在宅療養とは?メリット・デメリットや支えるサービス、始め方を解説

高齢者・介護2026.10.07
在宅療養

本記事では、在宅療養の意味や利用できる支援、メリット、事前に確認すべき負担、相談先、始め方までを分かりやすく解説します。
退院後の療養先を考えるとき、「自宅で過ごしてほしいと思う一方で、家族だけで支えられるか不安」と感じる方も多いのではないでしょうか。療養の形は、本人の状態や住環境により異なります。

【この記事で分かること】

  • 在宅療養とはどのような療養の形か
  • 在宅療養を選ぶメリット
  • 在宅療養を選ぶ前に確認すべき条件
  • 在宅療養を始めるまでの流れと相談先

目次

在宅療養とは?

在宅療養とは、病気や障害などがある方が、自宅で必要な医療や介護、生活上の支援を受けながら療養生活を続けることです。訪問診療などは通院が難しい方が主な対象となるため、利用できる支援は本人の状態や地域の提供体制によって異なります。

在宅療養を支える「在宅医療」と「在宅介護」の役割

在宅療養は、自宅で療養生活を続けること全体を指します。その生活を支える仕組みとして、医療面を担う「在宅医療」と、生活面を支える「在宅介護」があります。どちらも自宅でケアを受ける点は同じですが、目的が異なります。

項目 在宅医療 在宅介護
主な目的 自宅で病気の治療、症状のコントロール、医療的ケアを行う 自宅で自立した日常生活(食事・入浴・排せつなど)を送るための支援を行う
主な対象 年齢を問わず、病気や障害により通院が困難で、継続的な医療・健康管理が必要な人 主に、要介護・要支援認定を受けた方(65歳以上、または特定疾病のある40~64歳)
中心となるサービス 訪問診療・往診、訪問看護、訪問リハビリなど 訪問介護、通所介護(デイサービス)など
主に利用する保険 医療保険(状況により介護保険のサービスも組み合わせる) 介護保険
実施に関わる主な専門職 医師、看護師、薬剤師、理学療法士など ケアマネジャー、訪問介護員(ヘルパー)、介護福祉士など

実際には、療養しながら介護も受けるなど、医療と介護が連携して在宅生活を支えるケースが多くあります。

参考:厚生労働省「在宅医療の現状について」
厚生労働省「介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて」

在宅療養のメリット

食卓を囲む家族

在宅療養には、主に次の3つのメリットがあります。

  • 住み慣れた家で、これまでの生活リズムのまま過ごせる
  • 本人の体調に合わせて家族と過ごす時間を調整しやすい
  • 通院の付き添い負担が減り、医師に生活の困りごとも相談しやすい

住み慣れた家で、これまでの生活リズムのまま過ごせる

在宅療養では、食事の時間や好きな食べ物(医師から食事内容について指示がある場合はその範囲で)、ペットとの暮らし、近所付き合いなど、入院中にあきらめることが多い習慣を続けやすくなります。慣れ親しんだ環境で過ごすことで、気持ちが落ち着きやすいと感じる方もいます。

本人の体調に合わせて家族と過ごす時間を調整しやすい

入院・入所中は面会時間や人数制限に左右される場合がありますが、在宅療養であれば本人の体調に合わせて家族が集まりやすくなります。一方で、本人が疲れている日や感染症の流行期は訪問を控える、訪問サービスの予定と重ならないようにするといった配慮が必要です。

通院の付き添い負担が減り、医師に生活の困りごとも相談しやすい

訪問診療を利用すると、通院の移動や待ち時間、家族の付き添いの負担を減らせます。医師や看護師が実際の生活環境を把握したうえで支援するため、移動や服薬などの日常生活の困りごとも相談しやすくなります。なお、在宅療養にかかる費用は、利用するサービスや保険の種類、所得などによって異なるため、医療機関やケアマネジャーに確認しましょう。

