火災報知器の種類は?それぞれの違いや使い分けの仕方、選び方を解説
本記事では、火災報知器の必要性、主な種類とそれぞれの特徴、使い分け方や選び方について解説します。
火災報知器は、火災の発生をいち早く検知し、周囲の人に火災の発生を知らせる重要な役割を担っています。火災報知器を設置することで、万が一火災が発生した場合でも、逃げ遅れや被害の拡大を抑えられます。しかし、火災報知器にはさまざまな種類があり、設置場所や用途によって適したものが異なるため、どれを設置すれば良いのか悩む方も多いでしょう。設置する前に、火災報知器の特徴や使い分けを理解しておくことが大切です。
【この記事で分かること】
- 火災報知器の主な種類
- 火災報知器の用途別の選び方・使い分けの考え方
- 設置場所で注意するポイント
目次
火災報知器とは?
火災報知器とは、火災の発生を知らせる機器の総称です。火災の早期発見や避難につながる重要な設備として、多くの建物に設置されています。
火災報知器は、火災を検知し音声やブザー音、発光などによって周囲の人に知らせたり、設備の種類によっては消防機関などへ通報することもできます。
中には、火災に気づいた人が操作して、警報を作動させる仕組みのものもあります。
火災報知器は大きく分けると、自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、住宅用火災警報器の3種類に分けられます。それぞれ使用される場面や設置のための条件・資格などが異なります。詳細は後述します。
火災報知器の必要性
上述の通り、火災報知器は火災の発生をいち早く検知し、周囲の人に危険を知らせ、避難を促し、被害の拡大を防止する重要な設備です。総務省消防庁によると、令和6年中の住宅火災による死者は1,030名と、深刻な数字が示されています。この数字から、住宅火災による死者を減らすためにも、火災の検知と火災発生を知らせる火災報知器は重要であることが分かります。
火災報知器と火災警報器の違い
「火災報知器」と「火災警報器」は似た言葉ですが、意味には違いがあります。
一般的に、火災報知器は火災の発生を知らせる設備や機器全般を指す言葉です。「自動火災報知設備」「特定小規模施設用自動火災報知設備」「住宅用火災警報器」などを含めた総称として使われます。
一方、火災警報器は、主に一般住宅に設置される「住宅用火災警報器」を指す場合が多いです。住宅で火災による煙や熱を感知し、警報音や音声で住人に危険を知らせる役割があります。
そのため、住宅向けの製品を説明する際には「住宅用火災警報器」、設備全般について説明する際には「火災報知器」というように使い分けられることがあります。
火災報知器の種類とそれぞれの違い
前述したように火災報知器は、自動火災報知設備、特定小規模施設用自動火災報知設備、住宅用火災警報器の3種類に分けられます。主な設置場所や設置基準などが異なるため、ここでは火災報知器の種類とそれぞれの違いについて解説します。
| 種類 | 主な設置場所 | 設置基準 |
|---|---|---|
| 自動火災報知設備 | 商業施設やオフィス、大型の集合住宅など | 用途や延べ面積に応じて、一定規模以上の施設に設置が義務付けられる |
| 特定小規模施設用自動火災報知設備 | 小規模店舗や福祉施設など | 延べ面積300㎡未満の特定用途施設 |
| 住宅用火災警報器 | 住宅 | 寝室、階段への設置が義務付けられている ※その他の居室も、地域によっては条例で設置が義務付けられる場合がある |
自動火災報知設備
自動火災報知設備は、火災により発生する熱や煙、炎などを自動的に感知し、火災の発生を建物内の人に知らせるための設備です。主に「感知器」「受信機」「警報装置」などで構成されており、感知器が火災を検知すると、信号が受信機に送られ、警報音や表示によって火災の発生が伝えられます。自動火災報知設備は、防火対象物に設置されます。
防火対象物とは、消防法において、火災予防の対象となる建物や施設などを指し、学校や病院、商業施設、共同住宅など、多くの人が利用する建物が該当します。
