一人暮らし高齢者の転倒を防ぐには?転倒リスクの原因や予防策を解説

高齢者・介護2026.08.28更新(2020.08.04公開)
一人暮らし高齢者の転倒を防ぐには?転倒リスクの原因や予防策を解説

本記事では、高齢者が転倒しやすい原因や危険が潜む場所に加え、家庭でできる予防策とよくある質問を分かりやすく解説します。
高齢の親と一緒に歩いていて、ヒヤッとしたことはありませんか。「こんな小さな段差で?」と驚くような場所で転ぶ高齢者は少なくありません。なかには、何もないところで転んでしまう方もいます。若い頃なら笑い話で済むことも、高齢者の場合は思わぬ事態につながることがあるものです。
転倒が起こりやすい原因と場所を理解しておくと、親の住まいのどこから手をつければよいかが見えてきます。

【この記事で分かること】

  • 高齢者が転倒しやすい主な原因
  • 自宅で起こりやすい転倒場所と注意点
  • 転倒を防ぐために家庭でできる対策
  • 離れて暮らす家族が見守る際のポイント

目次

多くの高齢者は自宅内で転倒している

高齢者の転倒は、住宅などの居住場所でもっとも多く起きています。なかでも屋内での発生が9割以上を占めており、外出を控えていても転倒のリスクがなくなるわけではありません。
東京消防庁の調査によると、2024年(令和6年)に「ころぶ」事故で救急搬送された高齢者は73,500人にのぼります。このうち約4割が、入院の必要がある中等症以上と診断されました。

「ころぶ」事故による高齢者の年別救急搬送人員

出典:東京消防庁「救急搬送データからみる日常生活の事故(令和6年)」

また、高齢者の転倒事故の発生場所を見ると、住宅等居住場所が42,180人ともっとも多く、そのうち屋内での発生が39,053人と9割以上を占めています。さらに詳しい場所を見ると、もっとも多いのは「居室・寝室」でした。次いで多いのが「玄関・勝手口等」と「廊下・縁側・通路」で、いずれも毎日行き来する場所です。

1位 2位 3位 4位 5位
事故発生場所 居室・寝室 玄関・勝手口等 廊下・縁側・通路 トイレ・洗面所 台所・調理場・ダイニング・食堂
救急搬送人員 29,783人 3,900人 2,653人 1,229人 1,079人

出典:東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」

このことからも、たとえ外出せずに家にいる場合でも、高齢者は転倒するリスクが高いといえます。

高齢者が転倒すると起こるリスク

高齢者の転倒は、けがだけで終わらず、その後の生活を大きく変えてしまうことがあります。主なリスクは以下のとおりです。

  • けがをする
  • 入院が必要になる
  • 認知症を発症する
  • 恐怖心から寝たきりになる
  • 再び転倒する

若い人なら数日で治るような転倒でも、高齢者の場合は回復までに時間がかかり、その間に体力や気力が落ちてしまいます。
ここでは、それぞれのリスクを詳しく解説します。

けがをする

高齢者の転倒は、大きなけがにつながるおそれがあります。若い頃は軽傷で済んでいたけがも、高齢者の場合は重傷化したり、治るまでに時間がかかったりします。特に骨粗しょう症で骨密度が低下している場合、転倒しただけで骨折をすることも珍しくありません。

入院が必要になる場合がある

転倒してけがをすると、入院が必要になる場合があります。症状によっては、入院中はベッドでほぼ寝たきりの生活を送るおそれもあります。その結果、足腰の筋力が低下し、車椅子生活を余儀なくされる方も珍しくありません。また、頭を激しく打っている場合などは、より重篤な症状を招くリスクもあります。

認知症を発症するおそれがある

転倒によるけがで入院すると、環境の変化が認知症の発症や進行のきっかけになる場合があります。高齢者は、若い人よりもけがの回復に時間がかかるため、同じけがでも入院期間は長引く傾向にあります。慣れない入院生活のストレスは、認知機能に悪影響を及ぼすことがあるのです。

転倒による恐怖心でそのまま寝たきりになるおそれがある

転倒後の不安から外出や活動を控えるようになると、筋力や体力が低下し、介護が必要な状態につながる場合があります。転んだ経験がトラウマになり、自宅にこもりがちになる方は少なくありません。外出の機会が減ると友人や近隣住民とのやり取りも減り、社会的に孤立してしまうおそれがあります。
実際、厚生労働省の調査では、介護が必要となった主な原因の第3位が「骨折・転倒」で14.6%を占めています。第1位の「認知症」、第2位の「高齢による衰弱」に次いで多い結果です。これまで元気だった高齢者が、転倒をきっかけに介護が必要となるケースもあります。