在宅療養のデメリット(確認したい負担と条件)

在宅療養は、住み慣れた自宅で生活を続けられる一方、家族の介護負担や地域のサービス提供体制、本人の状態、住環境などによっては継続が難しい場合があります。本人と家族だけで判断せず、主治医や病院の相談窓口、地域包括支援センターなどに相談し、必要な支援を利用できるか確認しましょう。

  • 家族の介護負担
  • 利用できるサービスと対応時間
  • 本人の状態と住環境

家族の介護負担が生じる場合がある

専門職による訪問サービスを利用しても、食事や服薬の確認、日常生活の介助、緊急時の連絡などを家族が担う場合があります。誰が何を担当するかを事前に整理し、家族だけで抱え込まない体制を整えることが大切です。

利用できるサービスや夜間対応は地域・事業者で異なる

サービスの提供地域や対応時間、緊急時の連絡方法は、医療機関や事業者によって異なります。平日の日中だけでなく、夜間・休日にどこまで対応してもらえるかも確認しておきましょう。

本人の状態や住環境によっては在宅療養が難しい場合がある

本人に必要な医療・介護の内容、自宅の設備、家族の支援状況によっては、在宅療養が難しい場合があります。ただし、サービスの追加や福祉用具の導入、住環境の調整によって対応できることもあるため、専門職と相談しながら判断しましょう。

在宅療養を無理なく続けるには、家族の努力だけに頼らず、医療・介護サービスと生活面の支援を組み合わせることが重要です。本人の状態や家族の状況が変わった場合は、ケアプランや療養場所を含めて支援体制を見直しましょう。

在宅療養を支えるサービスと専門職

在宅療養は、家族がすべてを担うものではありません。医師や看護師などによる「医療サービス」と、ヘルパーやケアマネジャーなどによる「介護サービス」を組み合わせ、複数の専門職がチームで生活を支えます。

在宅療養を支える医療・介護サービス一覧

主なサービスを、医療系と介護系に分けて紹介します。

医療のサービス

【在宅療養で利用できる主な医療サービス】

サービス名 内容 主に使う保険
訪問診療 医師が計画的・定期的に自宅を訪問し、診療や健康管理を行う 医療保険
訪問看護 看護師などが主治医の指示に基づいて自宅を訪問し、療養上の世話や健康状態の確認などを行う 介護保険または医療保険(本人の状態などにより異なる)
訪問リハビリテーション 理学療法士・作業療法士などが自宅を訪問し、生活に必要な動作の練習などを行う 介護保険または医療保険(本人の状態などにより異なる)
訪問薬剤管理指導 薬剤師が自宅を訪問し、薬の管理や飲み方の説明などを行う 要介護・要支援認定を受けている場合は介護保険の「居宅療養管理指導」が適用されることがある
訪問歯科診療 歯科医師などが自宅を訪問し、歯の治療や口の中のケアを行う 医療保険(一部は介護保険)

※認定の有無、疾病、状態、主治医の指示などにより異なる
※訪問看護に適用される保険は、要介護・要支援認定の有無、疾病、本人の状態、主治医の指示などにより異なる。要介護・要支援者は原則として介護保険が優先されるが、医療保険が適用される場合もある。

医師の訪問には「訪問診療」と「往診」があります。訪問診療は計画に沿った定期的な訪問、往診は体調の変化などで要請を受けた際の臨時の訪問です。

介護のサービス

【在宅療養で利用できる主な介護サービス】

サービス名 内容 利用する場面
訪問介護 ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴・排せつなどの介助や、掃除・洗濯・調理などの生活援助を行う 家族だけでは日常の介助や家事が難しいとき
通所介護(デイサービス) 施設に日帰りで通い、食事や入浴、機能訓練などを受ける 日中の見守りや入浴の支援が必要なとき
短期入所(ショートステイ) 施設に短期間宿泊し、日常生活の介護や機能訓練などを受ける 介護する家族が休息(レスパイト)をとりたいとき、家族が不在になるとき
福祉用具貸与 介護ベッドや車いすなどの福祉用具を借りる ※要介護度により対象となる用具が異なる 起き上がりや移動に限らず、日常生活の負担や不安を軽減したいとき
住宅改修 バリアフリー化などの小規模な改修費用の一部が支給される 自宅の段差を解消したいとき、移動に不安があるとき