なお、自動火災報知設備の工事については、消防法令に基づき「消防設備士(甲種第4類)」の資格が必要とされています。消防設備士は消防用設備の工事や整備、点検などに関わる国家資格であり、取り扱う設備の種類に応じて第1類から第5類まで区分されています。
- 1類:屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、水噴霧消火設備など
- 2類:泡消火設備、パッケージ型消火設備など
- 3類:不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備など
- 4類:自動火災報知設備、ガス漏れ火災警報設備、消防機関へ通報する火災報知設備など
- 5類:金属製避難はしご、救助袋など
特定小規模施設用自動火災報知設備
特定小規模施設用自動火災報知設備は、小規模な施設に設置される自動火災報知設備で、無線式の連動型警報機能付感知器のみで構成できる点が特徴です。配線工事を必要としないため、比較的簡易に設置することが可能です。また、一つの感知器が火災を検知すると他の感知器にも信号が送られ、建物内に一斉に警報が鳴るため、火元から離れた場所にいても火災の発生に気づきやすい仕組みとなっています。
特定小規模施設用自動火災報知設備は、延べ面積が300㎡未満の特定用途施設(いわゆる特定小規模施設)に設置されます。ただし、旅館・ホテル、病院(入院施設あり)、福祉施設などの用途や条件によっては、特定小規模施設用ではなく、通常の自動火災報知設備の設置が求められる場合があります。
住宅用火災警報器
住宅用火災警報器は、主に住宅に設置される警報器で、火災により発生する煙や熱を感知し、音声や警報音で知らせる装置です。就寝中でも火災の発生に気づくことができ、早期避難につながります。
住宅用火災警報器は電池式のものが多く、配線工事などの電気工事を必要としないため、無資格でも設置することが可能です。
住宅用火災警報器の設置は義務?
住宅用火災警報器は、戸建て住宅・マンション・アパートなど、すべての住宅で設置が義務付けられています。2006年6月以降、新築住宅で設置が義務化され、その後既存住宅にも義務化が拡大され、2011年6月までに全国の住宅が対象となりました。
住宅用火災警報器は、原則として寝室および寝室のある階の階段に設置が義務付けられています。なお、具体的な設置場所は自治体の火災予防条例により異なる場合があります。ただし、自動火災報知設備やスプリンクラー設備が設置されている場合などは、設置が不要となるケースもあります。
住宅用火災警報器の目的は、火災から家族や自身の命を守ることにあります。万が一に備え、適切に設置し、定期的な点検を行うことが重要です。
住宅用火災警報器の主な種類と見分け方
住宅用火災警報器は主に煙式(光電式)と熱式(定温式)の2種類で、差動式は自動火災報知設備に用いられる感知器です。ここでは、煙式(光電式)と熱式(定温式)の特徴を説明します。
| 種類 | 感知方法 | 主な設置場所 |
|---|---|---|
| 煙式(光電式) | 煙に反応 | 寝室・階段など |
| 熱式(定温式) | 熱に反応 | 台所など |
煙式(光電式)
煙式(光電式)の住宅用火災警報器は、煙を感知すると音や音声で火災の発生を知らせます。煙を取り込むための吸気口(穴)があるものが多く、熱式と見分ける目安になります。火災の初期段階では熱よりも煙が先に発生することが多いため、煙式は早期発見に優れています。消防法令では、寝室や階段などには煙式の設置が義務付けられており、これらの場所では煙式の警報器を設置する必要があります。なお、煙や湯気などでも反応する場合があるため、設置場所には注意が必要です。
熱式(定温式)
熱式(定温式)の住宅用火災警報器は、周囲の温度が一定の温度に達すると作動し、音や音声で火災の発生を知らせます。「バイメタル」と呼ばれる金属部分が中央に露出しており、煙や湯気では誤作動しにくいという特徴があります。そのため、自治体の条例で認められている場合には、台所など煙や湯気が発生しやすい場所に設置することができます。