出典:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」

再転倒のリスクがある

一度転倒した高齢者は、再び転倒するリスクが高くなります。筋力やバランス力の低下が背景にあることも多く、自宅の中が転倒しやすい環境のままだと危険は残り続けるためです。一度は軽傷で済んだ転倒も、2回目は大きなけがにつながるおそれがあるため、早期の対策が求められます。

高齢者が転倒を繰り返しやすい原因

高齢者が何度も転んでしまう背景には、体の変化と住まいの環境、そして日々の習慣が重なっています。主な原因は以下の5つです。

  • 加齢による身体機能の低下
  • 運動不足
  • 住まいの環境
  • 病気や薬の影響
  • 行動の癖

一つひとつは小さな要因でも、重なることで転倒のリスクは高まります。順に確認していきましょう。

加齢による身体機能の低下

筋力やバランス感覚が落ちると、とっさに体を支えられず転倒しやすくなります。年齢を重ねると筋力や柔軟性、バランス感覚が徐々に低下するためです。若い頃のように足を高く上げられない方もいるため、すり足状態で歩く高齢者も多く、少しの段差でもつまずきやすくなります。

運動不足

運動の習慣がなくなると筋力や関節の可動域が低下し、歩行時のふらつきにつながります。高齢になると外出の機会が減り、体を動かす機会もあわせて減ってしまうためです。

住まいの環境

手すりのない場所や段差の多い住まいは、転倒の原因になることがあります。たとえば立ったり座ったりする場所に手すりがなかったり、階段が多かったりするケースです。筋力が低下しており、足を高く上げることが難しい高齢者にとっては、わずかな段差も障害になりかねません。

病気や薬の影響

持病や治療に使う薬の影響で、転倒しやすくなることがあります。たとえば白内障などにより視力が低下すると、足元が見えにくくなり、カーペットや敷居のようなわずかな段差にもつまずいてしまうのです。また、薬の影響でめまいやふらつきが起こり、転倒してしまうケースもあります。

行動の癖

日々の何気ない動作の癖も、転倒の原因になります。たとえば、電話やインターホンの音に慌てて立ち上がる、急いで移動するといった行動です。急に立ち上がると立ちくらみが起きやすく、その場でふらついて転んでしまうことがあります。
スリッパのかかとを踏んだまま歩く、荷物を抱えて足元が見えない状態で移動するといった習慣にも注意が必要です。長年続けてきた動作ほど本人は危ないと感じにくいため、さりげなく歩き方を見ておくとよいでしょう。

高齢者が転倒しやすい場所

転倒が起きやすいのは、玄関や階段のように段差がある場所と、浴室やトイレのように狭い空間で姿勢を変える場所です。自宅内だけでなく、外出先にも注意しておきたい場所があります。
以下のような場所は、特に転倒が起きやすいため、日常的に注意しておきましょう。

自宅内で転倒しやすい場所

自宅内では、段差のある場所と、狭い空間で体の向きを変える場所が要注意です。長い時間を過ごすリビングも油断できません。

玄関

玄関は、靴の脱ぎ履きでバランスを崩して転倒しやすい場所です。段差がある玄関も多く、足を取られてつまずくリスクがあります。また、日光が差し込まない暗い玄関の場合は、足元が見えにくく転倒の危険性が高まります。

階段

階段は、足を高く上げる必要があることから、筋力が低下している高齢者にとっては転倒しやすい場所です。手すりがない場合や照明が暗い場合は、特につまずくリスクが高まります。なるべく早く対策しましょう。

浴室

浴室は、床が濡れて滑りやすく転倒が多い場所です。浴槽の出入りや洗い場での移動時にも、体のバランスを崩しやすくなります。狭いスペースで転倒すると、壁や浴槽にぶつかって大けがを負うおそれもあります。
さらに注意したいのが「ヒートショック」と呼ばれる現象です。暖かい部屋と寒い脱衣所や洗い場、暖かい浴槽などを行き来することで血圧が急上昇・急低下し、体に大きな負荷がかかる現象を指します。高齢者や持病のある方はヒートショックになりやすいとされており、軽度でもめまいなどが生じ、転倒するリスクがあります。浴槽内で溺れる危険もあるため注意が必要です。

