匿流(トクリュウ)とは?若者が匿流加害者になってしまう仕組みと対策
本記事では、匿流(トクリュウ)の加害者になってしまう仕組みから加害者になってしまった場合の影響、家庭でできる対策について解説します。
近年は、特殊詐欺などの犯罪に関わる匿流(トクリュウ)による事案が増加しています。トクリュウの加害者は、指示役と使い捨ての実行役に分かれ、検挙されるのは実行役が中心です。10代が加担する入口は、SNSからの勧誘よりも身近な友人・先輩からの誘いであるケースが多くみられます。特別な家庭環境で育った子どもだけがトクリュウの加害者になるわけではなく、ごく普通に暮らす10代の若者が、ある日突然その入口に立たされることもあります。
【この記事で分かること】
- 匿流(トクリュウ)の加害者になってしまう仕組み
- 加害者になってしまった場合のリスク・影響
- 家族を加害者にしないために家庭でできる対策
- 応募してしまったときの相談先
目次
匿流(トクリュウ)とは?
匿流(トクリュウ)とは、「匿名・流動型犯罪グループ」の略称です。中核メンバーが匿名化している「匿名性」と、犯行のたびに実行役が入れ替わる「流動性」という2つの特徴を持ちます。
警察庁「匿名・流動型犯罪グループ」を2023年に定義した
警察庁は2023年、特殊詐欺や強盗など複数の犯罪に関与する集団を「匿名・流動型犯罪グループ」と定義しました。SNSなどを通じて実行役を集め、匿名性の高いアプリで犯行を指示しており、犯行ごとにメンバーが入れ替わるなど、暴力団のような固定的な組織構造を持たない点が特徴とされています。
匿流(トクリュウ)加害者の内訳
警察庁の統計によると、2025年にトクリュウに関連する「主な資金獲得犯罪」で検挙された人数は6,679人にのぼります。
加害者の役割は分業されている(主犯・指示役・リクルーター・実行役など)
トクリュウでは、主犯・指示役・リクルーター・実行役といった役割分業がなされています。詐欺や強盗、窃盗などの「主な資金獲得犯罪」の検挙人員6,679人のうち、主犯・指示役の立場にあった者は約1割にとどまり、多くは実行役として使い捨てにされる立場にあります。指示役ほど摘発を逃れやすい構造になっていることが指摘されています。
加害者の年齢層──30歳未満が約6割、20歳前半が最多
主な資金獲得犯罪の検挙人員6,679人を年齢層別に見ると、次のような内訳になっています。
- 20代:約42%
- 30代:約20%
- 14~19歳:約16%
- 20歳前半:23.4%で最多
- 30歳未満の合計:全体の約6割
どのように10代~20代の若者が加害者になるのか
特殊詐欺の受け子となった経緯では、少年(20歳未満)の59.6%が知人等の紹介です。一方で、20歳以上では40.5%がSNS経由となっています。
10代の入口でもっとも多いのは「友人・先輩からの誘い」
10代が匿流(トクリュウ)に関わる入口として多いのは、SNSでの直接勧誘よりも、身近な友人・先輩からの誘いです。断りにくい人間関係がそのまま圧力となり、もともとの不良グループがそのまま匿流化し、人材の供給元になっている例もあるとされています。なお、20歳以上でも31.1%は知人等の紹介を経由しています。
SNS経由の勧誘で使われる言葉
SNSを通じた勧誘では、次のような言葉が使われる例が警視庁のリーフレットで紹介されています。
- 短期高収入
- ホワイト案件
- 安全に稼げます
一見すると安心して高収入を得られるように感じますが、これらはトクリュウが実行役を集める際に使う典型的な勧誘文句です。
一度個人情報を渡してしまうと、脅迫され抜け出せなくなってしまう
応募の過程で、運転免許証やマイナンバーカードの写真など個人情報を先に登録させ、その後「情報をばら撒く」などと脅して、犯罪への加担を続けさせる手口が確認されています。一度個人情報を渡してしまうと、脅迫や不安から、自分の意思だけでは抜け出しにくい状況に陥るおそれがあります。
若者が匿流(トクリュウ)の加害者になってしまう5つのケース
若者がトクリュウによる犯罪に加担してしまうきっかけには、次のようなケースがあります。
