高齢者は熱中症になりやすい?理由と予防方法を解説

高齢者は熱中症になりやすい?理由と予防方法を解説

高齢者・介護 2019.09.06(2021.12.29更新)
高齢者は熱中症になりやすい?理由と予防方法を解説

毎年、暑くなると熱中症で多くの方が緊急搬送されており、中には熱中症により亡くなるケースもあります。
環境省の「熱中症環境保健マニュアル」によると、熱中症による死亡者の数は温暖化やヒートアイランド現象などの影響から年々増加。熱中症死亡総数に占める65歳以上の割合も1995年には56.3%であったものが、2010年には79.3%と急増しており、2015年には80.7%、2020年は86.1%とやはり微増傾向です。(厚生労働省資料より)
高齢のご両親がいる世帯では、夏の暑い時期は何かと心配なのではないでしょうか。
そこで今回は、熱中症の症状や応急処置、高齢者の熱中症予防についてご紹介します。

熱中症のメカニズム

気温が高く体温が上昇しすぎると体内の調節機能がうまく働かなくなり、めまい、失神、けいれん、高体温などの症状を起こします。この状態の総称を、熱中症と呼びます(詳しくはこちら)。
熱中症は重症化すると死に至ることもある怖い病状ですが、予防法を知っていれば防ぐことができ、また熱中症になった場合でも適切な応急処置を行えば救命できる可能性が十分にあります。予防や適切な応急処置をするためにも、事前に正しい知識を持っておきましょう。

熱中症には3つの段階がある

一口に熱中症といっても症状に応じて段階が3つに分かれています。段階によって対処方法が異なりますので、まずはこの3つの段階についてみてみましょう。

熱中症には3つの段階がある

3つの段階は表の通りで、Ⅰ度からⅢ度まであります。Ⅰ度の場合、めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、手足のしびれ・気分の不快といった症状が現れます。軽度とされているため、現場での応急処置で対処することが可能です。
Ⅱ度になると頭痛や吐き気、嘔吐などの症状が見られます。Ⅰ度よりも重い症状のため、病院への搬送が必要です。
Ⅲ度は、頭痛や吐き気の他に、意識障害や全身けいれんといったⅡ度よりも重い症状が現れるため、入院して集中治療する必要があります。
数字が増えるほど重篤な状態にあり、緊急性が増します。

熱中症の応急処置

暑い日に様子がおかしいというときにはまず熱中症を疑いましょう。熱中症は症状が重くなればなるほど、命に関わってきます。そのため、熱中症の疑いがある場合は、段階に応じて適切な応急処置を行いましょう。

熱中症の応急処置

Ⅰ度の症状が現れている場合は、ただちに涼しい場所や日陰のある場所に移動し、衣服を緩め、安静に寝かせましょう。室内であればエアコンをつける、扇風機・うちわなどで風をあて身体を冷やすようにします。それでも回復しない場合は、医療機関を受診します。

Ⅱ度に該当するような症状が出てきた場合は、積極的に身体を冷やす処置が必要です。首回り・脇の下・太ももの付け根など、太い血管が通っている部分を冷やすと循環する血液の温度を効率的に下げることができ症状の改善につながります。また、水分をこまめに取らせるようにすることも大切です。
脱水が進んでいるときは身体が真水を受け付けない場合がありますので、経口補水液などを日頃から用意しておくと安心です。
なお、Ⅱ度の症状に該当する場合は、医療機関への受診が必要です。

さらに進んでⅢ度の症状に該当する場合には、一刻を争いますのでためらうことなく救急車を呼びましょう。

なぜ高齢者は熱中症になりやすいのか

高齢者は、熱中症になりやすいといわれています。理由として、皮膚にある温度センサーが老化によって鈍くなり、暑さやのどの渇きを感じにくくなっていることが挙げられます。
また、老化によって脳が指令を出しても皮膚血流量や発汗が思うように増加させられないことも多く、若年者に比べて熱を放散させる能力が低く、熱がこもりやすいともいわれています。これが、高齢者が熱中症になりやすい理由です。
また、高齢者のなかには電気代の節約やリモコンの操作がわからない、身体が冷えるなどを理由に、エアコンの使用を嫌がる方もいます。

熱中症を防ぐ室温の目安

室内で過ごしていても、熱中症になる可能性があります。熱中症になった高齢者の半数は、住宅内で発症しています。これは、外気の影響を受けて室温と湿度が高くなることが原因です。室内で過ごすときは、適切な室温にすることが大切です。
適切な室温の目安は「28℃」、湿度は「50~60%」だといわれています。ただし、この「28℃」はエアコンの設定温度ではなく、室内の温度です。高齢者の世帯では、温度と湿度がわかる温湿度計を部屋に置き、室温が28℃を超えないように調整しましょう。
なお、「28℃」はあくまで目安です。日射しの入り方など住宅の立地や、ご本人の体調も考慮しながら調整できると良いでしょう。

