夜道、自転車運転での注意点
夜道の自転車走行中は、交通事故や性犯罪に遭うリスクが高まります。安全・安心に自転車を運転するうえで、どのような事故対策や防犯対策が存在するのでしょうか。本記事では、まず夜間の自転車走行の危険性を説明したうえで、万が一の事態から身を守るための2つの安全対策を紹介します。
データで見る夜道の自転車走行の3つの危険性
夜間は視界が悪くなるため、自転車走行にはさまざまな危険がつきまといます。まず、自転車走行中の転倒や衝突による怪我などのリスクが高まります。また、夜間は強制わいせつや強制性交などの発生件数が著しく増加し、とくに女性の場合は自転車走行中の安全対策が求められます。ここでは、夜間の自転車走行の3つの危険性について、政府統計に基づき解説します。
交通死亡事故が最も多いのは17~19時の「薄暮時間帯」
警察庁の「薄暮時間帯における死亡事故発生状況」によると、自転車事故をふくむ交通死亡事故の件数がもっとも多いのが、17~19時の「薄暮時間帯」です。平成29年~令和3年(2017~2021年)にかけての死亡事故件数を時間帯別に見ると、もっとも交通死亡事故が多いのは17時台で、合計1,074件発生しています。
次いで、18時台に1,002件、19時台に907件と続いています。この17~19時の時間帯のことを「薄暮時間帯」といい、薄暮時間帯は昼間と比べて交通死亡事故が増加する傾向にあります。実際に、薄暮時間帯の死亡事故件数の平均は約994件ですが、日中で死亡事故件数が最多となる10時台と比べても、138件上回っています。[注1]
薄暮時間帯の死亡事故件数が多い理由として、日没後1時間前から1時間後までの時間帯は、急速に周囲が薄暗くなるため、自転車や自動車の前照灯の点灯が遅れることが想定されます。夜道を自転車で走る際は、周囲が暗くなってから点灯するのではなく、薄暗くなる前から点灯を行う「前照灯の早め点灯」が大切です。
法令違反があった場合、死者数は3.1倍増加


出典:警察庁交通局「令和3年における交通事故の発生状況等について」
警察庁「令和3年中における交通死亡事故の発生状況及び道路交通法違反取締り状況等について」
法令違反の状態で自転車を走行していた場合、法令を遵守していた場合と比べ、自転車乗用中の交通事故の死者数が大幅に増加することがわかっています。警察庁の令和3年(2021年)の調査によると、自転車乗用事故で高齢者が死亡したケースのうち、法令違反があったものは77.4%でした。
また、高齢者以外についても、死亡事故の73.0%が法令違反の状態で発生しています。法令違反の状態と法令遵守の状態で死者数を比較すると、高齢者では法令違反ありの場合に死者数が約3.4倍、高齢者以外では約2.7倍、全体では約3.1倍増加しています。[注2][注3]
また、夜間の自転車走行中の無灯火は、道路交通法第52条に違反しており、違反が発覚した場合は5万円以下の罰金が課されます。自転車事故によって死者・死傷者が出るリスクを増やさないためにも、夜道を自転車で走る際は必ずライトを点灯しましょう。
性犯罪が最も増加するのは夜22時から2時まで
とくに女性の場合は、自転車走行中の交通事故だけでなく、帰宅中などに性犯罪に遭うリスクを警戒しなければなりません。警視庁の令和3年(2021年)の調査によると、都内で発生した強制わいせつ・強制性交などは、夜間の午後22時~午前2時にかけての時間帯に集中しています。実際に、自転車で女性が帰宅しているところを待ち伏せし、自転車から引きずり下ろされた事例があります。
とくに強制わいせつについては、ラッシュアワーの時間帯を除き、多くが夜間に発生しています。また、強制わいせつの場所別発生状況を見ると、約560件の被害のうち、約31%が屋外の「道路上・公園」で発生しています。やむをえず夜間に外出せざるをえない場合や、帰宅時に自転車で走行する場合は、性犯罪に遭わないために防犯対策が必要です。[注4]
夜道の自転車走行に必要な防犯対策2つ


自転車走行中の事故は、日没1時間前~1時間後にかけての「薄暮時間帯」に多く発生しています。また、強制わいせつ・強制性交などの性犯罪の大半は夜間に発生しています。両者に共通している安全対策が、「前照灯の早め点灯」と「ドライブレコーダーの設置」です。この2つの安全対策を実施しましょう。
テールランプで後方からの車に視認されやすくしましょう
後方から来る自動車との衝突事故を防ぐため、チカチカと点滅するテールランプを設置しましょう。設置場所としては、自転車の座面の後部にあるシートポストのほか、バッグやリュックにつけるタイプのものもあります。テールランプをセットすることで、自転車の存在をドライバーに知らせ、夜道で接触するリスクを下げることができます。
通常のライトではなく、点滅機能のあるテールランプが効果的なのは、ドライバーは静止しているものよりも、動いているものの方が目に止めやすいからです。また、自動車の交通量が多い場所は、車のテールランプや店舗のネオンサインが目立つため、通常のタイプのライトでは視認しづらいケースがあります。
万が一の事故・犯罪被害に備えてドライブレコーダーの取り付けを
自転車へのドライブレコーダーの設置もお勧めします。ドライブレコーダーは小型化が進み、幅や奥行きが50mm程度に収まる製品も増えているため、自転車への設置も可能です。また、夜間でも鮮明に録画できるカメラを選ぶことをお勧めします。
もし自動車事故に遭ってしまった際に、車のナンバーなどの映像を撮影していれば、周囲の状況がよくわかり、証拠として有利に働くケースがあります。また、ドライブレコーダーは防犯カメラや監視カメラとして使用することも可能です。たとえば、夜間の自転車走行中に痴漢や迷惑行為に遭った際、証拠映像を警察に提出することで、迅速な犯人逮捕につながります。
女性1人の場合はさらに注意が必要!防犯ブザーで対策を
やむをえず女性が夜間に1人で出歩かなければならない場合、必ず防犯対策を行いましょう。歩行時と比べて、自転車走行中は比較的安全だと考える人もいるかもしれませんが、自転車走行中の女性をターゲットにした性犯罪や迷惑行為も発生しています。
女性の防犯対策として効果的なのが、防犯ブザーの携帯です。防犯ブザーがあれば、不審者と遭遇した際に音で威嚇できるだけでなく、手に持って見せるだけでも犯罪行為の抑止力として働きます。
いざというときにガードマンが駆け付けてくれると安心
夜間の自転車走行は、交通事故に遭うリスクや性犯罪を始めとした犯罪被害に遭うリスクが高まります。安全対策の基本は「前照灯の早め点灯」です。そのうえで、万が一の事故や犯罪被害に備えて、テールランプやドライブレコーダーを設置しましょう。しかし、万が一事故や犯罪被害に直面した場合、現場の場所や状況を警察などに連絡する必要があります。急を要する状況では難しいときもあるでしょう。
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