- 仲間や先輩に誘われて、つい断り切れず・・・
- 楽に稼げると思った
- 個人情報を渡してしまった
- お金に困っていた
- 危険じゃなさそうだった
いずれも、最初は犯罪に関わるつもりがなくても、安易な判断や周囲からの誘いをきっかけに犯罪に巻き込まれてしまうケースです。
参考:警視庁 特殊詐欺加害防止リーフレット
警察庁 文部科学省 こども家庭庁リーフレット
海外の「アジト」で働かされ、抜け出せなくなるケースもある
「高収入」「海外で稼げる」といった誘い文句で勧誘され、海外への渡航後に犯罪に加担させられる手口も確認されています。警視庁には、SNSで紹介された仕事でカンボジアに渡ったところ、有刺鉄線で囲まれた施設で詐欺の「架け子」を1日十数時間強要され、監視役に見張られて自力では抜け出せなかった、という応募者の証言が寄せられています。いったん海外の拠点に入ると、暴力や報酬の没収を受けても助けを求めにくく、取り返しがつかないおそれがあります。
加害者になってしまったら?刑罰・将来・家族への影響
「未成年だから」「知らなかったから」という理由で、刑事責任が軽くなるとは限りません。受け子や出し子だけでなく、口座や携帯電話の売買・譲渡なども犯罪に問われるおそれがあります。
「知らなかった」「未成年だから軽い」は通らない
次のような行為は、詐欺罪や窃盗罪などに問われるおそれがあります。
- 受け子・架け子
- 出し子
- 銀行口座の売買・譲り渡し
- 送金バイト
- 携帯電話の売買・譲り渡し
「簡単な仕事だと思った」「犯罪に使われるとは知らなかった」としても、行為の内容や認識などによっては責任を問われることがあります。また、未成年者の場合も、事件の内容によっては保護処分にとどまらず、検察官送致(逆送)によって刑事裁判の対象となる場合があります。
強盗の場合は5年以上の有期拘禁刑
強盗罪は、相手にけがをさせていない場合でも、法定刑は5年以上の有期拘禁刑とされる重い犯罪です。さらに、強盗致死傷や強盗殺人にあたる場合は、死刑や無期拘禁刑などより重い刑が科されるおそれがあります。
進学・就職・家族の生活に及ぶ影響
犯罪への加担による影響は、逮捕や処分だけで終わるとは限りません。
- 前科が付くことで進学・就職・結婚などに大きく影響する
- 身元を特定され家族への誹謗中傷にさらされる
- 社会的に孤立し、本人・家族の生活に大きく影響してしまう
事件が報道されることで本人が特定されたり、家族がSNS上で誹謗中傷を受けたりするケースもあります。本人だけでなく、家族の生活や人間関係まで大きく変わってしまうおそれがあることも、トクリュウの犯罪に加担することの重大なリスクです。
子ども・家族を加害者にしないために家庭でできること
トクリュウの手口をあらかじめ家庭内で共有しておくことと、子どもの変化に早めに気づくことが、加害者にしないための備えになります。
トクリュウの手口などを家庭内で話し合っておく
まずは、どのような手口や危険性があるのかを、家庭内で具体的に確認しておきましょう。特に、次のような点を共有しておくことが大切です。
- 危険な求人の見分け方
- 口座やスマホの名義貸しは「それ自体が犯罪」
- テレグラム・シグナル等の匿名性の高いアプリのインストールを求められたら要注意
- 個人情報の送付を求められても応じない
- 加害者になった場合のリスクなど
「少しでも怪しいと思ったら、一人で判断せず家族に相談する」と決めておくことも、犯罪への加担を防ぐための備えになります。
子どもを観察し異変に気づいたら声をかける
日頃から子どもの様子を見たり、会話したりして、普段と違う変化がないか気を配ることも重要です。
【普段と違う行動の例】
- 急にお金遣いが荒くなった
- スマートフォンを手放さなくなった
- 知らない人と会うようになった
- 家族と会話しないことが増えた
こうした小さな変化に気づいたら、頭ごなしに叱るのではなく、「何か困っていることはない?」と声をかけましょう。日頃から相談しやすい家庭環境をつくることが、子どもや家族を犯罪から守る第一歩です。
もし応募してしまったら