高齢者の熱中症を予防するために

高齢者の熱中症を予防するためには以下のようなことに日頃から気をつけておく必要があります。

  1. 室温28℃を目安に、エアコンや扇風機を使うよう促す
  2. のどが渇かなくてもこまめに水分補給をするよう声をかける
  3. 外出は熱がこもらない服装で、日よけ対策をすすめる
  4. 無理せず適度に休憩をとってもらう
  5. 栄養バランスを考えた食事と体力づくりをすすめる

高齢者の熱中症を予防するためには、室温調整やこまめな水分補給などが必要です。また、周りの方が気にかけて水分補給やエアコンの利用などを促してあげることも大切です。
環境省は、4月~10月頃まで毎日「暑さ指数(WBGT)」を公表しています。これを参考にして高齢のご家族に気をつけるよう呼びかけると良いでしょう。
「暑さ指数」とは、人体の熱収支に与える影響の大きい「湿度」、「日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の環境熱」、「気温」の3つを取り入れて算出した指標です。
日常生活に関する指針は次の通りとされています。

日常生活に関する指針

暑さ指数が28℃~31℃、または31℃を超えるときは、できる限り外出を控え、涼しい室内で過ごすように呼びかけましょう。
暑さ指数25℃~28℃の場合は、警戒が必要です。外での運動や重労働は控える、外出する際はこまめに休息するように伝えましょう。
暑さ指数25℃未満の場合は、危険性は少ないものの激しい運動や重労働をすることで熱中症になる可能性があります。25℃未満でも暑さを感じる場合は、気をつけるように声かけしましょう。

「みまもり」でご家族を熱中症から守ろう

高齢のご両親と離れて暮らす世帯だけでなく、同居していても、日中は高齢者だけが家にいるという家庭も注意が必要です。先にも触れた通り、高齢者は身体のセンサーが衰えていて、「暑い」と感じたときにはもう遅いというケースも少なくありません。そのため、こまめに温度や湿度などをチェックし、エアコンをつけるなどの対策を講じる必要がありますが、これが自分ではなかなか気づけないというのが実情です。そんなときにALSOKのWebカメラ「HOME ALSOKアルボeye」を利用すれば、マイク、スピーカー、温度センサーなどがついているので、離れていてもご両親の様子を見守ることができます。また、異常を感じた際にはガードマンの出動を要請することもできますので、ご家族がすぐに自宅に駆けつけられない場合にも安心です。
ご両親には、いつまでも健康でいてもらいたいですよね。熱中症対策に、ぜひご検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、高齢者が熱中症になりやすい理由や予防方法について解説しました。
高齢者が熱中症になりやすい理由として、皮膚にある温度センサーが鈍くなることや熱を放散させる能力が低下していることが挙げられます。
熱中症は重症化すると死に至ることもあるため、予防することがとても大切です。外出時は、こまめに水分を摂取したり涼しいところで休憩するよう促しましょう。
また、室内でも熱中症になる可能性があるため、エアコンや扇風機を適切に使用することも忘れずに伝えてください。

(参考情報)

熱中症のメカニズム

人間の体温は通常36~37℃という非常に狭い範囲に保たれるように調節機能が働いています。体温が高くなると通常は自律神経を介して抹消血管が拡張し、皮膚により多くの血液が集まるようになり、熱伝導により体温が下がります。また、汗をたくさんかけば、汗の蒸発に伴って熱が奪われるので体温を低下させる効果があります。これらの調節機能がうまく働かなくなって、めまい、失神、痙攣、高体温などの症状を起こした状態の総称を熱中症と呼んでいます。
たとえば、気温が高く体温が上昇すると、人は汗をかいたり、血液を皮膚近くに集めたりして放熱しようとします。この時に気温や湿度が高すぎてうまく体温が下げられないと、血液が体表面にたまり続けるため循環が悪くなります。その状態が続くと脳の血液が不足して失神したり、血液が足りなくなってけいれんを起こしたりします。
また、放熱のために汗をかき続けると身体の水分や塩分が足りなくなって脱水状態になります。脱水も血液の循環に悪い影響を与えますから、症状が悪化していくという負のスパイラルに陥ります。
これが熱中症の状態です。
こうしてうまく体温が下げられない状態が続くと最終的には脳の機能が働かなくなり体温のコントロールができなくなります。
この状態になると熱射病と呼ばれる非常に危険な状態です。40度以上の熱があるような場合にはすぐに救急車を呼ぶ必要があります。

自律性体温調節と行動性体温調節

気温が高くなると皮膚に存在する温度センサーが暑さを感知し、その情報が脳の体温調節中枢に伝えられます。その情報と深部からの体温情報も加えて脳が暑いと判断すると、皮膚近くの血管や汗腺に命令を出し、皮膚血流量や発汗量を増やします。これを自律性体温調節といいます。さらに暑ければ人間は冷房を利用したり、涼しい服に着替えたりして暑さを和らげようとします。これを行動性体温調節といいます。

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