的は収支計画などを明確にしておくことで、計画に沿い戦略的に事業を進めるためのものですが、それだけではありません。もし開業資金の一部を融資や補助金などで調達する予定があるなら、その審査で事業計画書を提出する必要があるため、しっかりと作っておく必要があります。

業態別に見る開業資金

1.コンビニなどのフランチャイズ店舗

小売店のなかでも、コンビニエンスストア(以下、コンビニ)はフランチャイズ制の出店形態をとっているため、個人の経営者が参入しやすい利点があります。一から店舗を作るよりも少ない資金で開業できるメリットがありますが、自身の裁量だけで経営を続けられないデメリットもあります。

コンビニを例に、フランチャイズ店の開業資金の目安を見ていきましょう。

  • フランチャイズ加盟金:100万円から300万円
  • 開店準備金:50万円ほど
  • 自身や家族の生活費としての余剰金:100万円~200万円ほど

合計で最小限400万円ほどがあれば、開業自体は可能です。しかしコンビニは基本的に利益率が大きくなく、集客の度合いがそのまま経営に大きく影響します。立地やアクセスの良さなども重要なため、顧客の視点で「立ち寄りやすさ・買い物のしやすさ」をよく考えて出店を考えることが大切です。

2.直営店舗による小売店開業

直営店舗を構えて開業するスタイルは、もっとも多くの開業資金を必要とします。参考までに、首都圏に1店舗を開店するためには、最低であっても「1,000万円」は資金が必要と言われています。その資金の内訳は、以下の通りです。

  • 物件の取得費用
  • 物件の改装工事費用
  • 向こう2~3か月分の家賃や人件費
  • 資格や許可取得などの開業費用

この資金を事業主だけで調達することが難しい場合、半額程度の500万円ほどを自己資金で用意し、融資や補助金などで残りを調達する方法もあります。また、首都圏ではなく地方で開業することや、自店舗向けの設備があらかじめ整えられた「居抜き物件」を見つけて活用することで、開業資金を抑えられる場合もあります。

具体的な準備(資金調達・物件探し・各種申請)

具体的な準備(資金調達・物件探し・各種申請)

小売店を開業するには、資金だけでなくさまざまな申請・手続きが必要です。また、当然のことながら実店舗を構える場合には物件の確保が必要です。ここでは小売店の開業に向けて必要な「行動面」での準備事項をご紹介します。

資金調達で押さえたいこと

開業資金として、全額自己資金で賄えればそれに越したことはありません。しかし、実店舗の開業には1,000万円かかるという目安を考えると難しい場合もあるでしょう。以下の方法などをうまく活用し、自己資金の不足分に充てられるようにしましょう。

  • 日本政策金融公庫の融資を受ける方法
  • 国や自治体の補助金、助成金を活用する方法

融資は返済が必要ですが、補助金や助成金は基本的に返還不要です。スケジュールに余裕を設けてまず補助金や助成金の受給を検討し、その可否や金額次第で残りの資金は融資で賄うという方法が良いでしょう。

また補助金や助成金は、それぞれの種類によって受給金額や審査の程度に差があると言われています。特に審査に大きく影響するのは「事業計画書」の内容と言われていますので、事業計画は審査対策と事業への活用を兼ねてしっかり作成する必要があります。
それとともに、実際に自分がどのような融資や補助金・助成金の受給が可能なのか、よく検討する必要があります。

店舗物件探しのポイント

店舗物件探しのポイント

実店舗で開業する場合は、物件探しも大切です。まず、借りたい物件の条件を明確にしておきましょう。「立地」「広さ」「家賃」の3条件は最低限でも事前に想定し、それに沿って物件を探します。「立地」は地域だけでなく、アクセスや物件の性質(周辺が賑やかか静かか、駐車場の有無など)の要件も含まれます。「広さ」は取り扱う商品の嵩(かさ)や数量などから判断します。一般に「家賃」は店舗の規模にもよりますが「月商の7%~10%が目安」と言われています。家賃がこの比率を上回ると、経費において赤字となってしまう可能性が高くなるとされているためです。ですが、それにとらわれすぎてしまうと選択できる物件が限られてしまうため、無理のない上限を決めて探すと良いでしょう。

また、先にもご説明しましたが、居抜き物件の活用も得策です。小売りの場合は飲食店と異なり、改装費用が安く済む傾向にあるため居抜きにこだわらない方も多いのですが、開業資金を抑える工夫として頭に入れておくと良いでしょう。