「闇バイトなどに応募してしまった」「犯罪に巻き込まれるかもしれない」と気づいた場合は、一人で解決しようとせず、できるだけ早く警察に相談することが大切です。
もし自身や家族が応募してしまった・脅された場合
応募後に個人情報を送ってしまった場合や、犯罪への加担を求められた場合でも、「応募してしまったからもう断れない」と思わず、気づいた時点で早めに助けを求めることが重要です。
- すぐに警察相談専用電話「#9110」または最寄りの警察署に相談する
- 緊急性の高い場合は「110番」に通報する
- 一人で抱え込まず、家族や信頼できる人に相談する
匿流(トクリュウ)は「加害」も「被害」も家庭のすぐ隣に・・・
匿流(トクリュウ)が関わる事件は、決して他人事ではありません。加害者側だけでなく被害者側にもなり得る、自分や家族にとって身近な問題です。
被害者に起きていること─警視庁が公開する「被害者の声」
警視庁が公開する被害者の声では、
- 投資詐欺で約8,000万円の被害を受け、親族や同僚からも借金をすることになった30代男性
- オレオレ詐欺で約7,000万円の被害に遭い、自宅を詐欺グループに知られたため娘宅に避難し、自宅の売却を検討している80代女性
などの事例が紹介されています。トクリュウによる犯罪は、金銭的な被害だけでなく、住まいの安全にまで影響が及ぶケースも少なくありません。
匿流(トクリュウ)の被害者とならないために
警察の特設サイトなどで最新の手口や対策を確認しておくことに加え、自宅の防犯対策を見直しておくことも一つの備えです。トクリュウが関わる事件では、強盗など凶悪な手口も発生しているため、不在時だけでなく在宅時の備えも視野に入れましょう。
在宅時の侵入・強盗に備えるホームセキュリティ
在宅時における不審者の侵入や強盗に備える方法の一つとして、ホームセキュリティの導入が有効です。ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」は、「オンラインセキュリティ」と「セルフセキュリティ」の2種類から選べます。
オンラインセキュリティは、異常発生時にはALSOKが自動で駆けつけ、適切に対処します。スマートフォンで警備の開始・解除ができ、スマートフォンを持っているだけで、外出時はワンタッチで、帰宅時は自動で警備解除ができるなど便利に活用できます。
セルフセキュリティは、お手頃価格でホームセキュリティを導入でき、もしものときはALSOKへ駆けつけを依頼することができます。
24時間365日見守り、一戸建て住宅はもちろん、共同住宅にも設置できます。在宅時の不安を減らす選択肢の一つとして導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
匿流(トクリュウ)は、匿名性と流動性を特徴とする犯罪グループです。友人・先輩からの誘いやSNSをきっかけに、実行役として加担する若者もいます。「知らなかった」では済まされない刑罰や、進学・就職への影響も見過ごせません。家庭内で手口や危険性、困ったときの相談先を話し合っておくことが、被害や加害を防ぐことにつながります。
匿流(トクリュウ)に関するよくある質問(FAQ)
Q:匿流とトクリュウ、匿名・流動型犯罪グループは同じものですか?
A:はい、同じものを指します。「匿名・流動型犯罪グループ」は警察庁が2023年に定義し、「トクリュウ」はそれを短縮した通称です。
Q:匿流(トクリュウ)の加害者は何歳くらいが多いですか?
A:20歳前半がもっとも多く、30歳未満の人が全体の約6割を占めます。若い世代が多いことが特徴です。
Q:闇バイトに応募してしまいました。どうすればいいですか?
A:早めに警察相談専用電話「#9110」へ連絡してください。緊急性が高い場合は、110番通報してください。
Q :個人情報を送ってしまった場合でも相談できますか?
A:はい。個人情報を送ってしまった後でも、警察や相談窓口に相談できます。犯罪への加担を求められている場合は、一人で対応せず早めに相談してください。





