なお、住宅用火災警報器は、煙式と熱式を設置場所に応じて使い分けることが重要です。
自動火災報知設備の感知器の種類と使い分け方
自動火災報知設備の感知器には、主に「差動式スポット型感知器」「定温式スポット型感知器」「光電式スポット型感知器」「光電式分離型感知器」「紫外線式・赤外線式スポット型感知器」の5種類があります。それぞれ感知方法や特徴、適した設置場所が異なるため、ここでは各感知器の種類について解説します。
| 種類 | 主な感知方法 | 特徴 | 主な設置箇所 |
|---|---|---|---|
| 差動式スポット型感知器 | 急激な温度上昇(熱) | 温度上昇の変化を検知 | 一般的な室内など |
| 定温式スポット型感知器 | 一定温度以上の熱 | 急な温度変化による誤作動が起こりにくい | 台所、給湯室など |
| 光電式スポット型感知器 | 煙 | 火災を早期発見しやすい | 廊下、居室など |
| 光電式分離型感知器 | 煙による赤外線の遮断 | 広い空間に適している | 体育館、ホールなど |
| 紫外線式・赤外線式スポット型感知器 | 炎から出る紫外線・赤外線 | 天井が高い場所でも有効 | 劇場、ドーム、工場など |
差動式スポット型感知器
差動式スポット型感知器は、急激な温度上昇による感知器内の空気の膨張を検知します。この感知器内の空気はリーク孔と呼ばれる小さな穴で外気と通じており、穏やかな温度上昇ではリーク孔から空気が抜けていくので作動しません。温度差で作動するため差動式と呼ばれています。
差動式スポット型感知器の多くは、丸いドーム型の形状です。一般的な室内で広く使用されます。
定温式スポット型感知器
定温式スポット型感知器は、周囲の温度が一定温度に達したことを検知する感知器で、「バイメタル」と呼ばれる金属板が曲がって検知します(「サーミスタ」と呼ばれる半導体素子の電気抵抗の変化を検知するタイプもあります)。一定の温度で作動するため定温式と呼ばれます。火災の検知は、差動式より遅くなる傾向があります。台所・給湯室など、調理などで温度変動が大きい場所に適しています。
光電式スポット型感知器
光電式スポット型感知器は、火災の煙が機器に侵入した際、内部にある発光部から出る光が煙の粒子にあたって乱反射し、その乱反射した光を受光部が検知します。受光部に光を電気に変換する「光電素子」を用いているため、光電式と呼ばれます。
このタイプの感知器は、「煙感知器」とも呼ばれます。埃や粉じんの多い場所は誤動作を起こしやすく、設置に適していません。火災の初期段階で発生する煙を感知できるため、早期発見に有効です。
煙感知器の設置基準においては、一般的な設置目安として「壁から 60cm 以上離す」ことや「空調や換気吹き出し口から 150cm 以上離す」ことなどが定められています。
光電式分離型感知器
光電式分離型感知器は、赤外線を発する送光部とそれを受ける受光部の間を煙が遮ることで生じる受光量の変化を検知します。体育館やホールなどの天井が高い場所や大空間の監視に適しています。
紫外線式スポット型感知器・赤外線式スポット型感知器
炎は、目に見える可視光線の他、紫外線や赤外線も放出しています。紫外線式スポット型感知器や赤外線式スポット型感知器は、炎から発せられる光の変化を検知し、一定の量を超えた際に火災を検知します。煙や熱が拡散しやすい大空間や高天井空間でも火災を検知しやすいため、映画館やドーム、工場などでの使用に適しています。
住宅用火災警報器の選び方
住宅用火災警報器は、設置する場所や用途に応じて適した種類を選ぶことが大切です。原則として煙を感知する「煙式(光電式)」を設置し、台所など煙や湯気が発生しやすい場所では「熱式」を検討します。ここでは、住宅用火災警報器の選び方について詳しく解説します。
原則として煙式(光電式)を設置する
住宅用火災警報器では、寝室や階段などには煙を感知する「煙式(光電式)」の設置が義務付けられています。火災は、炎が大きくなる前に煙が先に発生するケースが多いため、煙式は火災の早期発見に有効です。煙式は空気中の煙を感知して警報を鳴らす仕組みであり、就寝中でも異変に気づきやすく、避難までの時間を確保しやすくなります。