開業に必要な資格や届け出

小売店も、取扱品や店舗の性質によって資格の取得や届け出が必要になります。おもな資格・届け出のケースを以下にまとめました。

  • 中古品を扱う場合:古物商許可(管轄の警察署)
  • 食料品を扱う場合:食品関係営業許可(管轄の保健所)
  • ペットなどを扱う場合:動物取扱業(自治体ごとに異なる窓口)

食品関係営業許可は、農家が生産物を直送する場合や加工品の仕入れ販売のみの場合は不要です。また、動物取扱業も扱う生体が魚類や昆虫の場合は除きます。自身の取り扱う店舗は資格や届け出が必要かどうか、よく調べるようにしましょう。

開業準備(内外装・備品調達・従業員の確保・商品の仕入れ・オペレーションの整備)

開業準備(内外装・備品調達・従業員の確保・商品の仕入れ・オペレーションの整備)

物件を決めて開業日が近づいたら、改装や備品調達など本格的な準備に取り組まなければなりません。ここでは店舗を作るための、最終準備における注意点についてご紹介します。

内外装の改装に関する注意点

小売業の開業時における改装費用の目安は、物件の状況によって差はあるもののおおよそ「200万円以内」で収められる場合が多いとされています。ただし、居抜き物件を見つけて既存設備を活用したことで「50万円」に抑えられた例もあります。
その他にも「休憩室や倉庫などは最安の内装材を使う」など、コストを抑える工夫は数多くありますのでアイデア次第で節約も可能です。

什器や制服など備品に関する注意点

備品は店主のこだわりを取り入れて選定したいという方も多いでしょう。しかし、特にこだわりがなければ開業にまつわるさまざまな備品を一括で調達できる通販サイトを利用することも選択肢の一つです。必要なものが揃っているので選定に頭を悩ませる必要がありませんし、量販店にはないプロ仕様の備品が手に入るメリットもあります。

従業員の人件費に関する注意点

従業員を雇う場合は、人件費の準備が必要です。人件費は、基本給や残業代だけではありません。通勤手当や社会保険料など、従業員を雇うのに必要な経費すべてを含みます。
人件費は毎月発生する固定費用のため、家賃や原価と並んで大きな割合を占めます。

売上に対しての人件費の割合(売上高人件費率※1)は、小売店の場合「10~30%」が一般的で、取扱品や業種によって異なります。コンビニであれば約11%、アパレルは約23.4%、花屋では約27.8%が平均となっています(※2)。

※1売上高人件費率は、「人件費÷売上×100」で算出されます。

※2TKC「経営指標 要約版・速報版 令和2年2月~令和2年4月決算」
https://www.tkc.jp/tkcnf/bast/sample

数字が高いと人件費にそれだけ費用を回していることになるため、経営に影響がでることもあります。適切な数字になるよう準備しておきましょう。

商品の仕入れに関する注意点

商品の仕入れに関する注意点

商品を仕入れる場合は原価の金額に目が行きがちですが、「原価率」で考えることが一般的です。小売店の原価率の目安は「50%~75%」と言われています。業態別ではスーパーがもっとも高く75%ほどで、百貨店合は50%ほどが目安とされています。これは、上代(店頭販売価格)から経費にかかる比率(例:家賃10%+人件費10~30%)を差し引いて「原価+利益」の比率を算出した場合「60~80%」となり、利益を出すには先の目安でご紹介した原価率を維持する必要があるためです。
小売店が長期的に営業を続けるには、特定の問屋との信頼関係を作ることも大切です。しかし、資金が少ない開業当初などには同じ商品を他よりかなり安く仕入れられるオンライン問屋などを活用する方法も1つの手です。

オペレーションマニュアル作成に関する注意点

ご自身で店舗運営に関するマニュアルを作成しても良いのですが、事業の標準化・効率化に関するノウハウなどは実際に事業を始めないと身につかないことも一般的です。そのため、すでに効率化が取り入れられたマニュアルを専門のコンサルタントに依頼し、相談しながら作る方法もおすすめでしょう。

まとめ

今回は、雑貨店などの小売店開業に必要な準備の流れについてご紹介しました。
小売店はさまざまな業態があり、実店舗を設ける場合は物件探しや改装などの店舗準備もあります。また店舗と商品さえ用意できれば開業できるというわけではなく、業態によっては許可や届け出が必要な場合もあるため、どんな店舗にしたいかによって準備事項も異なります。
ご自身の「開業したい店舗業態」や「必要なもの・こと」を事前に明確にし、実効的な事業計画に沿って早期から準備を始めることが大切です。開業に際し業態別に必要となる資格や許可、詳細な事業計画の立て方なども、準備を始める前にはあらかじめ調べておきましょう。