トイレ

トイレは、便器の高さや向きに合わせて体の方向を細かく調整する必要があり、バランスを崩しやすい場所です。特に手をかける場所がない場合や、足元のマットが滑りやすい場合は転倒リスクが高まります。また、転倒時に便器やドアノブなどに頭や体をぶつけ、けがをするおそれもあります。

廊下

廊下に物が置かれていると、足を取られてつまずく原因になります。また、夜間に照明がついていない場合や明るさが十分ではない場合、足元が見えにくく、トイレなどに向かう際に転倒する危険性があります。さらに高齢者は足腰の筋力が低下しているため、滑りやすいスリッパや靴下では踏ん張りがきかず転倒しかねません。

リビング

テレビやスタンドライトの電気コードが床を横切っていると、足を取られて転んでしまうことがあります。新聞や雑誌、買い物袋などを床に置いたままにしているのも危険です。
カーペットのめくれた端につまずくケースもあります。くつろぐ場所だからこそ油断しやすいため、家具の配置や床の上の物を定期的に見直しておきましょう。

外出時に転倒しやすい場所

外出先は自宅と違って足元の状況が分かりにくく、慣れない環境を歩くことになります。特に店舗や道路では、足元から注意がそれやすいため気をつけたいところです。

店舗

スーパーマーケットやドラッグストアは、床の段差や置かれたかごにつまずきやすい場所です。商品を探しながら歩くうちに、足元への注意はどうしても薄れてしまいます。
また、入り口付近は、雨の日に床が濡れて滑りやすくなります。買い物カートに体重を預けて歩くと、カートが前に動いてバランスを崩すおそれもあるため注意が必要です。

道路

道路には、側溝のふたや歩道と車道の段差など、つまずきやすい箇所が多くあります。舗装のひび割れやわずかな傾斜も、高齢者にとっては転倒の原因になります。
雨の日は、マンホールのふたや点字ブロックが滑りやすくなる点にも注意が必要です。夕方以降は足元が見えにくくなるため、明るい時間帯に用事を済ませられるよう予定を組んでおくと安心です。

高齢者の転倒を防ぐ4つの対策

転倒を防ぐには、住まいの環境を整えることと、体を動かす習慣をつくることが欠かせません。具体的な対策は、以下の4つです。

① 転倒しにくい環境を作る

高齢者の転倒防止には、まず、転倒しにくい環境を作ることが必要です。たとえば、介護リフォームで廊下や玄関に手すりを付けたり、段差をなくしたりする方法があります。さらに、つまずきやすいカーペットは敷かない、ケーブルなどの物を床に置かないようにするのも良い対策です。ベッドは壁側に設置することで、転倒リスクを軽減できます。
また、外出時には、滑りにくい靴を履くことも転倒予防に効果的です。

② 水回りの安全対策

浴室にも手すりや滑り止めマットがあると安心です。滑って転びやすい場所だからこそ、つかまるところが一つあるだけで体は安定します。脱衣所の床が濡れたままになっていないかも、あわせて確認しておきましょう。
洗面所では、バスマットが敷きっぱなしになっていると端がめくれて、つまずく原因になります。浴室と脱衣所の間に段差がある場合は、介護リフォームで床の高さをそろえるのも有効です。
加えて、急な温度変化を避けることも大切です。入浴前に脱衣所や浴室を暖めておけば、血圧の急な変動によるめまいやふらつきを防ぎやすくなります。

③ 一緒にストレッチやトレーニングをする

筋力アップも転倒防止に有効なため、無理せず続けられるような簡単なストレッチやトレーニングを日課に取り入れるのもおすすめです。高齢の親や祖父母がいる場合、一緒にやることで取り組みやすくなるでしょう。また、ストレッチやトレーニング以外にも、普段から散歩をして筋力や体力をつけていくのもおすすめです。

④ 見守りサービスを自宅に導入する

離れて暮らしている場合は、自宅に見守りサービスを導入することで、転倒時にすぐ助けを呼べます。同居していれば転倒に気付いて対応できますが、離れていると万が一のときにすぐ駆けつけられません。一人暮らしの高齢の親が自宅内で転倒し、起き上がれなくなったらどうしようと不安になる方も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、ALSOKの見守りサービス「HOME ALSOK みまもりサポート」です。HOME ALSOK みまもりサポートは、緊急時にボタンを押すだけでALSOKが駆けつけ対応します。離れて暮らす高齢の親や祖父母が心配という方は、ぜひALSOKのみまもりサポートをご利用ください。