煙式では誤作動しやすい場所には熱式を設置する
台所など、日常的に煙や湯気が発生する場所では、煙式の住宅用火災警報器が誤作動する場合があります。そのため、自治体の条例で認められている場合には、熱式の住宅用火災警報器の設置を検討しましょう。
熱式は、一定以上の温度上昇を感知すると警報を発する仕組みであり、調理時の煙や湯気に反応しにくい特徴があります。ただし、煙式と比べると火災の検知が遅れる場合もあるため、設置場所や自治体の基準を確認したうえで適切に選ぶことが重要です。
わが家の安全・安心のためにホームセキュリティの導入を
火災による被害を抑えるためには、住宅用火災警報器を適切に設置することが大切です。しかし、就寝中や外出中など、すぐに火災へ対応できないケースに不安を感じる方もいるでしょう。
ご家族や家財の安全・安心のために、ホームセキュリティの導入を検討するのも1つの方法です。ホームセキュリティの中には、不審者の侵入検知だけではなく、火災の発生を検知する機能も備えたサービスもあります。
ALSOKのホームセキュリティ「HOME ALSOK Connect」は、火災による温度変化や煙の発生を検知して通知する機能を備えています。万が一火災を検知した場合は、ALSOKが駆けつけ、状況に応じて適切に対応します。
また、オプションでガス漏れ監視機能を追加することも可能です。在宅中でも警備をセットできるため、就寝中や一人で留守番しているときの防犯・防災対策としても役立ちます。
ALSOKのホームセキュリティは、ニーズに合わせてさまざまなプランをお選びいただけます。専門のアドバイザーがあなたにぴったりのプランをご提案いたします。ぜひ、お気軽にご相談ください。
まとめ
火災報知器は、火災の発生を早期に知らせ、避難や初期対応につなげるための重要な設備です。住宅においては、住宅用火災警報器の設置が消防法によって義務付けられており、寝室や階段など、必要な場所に適切に設置することが命や財産を守ることにつながります。
火災報知器にはさまざまな種類があり、種類によって熱や煙、紫外線、赤外線など、感知できる対象が異なります。それぞれ適した設置場所も異なるため、導入の際は使い分けることが大切です。
火災報知器に関するよくある質問
Q:火災報知器は自分で設置しても良い?
A:住宅用火災警報器は自分で設置することが可能です。電池式のものが多く、特別な資格は必要ありません。
取付位置について、天井に設置する場合は壁や梁から60cm以上、壁に設置する場合は天井から15cm以上50cm以内とするなどの基準があります。また、エアコンや換気口などの空気の吹き出し口からは1.5m以上離して設置することが推奨されています。なお、具体的な設置基準は市町村の条例によって異なる場合があるため、事前に確認することが大切です。
高所での作業や設置場所の判断に不安がある場合は、家電量販店などの取り付けサービスを利用すると安心です。
Q:火災報知器はくん煙剤で誤作動する?
A:煙を感知するタイプ(煙式)の火災警報器は、くん煙剤の煙に反応して警報が鳴る可能性があります。そのため、使用時には注意が必要です。
くん煙剤を使用する際は、専用カバーを取り付けるなどの対策を行うことで誤作動を防ぐことができます。また、煙が発生しにくいタイプの製品を選ぶことも有効です。ただし、使用後はカバーを必ず取り外し、住宅用火災警報器が正常に作動する状態に戻すことが重要です。カバーを付けたままにすると、火災時に正常に作動しないおそれがあります。
Q:マンションではどの種類の火災報知器を選べばいい?
A:マンションの住戸内は原則、住宅用火災警報器を使用します。寝室・階段は煙式(光電式)、キッチンは条例で認められれば熱式(定温式)が一般的です。住戸内でもマンション側の消防設備として既に設置されている場合があるため、追加購入前に管理会社・管理組合へ管理区分を確認しましょう。共用部は建物側の自動火災報知設備が管理します。





