※認定の有無、疾病、状態、主治医の指示などにより異なる

利用できるサービス、保険の種類、利用回数は、本人の状態や医師の判断、要介護認定、地域の提供体制などによって異なります。医療サービスは主治医や医療機関、介護サービスはケアマネジャーや地域包括支援センターへ確認してください。

参考:厚生労働省「介護サービス情報公表システム 公表されている介護サービスについて」
厚生労働省「在宅医療の推進について」

在宅で受けられる支援の範囲

自宅で対応できる範囲は、本人の状態、主治医の判断、地域の提供体制、契約先の医療機関や事業者によって異なります。どこまで自宅で対応できるかは、事前に主治医や訪問看護事業所に確認しましょう。

在宅療養を始める基本的な流れ

ケアマネジャーと話す高齢者

在宅療養は、主に次の4つのステップで始めます。

  1. 主治医と病院の相談窓口に「自宅で療養したい」と伝える
  2. 必要な医療・介護サービスと利用条件を確認する
  3. 支援担当者と在宅療養の計画を整える
  4. 在宅療養の開始後に支援内容を見直す

STEP1:主治医と病院の相談窓口に「自宅で療養したい」と伝える

まずは、「自宅で療養したい」という希望を相談窓口に伝えます。入院中の場合は主治医や地域連携室にいる医療ソーシャルワーカー、通院中の場合はかかりつけ医や地域包括支援センターなどに相談しましょう。

STEP2:必要な医療・介護サービスと利用条件を確認する

本人に必要な医療・介護サービスを確認します。介護保険のサービスが必要な場合は、市区町村の窓口で要介護・要支援認定を申請します。対象条件は年齢や状態によって異なるため、市区町村または地域包括支援センターへ確認しましょう。

STEP3:支援担当者と在宅療養の計画を整える

認定結果に応じて、介護サービスの計画(ケアプラン)を作成します。要介護1~5の場合は居宅介護支援事業者、要支援1・2の場合は地域包括支援センターが主な相談先です。訪問診療や訪問看護などの医療サービスは、主治医や医療機関と別途調整します。

参考:厚生労働省「介護サービス情報公表システム サービス利用までの流れ」

STEP4:在宅療養の開始後に支援内容を見直す

在宅療養の開始後も、本人の状態や家族の状況に応じて支援内容を見直し、必要に応じてケアマネジャーなどに相談しましょう。心身の状態が大きく変化した場合は、認定の有効期間中でも要介護度の区分変更を申請できます。

離れて暮らす家族が在宅療養で整えておく3つの備え

親と離れて暮らしている場合、すぐに駆けつけられないこともあるため、次の3点を整えておきましょう。

  1. 持病・かかりつけ医・服薬の情報を家族で共有しておく
  2. 家族だけで抱え込まずに支援サービスを活用する
  3. 急変時・夜間に備えて、状態別の連絡先を確認しておく

① 持病・かかりつけ医・服薬の情報を家族で共有しておく

急な受診や救急搬送に備え、次の情報を1枚のメモにまとめ、家族で共有しておきます。お薬手帳はスマートフォンで写真を撮っておくと、離れた場所からでも確認できます。

  • 持病・既往歴、アレルギーの有無
  • かかりつけ医療機関の名称と連絡先
  • 服用中の薬
  • 訪問看護事業所・ケアマネジャーの連絡先
  • 家族の緊急連絡先