転倒危険度チェックリスト

転倒予防の第一歩は、どの程度転倒リスクがあるのかを把握することから始まります。以下のチェックリストを活用し、転倒の危険度を確認しましょう。

転倒危険度チェックリスト
質問 はい いいえ
1 この1年間に転倒した
2 横断歩道を青信号の間に渡りきることができない
3 1kmぐらいを続けて歩くことができない
4 片足で立ったまま靴下を履くことができない
5 濡れたタオルや雑巾をきつく絞ることができない
6 この1年間に入院したことがある
7 立ちくらみがすることがある
8 今までに脳卒中を起こしたことがある
9 今までに糖尿病といわれたことがある
10 睡眠薬、降圧剤、精神安定剤を服用している
11 日常、サンダルやスリッパをよく使う
12 家の中でよくつまずいたり、すべったりする
13 (新聞や人の顔など)目があまりよく見えていない
14 (会話など)耳があまりよく聞こえない
15 転倒に対する不安は大きい、あるいは転倒が怖くて外出を控えたことがある

引用:厚生労働省老健局計画課 監修「介護予防研修テキスト」

「はい」の数が多いほど、転倒リスクが高いと考えられます。日常で気をつけたり、身の回りを整理したりしましょう。

親の転倒防止に関するよくある質問

Q:高齢者の転倒事故はどのくらい多いのですか?

A:高齢者の転倒は非常に多く、介護が必要となる主な原因の一つです。厚生労働省の人口動態調査によると、2024年(令和6年)の65歳以上の「転倒・転落・墜落」による死亡者数は11,175人(65~79歳1,775人、80歳以上9,400人)で、同年の交通事故による死亡者数2,103人(65~79歳1,040人、80歳以上1,063人)の5倍以上にのぼります。

参考:厚生労働省 人口動態調査 「不慮の事故による死因(三桁基本分類)別にみた年齢(特定階級)別死亡数・百分率」

Q:転倒予防のために家族ができることは?

A:住まいの環境を整えることが大切です。室内の段差やコードをなくし、手すりや滑り止めを設置しましょう。夜間でも足元が見えるよう、十分な明るさの照明を確保することも効果的です。

Q:見守りサービスは親に嫌がられませんか?

A:最初は抵抗を感じる方もいますが、家族の安心や万が一の備えとして目的を丁寧に伝えると、受け入れられる場合が多いです。抵抗がある場合は、カメラではなく人感センサーや緊急通報機能など、プライバシーに配慮したサービスを選ぶことも大切です。

ALSOKのサービスで親の転倒リスクに備えよう

離れて暮らす親の転倒に備えるなら、緊急時にすぐ駆けつけてもらえる仕組みを整えておくと安心です。ALSOKでは、見守りに特化した「HOME ALSOK みまもりサポート」と、防犯対策もあわせて行える「HOME ALSOK Connect」を用意しています。

HOME ALSOK みまもりサポート

HOME ALSOK みまもりサポート

「HOME ALSOK みまもりサポート」は、緊急時にボタンを押すだけでALSOKが駆けつけるサービスです。
首から下げるタイプの緊急ボタンもあるため、転倒した際もすぐに助けを呼ぶことができます。また、
看護師資格を持つスタッフに24時間相談できる機能もあり、健康や介護の不安をそのつど解消できます。
オプションでは、トイレのドアなどに設置したセンサーが一定時間反応しない場合に自動でALSOKへ通知する「生活リズム監視」も選べます。転倒して声を出せない状況でも異変に気づける仕組みです。

ホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」

「HOME ALSOK Connect」は、各種センサーが室内の異常を検知し、不審者の侵入や火災などの緊急的にはALSOKが駆けつけます。
「セルフセキュリティ」と「オンラインセキュリティ」から選べるため、必要な備えの度合いに合わせて検討できます。

まとめ

高齢者は思わぬ場所で転倒し、けがをするおそれがあります。転倒には寝たきりや認知症の進行につながるリスクもあるため、環境を整えたりトレーニングをしたりして予防することが大切です。転倒危険度チェックリストを使って、高齢の親や祖父母にどのくらい転倒リスクがあるのかを確かめておきましょう。

執筆:ALSOK株式会社

「安全・安心」を皆様にお届けするため、セキュリティのプロフェッショナルであるALSOKが編集しています。日常生活に潜む危険から身を守るための防犯対策、突然の災害に備える防災情報、ご高齢者やお子さまのみまもりまで、暮らしに役立つ確かな情報を分かりやすく発信しています。

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