② 家族だけで抱え込まずに支援サービスを活用する

在宅療養では、介護する家族自身が心身の健康を保つためにも、専門職や介護サービスを積極的に活用することが大切です。訪問サービスや短期入所などを適宜活用しつつ、近くに住む親族やケアマネジャーと役割を分担し、定期的に連絡を取り合える体制を整えましょう。

③ 急変時・夜間に備えて、状態別の連絡先を確認しておく

契約している医療機関や訪問看護事業所に、夜間・休日の連絡先と対応範囲を確認しておきましょう。急変時や夜間など場面ごとの連絡先を一覧にし、紙とスマートフォンの両方に記録しておくといざというときに確認しやすくなります。生命に関わる緊急性がある場合は119番へ通報します。救急車を呼ぶべきか判断に迷う場合は、対応地域であれば救急安心センター「#7119」へ相談できます。実施地域と受付時間は事前に確認しておきましょう。

離れて暮らす家族の見守りを支えるALSOKのサービス

在宅療養中の親と離れて暮らしていると、訪問サービスのない時間帯の様子や急な体調の変化に気づきにくいことがあります。家族による見守りを補う選択肢の一つとして、ALSOKのサービスをご紹介します。

緊急通報や健康相談に備える「HOME ALSOK みまもりサポート」

みまもりサポート

「HOME ALSOK みまもりサポート」は、急な体調不良や非常時に緊急ボタンを押すと、ALSOKが駆けつけます。相談ボタンを押せば、看護師資格を持つスタッフに24時間いつでも健康について相談可能です。また、オプションの「みまもり情報提供サービス」では、センサーなどを用いて安否確認、熱中症リスク、外出・帰宅等の情報をご家族へ通知します。

映像確認や声かけができるALSOKの室内カメラ「アルボeye」

ALSOKの室内用見守りカメラ「アルボeye」は、離れた場所からでもスマートフォンで室内の様子を確認でき、双方向の通話機能で本人へ声をかけることもできます。人体感知などで異常を検知した場合は、スマートフォンへ通知が届きます。利用者が映像を確認し、必要に応じてALSOKへ駆けつけを依頼できます。駆けつけは別途料金がかかります。

まとめ

在宅療養は、住み慣れた自宅で療養生活を続けられる一方、家族の負担や本人の状態、地域のサービス体制によっては継続が難しい場合もあります。医療と介護のサービスを組み合わせ、家族だけで抱え込まない体制を整えることが大切です。まずは主治医や病院の相談窓口、地域包括支援センターに希望を伝え、持病や服薬の情報、緊急時の連絡先も共有しておきましょう。

在宅療養に関するよくある質問

Q:一人暮らしでも在宅療養はできますか?

A:本人の状態に応じて訪問診療や訪問介護などを組み合わせ、在宅療養を行える場合があります。ただし、必要な支援の内容や緊急時の連絡・体制を整えられるか確認が必要なため、主治医や病院の相談窓口、地域包括支援センターに相談しましょう。

Q:介護保険を申請しないと在宅療養は始められませんか?

A:介護保険を申請していなくても、在宅療養は始められます。ただし、介護保険サービスの利用には、原則として要介護・要支援認定が必要です。利用条件は、主治医や市区町村、地域包括支援センターに確認しましょう。

Q:夜間や急変時はどこに連絡すればよいですか?

A:まずは、主治医や訪問看護事業所から指定された夜間・休日の連絡先へ相談します。生命に関わる緊急性がある場合は119番へ通報してください。判断に迷う場合は、対応地域であれば「#7119」に相談できます。

執筆:ALSOK株式会社

「安全・安心」を皆様にお届けするため、セキュリティのプロフェッショナルであるALSOKが編集しています。日常生活に潜む危険から身を守るための防犯対策、突然の災害に備える防災情報、ご高齢者やお子さまのみまもりまで、暮らしに役立つ確かな情報を分かりやすく発信しています。

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